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2023年のうた 第四期 秋・冬

2023年のうた

第四期 秋・冬

代々木の地下のミラーボールとスモークマシン「ラヴザライフユーリヴ」

シベリウス交響曲の四番が吹き抜けてったあとの静寂

自由民主の名のもとに塗り潰されて忌避された未来をおもう

これやこのさびしさこそはせつなけれそれともしらずながるる涙

雨の降る窓の外から午後四時になる帰りのチャイムあきはきぬ

銅鑼の音が宵と夜更けと明け方の情緒にあわせ響きをかえる

星はおとろえ惑星は落下する計画のない希望と痛み

目も口も人より多いはずなのに葉におおわれてじんちくむがい

北西の風がようやく秋らしくひんやりと吹く十月二日

秋風と秋の日ざしと秋花粉しめきったまま送風機前

こわいくらいに静まってかすかになにか物音がきこえてるだけ

目がさめて慌てて時計たしかめるまだ三〇分も経ってない

もし誰かわたしのうたを詠む人がいればわたしは詠まないだろう

もし誰かわたしのうたをよむ人がいればわたしはまたよむだろう

ストリートいのちからがらかけてゆくなにひとつのこさずサボタージュ

愚かしき時代をいきた愚かものらがイディオットワルツをおどる

秋風が吹けばなんでもうたになる大仏の屁も猿飼う店も

なぜかしらグールドの弾くピアノソナタがみにしみる秋だからかな

薄着だと毛布かけても寒くって寝つけなくなるああ秋はきぬ

気分的体感としては天地はじめてさむしな十月三日

秋晴れと軒さきのかげつつつつとなくしじゅうから十月三日

神さまが人間になり象徴化して有耶無耶になったみたいに

べつべつのふたつのながれくりかえすつかずはなれずらせんをえがき

ランナーとアンサンブルとオーケストラのための音楽ビバライヒ

真夜中のさめざめとふる雨のおとこころむなしく目をとじてきく

そのへんの長袖ひとつ手にとって着て二度寝する秋雨のあさ

このままじゃ風邪ひきそうでフリースを思わず着込む十月五日

また少し秋がふかまりまた少し水道水がぬるくかんじる

屋根のうえからす鳴くなり秋の雨やんでいるよでまたふりそうな

屋根のうえアンテナでなく声がするアオゲラかしらどこかわびしげ

春ならば二〇度近い気温ありゃあったけえって思うもんだぜ

天国の甘い香りと甘い音ひかりうむかげくすんだ地獄

天上の音が降る今宵も飢えて痛みと傷にみちた地上に

透明なダイヤモンドの朝露をあたまにのせている朧月

稍寒の秋はすっかりどんよりと冬のはじめを思わすくらさ

あのときもちょうどお昼に津波注意報の映像を見てたっけ

秋空と日ざしにひかるひつじ雲まいとんでゆくからすが一羽

猛暑から残暑のころはアンダンテ秋になったらプレスティシモで

チックコリアとアマデウス天衣無縫の即興ピアノコンチェルト

現実が最も暗い夜になる目的もなく荒野に生きる

秋晴れのポートエリザベス吹き消すことのできぬ火を風がはこぶ

薄暗いビルのトイレを掃除する在りし日はまた遠くなりゆく

誘い水そこのそこまで透明なぎんいろの鈴きんいろの風

鉛の色の岩山と氷と水とシートのしたのしかばねと

秋の朝ひくくさしこむ日のひかりひよどりとまる細い木の枝

声にだし事実を述べているだけで咎められたり落ち着かされる

夏ならば下着に穴があいてても涼しくていいやと思えたが

エラナベバ潮は流れる流れのままにもはやとどまることはない

ユーグンは山を動かす今夜は寝ないすべてうそエゴをやしなう

よじれてまがるのばす腕くろくしなびたやけた骨かたまった肉

一状態に固定して他の対立に移らぬものは死物なり

天王寺の金堂に向かって左に三本目の松の根もと

秋の風ふくころにまたかけ廻るわが泣く声は塚をうごかす

すきかえしおとした紙の江戸の毛と往来物の香りのアロマ

秋の夜の暗くにごった空をどんどどんどどんとふるわす響き

馬のすに仏性ありや秋の風ぬいたら馬が痛がるんだよ

ばたばたと簾はためく秋の風まいてしまってしまおうかしら

少し前まで朝から気温三〇度だったのにいまは一五度

真夏からなだれておちるかのように秋は深まり寒露となりぬ

分断の楔があまた打ちこまれあした地球はこなごなになる

畦のみち運動会おえ児がむれる小さきむねにみなメダルさげ

初雁のわたりくるころ笛太鼓ゆめなつかしき城址のほとり

世界地図ひっくり返してしまうまで終わりはこない諍いばかり

エレファントマンのポスターの目も君たちはどう生きるかとただしてた

ジャレットがみずみずしくもなめらかに弾くヴュルテンベルクソナタ集

毛布二枚にくるまっていっぱい着込み小さくなって横になる

秋の雨おそらくきっと範頼の墓もつめたく濡れているはず

秋の雨ごとごとごとと木の橋の昔の馬の蹄の音よ

秋の雨からだ冷やすな風邪ひくな掛け布団まだ圧縮袋

ピケットの投げ込むパスがするすると抜け出すピケンズの手の中に

もうやむのかな雨雲のレーダーをみるフリッジのハピネスをきく

やわらかくぶよぶよの御覧なさいなわたしの目はただのホログラム

円形の中の円形ときがきてせんとうらせんたちあがる石

田の神が山へ帰って行くような長く尾をひくジェット機の音

二本目は何ともいやな後味が残る夢見てどんより起きる

秋晴れや雨のあらいし松の幹しらくも空をなよびながれる

しわしわになってしまっているとこに空気とりこみ再起動する

つめたい風が吹いてきてざばっと降ってすぐにやむ十月十日

一歩ずつ山に登って転げ落つランドオブレイプアンドハニー

容赦なく暴き立ててく片っ端からなかったことになる前に

もうすでにくたびれきっているものであらがえませぬあいされんだー

キョンキョン(喬太郎ではない方の)とクイズ対決する夢を見た

ちらちらと雨戸あけると目の前を赤とんぼ飛ぶ秋らしき朝

ながきこと怯懦のうちに忘れたるあだなることにかかわりあいて

悄気ていて縮こまってて硬化するそれにあわせて心もよわる

壁掛けの時計の針の秒ごとに動くリズムとものおとの海

ネオコンとネオリベラルにひたはしり行き着く先はいつかきた道

かしましくひよどりの啼くひるどきに布団ほしたる秋日和かな

切り干しの大根つるすなぎなたにとまり二つになる蜻蛉かな

武士なのに変わった雲をスマホ取り出し撮ろうとしてる夢を見た

木曽殿と背中あわせる秋の夜に風が吹きぬけてく桃青忌

窓あけて掃除機かける音がする秋晴れの日なれども時雨忌

かけめぐる枯野がそこの縁の下まできているゆめをみる病

