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疳の虫をつまみ封じる

子どもの頃から、目と目の間のあたりに、少しだけ青く血管が透き通って見える。

「疳の虫が強い子によくあるんだわ」

祖母は言った。“疳の虫が強い”とは、気性が荒いといったらいいのだろうか。夜泣きやかんしゃくがひどい子どものことを指すようだ。

“疳の虫”と血管との因果関係はわからないけれど、確かにわたしは疳の虫が強い子どもだったらしい。虫封じをしてもらいに神社に行ったという話も聞いている。


長男のかんしゃくが、ここのところひどい。すでに赤ん坊はおろか幼児ですらないのだけれど、朝も夜も、トチ狂ったように泣きわめく彼に、ほとほと手を焼いている。

どうコミュニケーションをとればスムーズにいくのかがわからず、わたしまで気が狂いそうになってしまっているものだから、最近ではその場を離れることが多い。そうでもしないと、いつか虐待に走るのではないかと思うくらい、心身が悲鳴をあげてしまうから。

ただでさえ、我が家は次男の我が強くて、これまでもかなり苦労をしてきている。その上に、長男。もはや、わたしは何かの精神修行をさせられているのではないか。そんな気持ちになる。

小学校での緊張感からの反動か、疲れなのか。原因はわからない。突然スイッチが入って爆発するのが、平日は毎日続いている。


わたしはというと、大音響の彼の泣き声を前にすると、文字通り心身の機能がストップしてしまうようになっている。今も別室に避難中だ。腹痛を抱えていることもあり、ベッドに倒れてスマホでnoteを書いている。

本当は、もっとがんばらなくてはいけないのだろう。

そんな思いが、ぽかりと心に浮かんでは、「でも、どうやって?」という問いかけに変わっていく。


自分の内側から噴き出してくる感情は、自分で収めなくてはいけないものだ。収められるようにならなくてはいけないものだ。

家でくらい暴発してもいいけれど、そのあと落ち着きを取り戻す練習はしなくてはならないと思っている。

長男のかんしゃくが“疳の虫”かはわからないけれど、衝動を抑え、虫を封じられるのは、最後には自分しかいないのだから、何とかその術を身につけてほしいと思っている。


わたしも彼につられて暴発しないように、虫を封じ込め続けなくてはね。

感情の手綱は、いつだって自分の手が握っているのだから。


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