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黎の軌跡クリア後感想〜雑記などなど〜

 2021年10月、有休を消化しつつ、事前考察なども楽しんでいた黎の軌跡をクリアしました。
 西ゼムリアの物語を終えた七耀歴1208年。新たな時代の節目を迎えたゼムリア大陸、変わる世界を舞台に、共和国において活動する《裏解決屋》ヴァンの物語。
 そこには、黎の軌跡──黎明を告げるというメッセージの通り、物事の前と後を繋ぐ、大切な要素があったように感じます。それはストーリーにしても、軌跡そのものにしても、文化にしても心にしても……。
 ここでは過大なネタバレを抑えつつ出来るだけシステム面や各キャラへの一言考察なんかも繰り広げていきたいと思います。


 別稿で述べる妄想考察では、純粋な感想とともに次回作への伏線などを整理し、さらにはいつもの登場人物の深淵について述べていきたいと思います。


1.執筆時のクリア状況

・1周目クリア、2周目ボチボチ開始中。
・1周目クリア時間、約100時間。難易度ナイトメア。
・映画・雑誌はほぼ全てコレクター済み。
・4spgは全て達成、ランクは最終評価でAAA。
・会話マラソンは中盤まで100%、終章はちょいダレて7割ほど。
・最終アライメントはLが5、Gが3、Cが2でした(判る人には判る)。

2.戦闘システムについての感想

 今作の目玉はなんといっても、今までの軌跡シリーズのATバトルをさらに進化させたコマンド×アクションバトルです。

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 コマンドとアクションの組み合わせ。システムを評価できるほど多くのゲームを遊んだわけではないですが、その上で言うならばとにかく古きを組み合わせたことによる新しさを感じました。コマンドバトルは基礎を踏襲しつつ新しいアクション要素。今はまだ攻撃・回避・チャージアタックのみと若干単調な部分もありますが、そこは日々進化を重ねる軌跡シリーズ。閃シリーズのように、毎作新たな楽しみをくれると思います。
 流れとしては「アクションで優位をとりつつコマンドへ」というセオリーはあるみたいで、最初はブーストなどもあり慣れなかったですが、章を跨ぐごとにそれは爽快感に変化していきました。

 不満点としては、クラフト・アーツの度にパラメータ欄が消えてステータスの管理が難しかった点でしょうか。発売当初はスキップ機能がなかったのも相まって、ナイトメアがよりシビアな戦闘となりました。

3.サブクエ・コネクト・蒐集要素

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 サブクエスト、4spgについては選択肢によってランク以外の要素影響を与えるのは、軌跡としては初めての試み。クエストの中身については盗んだお金についてだとか、裏流通ルートだったり、詐欺師とやたらと出会ったりだとかも新鮮でした。もう一つ、クエストにも選択難易度があったりすると、難しいもの好きにとっては嬉しい変化かもしれません。
 コネクト要素は今までの絆を踏襲していて、今回は「コネクトでないとキャラの重要な秘密が判らない」なんてことはなかったと思います。あるいはモブキャラとのコネクトも、意外な人物と触れ合えるのがヴァンらしくて良かったかな、と。
 蒐集用紙として小説がタイレル通信しかなかったのは純粋に驚きましたが、共和国ならではの映画を見れたところは世界観に入り込めて最高でした。個人的には、《雨と僕の物語》を通してみたいなんて思います。

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4.愉快なネタバレあり感想キャラ編


・やはり《裏の重心》ヴァン・アークライド

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 開始5分で好きになった男です。アガットのような硬派で不器用で、そして陰ながら優しい男。そんな前イメージと重なる部分はありつつも、想像の数倍はお人好しな奴でした。裏の世界に関わるから悪を知って容赦がない……というわけではなく、人々を『裏の世界にいながら光の世界へ送り出す』ような感じです。それはストーリー中の彼の台詞にも表れていて、立場が違うだけで本質的には今までの主人公と同じ軌跡の英雄の資質を秘めていると思います。例えばレンのように闇側から光へ向かった人間がいたとして、エステルがひたすら光の側から引っ張るのではなく闇の側から押し出すような。「お前がいるのはここじゃないだろ」というような。
 ただ、やはりエステル・ロイド・リィンとは違い過去に自身の価値観に影響を与える何某かが起きていた、ケビンやルーファスらしさを感じていました。元々囁かれていたエレインとの関係性やまた多数のキャラとの因縁。核心に迫る部分は別稿で語るとして……いやあ、語りきれないくらい面白いキャラでした。