鼻の奥いたみ感じてくるほどに金木犀がどこもかしこも

秋の日の午後の日なたにびんずいのせわしなさげに啼く声がする

ひとりぼっちはすぐとなり腕をまわして反対側に手で触れる

どこかでほととぎすの鳴くこえがするなんかむしてる寒露の乙夜

流れおち停止しようとする世界ラジオのノイズ降りつづく雨

索引で番号調べ頁繰りいったりきたりきたりいったり

ひこにゃんを見つけてテンションマックスな門脇さんの街道をゆく

にぎやかに鳴き交わしてたひよどりもしずかになって秋の夕暮れ

山車のある町内の子だけ早退きでぼくらは午後も居残っていた

水のあと負けて倒れし菊の花また起きあがりほのかにかおる

奥ふかく乾いた土のしたに隠れてミサイルをつくる工場

壁とフェンスのあちらとこちらどんなものでも裏返しにして読む

渡り鳥またきた道を戻ってくすぎさる時間おいかけるよに

悪い夢みているような毎日がなんど起きてもさめずにつづく

水色のあかるい空の秋の日にふわっと浮かぶ広告気球

空のあお一夜むなしく涙にうるむ秋の日にわれ無一物

回廊とジェノサイドとをセットにし生きるも死ぬもシステマティック

赤間川ひとつ渡っただけでもうにぎわいもなく喧噪のそと

まだ青い未来にひとり佇んで砕けたラジオ波をおくります

誰からも見えないものを振りかえる遠くのひかりフェイタルフロウ

表面の事実ではなく根底に深く潜む不変の本体

秋雨や濡れた地面に落ちる音うすいがどぶを流れてく音

秋の雨すこし雨足よわくなりかえる啼く十月一五日

雨上がり物干し竿で羽根休め水のしずくをすする赤とんぼ

夜もすがらさんざん降って昼すぎに日がさしてくる秋祭りの日

月曜の道路に白く轍だけ残してすべて消えている朝

答えはずっと隠されたままであり知る方法はないことを知る

たくさんの涙もたったひとことで洗い流せてしまえるのなら

あれやこれ理由をつけて通す無理マゾヒスティックに引っ込む道理

秋の空しろくかすんだうすい青どこかで誰かマイクでしゃべる

ひよどりの鳴く声がする遠くではマツケンサンバが鳴っている秋

お値段は据え置きなれど内容量は八グラム減のクッキー

いつだってたいわたいわといいながらちっともたいわしようとしない

天才・秀才・バカをワニの豆本で読みてるてるワイドで聞く

仇をなし復讐に復讐をする腐敗した地の塩の聖域

自律する人間である意味のないただの数字の羅列ではない

ふかくさびしい谷間にかかる電線がひねもす風に鳴っている

升ひとつ分別かわることもある秋空わたる飛行機のおと

運動会の練習なのかわあわあと一斉にあがるかけ声

おかしさをおかしがれずにいることをおかしくおもう令和の秋に

秋風やいやな感じに痛むけど仏にちかい年とおもえば

秋風にかたりかたりと鳴る雨戸ガザはまだ明るいお昼過ぎ

鏡と鏡のはざまでひとり無限に反射する像にかこまれ

揺らぎからずれが生じて散らばった揺れがばらけてまた揺れ集く

屑屋さんもし明日きて死んでたら毛氈をかけといてくれ馬

めっきりさむくなった朝かわらぬ調子でないてる雉鳩のこえ

薄くぺらぺら中には何も詰まっていない人間は愚かなり

きなくさい不安にみちてゆく世界さんぜんとなるグバイドゥーリナ

のってるぜ銀のロケットもう止まらないポケットの中の焦げ穴

直角に冬のはしりが夏日までずどんと上がりがくっと落ちる

アルファベットを並べ替え立て直す可能性の海の外側で

わたしは自分に嘘をつくだろうわたしは自分を信じてみます

お布団にもぐりぬくぬく丸まって目の前にある本に手が出ず

手っ取り早く終わらせて済ますだけ天井のない解剖室で

沸騰化してる最中の秋だから蛙もなくし蚊もとんでいる

トムトムといえば八四であり七三はこおろぎである

草叢にわらわらといた蟋蟀も今では声も姿もみえぬ

蟋蟀が鳴いていようが鳴くまいが秋は秋だと漱石はいう

銃口を頭にむけて横たわる地獄の戸口なみだながして

砂浜で空を見上げる手にした銃で死んでいた見知らぬわたし

見上げればただ秋空と秋の雲いつしか長袖に長ズボン

秋なのに晝間はあつく長いのなんて着てられぬ一〇月二〇日

店先に小さな鉢のシクラメンいまだ陽気は夏日なれども

なまあたたかい南風しろくさえざえ五日月くろい蝙蝠

確かに変化はチャンスでチャンスは力かもだけど屁理屈くさい

テレビの中から奴隷が消えて画面には何にも映らなくなる

毒を含んだ炎があがる血の中で消滅が成長をする

起源の壁を突き抜けて大いなる零化の口に真っ直ぐ落ちる

突然に閉じてたドアが開きだし見るべきものが目に見えてくる

つめたい風にひらひらと垣根のばらの葉が揺れる一〇月の朝

秋曇り運動会の歓声がぼんやりとおくかすかにとどく

遠く聞こえる運動会のどこか遠くの世界のような遠さ

「神様を信じてますか」「無宗教です」「信じるか信じないかで」

ずうっと下の下のほう埋もれかけてたベルクソン引っ張りだして

誰が鈴緒を引っ張って誰があの丘の上の鐘を鳴らすのか

お墓の中で釣りをしているハムレット友達がひとりもいない

日本橋は馬喰町の刈豆屋を貝なめ屋と聞きまちがえる

中也忌に月夜の晩に落ちていたボタンを拾う詩を読んでいる

月の光が照る夜に隅の草むら芝生の上に見えるもの

艶は消え色おとなしくぜいぜいと鳴るひび割れた過ぎ去りしもの

一瞬でぽっと消えうる実体のないものゆえに執着をする

雲のないひんやりとした風の吹く秋宵のそら上弦の月

うすまる気力よごれた心またあすもあすを待ついつものように

ながくすずしい夜だった孔雀はふるえボートはくだる銀の河

渋谷パルコに同級生の女子とピンクフラミンゴを観に行った

格安のかつ重もとめ今日もくるデフレうれしや銀座の柳

買えてうれしや格安のかつ重まねくまねく令和の人通り

晴天の青空に白い煙と爆発音がむわりと上がる

限りなく透明になる善悪の彼岸にぷかり力への意志

存在は耐えられぬほど軽くなり不確かなほど快楽はます

ごわつく手かさつく肌と精神になんかぬりたいもう秋だから

タッチしてソフトにとても柔らかく氷のようにとても冷たく

玉座を燃やし王を消す世界にどう歌うのかを教えて終わる

壊れた夢の破片を元に戻そうと無駄に時間を費やした

経済と三度唱えている間にも言葉の意味が摩滅してゆく

真夏日だ猛暑日だとかいっていた翌月はもうひと桁台に

秋深し中禅寺湖からいろは坂いろづく葉おい降りてくる霜

これはもう世界の終わりの後ですよまだそれに気づいてないとは

やはり純粋経験を読む前に実在をまず読んでおくべき

