![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/120508277/rectangle_large_type_2_34cc2e67eed48144e3c6f1828a8de6d7.jpeg?width=1200)
詩ことばの森(53)「水の匂いが」
水の匂いが
水の匂いがしている
風もないのだけど
砂利を踏んだ音を
せせらぎに似ていると
昔のきみだったら
そう言うだろう
小鳥があるいている
羽があるのだけど
乾いた川砂に生えた
枯草のかすかな足音を
昔のぼくだったら
聞きわけたかもしれない
この川をまっすぐゆくと
おおきな街へとつづいていて
大きな煙突のある工場を横切って
さして新しくもない
ぼくたちの通った高校があったね
いまはすっかり
舗装された川べりの歩道を
きみが見たらどう思うだろうなんて
どうしようもないことを
かんがえながら あるいている
秋空の晴れた日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?