見出し画像

風が吹いて老父、料理す。うれしい夢のお話

こんにちは。寝るの大好きうらないしらふさんです。

今日はこの間みた夢の小話。

日本で一番人口の少ない県で一人暮らしをしている、しらふの父。
母が数年前に他界したとき、周りの親戚からは東京にいるしらふちゃんが田舎に帰ってお父さんの面倒をみなくちゃね、と言われたのですが、「そんなことをしたら、しらふに恨まれてイジメ抜かれるから東京でそのまま働いていてくれ」と拒否られ(懸命な判断です!)、いまも別々に暮らしています。

子どもの頃は仕事でほとんど家におらず、わたしは15才で家を出たので、若い頃はあまり父と交流していませんでした。母が他界してから少しづつ父と話すようになり、お互いお酒が好きなこともあって、いまは帰省したときや、週末にLINE通話をしながら母の思い出話をつまみに飲んだりしています。

母の生前、「お母さんはお父さんが先に死んでも1人で楽しく暮らせそうだけど、お父さんは無理っぽいから長生きしてね」と母によく話していたのですが、母はある日あっさり逝ってしまい父がひとり残されてしまいました。(母はわりと情熱的な女で(婉曲表現)、わたしとは包丁やゴルフクラブを持ち出すケンカをよく繰り広げていましたが、結構仲はよかった(?)のです。)

ひとりになった父はしょんぼり暮らすのかと思いきや、英会話をはじめたり、尺八を習いにいったり、ジムに通ったりと、わりと忙しく過ごしていて、娘としてはほっとしています。

しかし昨年10月、久しぶりに帰った実家に異変が。
父は元気だったのですが、なんだか家の空気が淀んでいて、雰囲気が暗かったんですよね。そこそこ綺麗にはしているけれど、部屋の隅にはホコリが溜まっていて、使わない家電が子供部屋に何個も放置されていたり、もう読み返さないであろう書類が書棚で黄色くなっていたり。窓もあまり開けないらしく、風が通らないからかどんよりしている。
家の時間が止まっている。家族の盛りは意外にも短いものです。

それを正面から指摘してしまったものだから、少し口論に。とはいえ、わたしが1人で片付けはじめると父も手を貸してくれて、一緒に不要物を廃品回収業者に出しに行って収まるところにおさまったのですが、父がふと口にした「要らないものを捨てたら、この家になにも無くなってしまう。寂しくなるから、またなにか買ってしまう」という一言が胸に刺さりました。
2階建の一軒家に一人暮らしは色々なものを持て余しますよね、それは。

で、この間、母の誕生日だった3月2日に、ある夢をみました。
実家のリビングの窓が開け放たれて、風がふわりと入ってくる夢。カーテンが風をふくんでふわりと揺れる。そんな光景、もう何年も目にしていなかった気がします。
窓の外に目をむけると、リアルでは草がぼうぼうに生えている隣の空き地がきれいに耕されて、青々とした青菜たちが整然と並んでいるではありませんか!見るからにつやつやして、ハリのある、美味しそうな青菜がずらりと並んでいて気持ちがいいくらい。
夢のなかで父は「あんなに綺麗にしてどうするんだろうなぁ」と少し面倒そうな様子でしたが、隣のきれいな畑にまんざらではない感じ。
実家に優しい風が吹き込んだという内容がやけに嬉しくて、目が覚めてからも良い夢だったなぁと反芻していました。

今日しばらくぶりに父とゆっくり電話をしたら、あの夢はこの事だったのかなという話が。

なんと最近、父は野菜炒めをつくるのにハマっているそうで、もやしが身体に良いとか、セロリが美味しいとか、ナンプラーで野菜を炒めるとうまいとか、健康番組に触発されて簡単な料理をはじめたことを話してくれました。
これまで全く料理をしてこなかった父が料理を!?
インスタントラーメンくらいしか作らなかった父が野菜炒めを!?
驚きながらわたしは青梗菜を炒めて食べたよと話すと、青梗菜もいいなと父が言ったところで、先のつやつやの青菜が育っている夢を思い出して、アッと。

ただの偶然というか、勝手に連想ゲーム的に結びつけているといえばそうなんですが、実家に吹きこんだ風でカーテンが揺れる様子をみたときの私のよろこびと、父が料理をしはじめたと聞いたよろこびが、わたしの中で完全にリンクしたので自分的吉夢に認定です。
実家については色々と考えていかねばなりませんが、とりあえず父の生活に新たな風が吹いたことを喜びたいと思うのでした。

500字くらいで済ます気だったのになんだか長くなってしまった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?