ゆったり座り吸って吐く目を閉じるあらゆる音が耳をつんざく

ゆっくり座り呼吸する耳にきこえるすべての音がすばらしい

囀りてきぃいきぃいと鳴きかわす秋空くもり刻うつりけり

よく喋る四十雀らの賑わいもほんのひととき戻るしずけさ

曇天の秋の終わりの日暮れどきいまだ蛙の鳴き声がする

異端児はいまもイタンでいるかしら砂漠のなかで火を見る眸

異端児はみなイタンでいると蟹がいう一千と一秒の夜

異端の人が悼まれる秋のよる神なき月に雨ぞそぼ降る

どれほどにわたしがそこにあつまってわたしたちだといったとしても

隔てるドアはリラの色ひかる何かでできてるみたいだがしかし

今日の日の魂に合うきれくずを探したくなる夢見の悪さ

秋晴れの底ぬけばれの青さかなぐるぐるまわりまわる惑星

出来上がるそばから中の不調和が活性化してサボタージュする

あふれでるゆたかさこそが美しい美は過剰なり過剰こそ美

溢れ出す過剰をむげに打ち毀し呪われた部分をかがやかす

ちっとも進んでないけれどまた何もすることがないひとつ戻る

片側がもがいていてももう片方はゆるんでる大きな車輪

回りつづける車輪のうえ傷ついてまた癒される蝶の羽根

かなしみをかなしむこともかなしくてその果てしなさこそぞかなしい

またいつかどこかの世界の片隅でばったり会ったりするのかも

ひとりなくひよひよひよに遠くでだれか返す歌さもあればあれ

壁紙ののんきな模様ながめつつテーブルのした両脚のばす

なるたけワイルドサイドを歩け何もすることがないひとつ戻る

降りそそぎ渦巻いているルーイング最後のとどめロックンロール

海がきた海辺に波が打ち寄せる水でできてるわたしの岸辺

ジョンケールモーリンタッカースターリングモリソンルーリードとニコ

晩秋の朝はやく暗いうちから遠く近くで雷のおと

沸騰化している星の極端に晴れて荒れてのどたばたな秋

秋空に大きいやつほど小っちゃくて小っちゃいやつほど大きく見える

マッソンの描く無頭の人ならぬ人のかたちの人の絵姿

読み返し付箋のついた箇所にきて何のしるしか思い出せない

あかあかと朱色にもえる大文字焼きゆめのむくろの捨扇

おどるぬいぐるみの足跡をたどり魔法にかかるスペルバウンド

ハンターの月のあかりの照らすした狼たちの祝祭の夜

さむおすなどんよりとした秋曇りもどっていって季節はすすむ

じくじくとほぼ横ばいでだんだんと緩い弧を描いて落ちてゆく

ひよどりのうたいの邪魔をせぬようにそっと雨戸をあけたが逃げた

今はずいぶん損なわれわずかにのこる真っ黒な武蔵野の夜

幽霊にだまされたとてかまわない褒美ほしさに親切するな

こともなく漂白されてゆくあれもこれもみな見えなくされてゆく

なにもかも今のうちだけいつまでもあるのはどうせつまらないもの

あたたかい風は吹く川は流れる草木は育つそれでもここで

沈黙の仮面をつけて記憶を経帷子のように身にまとう

自由と正義のインフレが自由と正義を踏みつぶし破壊する

プロペラのある飛行機がジェット機が秋空を飛ぶ空気の微動

秋深く日はよわよわと差しこんで空気にまざる冷たい響き

秋深く日はよわよわと射しこんで裸足のままのつまさきのさき

花ひとつなき野に鴫のこえもなく一夜一夜に秋は深まる

薄暗い戒厳令の町を見る悪魔祓いは破滅のきざし

こよいこがれて西東せかいの東ゆきにとざされ星の北

降ってくるあの流れ星つかまえる地面に落ちてこわれるまえに

燃えさかるすべての火は火なにもかも記憶して火はまた燃えさかる

水のない乾いた場所を今夜また忘れえぬ焔が焼き尽くす

色がぬけ軽みをました梅もみじ風にさそわれ舞い散る間際

老木のあおみが抜けた梅紅葉ぐるり季節がまたひとめぐり

ひっそりとなにもかたらぬ梅紅葉ふるびてさびる一〇月晦日

ゆうがたのうっすらすぐにくらくなる空気の色がしみこんだ声

未来と過去の隙間にて運命の波とたたかう帆のないボート

わびしくも荒れ果てた丘ここがわたしを人間にしてくれるのか

首もとが寒そうだって言ってたの今ごろになりやっと実感

霜月の布団のなかででるおならなんとはなしに純粋持続

圏外の異質な言葉で書きつけて丸善の棚に忍ばせる

秋深し晝の二時にはもう日かげ暮れゆくとしの霜月師走

もやもやとしてる心をハメリンがバッハでさっと浄めていった

いまわしき世界すべてに火を放つ涙はぐるりめぐり流るる

遅くなる動けば動くほど逆に飛び込めばまた戻る重力

太陽が太陽を上回るとき神は天から揺り落とされる

憐れみたまえ久しき不運いつの日か智慧の木のした安らがん

遠くからかすかに耳に届く音すごく不安にさせられる音

霜月の秋の終わりの夏日の午后にいまだケエルが啼いている

いまいちど言葉にのって歓待についてもいちどかんがえてみる

明らかに火がついている真空の中で起こったことじゃないから

順番が重要ならば現実をよく見てちゃんと検討すべき

列をなし掩蔽壕の底に隠れて夜が明けるまで朝を待つ

海の端まで漂って鳩の気配がしたようなぐるぐる回る

不可思議なアジアの街の千両蜜柑ジャンヌマリーが夢に見る

秋の空ななめの屋根の影のはてブロック塀のうえの雉鳩

雨の降る気配はあらぬ秋のそら今日もかえるは啼いているけど

夏日にてエアコンつける文化の日あさのひえとの寒暖の差

言葉でコメントぐらいはできるけどそれで説明つくものじゃない

つねにひねもす考えをなしているしかれどなにも考えてない

ジャックデリダに恋をしてあなたのネイションステイトを食べたいです

救済を支えるはずのものたちがこの窮乏を引き起こしてる

晴れているけど湿度一〇〇%霜月なれど寝汗かく朝

穴にこもるほど霜月らしくなく秋のかわずが今日も啼いてる

三味線でふるさと弾いているの聴きこらえきれずに涙している

ほらこれがぼくの骨だよそれを見ているぼくもぼく可笑しなことだ

中間の潜在性としての内在ひとつの生ひとつの傷

欲望しのぞむ象徴的な死の願いかなえる完璧な罠

克服も抑制されることもない数の眠りの後のライオン

人目をぬすみ鵞鳥とともに屋根にでる金色のソーダのこころ

わたしなぜここいるのねえ日本人だれにきいてもだれもしらない

これまでに発言の機会すら与えられてこなかった人にきけ

晩秋のうすらさむさの曇り空なにか悪態ついてる鴉

よく通る声でイントロつけてから百ある舌で鵙が高鳴く

引っ張って出来る限りに引っ張っていたのをそっと放して戻す

いつだって核心らしきことのはをとるにたらないはなしにまぜて

