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6話【新緑の壱乃峰で】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~


6話【新緑の壱乃峰いちのみねで】

 雲ひとつない、青空。 まばゆいばかりに降り注ぐ、陽光。
 樹々きぎは、朝日が昇るたびに その若葉を広げ、初夏の陽光を浴びようと。
 5~6回ほど朝日が昇ると、壱乃峰いちのみねの森は すっかり新緑でいろどられていた。


 大平岩おおひらいわの桜並木も、すべて葉桜となって。
 花の跡には、まだまだ小さな さくらんぼ。
 桜並木は東谷街道の奥まで続いていて、葉桜の緑と、結実けつじつした さくらんぼの小さな赤でいろどられていた。

 それらを見ながら瑞貴みずきは、みな
「これらも、樹々きぎの恵み。 そして、森の恵みとなるのですよ。」
と話していた。

葉桜と、さくらんぼ

「へぇー。 小っちゃくても、もう色づいてるのね。
 ほら紅葉もみじ、もっと近くで見てごらん?」

「ほんとに、真っ赤になってますね! めりあ姉さん。
 ……あれ? ねぇかえで。 このさくらんぼ、小さい穴があいてるよ?」

「おねぇちゃん…… それ、いま瑞貴みずきさんがお話ししてた。。。
 虫さんが入ってるんじゃ、ないですか……?
 ほら、こならちゃんも。。。」

「きっと、そうなのれす!
 虫さんに、食べものと おうちを あげてるのれす!
 れすよね、瑞貴みずきさん?」

「その通りですよ。
 この桜は さくらんぼの一つを、昆虫たちに食料 兼 住処すみかとして、つまりは樹々きぎの恵みとして提供しています。」

「この、虫食いのある葉も、同じように。
 昆虫たちも それを分かっていて、すべての葉や実を食べたりせずに、そのがちゃんと成長できるように。
 次世代の芽吹めぶくことが出来るように、しているのですよ。」

「そっかぁ。。。
 もし自分の食べ物や お家になるを ぜんぶ食べちゃったら、その虫さんの子供たちの食べ物や お家も無くなっちゃうってコトだもんね。」

「その虫さん…… だけじゃなくて。。。
 他の虫さんや……  鳥さんや、動物たちも困っちゃうよね、おねぇちゃん。。。」

「良いお答えです、かえでさん。
 今回は そんなお話もしながら、森歩きの道を高台たかだいまでのぼって、季節のお花を見ようと思います。」

「……まだ全員はそろっていませんよね、めりあさん?」

「あ…… のりあは、準備があるから少し遅れるって。」

「そういえば、わたしにも『先に行ってて下さいね』って言ってたのれす。
 ……めりあさん。 さくらさんや 一葉いちようさんは?」

「いま、新作の浴衣ゆかた仮縫かりぬいに行ってるわ。 とっち社長と一緒にね。
 夏祭りで発表会やるんだって。
 ……あ、のりあ! こっちよ!」

「遅れてごめんなさい、瑞貴みずきさん。
 だいぶ、お待たせしてしまったかしら?」

「大丈夫ですよ。 出発前に、さわりのお話しを していたところですから。」

「……そういえば、まだ今回の目的を、お話ししてなかったですね。
 高台たかだいに咲く、この季節の最も可憐で美しいお花『シャクナゲ』を見に行こうと思います!
 楽しみにしてて下さいね!
 それと…… のりあさん。」

「すみません、私からも ひとつお願いが。
 瑞貴みずきさんと めりあには お話ししたのですけれど、そろそろ お花のリキュールを仕込む頃合いでして。
 今日は そのお花の つぼみを頂きますので、みなさんには、それを運ぶのを手伝ってもらいたいのです。」

「OKっす! 頑張ります。。。 はいなのれす!」

「では、決まりですね! 早速、季節のお花を見に、出発しましょう!」


 瑞貴みずきを先頭に桜並木を後にし、カフェ『noliaノリア』を過ぎると、すぐに森歩きの道の入口に。
 そこに咲き誇る桜色の花に、紅葉もみじが いち早く気付いた。

「……あれ? みんなみんな! さくらちゃん、まだ咲いてるよ?」

「おねぇちゃん…… あのお花、桜じゃないよぅ。。。
 ですよね、瑞貴みずきさん?」

「さすが、かえでさん。 よく知ってますね。」

「え!? そうなんですか?
 ここからじゃ、しだれ桜か八重桜にしか見えないんだけど。。。」

「ではみなさん、近くで よく見てみましょう。。。」

タニウツギの花

 このお花は『タニウツギ』といって、紅葉もみじさんの言う通り、桜にも よく似ていますね。
 桜の花が終わって白色の花が多くなるこの季節、桜色の花がよく目立ちます。
 一つの花を間近で よく見ると、桜の花とは少し違うのが、分かりますか?

 あ! ほんとだ!! さくらちゃんのお花とは違うけど、これはこれで、キレイよね!

 うん…… 綺麗だね、おねぇちゃん。。。

 こならちゃん、こっちに見やすいのがあるわよ。
 枝を持っててあげるから、近くでよく見てごらん?

