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PR会社社員とフリーランスPRパーソンの限界と可能性ー後編

前回は大手PR会社の内情について、少し触れて見ました。

大手PR会社に勤務した経験の無い人からは「興味深い」「世界を知ってみたかった」という声や、勤務経験のある人からは「リアル」「面白い」と反応をいただきました。

さて、今回はフリーランスのPRパーソンって、どうなんだろうね?という観点で依頼側、受託側の双方視点から見ていきたいと思います。

前置きしておくと、昨年7月に開業したばかりで、フリーのPRパーソンとしてはまだまだ歴も浅いので、ありがたいことに携われている案件もありながら、まだまだこれからということも多い状況です。

◎フリーランスのPRパーソンを活用するということ(依頼側の視点)

指名発注・小回り・コストで強み

この選択を取ることができる企業は、すでにPR以外で業務委託の社員がいたりするベンチャー企業や、フリーランスとの契約だったり、関係を作ることに慣れている広告代理店・PR会社が圧倒的に多いと思います。(担当者の裁量にもよる)

保守的な発想が強いと、まだまだ法人間取引きがベースになってくると思います。ただし、時代は変わりつつあるので、日を追うごとに門戸は開かれていくと睨んでいます。

メリットとしては何と言っても、「窓口のこの人」と直接プロジェクトを進められるというのが大きな利点でしょう。

何をお願いしたいのか、がハッキリしていれば、そのスキルや人脈をそのままお買い上げできるし、何となくPRが必要と思っているが何をお願いすれば良いのかハッキリしない...という段階だとしても、法人が嫌厭するような少額でも個人だったら動ける。という力学が働きます。

良くも悪くも身軽に付き合える、というのがフリーランスPRのいいところなのではないでしょうか。

1人で完結するだろうと丸投げすると事故る

個人であるが故に、取り扱える業務にはどうしても限界があります。バックグラウンドやバックボーンによって、個人の得意不得意も異なります。

企画やコンサル脳をバリバリ鍛えてきたタイプのPRパーソンと、底抜けのリレーションを作ってきたタイプのPRパーソンでも発揮できる力は全く違いますし、PRパーソンの必須スキルであるライティングのクオリティも千差万別です。

そしてPRはアイデアだけで完結するものではないので、アイデアを具現化するために実際に手を組む企業・組織・メディアを動かす時の信頼性(クレジット力)が不足することもあります。

また、個人の意識レベルによっては、業界・領域に詳しいことを武器に、競合企業の仕事をホイホイと受けるような人もいるかも知れません。表面的に現れる経歴や実績を誇張している可能性もあります。

有資格者でない限り、個人情報を取り扱うような業務には基本的に入れないですし、オフィスも持たないが故に不特定多数が入り混じるオープンなカフェで極秘情報のファイルを開いてしまうような人もいるでしょう。ISO27001やPマークを個人で取得するのは、そもそもできなかったりします。

PCを紛失でもされたら、取り返しのつかないセキュリティインシデントになることもあります。損害賠償請求しようにも、相手はフリーランスです。

こんな落とし穴に陥らないために、そもそも何でもかんでも丸投げするのは控え、適切な契約書を締結するのはマストとし、付き合いのあるフリーランスの意識向上も着手しておくなど、それ相応の覚悟は必要なのだと思います。

ここまでを意識してやろうとすると、法人へ依頼した方が楽だな・・・。という判断になることもあるかもしれません。

◎フリーランスのPRパーソンの可能性と限界(受託側の視点)

どういうキャリアがあればフリーとして成立するか?

これは、時と場合によりますが、王道ルートで言うと、メディアやPR会社、広告代理店出身者、あるいは事業会社の広報出身者です。培ってきたノウハウがほぼそのまま転用できるからです。

実際にフリーとして活動している人の経歴をみると、大体複数のキャリア経験の中で上記キャリアを一度は経験しているという人を多く見かけます。

ただし、広報PR活動はほぼ=コミュニケーション改善活動です。リサーチャーやマーケターとして活躍していたという人も、営業一筋でやってきたという人も、その領域を極めたコミュニケーションの達人であれば、それに特化したPRの提案をすれば良い。となると、意外と間口は広いのではないかと思います。

求められているPRの役割のすり合わせは重要ですが、自分の人生で学んだことや経験をメニュー化して、そこに金額を設定すればそれはきっと立派なフリーランスのPRパーソンです。

フリーランスPRは数年前に比べてチャンスにありふれている。

フリーランスPRの仕事の貰い先は、ツテやコネ、自力で営業、マッチングサイトが主流です。フリーランス協会の調査によると6割以上が人脈や、過去・現在の取引先経由となっており、これまでのキャリアで仲間をたくさん作ってきたフリーランスは強い傾向は続いています。