街角にスプレー缶で文字が書かれる見よ聞けよ壁に向かって

書きつけた言葉が渦を巻くように翼をひろげ風にころがる

さっきまでいくつも白い飛行機雲が見えたのに今はもうない

のんびりしてるやつはごおいそいでるやつはぴゅうっと秋空をとぶ

新しいのも古いのももうここからじゃ遠すぎて手が届かない

南から風が吹いてるいちまい脱いでにまい脱ぎ半袖になる

風がふく蒸しあつい午後くもる空とおい雷インディアンサマー

薄曇すこしつよめのみなみかぜ時を告げる鐘の音をはこぶ

もうすでに手遅れだから逃げられぬ終わらないゲームを終わらせる

その昔ファットシティがあった場所ひどく冷たい風が吹いてる

ちょっとした窓の隙間をすり抜けてひゅうひゅう風がしのびいる

本当はわかってましたあしたなどありはしないとずっと前から

大風の夜どこでどうしていたのやら百舌が鳴く小雨降る朝

久保勘の軒の雨垂れ秋の雨ひるまも灯をともし子守唄

雲間からあかりもさして秋の雨やんで午後には夏日の日和

日が暮れて灯油を売りにくる声が向こうの路地をバックしている

何回も何かが落ちた何回も何かが落ちた見えなくなった

道に迷って迷いすぎてしまってもうきっと見つかることもない

立春のころがいちばん冬だから秋のさかりも立冬のころ

冬立つや立たずや秋はどこへやらきのう夏日でたちまち冬に

冬きたり石鹸箱はかたことと境界のみち大原女がゆく

冬に入り干してはもんでもんで干し渋き心ももんでは干して

国あげてたたかう冬に入りにけりデフレ脱却カカク高騰

ついてきてついてこないでつかまえてつかまえないでいそいでもどれ

われわれはあまりに速く行き着いた感覚がもう麻痺をしている

狂って狂って狂った時代の狂って狂って狂った世界

冬来たり大さわぎする烏かな案山子をわらう秋をさがして

日だまりのアスファルトのうえ鶺鴒がいとにぎわしく歌垣してる

如何にして存在するか何のため存在するか実在を問う

すべての場合においてすべてが語られるわけではないということ

わたしにはわたしが何を希望することが許されているのだろう

きりつめてまだきりつめてわたしを置いたままにして後をついてく

冬なのにサマーソングを口ずさむつかみそこねた落ち葉の色の

迷いこみわたしがわたし見うしなうわれをわすれるほどの悲しみ

ぼんやりと終わりが見えてきたようなこすれた疵が痒みにかわる

聞きたまえこの物語も数々のおれの狂気のひとつなのだ

マルセイユコンセプシオン病院にてキリスト教徒として死去す

消えましよ手引きもなしにかの雲の消えるあたりにわれ息絶えん

ちからなくうごきだしたる髭剃りに冬のおとずれ顔で感ずる

いろいろのことのある世の冬の雨ふればふったでたちまち寒い

引きさかれ消えゆく光もう一度それを見つける心のなかで

この場所によそものたちも集うときそこに新しい日が生まれる

一々の動作を意識するうちは真に生きた芸術ではない

風が吹く見えないものが次々と走り抜けてく追いかけてゆく

考えることといったら大抵は欲を満たしてゆくことばかり

つつぴんと言い捨て去っていったよな気がしていたがまたぴちゅぴちゅと

眠らずに回りつづける惑星の寝たり起きたりしてる動物

日が照ってまた翳りゆくすべてまた浮いて沈んでかわるがわるに

太陽をもうひとまわりしておいで信じるために飛び込むために

贖罪の山羊はおちゆくのぼるため黙って前にすすみゆきつつ

指先もつめたくひえる寒さかなお湯を注いで粉末スープ

スレートの屋根はげちゃびる寒さかな暖房するかしないか迷う

痩せ我慢して耐え凌ぐ寒さかないくいくたびもすわり直して

曇天の陰気な冬の寒さかなもうまごついて気ばかりあせる

霜月の曇った寒い日の葉しげみで蜘蛛がまぶたに糸をはる

しずしずと沈んで浮いて座布団へ鼻につくでしょ御免なさいね

もう一度わたしをすくう雨が降るみにくい罪をあらいながして

白い馬のっちゃならねえのるんなら白いポニーにもしのるんなら

カラカネの歌をうたって旅人が何人ここを通っただろう

よわよわと薄日がさしてくる窓と風に吹かれて唸ってる窓

ふんわりと冬の日ざしのなかを舞うほこりのようなわたげのような

よく晴れて北から風が吹いていて乾燥してて懐かしい冬

凩が吹いてる窓の向かいでは鶺鴒の啼く声がしている

かなりもう草臥れてきているけれどまだ探してる金のハートを

なんであれかまわぬものであるのなら貴重な時間むだにせずとも

見ていると周りが沈み込んでゆく愚か者らの金の重みで

強ばって雁字搦めに締めつけるぎゅっと鼓動をとめるくらいに

人間が人間臭さ消し去っていい匂いになろうとしている

ざわざわと何かがさわぐ破滅の道をあゆみだす一歩手前で

素寒貧はやる気持ちを抑えつつ抑えきれずにもう前のめり

勘三郎のやっぱり役者サイン入りまだあったけどまた買わず

街中はどこもかしこも工事の音で見知らぬ街になる途中

この夕べ我が双眸は開きたり二度とわたしは眠りはしない

容赦なく情けもかけず打ち砕く知らんけど今回はそうなる

陳列の棚に並んだお手頃なものになりたいなれるものなら

霜月の老いたる梅の木に残るところどころが黄ばみ茶ばむ葉

七五三お氷川さまの社殿わき身動ぎもせず立ってる宮司

七五三おまいりをする善光寺けむ重のたまう寺社仏閣

うっすらと白灰色の雲をすかして日もさしてひよどりも鳴く

徒に芽も葉も枝も根もみんな枯らしてしまうてこへんなこと

影絵でみせる死のしばい真実をみつけた隅に窓のある部屋

街のさかいを通り抜け角を曲がると預言者が横たわってた

いつもより何とはなしに暗い夜かなしい冬がよけいに寒い

寒い朝なんの気配もない部屋で目を閉じて聞く耳をすまして

そろそろとまたもぐりこむ布団のなかへ外じゃ烏が鳴いている

浅草向柳原あんつるが一一五年前ご生誕

ぱらぱらと頁めくればあんつると万太郎とが並んだ写真

家元の練馬の家の本棚にちょこんと並ぶあんつるの本

我れ信ずなれども天はもうすでに我れを信ぜず見放している

壁はない空白は閉ず深々とつんつるてんに滑る結び目

いきなりぐっと暑くなりいきなりぐっと寒くなる粗忽ものめが

武蔵野を横切ってゆく冬の雨ふってはやんでまたふってやむ

古溝やじゃらりじゃらりと冬の雨じゃらつきだして身請けの相談

ふりしきる雨となりけり梅紅葉ひるすぎにやむ予報なれども

重ね着をそのまま脱いで帰宅して重ねたままでまた着込む

西方の明るいはれま厭離穢土欣求浄土の大粒のあめ

畏れを感じ大声で叫んでいても誰ひとり聞くものはない

