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ギスギスがキラキラに変わった

変わったのは、場所ではない。わたしがそれだけ変われたのだろう。


1年と数ヶ月前、わたしは三足のわらじを履いていた。

その頃、ライターの世界に飛び込んでみたばかりだったわたしは、元々やっていた仕出し弁当と夕刊配達とをまだ掛け持ちしていたのだ。

当時は次男がまだ入園前。今考えてみても、一体どうやって過ごしていたのか自分でもわからない。若かったのかな。ギリギリ二十代だったし。



今日の取材先は、その弁当を配っていたエリアだった。

弁当配達には、あまりいい思い出がない。お客さんはいい人たちだったけれど、会社がトンチンカンで、配達員をまとめていた方はヒステリックで理不尽な人だったから。

当時は車で走り、路駐をしてはダッシュで配達をしていた。その後も車で走ることがある道なのだけれど、平然と通れるようになったのは、実はたった数ヶ月前のことだ。我ながら、ダメージを受けていたのだなあと思う。


そんな通りを、今日ははじめてゆるゆると歩いた。車が通りづらい路地に入り、商店街へ抜ける。なんていいところなんだろう。そんな気持ちになった。

ギスギスした気持ちにさせた雑居ビルも、どこか魅力的に見える。はじめて歩いてみた通りには、独り身なら立ち寄りたいと思うような飲み屋があった。(子どもよ早く成長してくれ)

どこかきらめいて見える街並み。自分の状況が変わるだけで、こんなにも違って見えるものなのだなあ。


なお、別に特別おしゃれな街に行ったわけではない。至ってふつうの、生活感のあふれる郊外だ。

それなのに、その生活感が愛おしい。見知らぬ人たちの知り得ぬ生活なのにね。

場所には記憶が残る。次にここを訪れるとき、わたしはどんな気持ちになるのかな。


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