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【UPSIDER note 連続対談企画 #2】ログラス / テックタッチ / UPSIDER と考える 「社会の変革にチャレンジする急成長スタートアップのプロダクトマネージャーキャリア」

プロダクトの責任者として、課題設定や戦略の立案、意思決定や実行までを担うプロダクトマネージャー(以下PdM)は花形職種として注目が集まり、各社PdMのニーズは高まっています。とはいえ各社での役割範囲や責任範囲が異なっていたり、期待成果が異なる状況は依然続いており、それがPdMの新たなチャレンジを阻むハードルになっているのではないでしょうか。

PdMとしての一社での経験が長くなっている方や、PdMとしての実力を別の会社へ転職した時にも発揮できるのか?と不安になっている方。今すぐ転職を考えてはいないものの、長期的にPdMとしてのキャリアを積んでいく上でのキャリアの指針を持ちたい。そんな方向けに本対談をお届けします。

前回の対談では、「PdM → PdMの転職を考える」をテーマに実績のあるPdM メンバー4名が集まり、「PdM転職というチャレンジを選んだ理由」「転職の際に不安はなかったか」「転職して良かったこと」など、実体験に基づきお話いただきました

今回の対談では、株式会社ログラス(以下、ログラス)のVPoP 斉藤さん、テックタッチ株式会社(以下 テックタッチ)のCFO/CPO 中出さん、そして株式会社UPSIDER のVPoP 森という、各社でプロダクト開発の責任者ポジションを担う3名に「社会の変革にチャレンジする急成長スタートアップのプロダクトマネージャーキャリア」をテーマにお話を伺いました


UPSIDER オフィスにお越しいただき座談会を実施しました

スピーカープロフィール

斉藤 知明(Tomoaki Saito)@tomosooon

株式会社ログラス 執行役員 VPoP。東京大学在学時にAI研究に従事。在学中同時に英単語アプリmikanを共同創業し、CTOとして従事。その後Fringe81株式会社(現Unipos株式会社)に入社、ピアボーナスサービスUniposを立ち上げ子会社化、代表に就任、グロースさせたのち親会社と合併。「すべての挑戦が報われる社会に」を個人ミッションとしログラスに参画。2023年11月に 執行役員 VPoP に就任。

中出 昌哉(Masaya Nakade)@masaya_nakade

テックタッチ株式会社 取締役CFO / CPO 。東京大学経済学部、マサチューセッツ工科大学MBA卒。
野村證券株式会社にて投資銀行業務に従事し、素材エネルギーセクターのM&A案件を数多く手掛ける。その後、カーライル・グループにて投資業に従事。ヘルスケア企業のバリューアップや、グローバル最大手の検査機器提供会社への投資等を担当。
テックタッチでは、CPOに加えてCFOも務める。

森 大祐(Daisuke Mori)@diceK66

株式会社UPSIDER VPoP。新卒で株式会社ワークスアプリケーションズに入社後、会計システムを中心として、大手企業のERP、業務システムの開発をリード。いくつかのキャリアを経て、PKSHAグループにて複数のAI SaaSを立ち上げ、それらのプロダクト企画統括を務める。2023年に入社した株式会社UPSIDERではVP of Productを務める。


プロダクト責任者たちが歩んできたキャリア

――まずはログラスの斉藤さんから自己紹介をお願いいたします。

ログラス 斉藤:はじめまして、ログラスの斉藤といいます。ログラスでは 執行役員VPoPを務めてます。ログラスでの役割としては、「Loglass経営管理」「Loglass販売計画」「LoglassIT投資管理」のプロダクト戦略に責任を持っています。

ログラスは「良い景気を作ろう。」という壮大なミッションを掲げており、このミッションを達成するために、PdMチームではプロダクト開発のマイルストーンの検討やお客様の課題を知るための探索を行っています。

経歴としては、大学時代に原研究室でAI研究に従事しており、在学中に英単語アプリ「mikan」を創業、共同創業者CTOを務めました。その後 Fringe81 に第二新卒として入社し、ピアボーナスサービスの Uniposの開発を立ち上げました。2021年に親会社に合併するまでは代表取締役社長として、その後は執行役員CPOとしてUniposの啓蒙に尽力し、2023年5月ログラスに参画しました。

ーーテックタッチ 中出さんも自己紹介お願いできますか?