 めりあさん、ありがとなのれす! うわぁ、ほんとにキレイ!!
 よく見たら、お花の形とかが、桜とは少し違うんれすね。

 うふふ。 みんな、楽しそうで良かった!

 タニウツギは花期かきが長いから、また見に来てあげて下さいね。


「続きまして。 桜つながりで、白いお花に行ってみたいと思います。
 タニウツギより、少し大きな
 桜の葉が付いてるでしょう?」

「あった! はい、桜の葉ですね。。。」

「桜の仲間なんれすか?」

「はい。 このの上の方を見て下さい。
 白いお花が見えますか?」

「ふさふさしてて、リスさんのしっぽ みたいなのれす!」

「私も見つけた! なんか、カワイイね。」

「そうだね、おねぇちゃん。。。
 瑞貴みずきさん…… このお花が、前にお話ししてた。。。」

「そうですよ、かえでさん。
 こなたさんの言った通り、白くて ふさふさしてて、桜っぽくは見えないけれど。。。」

ウワミズザクラの花

 桜の仲間『ウワミズザクラ』です。
 ……少し高い所にお花が咲いているから、枝を下げて、近くで見てみましょう。
 小さな桜の花が、集まって咲いているのが分かりますか?

 ほんとだ! ちっちゃくてカワイイ!!

 こんなふうに咲く、桜の花も あるのれすね。 小さくてカワイイのれす!

 ちっちゃくてカワイイって…… こなちゃんみたいじゃない~♪ うりうり。

 えぇー? そんなこと ないれすよー。 紅葉もみじさんとかえでさんには、かなわないれすー!

 うふふ。 めりあ、仲良しさんな あのたちを見てると、なごみますね?

 そうね、のりあ。 こっちのウワミズザクラのにも、たくさんの花が。

 あら、ほんとに。 瑞貴みずきさん、このお花は、いつ頃まで見られるのかしら?

 良い質問です、のりあさん。 みなさんも。
 桜の仲間だけあって、花期かきはすごく短いのです。
 『桜の舞い』でも、披露稽古ひいろうげいこからうたげまで、あっという間だったでしょう?
 このウワミズザクラも、同じくらいの花期かきなので、今を逃すと もう見られないのですよ。

 あ、じゃあ もっとよく見とかなきゃ!
 みんな、こっちに見やすいのがあるから。 

 めりあ姉さん、ありがとう! ほら、こなちゃんも かえでも!

 まっしろで、小さなお花なのれす!

 ……実物を目の前で見ると、綺麗さが…… よく分かります。。。


「……次の、白いお花に行っても、良いかしら?
 まずは、お名前から。 『ヤマボウシ』のお花です。
 日当たりの良いところに一面に咲いているので、白いお花が遠くからでも よく目立ちますね。。。」

ヤマボウシ

 う~ん。 このとがった花びらと丸い花の、デザインセンス……。
 格好良くて、私は好みだわ。

 キレイで、カッコイイ! めりあ姉さんみたい!

 あ…… ありがと。。。

 でもでも…… このお花は。。。
 瑞貴みずきさん…… 私がお話ししても、良いですか……?

 あら、どうぞ! ではかえでさんには…… お花の説明だけ、お願いしようかしら。

 はい。。。 白い十字の花びらに見えるのは…… 実は花びらではなく、花の台座の部分が変化したもの、だそうです。。。

 さっすが、わが妹! 物知りぃ~♪
 ……って、えぇ!? コレ、花びらじゃないのぉ!?
 じゃ、ほんとのお花は、どこどこ?

 はい。。。 十字の真ん中にある丸いのが…… 小さなお花が集まって咲いている、そうです。。。

 びっくりなのれす!
 よく見たら、すごく小さなお花が、いっぱい咲いてるのれす!
 ……でも瑞貴みずきさん、なんでヤマボウシさんは、こうゆう咲きかたを するのれすか?

 はい… それでは、ヤマボウシさんの気持ちになって、お話ししましょう。
 私のお花は、小さなお花。 いろどりも少なく、集まってひっそりと咲いている。
 でもこの花では 目立たなくて、花粉を運んでくれる昆虫たちが、気付いてくれないかもしれない。
 そこで、私達は考えました。 
 『大きな花びらに見えるように、すれば良い!』のだと。
 こうして、花の台座となる部分を、大きな白十字の花びらのように変えたヤマボウシさんは、昆虫たちからも大人気となり、また、こうして私達の目も楽しませてくれるようになったのでした。

 うふふ、素敵なお話ね。

 すごいのれす!

 ヤマボウシさん、スゲェー! 私も そんなパフォーマンスができるように頑張るね!


