昧爽をもたらすメッセージ
どこかに行きたいと思っていた。だけど未成年のわたしはどこにも行けなくて、夜になるとパソコンをつける。
デスクライトとパソコンの灯りがぼうっと部屋を照らす。ピアノの鍵盤を叩くように、キーボードを夜中打ち続けた。
物語でなら、わたしはどこにだって行ける。笑って、泣いて、大好きな人といつまでも一緒にいられることだってできた。……それでも、少し思っている。大人に近づくたび、向こう側へ行くチケットが多くいるようになったと。
子どもの頃はタダだったのに、大人になるにつれて入場料が必要になるのかな。つまんない。大人なんて、つまんない。
画面では、気弱な男の子が自由に冒険の旅に出る。こんな風に、わたしもいつかどこかに行けるって思っていたのに。魔法なんておとぎ話だ。
この間更新した話にメッセージがきているのに気づき、開く。そして、何度も瞬いた。
「魔法にかけられたような気持ちになりました!」
外は夜明けを迎える。
お読みいただきありがとうございます。サポートいただけました暁には、金銭に直結しない創作・書きたいことを書き続ける励みにさせていただきます。