テックタッチ 中出:ありがとうございます。中出です。テックタッチでは取締役CPO兼CFOをしています。

ノーコードでユーザ体験を改善できる「テックタッチ」は、システム上にナビゲーションを出す機能を提供するSaaSです。DXが世の中で叫ばれる中で、多くの組織でニーズにあったSaaSプロダクトが多く活用されるようになりました。

ただ、システムを導入した時はDXのスタートラインに立っただけだと思っていて、誰もが自由にシステムを使えるように導くのがテックタッチの役割です。お陰様で、今ではデジタル庁や多くのエンタープライズの企業様にご導入いただいています。

実はPdMの出自ではなく、テックタッチに参画をしてから2つの事業の立ち上げを経験。
2年前に代表の井無田から「プロダクトのことも担当して」と提案をされ、現在はCPOとして従事しています。ずっと事業をやっていた人間なので、事業がわかる強みを活かし、プロダクト作りをリードしています。

経歴としては野村証券に新卒で入社し、M&A業務に従事。その後MBAの取得を経て、外資系投資ファンドであるカーライル・グループに参画。 2021年3月にテックタッチに参画しました。

ーー最後に UPSIDER 森さん、自己紹介お願いします。

UPSIDER 森:はじめまして、UPSIDERでVPoPを務めています、森といいます。

UPSIDERではVPoPとして、UPSIDERのプロダクトの方向性を経営陣と議論しながらプロダクト戦略を描き、Product Divisionの責任者として、プロダクト開発チームのマネジメントを通じて、UPSIDERのプロダクト開発全体をリードしています。

プロダクトマネジメントに関しては、法人カード「UPSIDER」のコア機能は開さんが担当していて、それ以外の部分を私が担当しているような体制になっています。その中でも特に私自身はカード周辺の新規プロダクトの立ち上げと、業務システムをチャットインターフェースで使えるようにするといった、新しい技術によって、ユーザー体験をドラスティックに向上させるための機能の新規開発に注力しています。

経歴としては、早稲田大学の第一文学部出身で(現・文学部)、当時のブロードバンド黎明期の中でインターネット技術に熱中し、「エンジニアっておもしろいな」と思い、ワークスアプリケーションズ(以下、ワークス)に入社しました。その後約1年間いろいろあってルート営業を経験し、またワークスに戻り、新規プロダクトの立ち上げやインド拠点の立ち上げに従事しました。累計でワークスには10年間ほど在籍し、その後Speeeを経て PKSHA Technology (以下、PKSHA)に参画しました。

PKSHAでは音声AIプロダクトの立ち上げから始まり、複数のAI SaaSを立ち上げ、それらのプロダクト企画統括を務め、事業の成長に貢献しました。その後 2023年4月にUPSIDER に参画しています。

プロダクト責任者はどのように顧客と市場の解像度を上げているか

――斉藤さんが公開したnote「丁稚奉公から始まる異業種探索」が話題になりました。実際に丁稚奉公はどのような経緯で、何をされていたんですか?