「……そうね、私も楽しみにしてるわ、紅葉もみじさん。
 いま紅葉もみじさんが、良いことを言って頂いたので、私からも一言。
 このように を知ると、に教えられることも たくさんあります。」

「そして、とは…… 実りあるもの。
 みなさんも から学んで、多くの実りを得られたなら。
 森のかたとして、こんなに嬉しいことは ありません。」

「では次は、実りつながりで、大いなる森の恵みであるドングリを実らせる、『コナラ』のもとへ、まいりましょう。。。」


「あ! みんな見て見て! 『瑞貴みずきさんの切り株』だぁ!!」

「うふふ。 こならちゃんは、そう呼んでるのね。」

「でもでも、そう呼びたくなるの、分かるなー。
 ココに座って でてる瑞貴みずきさん、すごく素敵だもん!」

「ふふっ。 照れますね…… 紅葉もみじさん。
 そういえば先日、とっちと こなたさんとで来たら、みなさんに一つお話ししたい事を見付けましたので、ここで披露したいと思います。。。」


 この大きなスギの切り株に、小さな広葉樹こうようじゅ芽生めばえているのが、分かりますか?
 これは、コナラの稚樹ちじゅ。 上を見て下さい、その母樹ぼじゅがあります。
 母樹ぼじゅに実ったドングリが、切り株で発芽はつがして、今の状態になっています。
 針葉樹しんようじゅであるスギが無くなってしまっても、その切り株を栄養に、広葉樹こうようじゅであるコナラが育つ。
 まさに、森の調和や共生を端的に表している光景、と言えるでしょう。


 ……お花の話に移りますね。
 コナラのは、葉が開くとともに お花をつけるので、黄色の房状ふさじょうの お花が見られるかと思います。

 瑞貴みずきさん、もしかして、コレじゃない?

 めりあさん、ありがとう。 よく見付けてくれました!
 みなさん、まずはこのお花を良く見るとしましょう。

コナラの雄花おばな

 さっきのウワミズザクラみたいに、ふさふさして見えるのれす。

 そうだね! つぶつぶが集まって、ふさふさしてて…… 動物のしっぽみたーい!

 小さなお花が集まって咲いてる…… んだけど、ヤマボウシさんとかとは違って。。。
 これは、雄花おばななんだよ…… おねぇちゃん。

 じゃ、ドングリになる雌花めばなは、また別にあるってコトね。
 んー。 よく分かんないなぁー。

 探してくれてありがとう、めりあさん。
 コナラさんの雌花めばなは、小さくて目立たないので、私でも なかなかお目にかかれないの。
 でも今は、雄花おばなだけでも楽しみましょう。。。


くわの実

「……ねぇ、のりあ。 となりのの、赤い実って…… もしかして?」

「うふふ。 そうよ、めりあ。  くわの実よ。
 でもまだ早いから、熟してからりに来ましょう。」

「うん。 その際は、私も手伝うね。
 くわの実タルト、楽しみにしてる。」

「なになにー?  くわの実タルト、もぅ食べれるのぉ~??
 甘くて おいしくて、大好きなんだよねぇ~♪」

「私も……  くわの実。。。」

「うふふ。 もう少し待っててね。
 ほら、まだ実が赤いでしょう?
 もっと真っ黒になるまで熟したら、りに来ますから。」

「はぁ~い! 楽しみにしてますぅ~♪」


「……ねぇねぇ、こっちの 白い棒みたいのは、くわの実とは違いますよね。
 コレ、何ですかぁ? かえで、何だか分かる?」

「……木の実、じゃないし。。。
 何だろぅ……? おねぇちゃん。。。」

「あぁこれ、お花なんですよ。
 樹々きぎに咲く お花の中でも、とっても珍しい花の付け方をして、とっても面白い形をしている お花です。。。」

ウリノキの花

 『ウリノキ』という お名前で、うりに似た葉と一緒に、白くて細長いつぼみが見えますね?
 これが、めくれて開いて、黄色の雄しべが見える お花になるのですよ。

 うわぁー! すごい、おもしろい形!
 でもでも、お花が咲くと、キレイだね!

 かえでは、じっくりと花を見つめて。

 めりあも こなたも それに加わり、いろんな角度から。

 みんなで、ウリノキの花の 形の面白さを楽しんでいる。

 うふふ。 みんなでにぎやかに お花を見るのも楽しいですけど。
 こうして じっくり見て お花をでるのも、良いものですね。。。


「……そろそろ、次の お花を見ましょうか?
 白いお花が多い、この季節。 次は、紫色のお花を、ふたつ。
 この森の少し奥に、大きなの上に、紫色のお花が見えるでしょう?」

の てっぺんや…… 枝の先のほうに咲いてる、お花です。。。」

「これは、『キリ』の お花。
 漢字表記の『きり』の方が、馴染み深いかしら。。。」

きりの花

 高い所に咲くので、近くで見る事は、難しいのですけど。
 少し大きめの お花で、奥行きのある、袋のような形をしています。
 入口が広いので、昆虫たちが とまりやすくなっています。
 中でも、クマバチさんが よく花の蜜を求めて やって来ますね。
 また、花期かきも思ったより長いので、そこそこ長く お花を楽しめるかしら。


