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詩ことばの森④「誰もいない公園の木々は」

野川という名の川沿いを 歩いていた時に 生まれた詩です
静かな流れを眺めていると 心も落ち着いてきます
風の音や鳥の声を耳にするたび 豊かな気持ちになります
自然に やさしさを取り戻せたような体験でした
見失っていた 大切なことを
川はわたしに教えてくれました

誰もいない公園の木々は

誰もいない公園の木々は
流れる川面にうつる姿を
いつまでも 夢見て

過ぎゆく岸辺の夏
たわわになった鈴を振り
鳥たちの囀りにざわめく  
緑葉のことばの数々を
私は捉えようのない耳で
選り分けて啄ばもうとしても

(午後の光が
やわらかな影を
堤の道に浮かばせて
たたずむ母と子を
あたたかく照らし)

小さなものの耳に
いつまでもささやく
なつかしい風の歌声を
私はまだ 聞きとれずにいた

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