順番に言葉がふわり雲になり漂っている気にもされずに

知覚の束がばらばらに散けていってあとかたもなく消えてゆく

あっちからこっちに移りこっちからそっちへ戻る意識の流れ

がちゃがちゃと外れた網戸なおす朝くろく汚れた親指のはら

寒さにちぢむ人の背とにょきにょきのびるシクラメンの花の莟

これやこの冬の北風斬りそうな鋭くひかる四日目の月

ラジオでは浪華城焼討をやりテレビでは目白をぶらり蕉雨園わき

運命の風が吹くこの地に立ちて我が名の下に破滅を告げる

いまもまだどこかにいると空を見るそのいちめんがかなでる和音

決着をつけると決めたその日のうちに星へと向かう汽車に乗る

世界トイレの日と森崎東の誕生日は偶然おなじ日

かにかくに俳句短歌が寝るときも枕のしたにこんこんと湧く

鼻をかむ紙にちょろっと血の色がつめたくかわく霜月のあさ

冬がくる嗤うことさえよしてもいいと思うころ冬がくるのさ

権太楼の幽霊蕎麦からんころ成仏できず今なんどきだ

復讐の天使が燃える橋の炎をさらに激しくかき立てる

星を越え雪の中をも通り抜け知恵をめぐらし威虎山のうえ

カーテンのレースのすき間とおり抜け冬の日ざしが座布団のうえ

冬晴れのこの明るさに影をさすもやもやとするもやもやのもや

小窓の中からぼんやりとスクランブル交差点ながめてたころ

丁にはり負けに負けても足を出さない身のうえへっつい幽霊

丁半で負けて足が出るところ足を出さないへっつい幽霊

とっくに終わってしまっていてみな夢だったような気がしてきます

星々を打ち上げきらめく空から希望が失せるほど雪が降る

いっていたいいたいことを何かいう夜の空へと飛び立つために

ぱたりぱたちょいと羽ばたきひよどりがあっちの枝へ枝から枝へ

ばら咲きのジュリアン並ぶ店先でぼんやりとただ突っ立っている

昼間着るものの調節むずかしく着てると暑く脱いだら寒い

いきてても申し訳なくなるばかりどうぞ敵にめぐりあいたい

遺言をラジオで喋る声きこゆ木魚たたいて勝手気ままに

魚屋が浜で煙草を喫むところ煙管を握る談志の手つき

手をとってわたしをそこに導いてまだ見ぬガーデンオブディライト

不足したところには窮状があり持つところには貪欲がある

親指と人さし指で引っ張るとぽろっと抜けたがじゅまるの葉

矢のように眩しくささる小雪の朝の日ざしと放射冷却

もう虹も隠れて見えぬころとなり見えているのはアレテイアのみ

斜めから隣家の屋根に削られて日ざしがかげる小雪の午後

これもみな過去のこととはなり今や美をば崇めるわざくれも知る

曇ってて月も見えない星もないくらくさみしい小雪の宵

合図している月の下さまよい語る時間ともうひとつの顔

風が吹くラダディーラダダこつじきがお金のために歌を詠んでる

ともすると抜けだしてってしまいそうだからこいつで蓋をするのさ

霜月の朝日にそまるうろこ雲そらに鉋をとばしたような

かたむけた容器をふってちょっとだけ手に取りだしてちょっとずつ冬

曇ったり晴れたり冬の朝方のストーブつけてまたけした音

一葉忌ことしは酉にあたりけりフィルター掃除して立てかけり

栃木から杢兵衛やってきて佐野源左衛門常世の墓拝む

カメレオン戦士ジプシー猛者たちのミッションオブテンダーマーシー

青く冷たい地平線うすれゆく光のきおく太陽をよべ

トレーナー脱いでもちょっとまだ暑い一一月ももう末なのに

鳴きながら羽ばたく烏すうっとわきに逸れてゆく風もないのに

小さくなった粉っぽいチョコチップクッキーつまみぼそぼそ食べる

貧しさにぐるりまわりを囲まれてじわりじわりと兵糧攻めに

出来事が到来しつつあるここにもはや地平は存在しない

制限がかかることない地平なき地平のうえに美はあらわれぬ

情熱の罪に復讐の罪だが悪のきわみは後悔の罪

飛んでゆき落ちてゆくあの雲のいろ流れていったわたしのいろの

よく晴れて風にちぎれた冬の雲どこかで足場組んでいる音

びゅうううと冷たい風がトイレの窓のすき間でうめく声がする

再考も遠いむかしになりにけり檄文よんだスタジオボイス

いまもまだこれからもまた転生だけをくりかえす無頭の三島

あの頃のキリングジョークやデスインジューンからのミシマへの流れ

インテリの敗北主義とどこかの馬の骨が言いがははと嗤う

タロットが床に散らばり運命が軋むドアの下に忍び寄る

飛んでいるそのまま降りてこない色わたしの色がみな雲になる

冬がきた冬毛の季節こらさのさ雪のかたまりみたいな兎

冬の雨だらりだらりと降りそうな灰色の雲しんみり寒い

鮮やかなあかき葉まるくこんもりと昼間もさむい曇天のした

室温が一五度下回るようになりエアコンつける風呂上がり

野をこやす骨にかたみのすすきかなたむけはむよう拾わば拾え

黄金に輝くからだ目を閉じて夢想してみる孤独な闇で

祈祷師が呪文を唱えぐるぐるとまわる頭で秘密を明かす

音楽を生き返らせるターンオン音楽に生命を吹き込んで

すべてみなすでに記憶の中にあり過去のことしか知覚できない

ほんのわずかな瞬間にありとあらゆるできごとが通りすぎてく

寒さから縮こまってた背を伸ばしもとの背丈を取りもどす朝

ぽろっと落ちたごはんつぶ拾う指先すっと避け行方くらます

浅田彰氏絶賛の帯がついてる函をとりバタイユを読む

瀬戸物が何より大事さるだんな指さすと近寄るいぬだんな

大いなる脱出を祝し栄光の炎の中でダンスは続く

終わりはいつも始まりで沈黙に額装された完璧な歌

昨日より今日あたたかしお霜月おんにむくいん南無阿弥陀仏

あたたかな冬の日なたで耳をすますとどこからか便追のこえ

暁烏敏の講話を手にとって耳かたむける如来の御声

日が暮れて風が出てきてえかく寒いこのぶんじゃ山は雪だんべ

地に落ちる影をさがして風のなか壁は無言で寒々と立つ

袋から尺八を出し中を拭き布で磨いてまたしまい込む

そよぐ髪の中の風と月の子が心の中の夢と踊って

生命が生かされ生かす生命を生きることとは生かされること

夢をみる目を開けたまま片目だけ涙をながし片頰ぬらす

冬晴れの空にごおおといつまでもうっすらひびく飛行機の音

コップの中のお茶に差しこむ日の光ゆれてうごいて影ゆらす

日当たりのよいとこにいる山茶花が一足先に咲き誇らしげ

短日やなくなってゆくものばかりあったことすら忘れはじめる

鰻屋に応挙の虎と詰られて心配無用ぎぶつですから

約束と秘密に満ちたセヴェリナの魔法の粉の舞い立つダンス

ランダムな記憶の欠片すくいとり日々のあれこれうたにしてゆく

