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創まりの先へを読み解く~ある軌跡ファンの雑記考察~

時代は今、新たな英雄を求めている。

 創の軌跡クリア後のアップデート、《夢幻の彼方へ》をクリアしました。
 本作のキーワードであるエリュシオンの存在や、そこにハッキングを仕掛けようとするとある存在に焦点があたったエクストラチャプター。そして号泣必至の追加エピソードや、次回作へ繋がる伏線となる《創まりの先へ》など、無料でありながら満足感の高いものでした。
 そして、シリーズを通して楽しんでいる軌跡ファンとしては、気になるのはやはり次回作に関すること。これは他の方も同じなのではないかと思います。
 創の軌跡の本編に関して、自分が語りたいことは別記事である程度語っています。なのでここでは、今までの作品やエピソード《創まりの先へ》などに焦点を当てながら、思ったことを自由に妄想考察していこうと思っています。

 本稿は、創の軌跡までの軌跡シリーズの情報をもとに、以降のシリーズについて妄想考察をした雑記になります。創の軌跡及び軌跡シリーズのネタバレを含みます。今後の考察の一助にしてもらえたら嬉しいです。

1.新たな舞台、カルバード共和国の特性

①既存の舞台、ゼムリア大陸西部

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 今までの舞台はいわゆる大陸西部が物語の舞台となっていました。簡単にまとめると……
・自然豊かな田舎国、リベール王国
・二大国に翻弄される経済都市、クロスベル自治州
・西ゼムリアの覇権国、エレボニア帝国
 他にも、暁の軌跡の舞台として医療大国のレミフェリア公国、舞台とならずも重要だったノーザンブリア自治州、ジュライ特区などもありました。
 これらの舞台や登場人物たちが絡み合い、複雑な軌跡を描いたシリーズ前半を、自分は便宜上《西ゼムリア編》なんて読んだりしています。
 そして未だ名前のみの存在である大陸東部の国家群が、エプスタイン財団や遊撃士協会の本拠があるレマン自治州、農業が盛んかつとある組織の存在がほのめかされたオレド自治州、七耀教会の総本山アルテリア法国、その他大陸中東部の自由都市群、そして二大国の片割れカルバード共和国です(カルバードは大陸西部でもありますが、地理的に中央~東に入れてもいいのではないかと考えています)。

②西から東へ移ることの意味

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 現実で世界の東西というと、真っ先に思いつくのは東西冷戦のことではないかと思います。これは西──(日本を含めた)西洋やアメリカなどの資本主義陣営と、東──ソビエト連邦を中心とする共産主義陣営が繰り広げる、真っ向から対立する主義の争いです。
 次に、西洋と東洋というとどうでしょうか。これも境は曖昧でも世界を東と西に分けた文化・宗教の違いなどで語られたりします。
 考えるのは、《東の精神》と《西の精神》の違いです。

 この場合、西というと西洋、西洋で主流なのはキリスト教、キリスト教は一人の神を仰ぐ宗教です。また、近代において西洋で興った産業革命はそれまでの神話や迷信、異能という存在を衰退させ、「この世の現象は科学によって説明ができる」という価値観を世界に根付かせました。
 科学という武器によって、この世の現象を追求すること。自分と他人を分けること。断ち切ること。これは父性的な要素があります。
 対し、母性的な要素には包み込むこと、受け入れることがあり、これは日本のような国で強く出ている価値観です。
 筆者自身、この心理学の考え方に対してはまだまだ未熟で、すべてを明確に対比できるわけではないですが、そういった精神性の違いがあるということは時の学者などが常々論じてきたことであり、確かに存在するのだと思っています。
 そうした価値観の違い。断ち切るまっすぐな英雄ではなく、良いも悪いも受け入れる英雄。これは、後々語りますが、《東ゼムリア編》に突入するにあたって象徴となる英雄のイメージになるのではないかと考えています。