「……では、紫色の お花を、もうひとつ。
 視線を、この森の もっと奥へ。
 めりあさんが いつも居る、スギ林へと移しましょう。」

「スギのが、紫色のお花をまとっているかのように見えますね。
 近くで見ると、このような お花です。。。」

ふじの花

 こちらは、『フジ』の お花。
 きりと同様に、漢字表記の『ふじ』の方が、馴染み深いかもしれませんね。

 わたしも、見たことが あるのれす!
 遠くから見ても きれいなお花だし、近くで見たら ちょうちょが いっぱいとまってるようにも、見えるのれす。

 私たちも…… よく見て知ってる お花だよね…… おねぇちゃん。。。

 そうそう! それはそれは美しい、めりあ お姉さまが、キレイな お花で着飾ってるような…… でへへ。。。

 あぁ。。。 おねぇちゃんが…… また おかしな人になっちゃったよぅ。。。 誰か、助けてぇ。。。

 そ…… そうですね。 めりあさんが、ふじの花で着飾っているかの様にも、見えますね。

 うふふ。 本当に綺麗。。。
 ところで めりあ。 こんなアイデアを、思い付いたのですけれど。
 かつらさんにお話しして、衣装に取り入れてみたら、どうかしら?

 あ! それ、良いわね。
 えりにフェイクファーを あしらうみたいに、ゴージャス感が出るかも。
 今度、かつらさんに話してみるね。


 かつらさん? どんな方なんれすか?

 服飾デザイナーをしている方で、私のカフェの制服や、紅葉もみじちゃん かえでちゃんのステージ衣装などの製作も、してもらっているのよ。

 ハート型の葉を たくさん付ける、かつらのように、とってもハートフルな方ですよ、こなたさん。
 また、秋限定ですけど、クッキー屋さんになって とても香ばしいにおいのするクッキーを、振舞ふるまって下さるわ。

 ぅわぁ~ぃ! 楽しみなのれす~♪


「私も、楽しみ~♪
 ……ところで、においといえば、お花の良い香りがしてきたんですけど……。」

「あら、紅葉もみじさんの言う通り、良い香りがしますね。
 きっと、風向きが変わって、次にお話しする お花の香りが、ここまで届いたのでしょう。
 もう少しのぼったら そのがありますし、その上には すぐに高台たかだいがありますので。」

みなさん、あのとても大きなに、大きな白いお花が見えるでしょう?
 あのの近くまで… もう少し、歩きましょう。。。」


 みなさん、もう お分かりかと思いますが……。
 このお花のご紹介は、のりあさんに お願いしようかしら。

ホオノキの花

 うふふ。 もちろん、良いですよ。
 『ホオノキ』の、お花です。
 まだ つぼみの状態ですけれど、お花のリキュールを仕込むには、ちょうど良いタイミング。
 あとで、このつぼみを頂いて、帰りますね。
 つぼみが開いて お花が咲くと、私のヘアクリップみたいになります。
 私のお花は とても高い所に咲くので、近くで見たり お花を上から見たりするのは、難しくて申し訳ないのですけれど。
 このヘアクリップでしたら、間近で見る事ができます。

 うわぁ! とっても大きくて、すごく きれいな、お花なのれすー!!

 うふふ。 ありがとうね、こならちゃん。

 大きくて真っ白な花弁はなびらが、6~9つ。
 中心が赤い、お花。
 この赤いところが熟して、鳥さんや動物たちにも大人気の、果実となります。
 そして、ここから私のカフェを、見下ろしてみて下さい。
 ちょうど、お母様…… いえ、カフェのあるホオノキの お花が開いているのを、上から見ることができます。

 緑の葉と白い花のコントラストが、すごく綺麗!
 ……だけど、確かに近くで見るのは難しいわね。
 あ! だから、つぼみのリキュールなのかな?
 瓶詰びんづめにすれば、目の前で見られるし。

 そうですね、めりあさん。
 確かに、お花をでる良い方法ですね。
 だからこそ、お花のリキュールを味わうのが、より楽しみになるのでは?


 ……と、お酒の話で盛り上がる、のりあ・めりあ・瑞貴みずきたち大人チームをよそに、こなたは、ホオノキ巨樹きょじゅのすぐ脇にある、自らの〝はぐくみの〟について、説明を始めていた。

 ……のりあさんの お母さんに、大枝おおえだを落としてもらって、わたしのはぐくみのが、できたのれす。
 もちろん、それだけじゃなくて、めりあさんにも大きな枝を下げてもらって。
 この冬の大雪で、そうしてもらったと聞いているのれす。
 ほんとに みなさんには、ありがとう! しか、言えないれす!
 だから わたしは、ドングリをいっぱいつけて、恩返ししたいと思ってるのれす。


「こならちゃん。。。 すごく…… 良いことだと、思います。。。」

「こなちゃん、ホントに良いだねぇ~!
 とっち社長がデレッデレになるのも、分かるわぁ~。」

「……ハイハイ! 大人チームの みなさぁ~ん!
 こなちゃんが今、すっごく良いことを言いましたよー!
 そろそろ本題に戻りましょー!」

「あ…… そうね、紅葉もみじ
 でも、たまには良いじゃない!
 だって…… 好きなんだもん。。。」

「あらあら、ごめんなさいね。 
 じゃ、じゃぁ…… 私のお花は、お婆様の つぼみを瓶詰びんづめにしたものを、よく見てもらうとして。
 瑞貴みずきさん、次のお花へと まいりましょうか。」

