【詩】共犯罪
共犯だってきみは言った。どこからが愛で、どこからが依存で、どこからが執着かもわからないまま、愛し合うっていうのは、共に地獄に堕ちる罪を犯すことだよって、言いながら、笑っていた。僕がひとり、きみに溺れていることに気づいていたくせに、馬鹿みたいだ。
結局、これが愛だって基準が、近しいもの同士、一緒にいられるのでしょう。目が悪いひとにしか、あのぼんやりした景色がわからないみたいに、釣り合った天秤の上でしか、息ができないふたりが、はじめて、それを愛と呼ぶ。共犯だって言ったくせに、僕だけを地獄に突き落として、傍観していたきみには一生わからない。空がどこにあるかわかったとして、たとえばきみが、そのどこにいるのか、そう考えると、おかしなものを見たみたいに、心にぽっかりと穴が空いた。ドーナツが食べたい。
ずっと前から使っているその香水が、きみが買ったものじゃないこと、僕は知っている。ほんとうはそのひとと、共犯になりたかったんでしょう。あの日一緒に見に行った美術展で、僕はそのひとと同じところで立ち止まったんでしょう。もう全部、わかっているのに、おんなじ神様につくられたみたいね、って言っていたピンク色を、まだ愛と呼びたい。僕は、きみには赤色が、いちばんよく似合うと知っているのに。失恋していなくても髪を切っていいし、風呂に入れないまま眠ってもいい。どうしてそんなことがわからないんだろう、きみはどこまでもきみのままだ。切ったスカートを見せびらかして、その不恰好さを自覚しないまま、きみは星になっていく。
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