ログラス 斉藤:ログラスのミッション「良い景気を作ろう。」を達成するためには経営の守破離を知らなければならないと思っています。私僕自身、10億円規模の企業に3つ経営として関わってきましたが、ログラスの主要ターゲットとなるエンタープライズ領域を中心とした売上規模の大きなお客様であるより大きな企業の経営についてはわからないことも多いんです。

しかし、プロダクトを作る人間である以上、わからないものを作ることが、うまくできるはずがない。「まずは経営の守破離を知りたいな」というところで丁稚奉公をお願いするに至りました。週に2日は経営企画としてお客様先でインターンをして、残りの3日ログラスで働くという日々でした。

「お客様の経営を一緒にどう変えられるか?」を、お客様である経営企画のみなさんとディスカッションを重ね、AsIsとToBeの目線を一緒に合わせ、そこからプロダクト活用を支援しました。

「この業界のお客様だったらこのようににやっているんだな」ということは、丁稚奉公前に30 社程ヒアリングの機会をいただいていたので、確度の高い仮説を持っていました。そこから1社に深く入り込んで経営に参加し、「このように変えていきませんか?」と自社のプロダクトと関係なく、経営に必要な提案をしていました。

ーー丁稚奉公ではない方法で顧客や市場の解像度をあげている取り組みは他にありますか?

UPSIDER 森:丁稚奉公ではないんですが、UPSIDERでは、UPSIDER Coworkerというプロダクトを提供しています。

これはAIを活用して、ユーザーにとって便利な形で領収書の提出リマインドや回収業務、カードの発行やロック、ロック解除などの業務をチャットで依頼して代行するようなことをやっているのですが、この中で一部、BPO、つまり人力でユーザーの業務を請け負うというサービスも提供していたりするのですが、実はこのチームも私が管掌する体制で行っています。

BPOで顧客の業務を実際にやってみると、ものすごく貴重なインサイトを常にいただくことができていて、私達からしたら小さな改善が、ユーザーからするととても大きな価値になるような機能改善をリリースできていたり、新しいプロダクトやサービスの種になるようなものも実は既にいくつか仕込んでいたりします。そして新しい機能やプロダクトをBPOとともに提供すると、更にそこからインサイトが得られて、というようなものすごくいい循環が回っている状態になっています。

この時代の真のプロダクトの価値とは

ーーUPSIDER Coworkerの提供を通じて、機能面以外のインサイトは他に何かありましたか?

UPSIDER 森:はい、UPSIDER Coworkerは今お話しした通り、AIを活用して決済の周辺業務をサポートしていこうというプロダクトなんですが、生成AIが流行ってきて、生成AIが人の代わりをし始めちゃっているという流れの中で、「機能を利用するための費用」を月額とかで支払っていただく、というモデルそのものの考えを改めていかないといけない時期に入ってきているなと思っていて、システムやAIが人の代わりを務め始めているこの時代に、プロダクトはどんな価値をお客様に求められているのかを常に意識するようにしています。

また、プロダクト開発についても単に機能性を向上させることだけが、プロダクトの価値を向上させるという時代ではなくなってきているように感じています。お客様は機能がほしいのではなくて、自分の業務を楽にしてほしいとか、まるっとなくしてほしいという要求をしているんだなと感じることが多いです。

ログラス 斉藤:たしかに。今のコンパウンド戦略の流れは世の中で誤解されているように思います。一般的にコンパウンド戦略とは、複数のプロダクトを同時に開発・リリースする戦略を解釈されていますが、本来コンパウンド戦略は「なにかをまるっと全部やりますよ」だと思うんですよね。「その課題を、一気に解決するといくらの価値がある」というモデルだと解釈しています。まさに事例としては、例えば総合コンサルティングサービスを提供するアクセンチュア株式会社、やITデバイス & SaaS統合管理クラウド「ジョーシス」を提供する株式会社ジョーシスのような、ある組織の一つのファンクション(機能)を包括的に代替することで価値を生む。市場におけるポジションを取りに行くために複数のプロダクトをリリースして重ねることが必要です。

テックタッチ 中出:本当は、SaaSのようなサービスが世の中に広まっていくと、定型化された領域が広がるはずなので、本当はSIerの業務は少なくなる流れになるはず。でも実は実際は違っていて、なんでこんなにSaaSはやっているのに、カスタマイズの領域である構築領域が増えてるの?という状況になっていますよね。それはやはりSaaSが単独では顧客の真の課題を解決しきれていないということが原因になっていて、そこも含めて解決できる存在になっていきたいですよね。

