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実
2023年10月16日 01:04
閉じられた部屋のなかでも、燃え続ける炎があるならよかった。締め切ったカーテンが冬の訪れを堰き止めている間に、花びらの欠けない世界をつくりたかった。愛や、永遠や、生きることの情けのない正しさが大通りを凱旋する。叫びと情熱が私の前を通り過ぎた頃、この部屋はとても寒くなる。暖炉、ブランケット、人の吐息。煩わしさのなかで手放した数々の情念たち。つぶやいた言葉がそこらじゅうに散らばって、結局のところ私の小さ
2023年10月10日 03:26
はなれていくことが当然の生活のなかで、さみしさは、心のさみしさは、桃のあまい香りに包まれていた。はなれていくことと、わかれていくことの、ちょうど真ん中を胸を張って歩く、あなたの手を引きながら。