・ザ ヒロイン! アニエス・クローデル

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 彼女の素性の予想については元々色々なものを聞いていました。が、蓋を開けてみれば、重要な正体のダブルコンボ。明言された曾祖父も、後半まで匂わせた親類もありましたが、どちらも作品シリーズの根幹となる要素なので、メタ要素としてシリーズ後半に入ったことをしみじみと感じています。
 ヴァンにほの字の模様。いいぞもっとやれ。とまあ、ティータとアガットのに迫る8歳差(ルーラピ? 知らないなぁ)の関係というのも、文化が進んだ先進国の年頃の娘のような感じがして良きなのです。
 そして邪道的な主人公に対して、光の側で現実を知っていくヒロイン。今までにはない軌跡主人公の関係性を感じました。

・愉快な裏解決屋の面々

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 ストーリーの流れとしては空の軌跡FCのような、エステルヨシュア(ヴァンアニエス)を主軸としつつ仲間が入れ替わる構想なのだと勝手に思い込んでいたのですが、微ネタバレとして徐々に仲間たちが裏解決屋に集っていくものでした。それはそれで、零碧閃創を通して描いていた『最初から集結していた仲間たちの人間模様』とは違う物なので、ある意味新鮮だったのも確かです。
 アーロンは想像以上に天衣無縫な感じでした。だが「剣のオバハン」はだめだ。
 リゼット、コバルトカーテンには助けられたぜ。誰かの「ロボットじゃね?」という予想に内心「そんなまさかぁ」とか思ってたらまさかの正体にビビりましたよ……。
 ジュディス、てめー隠す気ねーな!? 今後はともかくとして、『ジュディ──怪盗グリムキャッツが仲間になった!』の下りは爆笑しました。
 ベルガルド、こいつ隠す気ry。というか大塚さんボイス最高じゃないですか。

 全般として、主要人物8人は紹介されつつも個人の重要な過去というものはそれほどクローズアップされなかった感がありました。結社・猟兵・PMCも紹介はありつつ、その過去や体験や、感情には触れられなかった。
 「共和国の地力が試される」という続編以降の物語に期待したいと思います。

5.ネタバレあり感想:勢力図編

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 考察はあまりせず、純粋な印象や感想などをつらつら書いていきます。
 軌跡シリーズ後半戦の1発目。あくまで共和国編序章のように感じました。立場こそ裏解決屋というダークなものですが、本作のストーリーは軸に『アルマータとの対決』があり、その意味において絶対的な正道の主人公サイドと絶対的な巨悪がある構造には変わりなかった。協力者たちに裏の人間が多いとはいえ、ある意味では主人公たちの立場が揺らがない勧善懲悪の物語だった、と感じています。

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 黒月や結社といった裏の人間もまた、アルマータという『秩序を乱す存在』を叩くために動いていて、創以前にもあったデュバリィや銀なんかとの共闘には変わりない。ただ、デュバリィなどは利害の一致以外に『方向性の一致』もあったといます。単に実益のみではなく、共に行動するに値する精神性や価値観の一致です。だから閃Ⅳのデュバリィですら『信頼できる味方』になれたのだと思います。


 対して今回は、黒月も結社もやがては敵対することが仄めかされていたり、そもそもヴァンは基本的に彼ら『迷わず闇に生きる人間』には関わりたくはない傾向がありました。だから、今までと違い『方向性も違うし殺し合うけど、今だけは共闘しようぜ』の精神で戦えるというのは軌跡の中でも珍しく、もっと言えば新しい。そのあたり過去作において黒月だけがほとんど一貫して『胡散臭く敵味方入れ替わる勢力』だったと気づいて、一人で面白い発見をしたと思いました。西ゼムリア編の頃から、ツァオはずっと共和国の在り方に則っていたわけです。
 だから一見して「今までの敵勢力との共闘と変わらない」との意見もあるかもしれないけど、自分としては納得できる作りでした。

