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俳句

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2021年4月の記事一覧

俳句 蔓

「夏近しフェンスにからむ蔓ほどく」

冬に手を抜いていた、庭周りを片付けて

います。古い鉄線の蔓も、伸び放題でした。

大胆に枝をすいて、スッキリしました。

もう下からは新芽が出ています。

この紫の花が風に揺れる姿を、思い浮かべています。

けりのかも子

社中の人々と共に、俳句の勉強を

しています。すると予想通り「けりの

かも子」が続出!

俳句の語尾に「けり・かも」を付けてしまう

人々の事です。この言葉は一見安定した

様に思われます。しかし逆に、古臭い

感じも伴います。

もう一つの問題は、二重季語です。

どうも知らずに言葉を、重ねてしまう様です。

季語はクセモノですが、これを学ぶと「茶杓の

銘」にも役立ちます。

俳句 流刑

俳句 流刑

「春の星 配所の帝 未だ若く」

大きな騒乱の後、帝は自ら願って配所に

赴かれました。

父君や兄君の身を案じて、心はとても

安らかでは居られません。数少ない近習達は、

お若い帝がここで過ごす日々を思います。

帝も配所でお仕えする者達にも、春の星は

さぞかし潤んで見えた事でしょう。

俳句 四月

俳句 四月

「新しき 本のカバーの 四月かな」

山手線、真向かいの席の学生が本を

開いています。教科書でしょうか?

モダンな柄のカバーが、目に飛び込んで

来ました。四月ならではの光景と、

微笑ましく思いました。

俳句 春色

俳句 春色

「ネクタイの 色を迷いて 春惜しむ」

こぼれる光・柔らかな風・それらに包まれる

幸せを感じながらの外出です。

こんな春に負けないネクタイを締めよう!と

思い立ちました。数本を手に取りましたが、

ストライプ・プリント・小紋柄・花柄と

大いに迷いました。

花々に負けないとの考えを捨てて、敢えて

渋い色目柄行にしましょう!

俳句 待つ

「人を待つ 待たれるも良し 春の宵」

駅前の広場、壁にもたれて誰かを待つ人。

改札口からその人めがけて、駆け出す人。

どちらも見ていて、うらやましく・微笑ましく

思いました。

例え恋人同士で無くとも、友人・家族でも

待つ・待たせる人が居るのは幸せです。

時計を見つめ、人待ち顔の不安な人。

電車の扉の前で、少し慌てる人。

どちらの若者の顔も、輝いているのです。

俳句 海外詠

「月おぼろゴンドラ二つ並び行く」

日本から来た友人達と、ベニスへ。

好きでないゴンドラも、彼らに付き合い

乗りました。レストランへ向かう為です。

ゴンドリエ{漕ぎ手}の唄う、しらける

ナポリ民謡にも我慢ガマン!

満月に近い月がぼんやり見えて、雰囲気は

満点です。私は歌声より角を曲がる時の

独特の掛け声の方が、趣が有って好きです。

あと少しで、もう一つ橋をくぐると目的の

広場に着

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俳句 茶室で

俳句 茶室で

「弟子たちの膝線まばら長閑なる」

八畳間で稽古していました。

ふと見ると、並んで座る弟子たちの

膝頭がバラバラでした。

注意しようかと思いましたが、これも

良い雰囲気と思い直しました。

「ほら挨拶の角度深過ぎ!そこはもう少し

軽くね」言葉を掛け乍ら、春の一時を

自分も楽しんでいると感じました。

俳句 仏像

「春深く普賢文殊もほほえみて」

ご本尊様の脇侍は、普賢・文殊の

両菩薩でした。文殊の乗る獅子は

ユーモラスな顔。普賢の白い象は

目が笑っている様・・・

対するご本尊の釈迦如来は、おごそかな

表情です。しかし両菩薩は、優しく

我々を導て下さる様でした。

俳句 大寺にて

「高僧にかざす朱傘よ春の雲」

本堂に参拝しようとすると、参道に

人が溢れて居ます。聞けば御座主様が

お出ましとか。

我々もお待ちしていると、若衆が大きな

傘をかざした列がやって来ました。

鮮やかな朱色の傘に負けない、見事な

衣をお召しです。膝まづいた信者の額に、

数珠を押し当てて一行は去って行きました。