③カルバード共和国という次代のクロスベル

 シリーズ第一作の空の軌跡FCの頃、大陸は導力革命によって近代化に拍車がかかり、主に二大国の緊張と共に軍事的な琴線が張り詰められるという政治的な混迷の時期にありました。一国の軍備が増し、それにより他国の緊張が上がるという開戦前夜の様相です。
 50年前からの導力革命により用いられる導力によって、あるいはそれ以前の異変によって霊脈は刺激され、徐々に大陸東部は荒廃していく。それによって西への移民は増加し、カルバード王国は革命によって共和国となる。これにより二大国の緊張は跳ね上がり、係争地クロスベルは暗闘の舞台となる。帝国に端を発する出来事・あるいはまったく外からの出来事によって舞台は整い、最終的には閃の軌跡Ⅳにて世界大戦が勃発し、帝国は共和国へ賠償金を支払うことになった。
 一つの戦争が終わった後の世界。停戦とはいえ休戦でもなく《終戦》であり、そこには帝国の賠償金という手続きがなされました。時代の節目です。

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 そして、もちろん注目すべきはカルバード共和国でしょう。何故ならカルバード共和国は、帝国という大陸西部からの莫大な賠償金──つまり資金と、東からの移民が集まり、次なるホットスポットとなったのです。クロスベル自治州が帝国と共和国のホットスポットなら、共和国は大陸全体にとってのホットスポット、人と金が行き交う魔国ともいうべき、大陸規模のクロスベルになったのです。
 大陸の東と西から、多くの人と金が集まれば、当然思想も思惑も計画も暗闘も増えてくる。次の物語の焦点がどこに当たるにせよ、大陸規模の視点を外すことはできないのです。

2.結社と七耀教会から見る世界の真実

①結社と七耀教会を対比して見えてくるもの

 エステルという一人の少女と共に、大陸南西の田舎国の静かな村から始まった軌跡たちは、やがて大陸を飲み込む大戦にまで発展していきました。その過程で、外の理の一端、大陸の歴史の一端など、謎も真実も増えていく一方です。
 未だ全容を見せない結社《身喰らう蛇》も、大陸中の信仰を集める七耀教会も、少しずつそのベールを脱ぎつつあります。とはいえ、ゼムリア大陸というこの舞台そのものの秘密にかかわるこの二つの組織は、シリーズ終盤にならなければその身をさらけ出しはしないでしょう。
 だからこの場で行いたいのは、敵対している両者を対比することです。
 例えば七耀《教会》と対比するなら、もっといい相手はいます。それはDG教団であり、女神を否定し悪魔を崇拝するこの集団は、一つの宗教組織として七耀教会と対比していいはずです。
 なのに、やり玉に挙げられるのはVS結社とのことばかり。一応DG教団殲滅に参加もしましたが、世界の核心に迫る目的がある両者は、それ相応の対比をしなければならないのだと思います。

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 結社の目的はいまだ謎が多いですが、敵対する七耀教会の目的の一端は明かされています。ガイウスが閃の軌跡Ⅳで言った「世界の秩序が保たれている限りはそれを乱さないのが教会の立場だ」みたいな発言です。悪い表現をすれば、《停滞》を望む、というようにも聞こえます。
 この方針を持つ組織と敵対する結社は、少なからずそこに沿わない方針を持っているはずです。それは「世界を混乱に陥れている」こともそうですし、「停滞に対する変化を望むこと」かもしれません。
 カンパネルラは言っていました。「七つの至宝がこの可能世界において人の手でいかなる結末を迎えるのかを導き、見届けることに計画の意味がある」と。これは結末を見届ける、つまり原因に対する結果を促す、変化することを強要することにも感じます。

 七耀教会は世界にとっては安定をもたらし、大崩壊後の荒廃した世界で人々の心を支えた、まさに心の拠り所でありゼムリア人の象徴です。大陸の中で物事が完結するなら、安寧を求めるのは正しい。ですが、もしこの世界に、大陸の外に、こことは別の世界があるのなら……その価値観を一度取り払ってみなくてはなりません。
 方や、変化を望むかのような結社の計画。教授をはじめ、非道な計画や組織に加担していることは、当然許されることではありません。ただ……七耀教会と同じように、その行いが悪でありながらも、真意を知ることによって悪の意味合いが変化する可能性がある。