こわいくらいに冷たい手といえば山本恵里伽かジョーイラモーン

お散歩の保育園児がにぎやかに暗渠のうえの路をゆく声

暮れてゆく霜月ももう晦日なり烏がかあで駆けだす師走

スペクタクルがスペクタクルに蔓延し透明になってゆく悪

めくるめくスペクタクルにさらされてすさみぱさつく渇いた空気

世界は誰かにデザインされていてそもそもそれが失敗してる

白くまだらに空をおおった雲の合間に見えているひとつぼし

象牙の塔に招き入れられ神聖な壁の中へと溶けてゆく

突然変異のファンクの達人と天国にいる夢を見ている

入念に言葉を択んで語るとてそのありようは語られぬまま

世に住まばきけとばかりにひとつふたつと師走の咳はつづきけり

いそがしく時計の針の動きだすあっという間の師走朔日

日もつまりのこすところはひと月で蠅もめっきり見かけぬ師走

クリスマス一色になる師走かなシャンシャン茶こし粉雪がふる

噺家みたいなふざけた居酒屋「墓地見晴亭一寸一杯」

流れの中の島にいる取り残されて海で助けを待っている

沈黙のサイン出入り口ぬけて上なる如く下もまた然り

かさついた指の先から少しずつ別の誰かになってゆく冬

あちこちでうるさく啼いていいあっている鵯の短日の晝

目玉焼き焼いてしょう油をかけて食べいまだ香りの残る日短

山茶花のいちりん咲いているをみることしも師走あかくいろどる

赤土の関東ローム層をみるブラタモリみたいな江戸散歩

近づけば不規則な点のならびが離れてみると形をなして

始まりの終わりはすでに始まりで存在はみな遊戯している

絶えずまたどんどんふえるまだずっと延々うごく生きてる証拠

あたたかく異郷の人を受け入れよ幸福なるシュトゥットガルトよ

溢れ出す始原的なる錯綜の蓄積された記憶の揺らぎ

飛びながら歩いて畦を目の前で平気で横切る白鶺鴒

底冷えの秩父の夜の炬燵から引き剥がされて見にゆく祭り

神々の対話が音に変化して降りそそぐよなグルダとコリア

雨音はショパンの調べ東大寺みみそばだててきく盧舎那仏

いくつもの丘を乗り越え遥か遠くへ楽園のような場所まで

殺し合い戦争をするけだものよそのコスチューム脱いで歌えよ

冬晴れのプールサイドの椅子に寝そべる壁の向こうのテロリスト

黄色くなった梅の木の葉がじっと朝の寒さを耐え忍んでる

小雪や花橘もむかしかな老梅の葉の色もうつろう

手に取ってカゴの中味を清算し袋に詰める暴力行為

拳で打ち据えられてもしたたかにいつになってもいやでござんす

虎だとて猫にかかれば金魚鉢ひっくり返し濡れ鼠かな

剥き出しの野蛮がわめき忘我して円を描いてくるくる回る

露骨な世界の露骨な暮らし刻一刻と骨に近づく

かちこちに凍りついてる足のさき布団に入れてもまだ溶けない

神々の機嫌そこねる過ちをあえて冒さん死者を悼んで

じんじんと骨身に響く寒さかなシュトックハウゼンの電子音

ヴォルフガングアマデウスモーツァルト呪われし祝福された者

寒々と曇る窓辺の灰色の仄かな明かりとモオツァルト

モオツァルトのかなしさは疾走をする涙もそれに追いつかぬ

祈りのことば手つかずの無垢なる花にくちづける真夜中の蛇

もし見つけたら急上昇しブーミングズーミング青から黒へ

鼻の穴ひろげて胸にいっぱいに不在の空気吸い込んでみる

根本的に間違っている世界だからあんまり近寄らないで

夜の間にしとしとと降った冬雨で朝の空気が土臭い

静けくも夜半前から冬の雨しっとりしめる朝の軒先

新しい資本主義には最初から敗北が約束されている

パーティの自粛はそこに生ずるすべての裏金を殺戮する

いつの日か振り返る日が来るだろうこれを笑って笑い死ぬかも

揺れながら指を鳴らして足踏み鳴らし転がって通りに出てく

冬ざるるいち枚に枚ちりゆく葉ことしを終う梅の老木

逢うひともなければ今日が大雪と申すひともない師走日和

自由な決定とは一箇の恣意的なあれでありあのあれじゃない

エアコンを二〇度に設定をして冷房がつく師走大雪

青い空ちぎったような白い雲ひょこひょこ尾をふる白鶺鴒

北風に吹かれて散った黄葉がひらりふわりと紅葉のうえ

穏やかな瞳の中に一度だけ火がついて燃え上がるのを見た

ファンキーなずばぬけた奴おもしろくあざとさもあり矢庭に踊る

一切はいまここにある通りだしほんの少しの相違にすぎぬ

隣の蟹はよく蟹食う蟹だがその蟹がまた蟹に食われる

ゆるすことのできるものをゆるすならばそれはもはやゆるしではない

若き日の原節子も歩いた保土ヶ谷の月見台の坂の道

墓穴の壁に窒息す人類が湯煎をされる大鍋の蓋

見よ日の光を夜が明ける抑圧の軛の下より立ち上がれ

死せる世界の液体の鏡の上で吹きさらされている啓示

虹白く月のミルクがこぼれ落ち不穏な声で嗤う骸骨

今回も券がいっぱい売れちゃったがっぽり裏金いただきます

どれくらい誰に売ったか知らないが裏金だけはいただいておく

パーティの券をよく買う定客の推し甲斐のある政治を目指す

試みにありとあらゆる幸福を浴びせずんぶり沈めておくれ

薄暗き師走の朝の空高く寒々とした二十五夜月

米粒のように小さな五百羅漢が蟻に化身し蕗のぼる

藁束をわけて縒ってく縒ったのを逆方向に縒り合わせてく

円遊も小さんもきいた漱石忌いまのはなしかきかせてみたい

ふぐ汁で死んだ夢みる漱石にかんかんのうを踊る夜もあり

片足を願い井戸へと突っ込んで望みは愛と平和な世界

そのことば受け取ったのは復活を意味していると受け取ったから

よそみして歩いていたらぶつかってよろめきあって恋にもおちて

遠くから囁くようなロデリウスきくやきかずやきかずやきくや

冬晴れにそうびの莟ふっくらと葉の散り落ちし梅の木のわき

改札を法衣の袖をはためかせ通過してゆくIC坊主

鉄橋を走る電車と高速の下の隅田の河畔の写真

死んだふりそっとしてみる変哲忌あじの開きにナムアミダブツ

寒月やほっそりと照るつつましく変哲もない味気なき世に

何か奇抜な音楽に引きずり込まれくるくると裸足で踊る

星の明かりと月明かり目にはみえない確かな何かみきわめる

駆け足で過ぎ去る一年を伝説のジェンダー越えで締めくくる

起きたらまずは頭が痛い次に起きたら目も痛い寒い朝

ここではゲームの遂行者などなきままにゲームが遊ばれている

あたまのなかみが腐ったやつらが腐った政治をやっているだけ

さざれ石ぐらいなもんのキックバックもあつまれば巌となりて

詰られていっぱい食べてないよっていった自分がやけに悲しい

窓からの朝日にそまるちりあくた悪魔おさむる水晶の海

