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星を見せるイベントが他の野外イベントより厄介な理由

鳥取県は「星取県」、岡山県は「天文王国」、長野県は「宇宙県」などなど、星や宇宙をアピールする自治体が増えてきた。
天体望遠鏡メーカーのビクセンさんも、星イベントへの協力に積極的で色々と展開されていて広がりを見せている。

星には価値があるのだ。

先日開催した「天体望遠鏡で月と星をみよう」というイベントは、200名を集客して子供だけでなく年配の方にも楽しんで頂いた。

こういった「星をみせるイベント」を設計するためには、その筋に詳しい人が絶対必要なのだ。それは日程を決める時から始まっている。

日程を設定する難しさ

月と星を見せるイベントは、日程を検討するために配慮する要素があまりにも多い。
まずメインターゲットがファミリー層である場合は、設定する曜日が「土曜日」に限られる。日曜日に設定すると翌日の学校に支障が出てくるのが夜開催の難点である。

そして市街地において天体観望会の主役になるのは「月」だ。このお月様もやっかいで、月の出の時刻は毎日約50分ずつ遅くなっていく。そのためイベント開催の時間帯に月が見えるのは、1か月の内に半分もない。
必然的にイベント日程が絞られてしまう。
星空が美しい場所であれば、月明りが敵になるのでまた変わってくる。

まだある。

ファミリー層へのアプローチを考えると夏休み開催が良い。だが、7~8月は日の入りが遅いため暗くなるのも遅い。これもネック。

さらに、星座は毎年同じ時間同じ場所で輝いているが、人気のある「土星」「木星」のような惑星は、それぞれの公転周期が違うので毎年同じというワケにはいかない。まさに「惑う星」である。

この日程の要素に加えて、イベントを行う場所の空がどれだけ広がっているのかを加味していく。周りの建物や木々に遮られて星が見えなければ意味がないからだ。

9月7日に開催した「天体望遠鏡で月と星をみよう(天体観測会)」は、そういった状況をすべて確認して日程を決めた。ただこの日程は、広報としてはタイミングが悪すぎたのが残念だった。ベストな広報時期が夏休みで、小学校にチラシを配布できなかった。(広報はまた別記事でまとめます)

当日の天候との闘い

野外イベント最大の敵は「風雨」だと思う。
雨が降ってしまってはどうしようもないし、暴風は危険だ。

天体望遠鏡は精密機器であり、機種によってはコンピューターが搭載されているため雨に弱い。開催中の急な雨などは恐怖でしかない。20~30キロもある天体望遠鏡をススっと撤収できるわけがないからだ。

そして通常のイベントと違い雨が降っていなくても、集客やイベントへの満足度に直結するのが「雲の量」だ。
雨が降っていなくても、分厚い雲に覆われると星が見えない。見せたい星の所だけ雲に覆われることだってある。
天体望遠鏡の順番待ち中に、雲に覆われて星が見れなくなることがある。その時のガッカリ感たるや、星や宇宙への興味を一気になくす可能性だって十分にあるような要素だと思う。

星を見せるイベントでは、晴れた時と曇った時での満足度の差をいかに縮めることができるかを考える必要がある。次にリベンジしたいと思わせる仕掛けを作っておかないと、せっかく芽生えかけた好奇心を萎えさせてしまうのは勿体ない。

そんなことを考えていると、星を見せることって一筋縄ではいかないと改めて感じる。でも、それが負けず嫌いの私にとっては刺激的で楽しいのだ。


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