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AOE2DE 3月新DLC「#勝者と敗者」キャンペーン概要(3)前編 中東欧~中央アジア

今月リリース予定の新DLC、「勝者と敗者」から中東欧~中央アジアを舞台にしたシナリオ6つを取り上げる予定でしたが、長くなりそうなので記事を分けました。後編はこちら


前段 東ローマとササン朝ペルシアの抗争

AOE2の主な舞台は5~16世紀の中近世ですが、「古代」から生き残っている帝国が2つありました。それが東ローマ(ビザンティン、4世紀?-1453)とササン朝ペルシア(226-651)。この2国は西ローマが滅亡しても中近東で抗争を続けます。共倒れのような格好で生じた空白地帯が、遊牧民が侵入したり、イスラム帝国が勃興したり……というドラマの舞台となりました。「歴史上の戦い」に557年 ブハラというシナリオがあります。ホスロー1世がエフタルとの戦いの一環で勝利し東方に勢力を拡大したものですが、これがペルシア最後の最盛期となってしまいました。その後、外交的に孤立したペルシアは東ローマや突厥(テュルク)に挟撃され、最後はイスラム教徒に征服されて滅亡の途を辿ります……

985年 セルジューク

文明: トルコ 難易度: 高
カスタムキャンペーンでのタイトルはRise of Seljuksセルジューク(生年不詳-1007or1009)自身はセルジューク朝(11~12世紀)の創始者、トゥグリル・ベグ(990-1063)の祖父にあたります。前回DLCの「山中の王族」シナリオでもセルジューク・トルコは敵役として頻出しますが(たいてい緑色)、その王朝がどのようにして興ったか、を扱うミッシング・リンク的なシナリオですね。AOE2で「トルコ」といえば即帝王から大砲やイェニチェリを出すのがチーム戦での役割みたいなところがありますが、元々はモンゴルやタタール、フンのような草原の遊牧民が由来ですし、ゲーム内でも強力な弓騎兵が出せます。
※ゲーム内では文明: オスマン帝国ですが、セルジューク・トルコをオスマンと呼ぶのは違和感があるのでこの年代ではトルコと表記します。
「歴史上の戦い」に少し前の年代で895年 ホンフォグラス(マジャール)というのがありますが、これも拠点を持たない遊牧民が土着民を征服して新たな国家を建設するシナリオですので、あわせてプレイしてみることをお勧めします。

1081年 コムネノス

文明: ビザンティン 難易度: 高
ビザンティン皇帝アレクシオス1世コムネノス(1048or1056-1118)の生涯を扱ったシナリオ。カスタムキャンペーンではThe Byzantine Restoration、ビザンティンの再建というタイトルです。「歴史上の戦い」にある1071年 マンジケルトでセルジューク・トルコに惨敗した後の困難な時期に、クーデターでドゥーカス朝を打倒。自ら皇帝に即位してコムネノス朝を開いた英傑で、最近話題のWeb発コミックの主人公アンナ・コムネナの父親でもあります。

即位当初からノルマン人や東方の異民族と抗争し、のちにローマ教皇に傭兵を要請したことが第1回十字軍に繋がります。息子のヨハネス2世(アンナ・コムネナの弟)も優秀で、親子2代でビザンティン帝国に小康状態をもたらしました。シチリア(ノルマン人)との抗争やその後の十字軍についてはこちらの記事も参照してください。

脇道(1) トロス2世とサラディン

ここでちょっと脇道に逸れます。上述のヨハネス2世コムネノス(1087-1143)は1136年に帝国東方へ遠征。キリキアを併合し、現地の王レヴォン1世を捕らえて獄死させます(1140)。この時にからくも脱出して難を逃れたキリキアの王子がトロス2世(1110頃?-1169)、DLC「山中の王族」のアルメニアのキャンペーン(1141-1169)の主人公です。彼は最終的にヨハネス2世の次代であるマヌエル1世(1118-1180)に臣従することにはなりますが、後のキリキア・アルメニア王国が成立する礎を作ったと言えるでしょう。
さて、第1回十字軍が1099年にエルサレム王国を建国してから数十年。イスラム教徒側にサラディン(1137-1193)という英雄が現れます。詳しくは触れませんが、彼は1187年にエルサレム王国軍を撃破して都市エルサレムを奪還。第3回十字軍を破って中東に覇権を確立したのでした。詳しくはAOK時代からあるキャンペーンシナリオ(1168-1191)でプレイしてみてください。どのみちこの後みんなモンゴルやティムールやオスマンに滅ぼされるんだ

1185年 テムジン

文明: モンゴル 難易度: 中
言わずと知れたチンギス・ハーン(1161-1227)の若き日を扱ったカスタムキャンペーンシナリオ、Rise of Genghisの移入です。大帝国を築いたチンギス・ハーン(厳密にはチンギス・カンと表記するのが正しいそう)も、若い頃は諸部族との抗争で苦戦することもあったのだと知れるでしょう。シナリオは妻を敵対部族に誘拐されたところからスタート。妻を奪回して、近隣の有力な部族と一時的に婚姻したり、盟友ジャムカと袂を分かったり。金や西夏に遠征したり……と忙しいようですが、農民を自由に増やせないことを除けばさほど困難なシナリオではありません。

なおAOK時代からのキャンペーンシナリオでも、チンギス・ハーン(1206-1241)があります。これは主に中央アジア~西アジアや東欧、更に中国南部への征服行を扱ったものですから、多くのシナリオでは彼の部下や子孫が主人公になっています。

脇道(2) 建国者タマル

DLC「山中の王族」ジョージア(グルジア)のキャンペーン(1185-1211)の主人公タマル(1160?-1213)。彼女自身はジョージアを地域覇権国家として樹立しましたが、娘のルスダン女王の代にモンゴル軍によって併合されてしまいます。次項でも多く出てくるモンゴル被害者の会・会員No.1ですかね……

1203年 ムスチスラフ

文明: スラヴ 難易度: 高
東スラヴ民族のスモレンスク公の息子であるムスチスラフ・ムスチスラヴィチ(1176以前-1228)を扱ったカスタムキャンペーンシナリオ、Mstislav the Boldの移入。クマンやキエフ公国との戦いで頭角を現し、従兄弟のムスチスラフ3世(紛らわしい!)をキエフ公位に就けるなどしたスラヴ民族の英雄の一人です。後のウラジミール大公アレクサンドル・ネフスキーは彼の外孫の一人で、こちらもカスタムキャンペーンになっていますので興味のある方はご覧ください。
なおムスチスラフ達は、1223年のカルカ河畔の戦いでモンゴル軍に敗れます。この時に一緒に負けて逃げたのがクマンコチャン・ハーン(生年不詳-1240頃)で、詳しくはコチャン・ハーンのキャンペーンシナリオ(1222-1242)第1戦をプレイしてみてください。その後もモンゴル軍はジョチ・ウルス(ゲーム内では金帳汗国/Golden Horde標記)を形成して東欧に蟠踞しました。ブルガリアのキャンペーンシナリオ(1277-1281)に登場するイヴァイロ(生年不詳-1281)もその被害者の1人でした(第3戦がお勧め)。

中近東シナリオの14世紀以降は次記事に譲ります。

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