 《福音計画》は、教授の悪だくみを除いては、『今なおゼムリア大陸に存在している』空の至宝を取り上げる、あるいはその脅威を前にしたエステルたち人民の選択を『見届ける』ものでもありました。
 《幻焔計画》は、クロスベルと帝国を舞台にした壮大な計画。幻の至宝についてはすでに消滅し、『ある種の当時の人間の答えがすでに出ている』ために結社もさして興味を示さず、主題は焔と大地が合わさった《鋼》にありました。オズボーンによって計画は多少変更されたものの、至宝が合わさった「《鋼》を前にした人々の争いの行方を見届ける」ことにより、計画は果たされています。

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 七の至宝は、元々女神が古代の人々に贈った古代遺物。幸福と共に悲劇をもたらしかねないためか、聖獣という《見届け役》までいます。結社はいずれも、『現存していてその影響をあまねく発揮している至宝が、人の手を離れるまで』に注視しているように思えます。
 見届けということは実験の結果を得ることであり、そこに「○○を操作する」という主体的な目的はありませんが、今後も世界にはびこる組織の陰謀の裏で、至宝の力を暴走させ、そしてそれを人の手で決着させるところに終始するのではないかと思います。

②《永劫回帰計画》と残りの至宝

 結社の計画《オルフェウス最終計画》には3つの段階があり、第一段階、第二段階は福音計画と幻焔計画です。そして閃の軌跡Ⅳで明かされたのが、今後行われる第三段階は《永劫回帰計画》だということ。
 福音は輝く環の端末からの名称でした。幻焔も、クロスベルの幻の至宝の残滓を持って帝国の焔(と大地)を呼び起こす、というものでした。どちらも至宝に関係するものからあやかった名称です。
 では、《永劫回帰》も今後の至宝に関係するものなのか……そう思うと、考えてしまうのは残りの至宝と、それぞれの至宝がつかさどるものです。

・地:既出:肉体をつかさどる。
・水:未
・火:既出:精神をつかさどる。
・風:未
・時:未
・空:既出:空間をつかさどる。
・幻:既出:因果をつかさどる。

 軌跡シリーズにおけるそれぞれの属性の役割は判りません。ただ、おそらく時はそのまま時間に関することでしょうし、水と風は生命の《循環》のようにも感じます。どちらも、《永劫回帰》という言葉と無縁のようには思えないのです。
 現状では未だ考察は妄想の域を出ませんが、それでもピースは着々とそろいつつある。今後の物語の展開に注目、といったところでしょうか。

3.余談:古代遺物・国土・技術

この項目では、個別の現象について思ったことを語ります。

①アーティファクトの逆取り込み

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 主にケビンをはじめとする守護騎士に、それぞれ「聖痕がアーティファクトの特性を取り込む」という現象がありました。ケビンは《ロアの魔槍》、ワジは故郷の《石盤》。ガイウスはバルクホルンの聖痕を引き継いだため、詳細までは判りません。ただ、筆者は「聖痕は器のようなもの」と予想しており、ガイウスがバルクホルンから受け継いだのは「聖痕の中身(=別のアーティファクトの特性あるいはそれに準ずる超能力)」だと思っています。
 そして、今回創の軌跡で生じたのは、『照臨のレガリアが偽エンペラーにとりつく』という現象。また、少し記憶をさかのぼればワイスマンは至宝《輝く環》と融合もしていました。どうも、アーティファクトというのは人間の体や精神と相性がいいもののようです。

 そもそもアーティファクトはブラックボックスとはいえ導力で動いていることは同じようですし、導力≒マナ(霊力)でもあります。物質的な領域を超え、概念的な領域では人間とアーティファクトは共存しうるものなのでしょう。

