見出し画像

夢の様な時間

2023/6/27

バンコク4日目。チェックアウト。
昼過ぎにはバスに乗り、海のあるリゾート地パタヤへ向かう。

お世話になった宿のスタッフ

笑顔と“ゲームオーバー”の対比にニヤけてしまった
ちなみに宿名はBorn free hostel


「まぁ焦らず、サ店でゆっくりしようや」

というわけで朝食を兼ね、ミツルさんと宿近くのカフェへ。

朝食Set
160バーツ(約550円)
これにコーヒーが付く


調べ物や雑談をしながらダラダラ過ごす私達を見兼ねてか、店のスタッフから執拗に追加注文を催促され、半ば追い出される様にして退店。

私も飲食店を経営していたので気持ちはわかるが…満席ならともかく、ガラガラじゃん…。


そんなこんなで、ミツルさんとはここでお別れだ。
彼はインドへ、私はパタヤへ。

快晴の午後、汗ばむ陽気。
穏やかなカオサンロード周辺。

サッと握手を交わし「また!」と挨拶。

そしてお互い背中合わせに、それぞれのバス停へ。



雨季のバンコクでは珍しく感じる爽やかな空それがより一層、明るく見えた。




市内バス車内
クーラーが効くタイプは20バーツ
先日乗った赤バス程のローカル感は無い
長距離バスに乗り換え、パタヤへ
幸いタイミングが良く
待ち時間無しでテンポ良く出発


移動中、既にパタヤ滞在中のオオヒラ君と連絡を取ると、ちょうど彼もバスターミナルに用事があるとの事で、そこで落ち合う事に。

パタヤ、北バスターミナル到着


無事に合流し、ソンテウで宿周辺へ移動。

そして時刻18:00。
宿に到着、チェックイン。

洗濯とシャワーを済ませた後、早速2人で街に出る。

派手な電飾と開放感
今まで巡ったタイの街とは明らかに違う

まさに “遊ぶための場所” といった雰囲気だ
再会を喜び
パッタイとシンハービールで乾杯

約1週間振りなので、そんな大袈裟な事ではないかもしれない。




とはいえ人の気持ち、時間、健康
家庭や金銭的事情

様々な偶然が重なっての今

それだけ縁とは貴重なものであり
私が商売をしていた時も大事にしていた事だ



ひとしきり会話を楽しみ、場所を変えようとウォーキングストリートへ。

バー、ナイトクラブ、飲食店が立ち並ぶ
パタヤの中心街

声がかき消される程の音楽が全体に鳴り響く
コロナ以前はもっと賑わっていたらしいが
これでも十分過ぎる活気だ

軽く一杯飲んだ後、店を変えようと辺りを物色しながら歩く。
良く見ると、バンドの生演奏をしているバーがちらほらと目に付く。

「どこかでドラム叩けるチャンスがあったらと思って、バックパックにスティック入れてきてるんですよね」


そんな話をオオヒラ君にしていると、不意に彼が一言。


「聞いてみますか?」



そう言って店のスタッフに声を掛けてくれたかと思うと、なんと飛び入りで参加させてもらえる事に…!


流石に今日こんな展開になるとは予想もせず、スティックは宿に置いてきている。
また勿論、旅中しばらく叩いていないうえに、なかなか酔いも回ってる状態だ。




それでも
こんなチャンスを逃す手はない…!



店に入り、とりあえずビールを注文。
演奏中のバンドにチップを入れて、曲を聴きながら出番を待つ。

どうやらバンドメンバーは誰もが知る名曲を演奏して場を盛り上げる、BGM的な役割らしい。

所謂ライブハウスのそれではなく、ジャムセッションでもない。

なので当然、飛び入り参加など基本的に無く、私も何の曲を叩くのか全くわからない。


まさにぶっつけ本番だ


勢い良く参加を申し込んだものの正直、内心はドキドキしていた。


が、今更やっぱり辞めますなんてダサい事を出来るわけがない…!


ダメで元々…!!


そんな気持ちで待っていると、店のスタッフが私に近付き


「この次の曲があなたの出番です」



「あの、何の曲を演奏するんですか?」



「それは彼ら(バンドメンバー)次第です」



いよいよ曲が終わり、マイクで私が紹介される。


メンバーそれぞれと客席に合掌で応える。


そしてスティックを借り、ポジションに付くと、ベースの方からスマホで指示される。



「IT'S  MY  LIFE」





いや、全っ然わかんねぇ…!



だがメンバーは皆、私のカウントを待っている…!!

構成、フレーズどころか入り出しも、そもそもBPM(テンポ)すらわからない…!!!


ええい、もう成るように成れ!


私は一か八か、当たり障りが無さそうなテンポに決め、スティックで4カウントを入れた。


そしてエイトビートと共に全体の演奏が始まる。


その瞬間に気付いた。



あぁ!この曲か!


言わずと知れたアメリカのロックバンド
「ボン・ジョヴィ」の名曲だ。



そしたまた次の瞬間、思う。



『早えーよ!』



ベース、ギター、キーボードが一斉に私の方を向いて笑う。



「早えーよっ!!!」

だが、時すでに遅し。
一度決めたテンポは上げるのはともかく、下げる事は基本的に出来ない。
物凄くカッコ悪くなるからだ。


おそらく泣き笑い顔の私はメンバーの一人ひとりにアイコンタクトを交わし、謝る。

メンバーは

「いいよいいよ♪気にするな♪」

と、即興で合わせてくれる。





無我夢中の演奏

一瞬だった

客席の反応は全く覚えていない





何とか演奏を終え、会場全体とメンバー全員に感謝の合掌で気持ちを伝え、ステージを下りた。

そしてチャンスをくれたオオヒラ君に改めて御礼を伝えた。





夢の様だった



2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。