見出し画像

本日のウニ:バフンウニ④2細胞期

受精卵を15˚Cで飼育すると、受精後1時間半程度で第一回目の卵割(細胞成長を伴わない細胞分裂)を迎え、2細胞期になります。動物の卵には動物極(地球での北極をイメージしてください)と植物極(地球での南極をイメージしてください)と呼ばれる極性が存在しており、通常は減数分裂時に極体が放出される場所が動物極と呼ばれています。植物極はその対極になります。受精卵が2細胞期になるときに生じる分裂面は、この動物極と植物極を横切ります。ウニでは動物極が将来の体の前端部になりますが、この最初の分裂面は体を、A)左右に分ける場合と、B)C)斜めに分ける場合とにだいたい3パターンに分かれます。

これはバフンウニの場合であり、世界中で最も研究されているウニの種であるアメリカムラサキウニStrongylocentrotus purpuratusでは斜めに横切るB)とC)のパターンがほとんどになります(Kominami 1988, Cameron et al., 1989, 1990)。

受精からこの最初の卵割に至るまでの間に、卵の中ではDNAを合成したり、タンパク質・脂質を合成したり多くの現象が展開されています。たった一つの細胞であった受精卵が二つの細胞になるための準備をしているわけです。バフンウニの胚や幼生を研究材料として管理する場合には、常に15˚Cで飼育して飼育環境の違いによる結果のバラツキを抑えています。実習では温度をいろいろ変えてみて、最初の卵割にどのような影響があるのか試してみても面白いかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?