水のうえ高くで夢をみる水辺ちかくの川のしたへと沈む

雨上がり曇った朝にかたかたかたと雨戸をあける音がする

木の数をいちにいさんと数えてるので静粛に山の神の日

生まれてはみたけれどただぐるぐると地球のうえで回ってるだけ

キックインといったら山野一郎キックバックはパーティ議員

短日やなにに追いつくこともなく貧乏神もいずまいただす

北風が換気扇を外側からごおうごおうと吹き鳴らしている

木になった言葉の実の味を知るアベルではないカインの兄弟

生垣の中にしっかりもぐり込み眺める冬の風の方向

これじゃもう寒さこらえて編んだのに着てはもらえぬセーターじゃない

どれくらい聞く能力がすぐれていても理解できなきゃひとでなし

冬の雨じゃらじゃらじゃらと吹きつけてすぐに止みまた風だけになる

北風が吹きこんでいる住宅地ひいよひいよと鵯が啼く

令和五年に絶妙なタイミングで聴くカルチャークラブのタイム

火の玉になってできることといえば煙草の火をつけることぐらい

問題をならべてたててばたばたばたとドミノのように倒してく

極月や風にあらがう日のひかりあした待たるるその宝船

受像機が重なってたり転がってるとすぐナムジュンパイクという

もう一度布団に戻りスマホ取り今の気温を教えてもらう

権力を握った嘘が唯一もつ実践的真理の実践

身体が脳をつくるというよりも身体こそが脳なのである

夕方に白から黒に切り替わる瞬間いつも見ると驚く

山をさく刀もおれて義士祭とうに過ぎたる源吾のよわい

夜も更けて松坂町に伊右衛門の奏でる琵琶がじゃんじゃらじゃらり

ラジオが途切れ四方から爆撃のロイヤルバレエ世界の終わり

歓迎の両手ひろげる小さなきのこ裏紫の詐欺師たち

令和版ぽっちゃり熟女のエキサイティングハリケーンなマキエマキ

実写版ぽっちゃり熟女のエキサイティングハリケーンなマキエマキ

記憶を目の当たりにする冬の朝おもいのほかに心みだるる

寒おすなチンをすること二三分ミルクをいれたホットコーヒー

アンテナの上からじっと見下ろしてそろそろくると待ち構えてる

ひと呼吸おくと途端に剣呑に善かれとおもい為ることだのに

なめらかに光の中にステッピンアウトが耳に残りしままに

立ち止まり時間は戻り遡る暗い時代に逆戻りする

白い虹むくめくされこうべの下てんちゅう震え轟くアウラ

何日か断片的に鳴っていた曲がようやくサビに到達

島のグルメや暮らしを語り懐かしむ船泊二三号

ののさまは口ではなんにも言わないが耐えしのぶことを欲してる

縛られて盗っ人あげるお調べの茶番を演ず二尺の地蔵

一一年の地獄めぐりの大詰めの見わたすかぎり焼け野原

ああ諸君人生はなんと短いどうせ生きるなら叛逆せよ

太陽がアルミのうえに照りつける恐らくここが殺し屋の家

臍下の銀の三日月しろい翼の球体が額をしめす

種を蒔かない畑には雨が降ろうと風が吹こうと芽は出ない

寒山が掃いた落葉で焚火する煙に咽び嗤う拾得

結婚式の帰りに飯田橋なかよく歩く寒山拾得

火だるまに油をそそぐ火の玉になってすべてを焼き尽くすまで

ズボンのおなら右と左に泣き別れ股あう日までさよおなら

寒風の吹きすさぶなか日だまりでしゃんと咲いてる桃色の薔薇

四日目のほそく明るい月の下ちかちか通り過ぎる飛行機

混乱も驚きもない真っ直ぐで狭い一番安全な道

よく仕えよく従いてクリスマスに魂の祝福を受ける

逃げつづけ流動化せよリゾームの夢スキゾキッズの成れの果て

戦をしないつまらぬ国に大いなる健康が到来をする

双差しの逆鉾突っ張りの寺尾土俵下には井筒親方

鐘がなりゴルウェイ湾を歌う声いまだ聴こえるクリスマスイヴ

あれもないこれもないだらけの年の暮れ止まったままになる時間

あれやこれするはずだった一日があっという間に終わる短日

ワントゥーシングザブルース頭の上の重い雲たたき壊して

荒れ野では嘘つくことが生きること誰も聞かない落涙の音

ヘイディドル警察官が弾くフィドルドラッグ売った男はミドル

われわれが人間らしく生きるにはちょっとした余分が必要だ

電池切れとまったままになる時計どんよりとして時間がくさる

短日の曇り空から日がさして鳥の声まで聞こえてきたよ

政界の文化が時代遅れなら泥船となるのも無理はない

ポケットのノートを出してつけられた渾名をすべて書き込んでゆく

どこであれ帽子を脱げばそこがもうわたしの家になるということ

シミーを踊りはなたれるゆっくりはやく異教徒がはやくゆっくり

ラセグリダードノエクシステソロエクシステエルアモールセキュリティ

ディアスポラ語りつづける語られぬもの若しくは徐京植の旅

どちらからともなく寒い一二月くびにマフラーぐるぐると巻く

ぴったりと足裏つけるぴったりと足を揃えて電気絨毯

昼すぎにもう陰になる窓のそと色をこくする山茶花のはな

なぜ踏みにじるなぜ排除するなぜ裏で金を集めるなぜ笑う

流れに逆らい砂に埋もれてゆく今もまだあの犬はわたしだ

ぐるぐると激しい音と点滅の光の中であそぶ異教徒

かすかな目配せといつものほほえみ確かなイシュウ空気管制

灰色の外套を身に纏いつけ悲惨な顔をしている世界

夢の中でも現実がばらばらになりタイムラインを流れてく

小刻みに震えたままで仰臥してにじんだ泪すこし冷たい

あなたの傍で雨の朝パリに死すなんて素敵な死に方だろう

美しい国の神を殺してその肉を食いその血を飲んでいる

寒空に砧うつ音ききながら子規が泊した今福屋跡

これが最後の崇高な極致としての手拍子が鳴るフロアショー

見知らぬ人のままでいてわたしにとって危険となってしまう人

地の軸の傾きゆえに夜は長く椎の梢に月も傾く

バタンキュー風邪をひくから気をつけて横になったら布団をかけよ

室内の湿度が五〇パーセント下回り始める冬至かな

年の瀬に窓を拭いたりしてみたり今日はそれしかしていないけど

大量の季節のごみを出す季節グリーディングなグリーティングス

食料を世界の人にまたこの時期がきたことを告げるあのうた

壁のある破滅のようなこの場所がバベルの中のセンサラウンド

間違っていることだと知ってはいるけどでもそれはとても正しい

内側を向いてばかりの寛容と狭い範囲の中だけの利他

何があっても何もなくてもパンツパンツとよばれんのいとおかし

年の瀬にかさかさしてた面の皮さらにぱっさぱさになってゆく

あまりにも寒いとなぜか意味もなく独り呟くどんとぽっちい

また今日も親の恩知る寒さかな自転車にのり買い物にゆく

寒ささえ忘れるほどに忙しなくすれば寒くはないのか師走