ログラス 斉藤:ログラスが向き合っている経営管理も、まさに属人化している業務領域です。単純にプロダクトを提供するだけではなく、属人化している領域、会社によってルールがさまざまなな点も含め、ログラスのサービスを使っていただくことで経営管理ができるようになるというプロダクトを目指しています。
それを実現するために、SaaSプロダクトにとどまらず、サービスを併せて提供しています。なので、ログラスではカスタマーサクセスが非常に重要な役割を担っています。

テックタッチ 中出:テックタッチも、まさに今「プロダクトだけで解決する必要はない」を起点にチームで思考しているところです。既存のプロダクトの改善に縛られず、「ユーザーの理想の状態を実現するためには?」「イシューはどこにあるんだろう?」と探索にめちゃくちゃ力入れています。


各社のプロダクト組織と、求めるPdM人材像

ーー各社のプロダクトに関連する組織体制はどのようになっていますか?また、どのようなPdMが求められていますか?

ログラス 斉藤:当社はプロダクト全体で 40 人ぐらいの組織です。 PdM が 6 人、デザイナーが6人、残りがエンジニアです。

「Loglass経営管理」は大きく4つの機能をひとつのプロダクトに詰め込んでいます。
なので、例えばBSも管理できるようにする、という目標を達成するための開発をしようとすると、複数の機能に影響するという難しさがあるのですが、やりがいがあるポイントだなとも思います。

PdMとして活躍する人物像としては、1チームを1人でまとめられる、「ザ・プロダクトマネージャー」という方よりも、足並み揃えながら、複数機能間の連携を取って開発をリードできる方のほうが当社でご活躍いただけるのではないかなと思います。

また、ログラスは経営管理という複雑ななデータを取り扱うプロダクトなので、ミドルウェアやデータアーキテクチャに詳しい方も活躍しやすいと思っています。
経営管理の高度化、経営の効率化ということを目指しているため、経営について造詣が深い方をプロダクトマネージャーとして育成することも組織的に力を入れています。

テックタッチ 中出:テックタッチの開発組織は約40名。PdMは5名で、デザイナーが3名、その他がエンジニアという組織です。

ぼくたちはイシュー探索にめちゃくちゃ力を入れていて、「お客さんが実現したいことがあり、それを妨げるペインとは?理想の状態って本当はどういう状態だろうね。」といった結構広いジャーニーで考えられる人が集まっています。

システムが出来上がり、そのシステムが使いこなされるまでに課題がある時、シンプルに「テックタッチでガイドを作りましょう」となってしまいがちですが、システムの構築のタイミングや選定のタイミングから顧客に入り込んで、「もっとできることないだろうか」と広く探索し問題を見つけ解決することが重要かなと思っていて、そんな「問題解決チーム」を目指しています。
そうすると結構おもしろいなと思うのが、解決策がカスタマーサクセスのやり方を変えた方がいいとか、Biz系の話になることもあるんです。プロダクトに縛られず物事を考えたり、全社横断的にこういう施策がいいのでは、と広く問題解決できる人、人で解決するのか、モノで解決するのか。Biz系の話もできないといけない。PdMとはいいつつ、全社横断的な行動ができる人を求めていますね。

UPSIDER 森:UPSIDERも、ログラス・テックタッチとほぼ同規模ですね。全体で40名程度で、PdMは4名。その他デザイナー、エンジニア、QAで構成されています。

法人カード「UPSIDER」は決済基盤として「安心安全にご利用いただけること」と「いつでも便利に使っていただけること」という、一見相反することを常に両立させなければいけないんです。
プロダクト開発組織の組織設計は僕が担当しているのですが、可用性を高めて安定したサービスを運営し、プロダクトのファンクショナリティをあげて、より安全におつかいただくための開発するチームと、その周辺領域を含め、顧客体験の向上にフォーカスするチームは曖昧にミッションが混ざらないことを意識して、組織を作っています。