「そ…… そうですね。」 (気持ちを切り替えて、と。)

「ホオノキさんの少し上に、『トチノキ』があります。
 漢字表記の『とちの木』の方が、馴染みあるかもしれません。」

「なお、このトチノキは とっち社長の従妹いとこにあたるです。
 とっちは いつも高台たかだいよりも上に居るので、今回は お花をるために、このの ご紹介としました。
 とっちや私が芽吹めぶくところは、春に こなたさんが見たかと思いますが。。。」

トチノキの花と若葉

 あの若葉は、早くも昆虫たちに提供されていますね。 虫食いが、こんなに。
 でも、ほら。 先程お話ししたように、全ての葉を食べたりは していないでしょう?
 『持ちつ、持たれつ。』
 私達 森の住人の生命活動を、表しているかと思います。

 持つ、と言えば…… 黄色いお花が咲いているのが、分かりますか?
 余談になりますが、このトチノキのお花は、『山祭り』での神事の舞いの際に、峰乃 赤松みねの あかまつ様がものとして使用している、鏑鈴かぶらすずの原案となったものです。

 ホントだ! どっかで見たコトある形だなぁ~と思ったけど、鏑鈴かぶらすずだぁ!

 そうだね、おねぇちゃん……。 鏑鈴かぶらすずみたいに、たくさんの お花がついてるね。。。

 こなたさん。
 神事の舞いの際は、この お花のようについた鈴が一斉に鳴って、すごく良い音色なのですよ。
 ちなみに、先程お話ししたかつらさんの、ほぼデビュー作だそうです。
 神事のもの装束しょうぞくを制作したのが きっかけで、今では『物創ものづくりなら、かつらさん!』と呼ばれていますね。

 ………さて、お花の話に戻りましょう。
 鏑鈴かぶらすずのような、花のつけ方もあります。
 メリットとしては、昆虫たちが集まりやすいこと。
 どの方向からでも お花にとまりやすく、また、花の香りも拡散しやすいのだと、考えられます。
 トチノキの お花に集まった昆虫たちに、この お花の蜜は大人気!
 昆虫たちは、蜜のお礼に花粉を運んで…… やがて大きく丸く熟したトチノキの実は…… 春に頂きましたね?
 栃餅とちもちとして、食べることができます。
 ほんとに、とっち そのものですね。
 葉も、お花も、木の実も、大人気! な、トチノキなのです。


「やっぱり、とっち社長って すごいんだね…… おねぇちゃん。。。」

「そうだね…… かえで
 大人気なキャラになるヒケツがひとつ、分かった気がするよ。。。」

「……だね、紅葉もみじ
 『何かができる、何かに秀でる、だけじゃない。
 それプラス、他人に何かを与えられる存在にならなきゃ、大人気キャラにはれない!』
 ……って、とっち社長が言ってた。」

「さすが、ですね。
 いろんな事をげて来たからこその説得力がある、い言葉だと思います。」

「……さぁ、みなさん! もうすぐ、高台たかだいです。
 今回の目的の、あの お花を見て、休憩にしましょう!」


 そこから、ほんの少し。

 木陰こかげに慣れた眼には、まぶしすぎる程の陽光が降り注ぐ高台たかだいに上がると、すぐ左側に咲き乱れる、ピンク色の花。

シャクナゲの花

「うっわぁ~! キレイ!!
 瑞貴みずきさん、瑞貴みずきさん!
 コレが『シャクナゲ』の お花ですか!!?」

「はい、そうです!
 みなさんも、どうぞこちらに。
 シャクナゲは、ツツジに似た可憐な お花で、このように一斉に咲くと、見事ですね!
 花期かきが短いので、本当に今しか見られない、貴重な光景です!!」

「きれい。。。
 薄ピンク色の花と、深緑色の葉のコントラストが……。
 なんて、言葉に表すのが もったいないくらい。」

 そう感想をもらす めりあの隣では、こなたとかえでが、無言で じっとシャクナゲの花に、見とれている。

「うふふ。 ほんとに、きれい。。。
 歩き疲れたのも忘れるくらいの、光景ですね。」

「そうよね、のりあ。
 春に桜が一斉に咲くのも すごく綺麗だったけど、この初夏に、桜と入れ替わるように いろんなお花が咲いていて。 ★5
 それを楽しめて、とても素敵な森歩きになりました!」

「ふふっ。 みなさんに喜んで頂けたようで、嬉しく思います。
 ……あら? こなたさん、やっぱり少し お疲れでしょうか?」

「ふぁい…… なのれす。
 すんごくキレイな、シャクナゲさんの お花を見れてホッとしたら、ちょっと足が いたくなってきたのれす。。。」

「あ…… それ、私も。
 こならちゃんも こう言ってるし、休憩にしましょ?」

「そうですね、めりあさん。
 じゃ、いつもの切り株と倒木を、お借りして。
 シャクナゲのお花を眺めながら、休憩にしましょう!」


 高台たかだいの中央にある、大きな切り株を、テーブルに。
 その周りにある倒木に、腰かけて。
 森の中で、ゆっくりと休憩しながら、みんなでティータイム。

「うふふ。 私からは、元気が出るように。
 温かい、ハチミツ入りの、ハーブティーを。」

「私たちは、とっち社長から…… コレ!」

栃餅とちもちを…… どうぞ。。。
 でも…… さすがにとちの実のストックが少なくなったので…… ひとり1個しかなくて、すみません。。。」

「いいのよ、かえでさん。
 残り少ないのに、とっちには かえって気を遣わせてしまったかもしれませんね。」

「代わりに…… と言っては何ですが、私からは、栄養豊富なブナの実を、塩炒しおいりにしたものを。
 私の方は、昨秋さくしゅうは豊作でしたので、ストックがまだまだあります。
 ですので、遠慮なく、たくさん召し上がって下さいね。」

