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DIAPASONというピアノをご存じですか?

世界三大ピアノといえば

・ スタインウェイ&サンズ(STEINWAY & SONS)

・ ベーセンドルファー(Bosendorfer)

・ ベヒシュタイン(C.BECHSTEIN)

DIAPASONは三大ピアノのひとつであるベヒシュタインと似ていることから【和製ベヒシュタイン】と呼ばれるようになりました。


ベヒ


DIAPASONは「オオハシピアノ」の創業者、大橋 幡岩(おおはしはたいわ)氏によって作られました。


大橋幡岩氏


彼は日本楽器製造(現:ヤマハ)のピアノ職人でした。

当時の技術責任者であった、後の河合楽器製作所(カワイ)の創業者、河合小市(かわいこいち)氏のもとで、ピアノ名工として、小市氏と並び称されるピアノ技術者となります。

彼は大量生産へと方向転換するヤマハに反発し、理想のピアノ作りを求めて独立します。そして、ヨーロッパのピアノに「追いつけ、追い越せ」と、ドイツのベヒシュタイン社へと修行に出ます。

そこで、手づくりを主流とするヨーロッパの名器に採用されている「総一本張り帳弦方法」の技術を取得し、自身のピアノ作りに取り入れます。

一般的にピアノの弦は、上部ヒッチピンに掛けて2弦ずつ張られていますが、DIAPASONグランドピアノの一本張りは、すべての弦を一本ずつヒッチピンに巻き帳弦されています。

この方式により、不均衡を阻止することができ音色が濁りのないクリアなものになり、音の幅が広がり、演奏者の音楽的要求に応えることができます。

ハンマーはドイツ製「レンナー」

弦もやはりドイツ製「レスロー」

アクションは拘りぬいた木製


弦はレスロー

※ 画像:島村楽器


理想を追求したそのピアノは、奇しくも音楽的価値で世界を凌駕した、ベヒシュタインに音質が近いと評されました。




実際に弾くと、音の立ち上がりがよく、良くも悪くも、弾きての指の繊細な動きを瞬時に読み取り、音として表現してくれるピアノです。

それだけに、そのようなピアノで練習、研磨することで、本番はそこにあるピアノであっても、いつもと同様、もしくはそれ以上に弾くことができます。

現在、DIAPASONはカワイに買収されました。そして残念なことに、新品だと中の部品が木材でなくなってしまっています。ここでもコスト削減、大量生産による負の恩恵を被っています。DIAPASONの名を残すためとは言え、それはとても嘆かわしく悲しいです。

日本の隠れた名工によって造られた豊潤な音を奏でる宝石のようなピアノがあることを、世界に通用するのはヤマハだけではない、ということを世界中に知っていただくには、どんなにコストがかかっても拘りを貫くことが大切だと思うのです。

最近、人気急上昇のFAZIOLIのように!



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