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*小説❀無花果の花❀(第1章)無花果の木      

主人公・山園祥子の生まれた土地は、ある場所をイメージして書いたものですが、読んでくださった方が、自宅の近くや旅行先、田舎等同じような風景を思い浮かべて、想像を膨らませながら読んでいただければと思います。

1、無花果の木(2237文字)
①祥子の誕生(628文字)
②管理栄養士、友香先生の講演/質問コーナー (716文字)
③友香先生の講演/栄養と成分(893文字)

①祥子の誕生  (622文字)
山園家に女の子が生まれた。「山園祥子(やまぞの・しょうこ)通称・祥ちゃん」と命名された。近くの立派なお寺の一文字をいただき、「幸せに満ちた人生を歩んで欲しい」との命名だ。
 この場所は、桜の木に囲まれた公民館と、時計台がシンボルの公園を通り抜け、細い道を進むと、小川にかかる赤い橋が見えて来る。その橋を渡り、並木道を抜けると、青い屋根の大きな屋根が見える。そこが山園家族の住む家だ。

この町は、四方八方を山で囲まれ、綺麗な水が湧き出ている。お肌がツルツルになると言われる温泉と有名なお米や酒蔵、果樹園と大きな道の駅がある。
道の駅は、芝生が敷き詰められ、テーブルも配置され、車いすやベビーカーでも移動しやすいよう整備されている。自然豊かな、すばらしい環境が魅力で沢山の人が訪れている。

 祥子の父親・虎彦は、腕のいい大工の棟梁で、多くの職人が出入りする。
母親のキヨは、世話好きで愛嬌があり、笑顔の絶えない女性である。
両親は、人望も厚く困っている人に積極的に手を差しのべる人だ。
 雪が降り、虎彦の仕事が少なくなる冬場は、キヨが近くの温泉旅館を手伝っている。二人で協力しあい、生活も仕事も順調である。

 虎彦とキヨには、二人の男の子がいた。三人目は、待望の女の子だった。
祥子の誕生をとても喜び、お赤飯でお祝いをした。
 しかし、生まれつき体が弱く、ミルクを飲むとすぐに吐いてしまう。両親は、近所の同じ時期に産まれた子供より、成長が遅いことが心配で仕方なかった。
のちに、このことが祥子の人生を狂わせることになるとは、誰も知るはずもなかった。

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