「うわぁーい! ありがとうございます!
 瑞貴みずきさんのブナの実、ふんごふ元気になれるから、らいすきなのれふもふも。。。」

「あらあら、こならちゃん。 そんなに急いで食べなくても。。。
 ほ…… ほら、大好物の ハチミツ入りハーブティーですよ。
 飲んで飲んで。」

「ふもふも。 ……ふぃ~。
 やっぱり どっちも、おいしいのれす!」

「ふふっ。 すぐに元気になったようで、良かったです。
 ……しかし、ずっと日向ひなたに居ると、なかなか疲れも取れませんね。
 良きところで、後ろの木陰こかげ草原くさはらで、少し横になりましょうか。」


 ブナの実を。 栃餅とちもちを。 ハーブティーを。
 食べ終え 飲み終えた者から、そろそろと。
 木陰こかげ草原くさはらに、仰向あおむけになって、ほんとの休憩タイム。

「……みなさん、こうは思いませんか?
 こうして天をあおいで 、樹々きぎ枝葉えだはを見ると。。。
 枝葉えだはを伸ばして広げている様子が、まるで樹々きぎがスクラムを組んでいるかのよう。」

「こうして、お互いに枝葉えだはを伸ばし広げて、盛んに陽光を浴びようとするけれど。
 譲り合いや、みなで森をはぐくむことを、忘れずに。
 手と手を取り合い、しっかりとスクラムを組んで、みなで何か大切なものを、守っている。
 私には、この光景が、そのように見えるのです。
 こなたさんの、はぐくみのも。。。」

「くぅー。 くぅー。」

 こなたは、すでに寝息を立てて。
 他のみなも、木陰こかげ草原くさはらに吹く心地よい風に眠気を誘われて、みんなで静かに お昼寝を。

「あらまぁ。。。
 みなさんそろって、可愛らしい寝顔だこと。」

 そうひとちると、瑞貴みずきは、高台たかだいの少し上にある1本の枯死木こしぼくに視線を移し、話しかけた。

「お母様。。。
 みな…… このように、健在ですよ。
 ……そうですか。
 私も同じく、安堵あんどしましたので、ひと眠り…… いたします。。。」


 すぐに眠りにいた瑞貴みずきは、早くも夢の中。
 懐かしい声が、瑞貴みずきに語りかける。

「~瑞貴みずきも、巫女を志すのであれば、森の生命活動の辛いお話も、知っておかねばなりません。」

「それは… …  アバレギ(あば)』の、お話。
 ただし、他の者がアバレギの事を知ってしまうと、それに転化するが現れてしまうかもしれないので、壱乃峰いちのみねみなには、適期てききが来るまで話さず、そっと胸にしまっておいて下さい。。。」

 … … かつての、『大崩落だいほうらく』よりも、以前の話。
 この壱乃峰いちのみねにも、アバレギがて。
 それらは、自らが大きく成長する事しか、考えていません。
 自分勝手に枝葉えだはを伸ばして、その周りに生育する樹々きぎに当たるはずの日光まで、さえぎって。

 ……その結果が、大崩落だいほうらく一因いちいんったのではないか?
 わたくしは そう考えています。
 おそらく、アバレギの周囲に生育する樹々きぎ樹勢じゅせいが衰えてしまい、根が土をつかむ力が弱くなっていたのでしょう。
 まれに見られる集中豪雨とも重なった事もあり、大地に根ざす私達わたくしたちには ひとたまりも無く、その地盤ごと…… まさに根こそぎ、持って行かれました。

 当代の巫女は もちろん、巫女候補みここうほっていた生命力にあふれる樹々きぎや、豊作を願いつつ森の生命活動を懸命に支えていた者たちをも、全てなぎ倒す土石流どせきりゅうとなって、大崩落だいほうらくは起こってしまいました。
 現在の中腹ちゅうふく緩斜面かんしゃめんに見られるのが その名残りで、大崩落だいほうらくにより、この壱乃峰いちのみねの地形まで変わってしまった、未曽有みぞう大災厄だいさいやくとなりました。

大崩落だいほうらく 跡地

 ……それでね、瑞貴みずき
 瑞貴みずきがもっと大きくなったら。
 この壱乃峰いちのみねを、アバレギのない森に。
 そして瑞貴みずきには、この森の調和を第一に考え、良い方向に導く存在にってもらいたい。。。