②データ化された国土というシステム

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 幻焔計画の後半、閃の軌跡Ⅲ・Ⅳにて特徴的な現象がありました。それは、『クロスベルが帝国領となったことで、帝国にクロスベル由来の、クロスベルに帝国由来の幻獣が現れるようになった』というもの。
 これ、よく考えるとすごい伏線なのではないかと思うのです。
 現実であれば、「国家間の境界線を境に異なる現象が起こる」なんてことはあり得ません。国と国の境界線は人々が決めた概念的な線であり、気象・天候・生態系などの自然の事象を決めるのは環境要因によるからです。
 ところが、クロスベルと帝国ではおかしなことが起こりました。元々帝国にしか現れない幻獣や魔煌兵などが、《帝国領》となったクロスベルに現れるということ。たかが人と人が決めた境界線が、世界の理にまで影響するのです。まるで『データによって条件付けをされた』ように……。
 それは、『国と国の境界線に人々が決めた概念以上の効力がある』ということ。ゼムリア世界の謎に迫るうえで、後々重要な要素となると考えています。

③技術的特異点がゼムリア世界に及ぼす《可能性》

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 技術的特異点。シンギュラリティ。
 残念なことに自分も多くは知らないのですが、『人工知能が人間の知能を上回る瞬間』という言い方が当たらずとも遠からずなようです。パソコンのスペックはすでに人間なんて超えているような気がしますが、重要なのはAIが自分で自分を改良できるようになるということ。現在は常に人間がメンテナンスを行っていますが、それが人の手から離れた瞬間、AIはどんどん自分で進化を繰り返していく……現実でも未到達点の仮説です。
 ゼムリア世界は裏社会の超技術や導力によるトンデモ兵器もありますが、情勢的には元ネタであろう産業革命後の世界情勢が近いと思います。上述の通り、極まった軍事大国同士が陰謀の果てに全世界を巻き込んだ大戦も起こしたほどです。
 そうした後のシンギュラリティ。現実世界の私たちからすれば、他のSF作品を基にした考察や「一体どうなっていくんだろう……」という感情が働きますが、そこは軌跡世界。もう一つの感情もあったりします。
 今回シンギュラリティとして挙がったエリュシオンは、イアン先生をして「子供のように純粋」といえるほどの知性でした。

 ただ……機械知性って、確定とは言わずともそれらしき存在、既にいますよね? ってのも思うところがあったのです。
 それは幻の至宝《デミウルゴス》。そもそも七の至宝は、女神が遣わした《古代遺物》でした。
 《響きの貝殻》《封じの宝杖》《ロアの魔槍》《照臨のレガリア》など、古代遺物はその中身が完全なブラックボックスとはいえ、現在の導力器と同じく導力が動力源となっているのは変わりません。
 導力=霊力という概念もあるので、そこを考えるとややこしくはあるのですが、言ってしまえば古代遺物は機械であり器械なのです。

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 それは人と同等、それ以上の思考を持っていたデミウルゴスも変わりません。冷徹に言ってしまえば、彼女もまた、機械知性だということはできないでしょうか。
 大崩壊以前の歴史や真実もまた、謎に包まれています。しかし事実として「今よりもっと高度な文明があったらしい」ということは囁かれている。実際に空の軌跡の仲間たちは、浮遊都市リベル=アークの文明を目の当たりにしています。
 今回のエリュシオンが引き起こした事件は、今作に登場した仲間たちにとっては「至宝と関係の薄い、未来的な存在が生み出した趣の違う事件」ではありましたが、世界の真実を知る者にとっては、『古代への回帰』だったりするのかもしれない……そんなことを妄想した今日この頃でした。

4.今こそ求められる英雄像~そして、乙女は剣を手に進み続ける~

 最後に、《創まりの先へ》そのもの、その中の一つ、《そして、乙女は剣を手に進み続ける》に関連した感想考察を書きたいと思います。「もう一つの温泉郷」は忍者ぶっこんできた! だとか、「ある少女の学園生活」はティータとレンが可愛いハァハァ……とかの感想もあるのですが、次回作への期待や象徴的な意見を踏まえ、3つ目の物語を語っていきます。
 個人的には第一感情としては「やった、久しぶりにジンさん登場だぁ!」という思いもあるのですが、やはり主題は語り手エレイン・オークレールについてでしょう。

