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詩ことばの森(120)「鐘の音」

鐘の音

暗い鐘の音が 響く丘をのぼり
悲しい季節が 輝きとともに崩れ落ち
白く冷たい風が 黒鳥の影を残していった日

荒れ果てた 河原にさまよい
大空の一片の雲の はかなさよりも
旅人の行方は 定めがたいもの

いつのまにか 星が高く瞬き
彼の部屋に灯りは 厳かに浮かび上がる
神の母の祈りが 繰り返される夕べ

息をついた恋人の瞳にうつる
束の間の平和の世界では
月が黒雲をまとって 立ちあらわれる

(森雪拾)


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