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ARを作る前にデザイナーが知っておきたい用語 その2

ARをデザインするときに知っておくと便利な言葉の紹介、第2弾です。
前回はこちら↓


パススルー(Pass-through)

目を覆ってるデバイスはカメラを通して現実を見ている

「パススルー」は、デバイスについているカメラで撮影された映像にCGを重ね合わせることを指します。
「ビデオシースルー」とも呼ばれ、Apple Vision ProやMeta Quest、PICOといったVRも体験できるゴーグル型・ヘッドセット型のデバイスが当てはまります。
UIデザイナーとしてパススルーのメリットとして感じるところは、シースルーに比べてUIがはっきりと表示できるという点です。映像の上にUIの映像を重ね合わせるので、UIは透けず色がはっきりと表示されます。また、現実空間の環境の変化(明るくなったり、暗くなったり)によってUIの視認性が変わるということも少ないです。
デザインする際に考慮する必要があるのが、現実空間は映像なのでレンズの歪みやラグ、色味の違いなど、カメラが間に入ることによって生じる違和感です。ARの内容によっては体験に支障を与えることもあるので気をつけていきたいです。


シースルー(See-through)

目が見えるデバイスは半透明なディスプレイ越しに現実を見ている

「シースルー」は、目で見ている現実空間に半透明なディスプレイや映像の反射などによってCGを重ね合わせることを指します。
「光学シースルー」とも呼ばれ、Magic LeapやXREALといったグラス型のデバイスが当てはまります。
パススルーとは違い直接現実を見ているため、歪みやラグはありません。ただ、半透明なグラスを通して見ているため、サングラスのように明るさが落ちた状態になります。
重ね合わせるCGは半透明になりがちで、昼間の屋外のような明るい環境だとUIが溶け込んで見えなくなってしまうこともあります。また、暗いところでも色によっては視認できないので、デザインする時はデバイスの特性をよく把握する必要があります。


3DoF(Three degrees of freedom)

頭の動きだけ認識できる

ARデバイスにおける「3DoF」は、装着している人の首の動き(前後・左右・回転)がARに反映されることを指します。
装着している人の移動は検知できないため、表示しているUIとの距離を詰めたり離れたりすることはできません。代わりにコントローラーやハンドトラッキングを使った手での操作によりUIを移動させることで補います。


6DoF(Six degrees of freedom)

頭の動きと体の動きが認識できる

ARデバイスにおける「6DoF」は、装着している人の首の動き(前後・左右・回転)に加え、体の移動(前後・左右・上下)もARに反映されることを指します。
UIに近づくためにコントローラーやハンドトラッキングによる手での操作が必要なくなります。自然で違和感のない動きになるため、没入感のあるAR体験が可能です。


ディミング(Dimming)

周囲を暗くして、ARを見やすくする

「ディミング」は調光という意味で、現実空間の明るさを調整する機能を指します。
Magic Leap2やXREAL Air 2 Proといったシースルー型のデバイスに備わっている機能で、ARが見やすいようにグラスの透過度を変えることができます。(グラス部分がどんどん黒くなっていき、現実空間が暗くなって見えるようになります)
アプリのシーンによって透過度を設定することが可能なので、デザインをするときにも考慮に入れる必要があります。


ハプティクス(Haptics)

オブジェクトに触れた時の触感を伝える

「ハプティクス」は、仮想オブジェクトに触れたときに振動や圧力、動きなどによって感触を伝えることを指します。
コントローラーやスマートフォンの振動はよく目にしますが、最近は指輪や手袋型でより豊かな感触を伝えるものも開発されています。


レイ(Ray)

コントローラーから伸びるレイは指し棒みたい

「レイ」は、コントローラーや手から発射される、遠くのUIやオブジェクトに作用するための機能です。
パソコンのマウスカーソルのように、UIに触れたら色が変わったり、オブジェクトを掴んでいるときに釣り竿のようにしなる形に変わったり、状況によって色や形を変えたりすることができます。

選択の仕方についてのまとめ記事はこちら↓


コライダー(Collider)

当たり判定があるから選択できる

「コライダー」は、Unityにおいてオブジェクトに対して物理的な衝突を表現するときに設定する機能のことを指します。
コライダーで当たり判定が設定されていないと、オブジェクトにレイが当たってもすり抜けてしまいます。完成後に「ここもレイが当たって欲しかった…!」とならないように、デザインするときに考慮漏れがないようにしましょう。


終わりに

ARのデザインをするときによく耳にする言葉について紹介しました。
プログラマと会話する時にも使えるので、ぜひ覚えていきましょう。

参考になったよ!という方はぜひ、「スキ」&「フォロー」をお願いします。

今後もUIデザイナー向けUnity使い方やUXUIデザインで気づいたことなど、XR関連の記事を書いていきます。

では、また次回!

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