もちろん、かなり複雑で高度なシステムを作って運用しているので、当然技術負債のような課題にも常に取り組まなければならないのですが、技術課題に対しての取り組みも、技術的なアプローチと、チーム体制の最適化などの組織的なアプローチの両面から、エンジニアとコミュニケーションを取りながらシステムのあるべき形を目線合わせし、組織的に進められるようになってきていると思っています。

UPSIDERが、安心安全につかっていただけることと、いつでも便利に使っていただけることを両立させるためには、プロダクトマネージャーがチーム間のコミュニケーションのハブとなってもらうことが必要不可欠で、課題を解くための開発をリードしていきながらも、リスクにも敏感でいるという組織間の交差点のような能力が重要です。

一方で、技術の進化に合わせた新しい体験を提供するような新機能や、決済領域周辺に新しいプロダクトを重ねていくには、顧客や市場の課題を解像度高く理解して、あまり既成概念に囚われすぎずに創造性豊かに機能やプロダクトを考える力が求められると思っています。

どちらのタイプでも活躍してもらえる状況だとは思うのですが、これを両方いきなり合わせ持っているというのは、敷居が高すぎるようねということももちろん理解しています。

基本的にはどちらかにフォーカスしていただくような体制にしているのですが、組織としては計画的なカオスを設計して、どちらかだけでなく両方にチャレンジすることができるような仕組みを考えて準備を始めています。

PdMとして重要な能力は何か

ーーPdMとして重要な能力はどのようなものだと思いますか?

テックタッチ 中出:PdMに必要な能力って、詰まるところは、お客様のイシューは何か特定できる、お客様がどういう状態になったら幸せなの?というのを、広く思考する作業だと思うんです。
それを機能単位で考えているのが、テクニカルPdMやジュニアPdMといった存在だと思っていて、小さい単位で解決したいイシューがあって、それを積み上げていくことで、大きな価値になっていくと思うんです。
一方で、もっと大きな視点で捉えながらも、お客さんを理解してイシューを特定して、一番インパクトのでる領域を狭めていけるような思考ができるようになるためには、細い機能だけではなく、もっと広い立場で考えられるかが重要です。

そのような考え方ができるようになるために、お客様にがんがん会いにいけるかが重要だと思っていて、自分からカスタマーサクセスをやってみる、セールスをやってみて、セールスメンバーよりも売上を上げてみる、ユーザーヒアリングをめっちゃするとか、いろんなやり方があると思うんですけど、そういうことが重要だと思っています。

CSからやらせてください!とか意思を持って言える人は「お、いいな」と思えますよね。

ログラス 斉藤:PdMとして転職するとして、仮に近いドメインの経験や知識があったとしても、エンジニアリングのご経験を持っていたとしても、PdMとして新しい環境に入っていくにしても、相当なアンラーニングが必要だと思っています。

基本、プロダクトマネジメントの経験が豊富でも、お客様の業務領域に対しては素人だと思った状態で入ってきていただきたいですし、お客様を理解するために、 グッと我慢して時間を割いて行動できることが重要だと感じています。要は丁稚奉公してよかったという話です。(笑)お客様と向き合うためとはいえ、私が週2日いなくなることを許容してくれたプロダクトチームのメンバーにとても感謝しています。

10億の経営しかわからない自分が、もっと大きな規模の経営を知るためには、やはり勉強しなければならないんです。
財務会計の世界しか知らなかった私が管理会計を理解し、お客様の言葉で語れるようにならなければいけないということが入り口で、このような思考を持った人が各プロダクトチームに一人ずついたら強いと思います。

テックタッチ 中出:ほんとそうなんですよね。結局なんか似たような機能を真似て付けたとしても、その機能に思想が入っているかどうかで、全然価値は変わっちゃうんですよね。
例えば、2つの製品の機能比較で両方◯がついたとしても、思想があるものとないものでは同じ◯でも全然違うし、そもそもお客様をどれくらい理解しているかによって、仮に同じ名前の機能だったとしても、お客様ががやりたいことによって求められる機能の詳細は全然変わりますよね。