 時代が進み、個人が得られる情報が増えれば、物事を善悪・表裏といった二元論では捉えきれなくなる。世界大戦から進んだ七耀歴1208年だからこそ映える、敵味方の入り乱れ具合でした。


6.ネタバレあり感想、次回作への伏線


 まず、本作は共和国編及び軌跡シリーズ後半戦として、零の軌跡のように物語を綺麗に纏めつつありとあらゆる伏線を地雷設置したように感じています。整理しきれていないですが、気になるのは以下のところです。
・グレンデルの真相★
・メアの正体★
・ゼクー宇宙軍基地
・マルドゥック社の目的など
・顕在化する民族主義
・8番目のゲネシス
・130年前に滅びたイスカ神聖皇国★
・エルザイム公国や中東の勢力関係
・崑崙(こんろん)山脈と侍衆斑鳩(いかるが)
・ほぼ紹介だった新キャラたち
・共和国革命の真実★
・永劫回帰計画と外の理
・怪盗グリムキャッツ
・ヴァンの正体の詳細★
・今作のCは誰か



 とにかく伏線が多かったです。
 ここでは、『★』について抜粋して、2つの主題に分けて考えていこうかと思います。

①ゼムリア東の過去の歴史

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 今回明らかになった歴史の因果関係として、今までのもの含めると、以下のようになるかと思います。
 A帝国獅子戦役→帝国の台頭。
 B霊脈の乱れ→東の大地の不毛化の始まり。
 C『???』→イスカ神聖皇国の滅亡→東方勢力のカルバード王国介入→カルバード共和国誕生→クロスベル自治州成立→帝国と共和国の闘争。
 D導力革命→霊脈の乱れ→東の不毛化の加速。

 Cに関しては確定路線ではありませんが……。

 とにかく明らかになって驚いたのは、西部に帝国があり、中部にカルバードがあり、そして東にも大国があったことです。
 今まで大陸の趨勢を握っていた国は帝国と共和国くらいかと思っていましたが、そこにプレイヤー的には第三の大国が加わったことになります。
 時系列から考えて間違いなく東の大地の不毛化とイスカ神聖皇国の衰退、東方勢力のカルバードへの移動は関わりがありそうです。共和国編の背景にある出来事として今後詳細が明らかになっていくのだろうと思うと、今から楽しみでなりません。

②ヴァンやメアなどの正体

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 正直なところヴァンの魔装鬼や、今回のメアがユメに憑依した現象なんかは、マクバーンのそれに近いものを考えています。
 マクバーンの現在の人格は元々大陸の外の存在でしたが、50年前に現在の肉体の存在と融合したと、閃Ⅳで明らかになりました。
 今回ヴァンは、終章で漂泊の魔王ヴァグランツ=ザイオンとの関わりが浮上しました。そもそも『正体が魔王そのもの』みたいなベルガルトの発言もありましたし、『気づいた時には自分がその存在だった』……というように、やはりこの次元の人間に別次元や別世界、別時間の存在と同化しているという現象が散見されているのです。黎ではヴァン(魔王)にアーロン(大君)やユメ(メア)。過去シリーズではマクバーンの他、同一世界ですがオズボーン、さらにはリィンとイシュメルが=リィンも似たようなものでした。

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 メアがヴァンにグレンデルの使用を問うとき、それは常に「悪夢を纏う?」でしたが、最後には「夢から覚める?」でした。シンでないグレンデルか、もしくは通常時のヴァンの姿そのものが、『誰か』にとっての夢現近い状態だった可能性がある。
 たぶん、今後の軌跡の物語の中には、ヴァンたちの他にも似たような現象の人間はいて、それが外の理や『枷』との関連において重要なものになるのではないかと思います。

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 次回作への伏線はまだまだたくさんありますが、ここはあくまで純粋な感想。文字数もありますし、思いを巡らせるのはここまでにしましょう。
 別稿として、色々と登場人物や物語について考察したものもありますので、是非そちらも読んでいただきたいと思います。

 ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


記事を最後までお読みいただきありがとうございます。 創作分析や経験談を問わず、何か誰かの糧とできるような「生きた物語」を話せればと思います。これからも、読んでいただけると嬉しいです。