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生きることのプロフェッショナルに徹する

2022年10月12日、ロイトムソンホールでトロント交響楽団の演奏会を聴きに行きました。


Roy Thomson Hall

パンデミックで長いこと演奏自粛を強いられたエンタメ業界ですが、最近やっと活動ができるようになりました。聴衆のマスク率も以前ほどではなく、自身で守りたい人は付けるが、本人の自由で日本のような同調圧力からのマスク装着はございません。会場では付けたい人がマスクを付けていました(奏者も!)。

しかし、会場に入る前の食事では、レストランに行くとマスク率0%の状況で「流行病にかかるのは当たり前、心配なら家にいましょう!」のスローガンで、どこもかしこも再開しているトロントであります。

さて、会場に入ると、係りの人が立つ横にひっそりと佇む一台の漆黒のピアノ。トロントの英雄グレン・グールドのピアノです。

黒い艶消しで、横にはゴールドでYAMAHAの文字が光る。当時、最もイケてるピアノということで彼に選ばれたのでしょうか…


The Glenn Gould Piano
Piano Description



この夏に実家のピアノを輸送したので、ピアノ移動の大変さは身に染みていて、そんな経験からグールドのピアノを見た時に、当たり前のこと、でも忘れていたことを思い出しました。ピアノって運ぶの大変!(そうじゃなくて…)

ピアニストにとってのピアノは、他の音楽家にとっての楽器とは決定的に異なる部分があります。ピアノは持ち運び困難なので、演奏者は会場にあるピアノを弾くことになります。ここが最も違う点です。

自宅のピアノで練習し、本番も自分のピアノと同じように演奏することができれば、少しはピアニストの緊張も解れるのではないでしょうか?状況に合わせて自分を変える、ピアノに合わせた演奏する、どんなピアノも自分の思うようにコントロールできれば、それがピアニストとして最強です。

そうなるには場数を踏まなければいけないのもひとつで、経験が多ければ多いほど、その部分に強くなるのは当然ですが、経験が少なくても「ピアノが違ったから」という言い訳が通用しないのもプロフェッショナル。それも含めて実力と評価される世界です。

つまりは、です。これ生きることにも通じるのではないか?と思ったのです。

世の中は刻々と変化していて、その度にアップアップしてしまうのでは疲労します。いつでも、どんな時でも、余裕でかわしたいものだと私も常々思います。世の中の状況に合わせて自分をコントロールする力、自分を変化させる力があれば疲労も少なくてすみます。今まで以上にそのような力が個人へ問われているのではないでしょうか?

余裕を持つには、腹をくくること。ひとりひとりが自分の行動に責任を取り「生きることのプロフェッショナルに徹する」ことで、もっと世の中が生きやすく感じるのではないかな、と思うのです。

物価高だから、円安だから、給料が少ないから、政府が悪いから、少子化だから、老人大国だから、と他のせいにしても誰も助けてはくれません。

レストランでのマスクなしを見て、グールドのピアノを見て、元気のない日本を励ます気持ちになった次第です。世界の人は自己責任でたくましく力強く生きている!ひとりひとりが何十年も人間やっているのだから、既にみんなプロフェッショナル。



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