UPSIDER 森:逆に、そこはお客様のことを考えたら、✕でないといけないんだという理由を明確に答えられるようなPdMはめちゃくちゃ信頼できますよね。

もしくは、「何か一つが二重丸で、ほかは全部✕でもいいんです!」ということを、ちゃんと筋道たてて理由を話せれるような人を自分は評価したくなりますね。

テックタッチ 中出:なんでもやろうとしたらみんな消耗しちゃいますしね。

ログラス 斉藤:捨てる意思決定ですよね。結局、プロダクトの作れる総量には限界があるので、どこに注力していくのかを判断するかが重要だと思います。

UPSIDER 森:ちょっと話が変わるんですが、最近PdMの最終面接をやるときに、私がどんなところを見極めているかという評価ポイントを他のメンバーに開示するようにしているんです。その中のいくつかを紹介したいんですが、 1つ目は、GRITが強いかどうか。
プロダクトってなかなか当たらないというか、何が当たるのか探索して、挫けずにやり続けて、これって本当に売れるんですか?とか、こんなのうちでは使えないよと言われ続けても、くじけぬ心でやり抜かなきゃいけないみたいなシーンがPdMには多くあるので、強いGRITがありそうかは結構見ています。

次にアトラクティブな人であること。自分の考えを、いかに魅力的に伝えられるかです。
もちろん、プロダクト自体が良いことも重要なのですが、それと同じくらい演出も重要だと思うんです。

どれだけ良いものだったとしても、ちゃんと演出しないと良いものであることが伝わらない。
本当に些細なことかもしれないけど、「すごくあなたに興味を持ってもらいたいんですよ」というのが伝わってきたり、「機能の細かいことかもしれないんだけど、自分としてはすごく大切で、すごくこだわりが詰まっているんですよ」ということを魅力的に伝えられる人。事実として伝達するだけじゃなくて、魅力的に伝えられるというところが重要だと思っています。
だって、斎藤さんと中出さんって今お話していてもめちゃくちゃ楽しいじゃないですか笑

あと、日本語で良い言葉がなくて困ってるんですが、「タスクブラケッティング」は重要ですね。

例えば、もしも朝6時に起きて1時間ウォーキングをするっていう生活をしたいって思ったら、単純に朝気合で起きてウォーキングに行くぞ!という気合と根性だけではなかなかうまくいかないですよね。
これを成功させるためには何が必要かっていうと、夜は 11時には寝よう、前日はお酒は飲まないようにしよう、着替えや靴はあらかじめ用意しておこう、目覚ましは5時40分にセットしておこう、みたいな感じで、成功までの連続性をちゃんと小さなタスクのステップとして定義して、一つずつこなしていく能力が必要なんですよね。これがタスクブラケッティング能力というそうです。

テックタッチ 中出:実はこういうネーミングかどうかは知らなかったんですが、ここ半年のプロダクトロードマップは確かに、そうやって決めているんです。
ロードマップって機能名だけを書いてあることが多いと思うのですが、テックタッチのロードマップは、この施策が上手く行ったら、この機能をリリースします、もしもうまくいかなかったら別の機能をリリースします。その施策はいつのタイミングで打ち出して、どのように検証します、という条件分岐のようなこと自体をロードマップにしていたりします。


ハイレイヤーなPdMとしての評価を得るためにはどうすればよいか

ーー どのようなPdMであれば、ハイレイヤーのPdMとして評価を受けられると思いますか?