音に囲まれ接しすぎ感覚がないからだから閃く電気

何年も眠ってる間に水平線の空のうえ蜂起がおこる

より監獄らしい監獄に日々の生活が押し込められてゆく

一千人の交響曲のめくるめくごった煮を配信で聴く

クリスマスイヴがきたよと教えてるのか雉鳩が鳴いている朝

芹ゆうこ見た瞬間になんだこれ口滑らせる仏の江藤

凍りつきそうなくらいに冷えきった足を布団の中にぶち込む

猫糞はにっぽんの自由と民主主義を支える文化ですもの

憎しみが狂ったように鳴り響くイスラエルではノエルを歌う

ばらばらに言葉と意味が引き裂かれわたしは沈みわたしは残る

クリスマスなんてこともういっていられるあれじゃない悲しいけれど

カステラのひと切れもないクリスマスいつも通りの寒い冬の日

真っ暗な坂をあがってまたくだる何処にあるのか吾がクリスマス

エックスのクリスマスっぽいポストに只管いいねしてゆく修行

横浜の駅からバスに乗り換える前に見にゆく動く人形

大そうじ拭いた鏡の向こうから微笑みかけてくる人がいる

原形をとどめぬほどに崩れたケーキひとごとだけどつまされる

糞ったれ蛆虫パンクけつの穴ののしり合いのフェアリーテイル

負けないでもうすぐきっと終わるから悪いのは全部あちらだから

昨日より日脚のびたか窓のそと去りゆく日々のあおき冬晴れ

カーテンの細い隙間のうす紅の山茶花いちりんあいやにりん

冬の日の窓越しの音聞きながら丸まっている布団の中で

ほんの小さなささくれがとっても痛いいいとしをした不孝者

この国が崩れるなんていうけれどひとつのパーティが終わるだけ

慈悲深きシスターたちのモノクロの死した悪意のアドレノクロム

空がおち川の流れは堰きとめられて空の下へとおちてゆく

一歩退き関わりを避け無関心とどくわけない説明しても

退きこもり関わりを避け背を向けるその良心が問いかけている

まだ始まったばかりだし歩き始めるまだ成長の余地はある

ただ上に上へ上へと上がるだけ願い続けて信じ続ける

飛んでゆく烏が鳴いている声と冬の北風吹きつける音

冬晴れの寒風のした道路におちたなにかついばむ雀二羽

一九と六九だから大丈夫アメリカ全土が戦争になる

色彩の痕跡が溶け心の中に見つける道の悪の門

うとうとと布団の中であれやこれ考えてみるけどまとまらず

野良猫を懐に入れ寝てみたり念仏唱え紛らわしたり

何もかも忘れてしまうのが先か息つづかなくなるのが先か

裏金と嘘にまみれた手でくだす代執行の薄気味悪さ

駆け回る瓦礫と化した街のなか武器たずさえてゲーム感覚

駆け回る瓦礫と化した街のなかゲーム化してく民族浄化

埃をかぶり目が赤い入念に調べ上げたが遂には破産

暗い夕べ地獄の穴に自分をおろすブラックレッグマイナー

金まみれちっとも民主的でない選挙に勝って挙げ句お縄に

死にかけた子猫のような音させてよわく息はく零度の朝に

いつもと同じ今週と来週なのに残すとこあと三日です

立ち止まり先に進まずまた戻り別の道ゆきまた立ち止まる

寝て起きて昨日と同じことをまた繰り返しまた寝てまた起きる

大金のへえった財布ひろったんほんとみてえな夢んなかでね

確信してる次回はきっと絨毯をよく見たあとにキスをする

地獄の季節めまいをおこす太陽が金色に輝いている

ころころと左の脚を伝わって落ちて冷たいタイルのうえに

空を越えハイウェイから立ち上る雄叫びあげる世界戦争

人民が人民のため統治する愚かものらのわざを償い

年ゆけど春はくるのか小晦日あらかた死んでいるみなれども

みんなどこかに消えてった消えるべきものばかりまだ生き残ってる

おお友よ時代は動きはじめてる歓喜の歌をそのくちびるに

ソジウムの霞を通り抜けてゆく透き通るほど輝く光

やわらかにとてもやさしくできるようレースのような世界に変える

朝起きて抜け出たときの形のままの布団に夜中もぐり込む

定めなき世にも定めのあるようにめぐりめぐってくる大三十日

水洟をたらす鼻さき暮れ残るずるりずるりとすする年の瀬

ひと袋百円しない蕎麦を茹で年を越します餅はないけど

大みそかマイティクラウズオブジョイがすべて愛と歌うのを聴く

モーツァルト交響曲三九番のように年が暮れゆく

列をなし人々が待つさらなる戦争と聖なるヴァレンタイン

始原の画家はからっぽのだあれもいない海に浮かんだ船だった


よく常套句で「貧すれば鈍する」というけれど、それはまあ確かに実感としてその通りであり、極貧で一般的な人間のレヴェルよりもかなり下のところにある現在、社会的には完全に愚鈍とよばれるものにまさになりつつある。鈍して窮して完全に行き詰まっている。塵であれば収集日にもっていってもらえるが、それすらもしてもらえないような粗大ゴミ以下の塵である。だが、そんな状態にありながらも、逆にというか却ってというか何というかよくわからないが、頭の中や感覚の方はちっとも鈍ではなくなっていてかなりものすごく敏なのである。あの耐え難いほどの夏の猛暑の影響で長いこと頭の中味も感覚もすっかり死滅してしまっていたのだが、ちょっと前の一〇月ごろからようやく少しずつ以前のペースが戻ってきた。そして、そこから立ち直ってゆくにつれて頭の中と感覚には一気にぐんぐんとエンジンがかかっていったのだが、逆にというか却ってというか何というかよくわからないが、お財布の中身の方はというともう完全に空っぽで完全に死滅してしまっている状態にある。これで精神的にも肉体的にも経済的にもちょこっとだけでも余裕があるならば、まあ言うことなしなのだろうが、神さま仏さまはあまりわたしに対してそうはやさしくしてはくれない(ようである)。しかたなく、毎日毎日くる日もくる日も短歌を詠んでいます。こういうことぐらいしかできない愚鈍でありますので。しかし、このままずっと貧したままでいると本当に鈍してしまうことになるおそれは多分にあります。だくだくと見るに見かねたつもりで、たすけてください。重ね重ね、重ね重ね、重ね重ね、どうかサポートをお願いいたします。

追記。この記事の投稿を行なった日の午後四時過ぎに令和六年能登半島地震が発生しました。被災地は非常に大きな被害・損害を受けております。もし余裕がお有りであるのであれば、ぜひ災害義捐金の寄付をお願いします。わたしのことなどは全然後回しでも構いませんので。でも、ぜったいに忘れないでくださいね。よろしくお願いします。ずっと待てますから。

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