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タコノマクラの発生

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2021年1月の記事一覧

本日のウニ:タコノマクラ②2細胞期

本日のウニ:タコノマクラ②2細胞期

受精後1時間半ほど経過した2細胞期のタコノマクラの胚です。透明さは相変わらずで、2つの細胞とも核がはっきり見えます。発生初期に細胞が割れることで生じる娘細胞は割れた後に細胞の成長を伴わないため、その期間の細胞分裂は特別に、「卵割(らんかつ)」と呼ばれます。卵割によって生じる細胞は「割球(かっきゅう)」と呼ばれます。以前紹介したバフンウニや今回紹介しているタコノマクラの割球はお互いに接着しているうえ

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本日のウニ:タコノマクラ①受精卵

本日のウニ:タコノマクラ①受精卵

久々にウニの発生シリーズの更新です。今回はタコノマクラ Clypeaster japonicus の発生です。タコノマクラはバフンウニなどの正形類いわゆるウニ型のウニ達と違って、平べったい形をしています。これらの仲間は不正形類と呼ばれています。スカシカシパンやブンブクなども不正形類に分類されます。親に関してはまた後ほど。

写真は受精後1時間の受精卵です。大きさは直径が100 µmよりちょっと小さ

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本日のウニ:タコノマクラ⓪親

本日のウニ:タコノマクラ⓪親

発生から少し脱線して親個体の紹介を。

タコノマクラはみなさんがイメージする一般的なウニと違い、不正形類と呼ばれるグループに属しています。少し丸っこくてトゲトゲしている正形類のウニは五放射相称の体軸を持っており、前も後ろもありませんが、タコノマクラなどの不正形類ではその体に前後軸が存在しています。写真のタコノマクラは左側が前で右側が後ろになります。上からみるとわかりにくいのですが、ひっくり返すと肛

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