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 エレイン・オークレール。カルバード共和国に所属するB級遊撃士(エピソード当時)。《剣の乙女(ソードメイデン)》という二つ名を持ち、周囲からはその美貌もあって雑誌取材やモデル・映画の主演女優の勧誘など引く手あまた。それらの人気や、何より遊撃士としての実力を買われ、本部からA級への昇格を打診されている。
 詳細は判りませんが、実際に戦闘能力も高く描写されています。本編で「紫電に続く最年少A級遊撃士昇格……」と言われていることから、閃Ⅰのサラよりもっと若い年齢です。
 軌跡シリーズの主人公でエステル・ロイド・リィンは初登場が16~18歳と、未成年で、しかし前者二人はすでに自分の職業を決めている状態です。一方、ケビン、ルーファスは20代後半か30くらいですが、どちらも人間不信待ったなしのどぎつい背景があります。なんだか、年が上になればなるほど心に巣食う重々しい闇との対決を迫られているような気がします。
 エレインの背景としては、2人の幼馴染がいること。片方はCID(中央情報省)に、片方は最近ふらっと帰ってきて裏社会に片足突っ込んだ仕事をしているということ。これらは、エレインが主人公になるのかとか、いろいろ期待が膨らみます。
 考えたいのは、この記事の最初のほうにも書いた、英雄像の変化について。

 【己の本質を証明する~英雄伝説 創の軌跡~】でも話しましたが、リベール、クロスベル、エレボニアの今までの主人公はまっすぐな勧善懲悪に立ち向かう英雄像で、創の軌跡を含むこれからの英雄像は、『贖罪・心の救済・自らを救う』といった英雄像になるのではないかと感じました。そういった劣等感の補償、汚名の返上など、ニュアンスで言うなら、プラスへ進むのではなくマイナスからゼロに戻る、とでもいえばいいのでしょうか。
 そして自分が感じた「英雄像の変化」は、こんなところにも感じました。

 時代は今。新たな英雄を求めている。

 メタ的に言えば、これは文字通りの「共和国編・その他の地における新たな主人公=英雄」だとは思います。ただ、「新たな英雄が出現するだろう」ではありません。新たな英雄を《時代が》求めているのです。
 今まで、帝国と共和国による世界の緊張、さらに結社を中心とした暗躍する勢力がもたらした《戦争・紛争・テロ》に対する時代=人々の慟哭は、結果としてエステル・ロイド・リィンといった祭り上げる英雄を生み出しました(非難の意図はありません)。
 ただ、これからの時代は、《創まりの先へ ある少女の学園生活》でレンが考えていた『薄氷の上に成り立つ平和』だとは言え、それでも一見して平和で、さらに共和国は表世界おいては映画など華やかな時代を謳歌していくに違いありません。

 けれども、東では大地の不毛が進み、裏社会では《庭園》や《テロリズム》が跋扈するような破滅の足音は確かに聞こえている。
 先進技術と資本による繁栄と、自分たちが見えない世界に確かに存在する不幸の数々。あれ? 現実世界でも極東のどこかに、『先進技術が謳歌して先進国の割にはそんなに幸福度が高くない資本主義の国家』があったような……。
 いや、実際程度と質は違えどカルバード共和国も似たようなものだと思うのです。変化した時代で幸せになるには、変化した幸せの価値や、心の在り様を身につけなければならない。対岸の火事とはいえ確かに存在する世界の闇は、気にしないようにしても確実に人々の心に剣を刺していきます。
 だから、これからのカルバード共和国や、大陸東部には、今までのエステル・ロイド・リィンのような英雄では本当の意味では太刀打ちできなくなるかもしれない。世界を救えても、周囲の人の心を救えても、万人の心は救えなくなるかもしれない。

 だから、《時代は今、新たな英雄を求めている》のかもしれません。

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 雑記と妄想、考察を合わせた本記事ですが、最後までお読みいただきありがとうございました!

以下は軌跡シリーズの考察集になります。こちらも読んでいただけると、嬉しいです。

黎の軌跡の発売前考察もどうぞ。


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記事を最後までお読みいただきありがとうございます。 創作分析や経験談を問わず、何か誰かの糧とできるような「生きた物語」を話せればと思います。これからも、読んでいただけると嬉しいです。