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恋愛映画で泣かなくなった=感情が死んだ?それとも立ち直った?

映画『花束みたいな恋をした』は
絶対に観れないと思ってた。

胸がえぐられて、たぶん吐くほど泣くだろうと思ったから。
過去に引き戻されるのはゴメンだ。

だけど、お勧めされたのもあって
怖いもの観たさで鑑賞することに。
部屋を暗くして、ハンカチ用意。
やるなら、とことん。

「ふ〜ぅ、開始!」





泣かない。悲しくないよ。

え?私、やばくない?感情死んだ?
人として終わった?

見終わってしばらく、
本編とは関係なくボー然とした。
私、変わっちゃった?

だけど、映画を見ていて思い出したことがある。

5年付き合った彼と別れた日のこと。

ある日、電話で結構盛大にケンカをして。
それまでケンカなんてほとんどしたこと無かったんだけど。

疲れていたのか、何か不満だったのか。
でもなんとなく、お互い、なんで付き合ってるのか
よく分からないような感じになっていた気がする。

電話でケンカをして、そのとき
彼が勢いで「もういいよ、別れよう」と言った。

私は、感情的になっているときに、大切な決断をするのは良くないし
電話で話すことじゃない、と。
ケンカの原因は私だったから、ちゃんと謝って
別れたくないことを伝えた。

彼は、感情的になってしまったことを謝ってくれて
別れると言ったのは取り消してくれた。

それから3日後くらいに会う約束をして
私は、彼と会うまでの間に色々なことを考えた。

ケンカの勢いで別れるのは絶対に嫌だったから別れたくないと言ったけど
実際このまま付き合い続けるのがお互いにとって良いのかどうか。
彼が「別れよう」と口にしたことで
私はそんな簡単に別れを決められる相手なんだな、とか。
自分の心の中にあるモヤモヤと
ひとつひとつ向き合った。

答えは出ないまま、彼と会って
はじめはちょっと気まずかったけど
次第に、いつも通りの平穏な空気になっていった。

何気ない世間話をしているうちに
突然、なんとも言えない気持ちが押し寄せてきた。
悲しいとか、つらいとか、そういうのではなく
『あ、わたし達、もう別れたほうがいいな』って。
なんだかもう、終わってるなって。

そして私は「わたしたち、別れようか」って言った。
彼も「そうだね」と言った。

その日は遅かったから泊まって、眠った。
別れたのに、泣くこともなく、しっかり眠った。
次の日天気が良かったから、一緒に散歩にでかけた。

満開の桜の木の下のベンチに座って、缶ビール飲みながら
「わたしたち、別れたんだね。なんか、不思議だね」って
笑いながら話した。

私はこの人の子供がほしいと思ってた。
家庭を築きたいと思ってた。
でもそれは、もう無くなった。
彼が築く家庭には、私は居ない。
それが自然と受け入れられる感じがした。

私は『案外、別れられるもんなんだな』って拍子抜けと
どちらかが拒否するわけでもなく、お互い納得して別れを選んだことに
最後も『あー、この人で良かったなぁ』って思った。

桜がすごく綺麗だった。

私は花の中で一番、桜が好き。

付き合ってから初めて彼と遠出した時
満開の十月桜を見せてくれた。

それも思い出に変わった。


きれいに別れたので、そこから数日間は気分が良かったけど
後日吐きそうなほどの後悔に襲われました。
それはまた別の話。


映画を見て、そのことを思い出して
私の中で「良い思い出」に変わっていたことに気づいた。
それって、立ち直ったってこと、だよね。

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