仕事案件獲得経路

出典:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会「フリーランス白書2022」

一方で、中でもここ数年は、複業やフリーランスが仕事を受けるためのマッチングサイト(上記でいうとエージェントサービスやクラウドソーシング)がかなり充実してきているので、「コネないしなぁ」という人でも、自信のあるスキルを持っている場合であれば、比較的スピーディに商談を持つ機会を得ることができます。(私が登録しているおススメのサイトは最後尾で有料で紹介してみます。競合増えちゃうのは避けたいですからね・・・苦笑)


さらには最近、PR会社がこの領域を商機と見て攻勢をかけてきています。
代表的なものとして「SCALE POWERED BY PR」と「PR TALENT BANK」をご紹介します。

●SCALE POWERED BY PR

企業向け&個人向けのサイト

本田事務所の本田哲也さんがPR会社のベクトルと組んで立ち上げたこのSCALE POWERED BY PRというサービスは、2020年に開始しました。

副業やフリーランスのPRパーソンが自ら登録し、ニーズがある企業からの仕事依頼をマッチングさせる業界初のプラットフォームでした。

本田事務所が開発したコンピテンシーモデルに基づいてPR人材を評価し、能力とニーズのミスマッチを回避するというアプローチをとっています。

コンピテンシーモデル

さらに、PR人材のスキルアップを目的に、継続的にアカデミーを開催するなど、フリーランスのPRパーソンのスキルアップの機会も積極的に提供しています。

これまで市場に出てこなかった、インハウス広報の方なども多数登録している模様で、ベクトルと本田さんの後ろ盾もあり、注目している企業も多いかもしれません。

(わたしは先日登録フォームから申し込みを送りましたが、返事がなかったので、足切りにあってしまったかもしれませんし、厳密な審査を受けているかもしれません。)


これに追従する形で、PR会社のアウル株式会社がはじめたのがPRタレントバンクというサービスです。

●PR TALENT BANK

企業向け&個人向けサイト

こちらも基本的なシステムは似ていますが、アウルがPR会社として受けた案件に伴奏する形でアサインされる。という特長があります。

多くのPR会社で、事業拡大のボトルネックとなっている、「人手不足」をフリーランス人材の活用という形で補っているのです。

具体的には、業務内容をある程度細かく細分化し案件の募集があるので、それに応募・応諾し、無事にアサインされると業務開始するのですが、リサーチャーやプロモーター、プランナーはアウルの人材と協業することができるようです。

さらに、能力やスキルによっては、ソリューションを担う形でアサインされるケースもあり、自分の得意な領域でPRの仕事をそのまま受けられるというのが魅力です。


上記どちらも、よくできた仕組みです。こうした新しいビジネスモデルで、痒い所に手が届くPRソリューションが提供されるのは素晴らしいことだと感じています。

積極的で誠実な行動が無いと、難しい。

仕事は会社の看板で来る。というものではありません。積極的に自らの知恵と工夫、アクションを通じてしか得られません。

ましてや、フリーランスのあなたなんぞ、世の中からしたら「誰ぞ?」状態です。その状態を脱却するためには、「営業頑張る」か「発信頑張る」どちらかしか無いのではないでしょうか。

ドアは自分で叩かないと開かれません。発信した情報がなければ目にも耳にも止まりません。どちらも頑張れない場合は、フリーランスPRとして独り立ちするのはまだ早いのかもしれません。

例外があるとすれば、優れたサービスが提供できる場合です。ただ、もし一芸に秀でたサービスがあるなら、それはもう起業した方がよいです。ただし、それはそれで営業か発信がセットになるのは覚悟したほうが良さそうです。

あとは、全てが自己責任であるというのは、会社員以上に明白になります。「どんなことが起きても生きていけるだろう。」という強い覚悟が求められますので、私は専任フリーランスという働き方を選ぶ勇気はありませんでした。復業からはじめて、ゆくゆくは法人として運営をしていきたいと思っています。

あとがき

大手PR会社⇄複業でフリーのPRという立場からしか見えていない景色をお伝えしましたが、実はこれ以外にも、インハウス広報や小規模PR会社など、関わるプレイヤーは有象無象に拡がっています。

そうなるとまた、前後編でまとめてきたこれらの内容からは想像できない世界が拡がっているでしょう。

私の書いたnoteに全く共感できなかったり、一般論として語られるには内容が偏りすぎている。大袈裟だ!と思われた方もいるかもしれませんが、あくまでノンフィクションのエッセイとしてご笑覧いただけると幸いです。

最後に、個人的に登録している副業マッチングサイトをまとめておきます。検索すればすぐ出てきますが、検索する手間を省きたい方はこちらで↓

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