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魚柄仁之助の生活防衛レシピ 第23回

魚柄仁之助の生活防衛レシピ 〜第二十三回 大トロ梅煮いわし!~

鰯や鯖の水煮なんて缶詰でしか食べた事がない…
そりゃあ、もったいない
タイトルに「大トロ」と書きましたがこれ、こけおどしではありません
料理本には書かれていない独特な煮方ですが、
・臭みがない
・火にかけるのは沸騰まででおしまい
・調味料は塩と梅干だけ
・身がふんわり軟らかく、口の中でとろける
こんな煮鰯が作れるんです

鮪のような大きな魚を「丸ごと一匹」売る店はあまりないでしょうが
いわしならスーパーでも「尾頭付き」で売っていますね。
特に梅雨時の鰯は「入梅いわし」と呼ばれ、脂がのって旨いのです。

1.鰯の頭を切り取り、切り口に割り箸を突っ込んで内臓をかきだす
 *突っ込んだ割り箸で腹の中をかき回すと内臓はきれいに出てきます
 その後腹のなかを水で洗う

イワシ

2.空の鍋に鰯を入れ、薄切りにした生姜とちぎった梅干を散す

いわし2

3.鰯の表面が隠れない程度まで水を入れる
 味付けの塩は2~3g(小さじ1杯)入れる
 蓋をして中火にかける

いわし3

4.沸騰直前まで加熱する
 ここからが独得な煮方です
 蓋をして中火で加熱すると、やがて蓋がカタカタしてきます
 一寸ふたをとってみて、こんな感じになったら火を止める!
 だれが、どー見ても、まだ生の鰯に見えますが
 躊躇なく火を止める
 アクをとる必要はない。そもそも沸騰していないからアクが出ない。

いわし4

さ、ここからの15分間がタオルケットの魔術師タイムです
蓋をしたままコンロから下ろした鍋をタオルケットで包んで15分間放置します
もし包まなければ鍋の温度はあっと言う間に下がってしまいますが、包んでおくと15分後でもまだ80℃位に保てるのです

5.保存容器に移す

いわし5

すぐに食べるなら容器に移す必要はありませんが、こうしてすぐに冷ませば冷蔵庫で一週間くらい作り置き惣菜として保存ができます

6.お皿に盛りつけた大トロ梅煮いわし

いわし6

これで完成なんですが、見た目、生っぽいでしょ?でも中心部まで見事に火が通っているし、大トロとしか言いようがない位に脂が乗ってとろ~りとした味なんです。
醤油や味噌で煮るのが一般的でしょうが、塩と梅干と生姜で煮ると和洋中なんにでも使えます。サラダとかサンドヰッチとかペーストにも合いますが、なんてったってこのままガブリっとやるのが一番ですね。

煮方の種明かし
Q:半生状態で火から下ろしてもいいの?
これまで煮物をする時って「沸騰したらそれから〇〇分間煮る」を教わって来ませんでしたか?しかし食物に含まれる成分(デンプンとか蛋白質など)の性質は異なりますから
美味しく、安全に煮るために適した温度って素材ごとに違うんです。
根菜類は90℃位が適温だし、米や豆類は98℃くらいと言われています。
一方豚肉とか鰯のような魚肉=動物性蛋白質を軟らかく
しかも臭みを出さずに加熱するには
75~85℃位が適温なのです。もし沸騰(100℃)で煮続けると
魚肉が硬くなり、嫌な臭味が出てきます。
火から下ろした時の鰯の中心部はまだ50℃くらいでしょう。
しかし火から下ろしてバスタオルで包んで保温している間に沸騰寸前だった煮汁(100℃弱)の熱が鰯の中心部まで徐々に伝わって行き、結果として鰯全体が80℃位になっています。
又この温度で15分間保温しましたから食中毒を起こす菌類もほとんど死滅するそうです。
Q:鍋を包むのはバスタオルだけなの?
鍋の温度が下がらなきゃいいのですから、
新聞紙でも、タオルケットでも、発泡スチロール容器に入れても
構いません。身近にある保温力のありそうなものをお使いください

   プラスαこんなにお得です
・ガス代が安くなる。カレーでも豚汁でもガスコンロにかけるのは
沸騰までですからガスの使用量が少なくなります
・時短料理に便利。例えば朝のお出かけ前に煮物を火にかけ、
沸騰と同時にバスタオルで包み、そのままお仕事に行きましょ。
帰ってくるまでの8~10時間で煮物は完成していますから
帰宅後軽く温め直せばOKです。
気温が30度になるような暑い日でも蓋がピッチリできる鍋でしたら
雑菌が入ってこないので傷みません(途中で蓋を開けたら雑菌が入りますが)
・・・・・・・
なおここで紹介した「保温調理」のことは自著「台所リストラ術」に詳しく書いてあります。


おさかなに火を入れすぎて固い&臭くなることが多々あります。。。このやり方なら失敗せずにふっくらできそうですね! スーパーやおおさかな屋さんでも頭と内臓を処理してくれるところは多いので頼んでしまえばより一層ラクチンです!! 今回は編集担当kさんからのレポです!

私の不手際でアップするのに時間がかかり、梅雨明けしてしまいましたが(先生すみません…)、これは本当に失敗なく美味しくできます。
近所のスーパーで入梅鰯が350円で売っているのを見つけました。

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これで最高のごちそうが作れます。
血合いを洗って、冷蔵庫にあったしょうがと梅干2個と鍋に入れ、水を張って塩を入れます

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沸騰寸前で火を止めます。料理開始からここまで5分もかかっていません。
ふたをしたまま鍋ごとバスタオルでくるみ、15分たった画像がこちら

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イワシはまだピカピカで生っぽく見えます。タッパーに入れて冷蔵保存しましょう

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5日経った週末、めでたく家飲みのお供になりました

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魚の生臭みが全然なく、身はしっとり、塩と梅の味付けはあっさりで、お酒のおつまみにも最適。
しかもこれ、冷蔵しておけば日持ちします。でも、いつもあっという間に食べてしまうのですが…
サバを煮たときも書きましたが、時短でガス代も節約でき、身質も味も煮込んだよりはるかにおいしくなるのですから、これ一択。やらない手はありません。保温調理の実力、恐るべしです。

猛暑でガス台の前に立つのも、いや料理を作るのすら億劫になっていませんか?? ほったらかし&日持ちする料理おすすめです!!うおつかレシピはアレンジもしやすく、大人のおつまみからお子さまの夕飯にまで変身します!是非、お試しください~

魚柄仁之助先生の台所リストラ術をもっと知りたい方は、飛鳥新社のページをチェックしてみてください。

うおつか流台所リストラ術 ひとりひと月9000円 | 株式会社 飛鳥新社
腸を元気にするレシピ109 | 株式会社 飛鳥新社
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