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詩ことばの森㉑「花はしずかに」

保育園で働いていたときのことです。こどもたちが花壇に咲いた色とりどりの花をながめながら、「お花さん きれいね」と話しているのがきこえてきました。まるで、お友だちに声をかけるように、自然なやさしい言葉が、こどもたちの口から出てきます。お花だけでなく、「スズメさん」「チョウチョさん」と、こどもたちにとって自然は親しい友だちです。年を取るにしたがい、友人がいなくなり寂しいと思うことがありますが、こどものような気持ちをもって生活することができたら、孤独を感じることも少なくなるような気がします。

花はしずかに

こどもたちの声が きこえてくると
花はかすかに からだをかたむけます

花はしずかに きいているのです
あの子の声を ききとろうとして

あの子は小さな指をさしながら 花に話しかけました
きれいなお花さん だーいすき

花はうれしくて からだをゆらしました
こもれびが 花びらに やさしくふりそそぎました

花は あの子の声をわすれません
今日もしずかに 耳をすまします

明るい あの子の声を ききとろうとして
花は こもれびに かがやいています


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