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遠い記憶の答えを探して

2024/5/28




28年前

何度か手紙のやり取りをした人がいました





私が日本でBarを始めてまだ間もない頃、仕事でお世話になった人がいた。
その女性とは何度か打ち合わせをしたが、結局企画は頓挫してしまい、その後は会わず終い…。

ともならず、やはり縁とは不思議なもので、日本を出国する直前に札幌で再会し、彼女の思い出を聞かせてもらった。




今回
私がイタリアを訪問した目的

それは彼女の遠い記憶を辿ることだった

早朝5:00起床

まだ薄暗いボローニャを出発



それはグロッセートという
トスカーナ州南部の小さな街です



フィレンツェで乗り継ぎ
ピサ中央駅を経由
斜塔はスルー



車窓からティレニア海を眺め


13:10
到着




名前はマッシモさん




この日本食レストランの看板が
街の至る所に

こんな田舎でも日本が知られて嬉しい





住所はわかります




グロッセートほぼ唯一の名所
ドゥオモと呼ばれる教会




ですが

今もそこに住んでいるかはわかりません











彼女から頂いた住所の付近まで来たが、あと一歩のところで道がわからず、近隣の住民に尋ねた。

「私の友達が28年前、この近くに住むマッシモという方と手紙のやり取りをしていたんですが、音信不通になってしまいました」

「なので私は、そのマッシモさんを探しにイタリアのグロッセートまで来ました」



「その住所まで連れてってあげるから、乗って♪」



車で送ってくれた親切な女性のおかげで
ついに私は目的の住所まで辿り着き

そこで一通の郵便物を見かけた






無造作に放り投げられた塀の上の書類
相当な時間が経っているのか
クタクタになっている

宛先は教えて頂いた住所と同じだ





しかし

宛名は別人だった




私はその家まで行ってみたが、生憎の留守。
しかし生活感はある。
車にバイク、手入れされた庭。
子供の遊び道具。

しばらく待ってみても、誰も来ない。

帰りの列車時刻が迫ってきた
『そろそろ戻らなければ…』




私は”遠い記憶の答え”を見つけたが

納得できないまま駅へ戻ることにした



お世話になった彼女への恩返し
それが出来たかと言われるとわからない

そのうえで申し訳ないのだが

素朴なグロッセートの街並み
可能性を求めて知らない街へと向かうワクワク感

含みを持たせたまま終わった結果
爽やかで切ない青い空

それは私にとって
かけがえのない思い出となった


帰り道
堪らずビールを購入

美味かったなぁ


2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。