「お母様。。。」

 一筋の涙が、瑞貴みずきほおを、すっと伝う。
 その感覚が瑞貴みずきを目覚めさせ、その意識は、夢から現実へと呼び戻された。

 ずいぶんと長く、微睡まどろんでいた気もするけれど。
 木陰こかげ草原くさはらでは、みなだ、静かに安らかに、寝息を立てている。


 瑞貴みずきは その上体を起こし、周囲の状況を把握して、あれは夢だったんだと気付いた頃。
 めりあが まず先に、その目を覚ました。

「……あれ? 寝ちゃってた?
 瑞貴みずきさん、ずっと起きてたの……?」

「え!? ……あ、ううん? わたしも、ちょっと寝てたんだー。
 ……じゃなくて、わたくしも少し…… お、お昼寝しておりましたのよ?」

「……まだ、寝ぼけてますね。
 のりあ が、何か『シャキッ! とするドリンク』持ってきてるみたいなんで、それ飲んで、シャキッ! と しましょう!!
 ……みんなに、だらしない格好 見られたくないの、お互い様なんですし。」

「……うん、そうだね。 じゃなくて。。。
 はい! そうですね、めりあさん。」

(……レアなモン見たー! 寝ぼけて昔に戻った瑞貴みずき先生なんて…… もぅ、えキャラでしか ないじゃんっ!!)

「おねぇちゃん。。。
 また…… おかしな人に、なってる。。。 ふわぁ~。。。」


 ……そんな やりとりに気付かないふりで、みなは、お昼寝から目覚めて。

 のりあの『シャキッ! とするドリンク』を飲みながら、みなは、「くぅー。 くぅー。」と寝息を立てながら まだ夢の中にいる、こなたの寝顔を見ている。

「……あれ? そーいえば、こなちゃんの雄花おばな、まだ咲いてないね?」

「そうですね。
 でも、初結実はつけつじつの際には、いろいろと不安定になるもの。
 紅葉もみじさんも、そうだったでしょう?
 こなたさんも、近いうちに開花するでしょうから、そっと見守ることにしましょう。」

(そして、この森のように、穏やかで安らかな寝顔。。。
 守りたい。 壱乃峰いちのみねの森の調和も、みんなの生命活動も。)


「くぅー。 くぅ…… くん…… くんくん。 ふわぁ~。
 ……なんか、いいにおいが…… するのれす。。。」

「あらあら。 こならちゃん、お目覚めね。 うふふ。
 ミントのハーブティーにイタドリをブレンドした、爽やかな香りと酸味が疲れを癒す、『シャキッ! とするドリンク』ですよ。」

「ごくごく。。。 とっても、おいしいのれす!」

「……ほんとに、シャキッ! と目覚めちゃったわね。」

「では そろそろ、下山する事にしましょうか。
 のりあさんの、ホオノキ花のつぼみも、採取したいですし。」


 高台たかだいから、少し下って。
 とても大きなに、開きかけの大きな白い花をつけた、ホオノキのもとへと。

「お婆様。 つぼみを少し、分けて下さいな。
 とても良い香りのする、花のリキュールに するつもりですの。」

 そう のりあが語りかけると、ザッと強めの風が吹いて。
 ホオノキの大きなつぼみが いくつか、ドサリと音を立てて、みなの足元に落ちた。

 そよ風に ざわめく、ホオノキの葉音はおとは、まるで「どうぞ、これを持ってお行き。」と、語りかけてるよう。

「うふふ。 ありがとうございます。
 では これだけ、頂いて行きますね。」

 ひとりひとりが、その大きな花のつぼみを、大事に抱えて。

 往路おうろで見た季節の花を もういちど観察しながら、下山したみなは、〝CLOSED〟の札が掛かった、カフェ『noliaノリア』の店内へ。

 新鮮なうちに、『ホオノキ花のリキュール』を仕込むため、みんなで水洗いと ホワイトリカーに漬ける、お手伝い。


 すぐに仕込みは終わり、まるでホオノキ花の水中花のようなリキュールを、みなで眺めながら。

「みなさん、お手伝い頂き、ありがとうございました。
 今夏こんかの花は、少し香りが強めね。
 みんな、喜んでくれると良いですけど。。。
 めりあ、どう思う? 綺麗にできたかしら?」

「ほんとに…… 目の前で見ると、すごく大きくて綺麗ね、のりあ。
 ホオノキ花のリキュール、楽しみにしてる♪
 瑞貴みずきさんも…… ですよね?」

「そうですね。 私も、この お花のリキュールを味わうのを、楽しみに。。。
 そして、水中花のホオノキの お花をでるため、また見に来ますね。」

「こんちわー!
 ……おぉ! ホオノキ花のリキュール!?
 もう そんな季節なのね。 私も、楽しみにしてるから♪
 ……あら、こっちにも、可愛いお花!」

 とっちの視線の先に、みなが目をやると、こなたの雄花おばなが開花していた。

「いろんな お花を見てきたのが、トリガーになって、開花したんじゃない?」

 という とっちの言葉に納得しつつ、みなで こなたの初結実はつけつじつを、お祝い。

「こならちゃん、おめでとう!!!!!!」

「えへへ…。 ありがとなのれす!
 わたしも、ドングリをいっぱい つけれるよう、頑張るのれす!」


 こなたや、みなの笑顔のように咲き誇る、初夏の樹々きぎの花。
 新緑の壱乃峰いちのみねの森は、樹々きぎの花と 萌黄色もえぎいろの葉に、いろどられて。
 ……あれあれ? まだ葉が開きかけの、お寝坊さんも。
 高台たかだいから、いつくしむように この光景を眺めていた峰乃 赤松みねの あかまつは、かすかに微笑みながら、そっとつぶやいた。

