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愉しむより味わう

愉しむより味わう映画
そうパンフレットに書いていて、納得した。

「マチネの終わりに」
タイミングよく上映終了ギリギリに滑り込むことができた。

秋に観るべき大人の恋愛映画。恋愛部分だけ抜き出すとトレンディドラマ時代にもあったと思うような流れも感じる。それでも周りを取り巻く環境、仕事や社会情勢、そして2人が40代(?)であることによって全体のストーリーとして深みが出ていた気がする。

年を重ねながら色んなものを手に入れ、失ってきた経験がある人と、今まさに色んな事を吸収している若い世代では感想がガラリと変わるのかもしれないと思った。気持ちが燃え上がる2人とか、すれ違いといったことは起こるのだけど、基本的には淡々と物語が進んでいく。下手すりゃ退屈しちゃうよなって思ったりもした。

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そんな私が惹きこまれたのは、画の美しさ。

予告編が美しかった。パリもニューヨークも日本も、人物もすべて美しかった。だから観たかったのだ。そして美しい世界観に惹きこまれた。

この映画はフィルムで撮られ、その良さ、美しさを存分に堪能できた。これはスクリーンで観て本当に良かったと思う。

ちょうどフィルムカメラの良さにハマって色々と勉強している時期だから、余計に実感したのだと思う。デジタルでは出せない情緒的なブルー、暗部の雰囲気がとても刺さった。

ラストシーンは「あとは皆さんのご想像にお任せします」的な終わり方だったのだけど、複雑に人生を積み重ねたものがあるだけに単純ハッピーな選択も何か違うのだろうなと思ったりする。

愉しむより、味わう。
心静かに画や音楽の美しさ、登場人物の心の機微を想像する。。。

そんな気持ちになる映画だったなと。
そして、そんな気持ちで味わえるほど自分が大人になれたのかも・・・とも思った。

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