UPSIDER 森:PdMの人ってレイヤーが上がれば上がるほど、多方面に染み出していて、一言では何をやっているかがわからない人は多くなりますよね。
いわゆる開発リード的なPdMとして一定評価されると、ハイレイヤーなPdMとして評価を受けられるかと言うと、そういうことではないと思います。

テックタッチ 中出:個人的には事業に足を突っ込んで、事業成果を出すことが必要になってくると思います。一旦歯を食いしばって、カスタマーサクセスや顧客提案などをやってみる、みたいなのが重要かもしれません。
PdMのどこが肝なのかというと、ビジョン・イシューに向かってどういう風にプロダクトを作っていくのかと、顧客のニーズを探索してそれを深く理解していることだと思います。確かにそこから機能に落とし込むのも能力の一つだけど、大差はでにくいことが多い気がします。
本当にプロダクトで成し得たいこと、イコールお客さんにどう役立つのかを追求できて、それを事業成果に繋げられることが重要だと思います。

UPSIDER 森:PdMの役割の中で大きな要素の一つに、クロスファンクショナルリーダーシップあると思っているんです。
単純に開発をリードすればいいというわけではなく、あなたが担当しているプロダクトがうまく行っているかどうかを証明してくださいとなった時に、ハイレイヤーとして評価されたい場合には「事業成果によって証明せよ」となるのはありますよね。

ーー よくある質問だとは思うのですが、PdMのバックグランドにエンジニア経験って必要だと思いますか?

UPSIDER 森:エンジニアのバックグラウンドが必要かどうかは結構議論があると思います。

例えば、ユーザーを理解したうえで、その課題を解決したり、あるべき体験を企画するようなシーンでは、ユーザー体験を考える発想力の方がより重要で、逆に技術的なところはエンジニアに助けてもらえば良いというケースもあったりはしますよね。

逆に、安定した運用が求められるプロダクトでは、システムの可用性やそれを実現するためのアーキテクチャのイメージをもって、また、情報設計するようなケースでは、前後の業務や処理のイメージを頭に入れてデータモデリングを考え、技術的がある前提で、エンジニアとコミュニケーションすることが求められますよね。

ログラス 斉藤:発想力で言えば、テクノロジーの造詣が深いと発想力が深まることもあると思います。
純粋にこの機能を作りたいとリクエストしたものが、エンジニアから見れば難しいことがあります。たとえば、Excelのピボットテーブルは普段当たり前のように使っていますが実際に開発するとなるととても難易度が高いと思います。
技術的な実現可能性を考慮したうえで、エンジニアチームに「こうすれば実現できるのでは?」と会話ができるのはPdMとして大きな強みになると思います。
エンジニアの経験があると、プロダクトと事業の行き来が身についており、その間にある文脈を補完する力がある方が多いと感じています。

テックタッチ 中出:僕は逆にエンジニア出身ではない強みを発揮したプロダクト作りができているかと思ってます。
やりたいことを見つけて、どこに金脈があるのかを経営の視点で考えてプロダクト開発の方向性に落とし込んでます。チームのエンジニアメンバーと一緒に、「こういうニーズを解決するためにはどうしたらいい?」とそこそこ大きな玉をお願いして具現化しています。
苦手分野を補完してできるチームプレイなので、チームには感謝しかないですが、それも含めて面白いと感じています。

急成長するスタートアップでPdMを担う面白さ

ーー各社、ここが面白い!ポイントを教えてください。

ログラス 斉藤: ログラスのターゲットは経営領域です。経営の知見や経験があるもしくは世の中に変化を起こしていくようなプロダクトに関心がある方は面白いと感じていただけるのではと思います。

世の中にでていない、経営のリアルな姿をみて経営を一緒に支援できるのも面白い。考えないといけないことが多いし、深い知識が求められます。アンラーニングが好きな人には最高の環境ですね。

UPSIDER 森:UPSIDERは、技術転換が起こっているこの時代に金融領域をプロダクトマネージャーの発想力でドラスティックに変えていける感覚がとても強いです。
例えば、これまでだったら、1億円のキャッシュが手元にあるのに、それに見合う利用限度額が付与されているクレジットカードは作れないという世界でした。

金融ってレガシーなオペレーションがかなり残っていて、そこにテクノロジーをぶっ刺して、プロダクトマネージャーの創造性や発想力で、現代だからこそできる新しい体験で世の中を変えていけるのって、めちゃくちゃ熱くないですか!?

