見出し画像

GISが変える行政や地域社会~GISコミュニティフォーラム2024参加レポート~

GISコミニュティフォーラムは、GIS(地理空間情報システム)を利用している方やGISに興味を持っている方たち同士の情報交換、GISの利用促進などを目的に開催されるイベントです。
今年は5月24日・25日の2日間、六本木ミッドタウンが会場でした。
シビックテックウラシマは、2日目の25日に参加しましたので、その時の様子をご報告いたします。


さまざまなマップアプリもノーコードで簡単に

まず参加したセッションは、最近流行の「ノーコード」です。
プログラミング等の専門的知識が無くても、ノーコードでマップアプリや分析用マップを作成できるツールの活用事例を学びました。
一覧データ等をもとに作成したWebマップを、あらかじめ用意されたテンプレートを使い、いろいろな表現で可視化するほか、マップとグラフの連動、フィルタ機能やタイムスケーラー等の動きのあるマップも、ノーコードで作成可能です。
また、写真や動画とマップとの連携や、複数マップや複数ページによるレイアウトで、情報を集約してポータル的なサイトの作成も、ノーコードで作成可能とのことです。

事例として、東京都都市整備局「復興デジタルアーカイブ」が紹介されていました。

復興デジタルアーカイブ

ウラシマが知らなかった機能や表現方法も多々紹介されていましたので、今後のマップづくりに活かしていきたいと思います。

GeoAI、マップの世界にもAIがやってきた!

次に参加したのは、「GIS×AI=GeoAI」等の最新技術の紹介のセッションです。
航空写真から家屋の図面を生成する過程の中で、AIに家屋判別を学習させ、データ化するデジタイズの事例、また航空写真から3D都市データを生成するツールの紹介等がありました。
また、3Dスキャンアプリで作成した3DデータをGISに取り込む事例もありました。
今までは、人の目と人の手で反復作業していたデータ生成作業も、AIを使い、効率的かつ自動的に行うことができるようになっているとのことでした。

自治体でのGISの利活用事例

午後は、自治体におけるGISの利活用の先進事例を学びました。

【日野市の事例】 
行政の健康診断のように、都市機能や都市データをGISやグラフで可視化をし、施策の取組みの進捗状況を確認できるよう取り組んでいます。
また、これらのGISデータを役所のみならず、市民や事業者が利用できるようになっており、地域一丸でまちの課題の発見や研究ができる環境が整っています。
また、GISと住民記録システムとの連携を、近隣自治体と共同で進めており、これらの取組みが「Digi田(デジでん)甲子園2023」の本選にエントリーされたそうです。

【北九州市の事例】
給付金の申請促進の一環として、未申請者の多い地域の分析にGISを活用、申請率向上の対策を検討。
対策の結果もGISで見える化をし、効果測定を測った。
GISで分析し、対策は地域現場で住民を巻き込んで実施。デジタルとアナログの融合による取組みが素晴らしかった。

その他、中標津町の全庁的GIS導入の苦労話、長野県のGISを活用した地元の建設協会との災害時の連携シュミレーション等の事例発表も聴きました。

有害鳥獣対策データダッシュボードの設計をグループワーク

後半は、ある地域課題をテーマに、マップやデータダッシュボードの設計をグループワークしました。
我々のグループでは、最近クマによる人的被害が報道されることもあり、「有害鳥獣対策」をテーマに選定しました。
データダッシュボートの作成に必要なデータの洗い出し、これらのデータの組合せや表現方法等を検討をして、被害状況や対策状況の見える化し、対策検討のフィールドとなる「有害鳥獣対策データダッシュボード」の設計をみんなで行いました。
実際に仕事で鳥獣対策の経験のある方ならではのデータの提案や解説、鳥獣対策に素人ゆえの新しいデータの視点や提案もあり、とても素晴らしい設計案ができました。

GISの進化を改めて痛感

今回、GISコミニュティフォーラムに参加して、改めて次の点について再認識、再確認できました。

  • 「見せるだけ」から「分析・検討の材料となる」GISへ

  • 「色分けや絵柄の表現」から「写真や動画、3Dとの組合せ等、表現豊かな」GISへ

  • 「行政だけで使用」から「地域とともに地域課題を解決する」GISへ

GISは、技術も利用価値も進化し続け、その利活用の事例も増えています。
シビックテック・ウラシマのGISの取組みも、今回学んだことをもとに進化させ、行政と地域との懸け橋や、行政の施策推進の手助けとなればと考えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?