みな、健在のようですね。 ……これで、い。
 ではわたくしも、見守ることとしよう。 この森の樹々きぎと、季節の移ろいを。」


【6話 注釈】

★5 初夏に 桜と入れ替わるように いろんなお花が咲いて~:
 作中では、登場した樹々きぎの花が『桜と入れ替わりで、ほぼ一斉に咲く』という演出をしていますが、実際は、これらの花期かきは多少のズレがあります。
 年によっても違いますが、例えばウワミズザクラ や シャクナゲは 早々に散ってしまい、ウリノキは それより少し遅れて開花したりします。
 また、春編の若葉も、一部はこの初夏の時期のものであり、演出として春編に組み込んだ事を注記しておきます。
 中でも、ホオノキの若葉(ホオ葉おにぎり)や トチノキの開きかけの新芽などは、実際は、桜の花が終わった頃に見られるものです。


【キャラクター紹介】ヤマモミジのに宿る精霊せいれい紅葉もみじ

樹々きぎうたい、風に舞う』第一部 ~樹々きぎの恵み編~
6話【新緑の壱乃峰いちのみねで】

 最後までお読み頂き、ありがとうございました!
 特典としまして、各話の末尾にて【キャラクター紹介】を掲載しますので、合わせてお読み頂ければ幸いです。
 ここでは、これらのキャラ設定で出てきたアイデアを簡潔にまとめて、キャラ名と由来、モデルとした樹種じゅしゅ、木彫り彫刻キャラ作品画像、作中でのキャラ紹介の順に、掲載してあります。
 それでは、作者が頭を痛めて生み出したキャラ達と、魂を削って彫り上げた彫刻作品を ご覧くださいっ!

紅葉もみじ
 キャラ名そのまま。

・モデル樹種じゅしゅ: ヤマモミジ(山紅葉)Acer palmatum var. matsumurae
 多種ある中から、日本海側の山地に多く見られる『ヤマモミジ』を、紅葉もみじのモデル樹種じゅしゅとしました。
 親しみやすくて人気が高いアイドルとし、モミジやカエデ類は樹高じゅこうが低めなので、低身長だがあまり気にしていないというキャラ付けを。
 モミジ類は、紅葉こうようが派手で、一般的にはカエデ類よりポピュラーな樹種じゅしゅかと思われますが、樹種じゅしゅのバリエーションが少なめなので、活発だけど不器用なキャラ付けにし、高いパフォーマンス能力を持つキャラとしました。
 また、モミジ・カエデ類の葉は対生たいせい(2枚の葉がついに生える)のため、髪型をツインテールに。
 紅葉もみじのツインテールは、木彫り彫刻キャラ作品では、モデル樹種じゅしゅの『ヤマモミジの葉の形』をイメージして、制作しました。

木彫り彫刻キャラ作品『紅葉もみじ

・キャラクター紹介:
 双子のアイドル『紅葉もみじかえで』。
 日々の芸能活動のかたわら、桜の舞い・夏祭り・山祭りに向けて、レッスンちう!!

木彫り彫刻コンビキャラ作品『紅葉もみじかえで

 〝パフォーマンスの紅葉もみじ〟(姉 立ち位置は向かって左側)。
 元気娘! 一途な性格で、ちょいドジっ
 自分の感性そのままに発言することが多いけど、トラブルメーカーではなく場を明るくするような存在です!

・衣装やルックス:
 活発な、美少女! 普段着も、派手めのプリント柄などが好み♪
 アイドル衣装は、リボンやフリルの付いた長袖ながそでの上着に、フリフリのミニスカート。
 妹のかえでと同じく、髪型はツインテールで、足元はロングブーツ。
 紅葉もみじは、髪型もスカートのフリフリ具合も、派手め!
 アイドル衣装の背中には、天使の羽のような、モミジ・カエデ類の翼果よくかを模したギミックを。
 モデル樹種じゅしゅ『ヤマモミジ』のように、 紅葉もみじの方が小さいものが付いています。

 ちなみに、この翼果よくかの、のエピソードとしまして。

ヤマモミジの翼果よくか

 『モミジ・カエデ類の翼果よくかは、熟すと風に乗ってプロペラのように くるくると飛んで』行き、その生息範囲を拡大させています。
 さらに、9話【夏祭り】 と 11話【山祭り】では、この翼果よくかが風に舞う様子を、紅葉もみじが自作したうたとして、作中で表現されています。
 16歳 身長147cm


 7話【太陽の恵みと、森のスクラム】に、続きます。。。


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