私たちのユーザーは成長しようとしているスタートアップ企業が多く、フィードバックも本当に熱いんです。先日もSNSのDMで「UPSIDERで経営が救われたのでこれからも期待してます」といったメッセージを頂いたんです。
決済基盤って当然ものすごく広くユーザーとって必要不可欠なものだし、発想力次第で世界を変えられるんだなという手応え感がすごくあるってめちゃくちゃ面白いですよ。

テックタッチ 中出: 国のシステムが結構使いづらかったり、社内の経費精算システムがどうなってるんだ?っていうUI/UXだったりすることは多いですよね。
DXして色々システム化していかないといけないけれど、一方で取り残されている人もいる。その人たちに対してDXの恩恵を感じさせることができるというのはまず面白いと思います。

よくPdMはミニCEOと言われてますが、うちでは本当にその通りですし、そのダイナミクスがあると思います。
うちは今はデジタルアダプションという市場で戦っていますが、もしかしたらビジョンを実現するためには違う手法がいいかもしれない。新規事業をはじめてみてもいいと思っていて、その大きな方向を決められる面白さがあると思っています。
また、その際に、もちろん色々な意見調整が必要になるんですが、最終的にいい人が多いので、意見調整はそんなに苦しくなかったりもします(笑)。
そこは本当にテックタッチのよさだなーと思いますね。

ーーありがとうございます!最後に、チャレンジを考えているPdMにメッセージをお願いいたします!

ログラス 斉藤:PdMって、ポータブルな仕事ではないと思います。1つの会社に長く在籍していると、新しいチャレンジをするのは難しくなると思っています。
例えば30代、40代で転職を考えると、経験や知識が豊富になるぶん、アンラーンすることが難しくなっていきます。そのような世代だからこそ、「慣れた環境」ではなく、あえて変化を楽しむ、新しい環境に身を置くことが成長のきっかけになるかもしれません。

PdMという職業は、変化を楽しめる人であることがとても重要だと考えます。仮に今「同じことを繰り返しているな」と思うのであれば、新しいチャレンジをするべきだと思います。ログラスのメンバーも新しいチャレンジを定期的にできるよう、仕組み化しています。PdMとしてより大きな目標を実現したいと思う方には、ぜひ積極的にチャレンジしてほしいです!

テックタッチ 中出:テックタッチのPdMは、いわゆる「ベンチャーっぽい」PdMだと思います。全社を横断して色々な部署とも連携したり、裁量も大きい。それゆえに、自分の成長も見えやすいし、テックタッチというプロダクトによってユーザーのイシューをたくさん解決できることにやりがいを感じられる環境にあると思います。今後、新規プロダクトの予定もアリ。「広く深くやっていきたいPdMの方」は一緒に頑張っていきたいです。

UPSIDER 森:PdMって「成長のジレンマ」がある職業だと思います。
プロダクトのフェーズが若い時は、プロダクトグロースのためにアレもコレもとやらなきゃいけないし、やらせてもらえる。
けれど、プロダクトや組織が成長していくと、自分の求めるチャレンジよりも、そのプロダクトや組織を優先しなければならないこともあったりすると思います。そして、そんなタイミングで新しい環境に飛び込むのはちょっと不安に感じることもあると思います。

ただ、ひとつ言えることは、私自身はこの急成長しているこの世界に飛び込んでみて、毎日刺激的でめちゃくちゃ楽しく過ごしています。
今まさに、新しい技術や社会環境の変化によって、PdMが駆動源となって世界を大きく変えていくチャンスだと思っています。

そんな挑戦に一緒に飛び込んでくれる方と是非一緒に仕事がしたいです!


各社プロダクトマネージャーを大募集しています!
少しでも気になった方はぜひお話しましょう!

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