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2話【春の芽吹きと、森の恵みと……】『樹々は唄い、風に舞う』第一部~樹々の恵み編~


2話【春の芽吹めぶきと、森の恵みと……】

 森の中を吹き抜ける風は、少しも冷たさを感じずに、春の花のかおりを含んで。
 壱乃峰いちのみね落葉樹らくようじゅは どれも芽吹めぶきの季節を迎え、若葉を守るコートを脱ごうとするもの、蜜を含んでテラテラ光るものや、うんと背伸びをして日光を一身に受けようとする、新芽。


「ほら、冬に落葉らくようしない針葉樹しんようじゅだって、まだ薄い緑色の新芽を準備してるでしょう?
 どのにとっても、今は芽吹めぶきの季節なのですよ。」

「木の実だって、発芽はつがする季節よね。
 そうそう、あの切り株にも、別のたねが、小さな葉を広げようとしてたでしょ。」

「そうれすね。
 いま、みんな、すごくがんばって生きようとしてるんれすね。」

 とっちの休日に合わせて、瑞貴みずきと こなたも一緒に、今日は3人で森の中を歩いている。
 こなたが森の風景画にチャレンジするための、題材を探しに。

 以前に こなたが描いた、瑞貴みずきが座っていた大きなスギの切り株には、広葉樹こうようじゅと思われる稚樹ちじゅが、初めての葉を広げようとしていた。
 それを観察し、様々な樹種じゅしゅ芽吹めぶきのお話も聞き、瑞貴みずきの樹木図鑑も参考に、三人は春の森歩きを楽しんでいた。

「こなたさん、もう少しで高台たかだいに出られるけど、まだ歩けそう?」

「はい、瑞貴みずきさん! まだ だいじょぶなのれす!
 ……でも、高台たかだいに着いたら、少し休みたいのれす。。。」

「そうね。 もう少しだけ、頑張りましょ。
 ……とっち、少し速いわよ?」

「あはは…… 悪い悪い。
 いつもの早歩きのクセ、なかなか抜けなくて。」

「さすがに、鍛え方が違うわね。
 でも今日は、こなたさんが気に入る風景を探すのが目的なんだから。
 もっと風景を楽しみながら、のんびり行きましょ。」

「そうこう言ってる間に、着いちゃったわ。 高台たかだい
 先に行って、のりあからもらった お茶の準備してるわね。」

「とっちさん、すごくアクティブでパワフルなのれす。。。」

「こなたさん、よく頑張ったわね。
 長めに休憩を取りましょ。 ……靴も、脱いだ方が良いわね。
 一息ついたら、マッサージしてあげましょう。」

「ありがとございますれす。。。」

 いつも使わせてもらっている 倒木と切り株に腰掛け、のりあにれてもらった『元気が出るハーブティー』に、こなた好みのハチミツを入れて。

 この高台たかだいからは壱乃峰いちのみねが一望できるため、瑞貴みずきを筆頭に森歩きを趣味とする者たちの、絶景スポット 兼 休憩所となっていた。

 すぐそばには、めりあがいつも居るスギ人工林じんこうりん上端じょうたんが。
 中腹ちゅうふく緩斜面かんしゃめんを見下ろすと、カフェ『noliaノリア』があるホオノキ巨樹きょじゅこずえを、上から見ることができる。
 その根元に見える、小さな人影。
 のりあが せっせとテーブルを運んで、オープンテラスを こしらえている様子が、見て取れる。

 ハーブティーも飲み終わり、瑞貴みずきは こなたの小さな両足をマッサージしながら、たずねる。

「こなたさん。 先ほど見た風景は、どうかしら?」

「う~ん。。。 なんか、森に穴があいてるように見えたのれす。
 ここから見えるの、ちょっと描きたいとは思えないれす。。。」

 と、風景画の題材には なり得ないな、と思える答えが返ってきた。

「やっぱ 絵描きさんは、感性が違うわね。
 私達だったら、すぐ『よく日が当たって、光合成が。。。』だの言っちゃうのに。」

「そうね、とっち。 この感性こそが、こなたさんの才能であり、魅力なんじゃないかしら。
 でも…… ここからの風景では、絵にならないのだったら。。。」

「……うん、よし! 今日はもう思い切って、予定を変更して!
 こなたさんに、初結実はつけつじつと”はぐくみの” ●2 について、お話ししてあげましょうよ!」

「ま、良い機会かもね。
 こなちゃん。 こんなチャンス、めったに無いのよ。」

「はい! ぜひ、お願いするのれす!」

 〝森のかた〟こと瑞貴みずきと〝森林について博識〟な とっちによる森のお話が、風薫かぜかおる森の高台たかだいで語られる。


 初結実はつけつじつとは、ね。 私達 森にきる樹々きぎが、初めて木の実をつけること。
 でも、ただそれだけでは無い。

 その木の実は、やがて次の世代を担う、大切な1本のとなるのかもしれない。
 その木の実は、森の動物たちに栄養を与え、森の生命活動に深く関わるかもしれない。
 その木の実は、その姿や色合い、そして舞い散る姿で、私達の目を楽しませてくれるのかもしれない。
 大切な、大切な木の実のひとつを、初めて実らせる。
 だから、ね。 森にきる私達にとって 初結実はつけつじつは、とても大切な事なのですよ。

 はぐくみのは、初結実はつけつじつと、そして森の生命活動と、とても深く関わっています。
 初めて木の実をつけるためには、まず花を咲かせなければなりません。
 しかし。 もし貴女あなたが、薄暗くあまり日の当たらない所で、ひっそりと花を咲かせたら?
 その花粉を運んでくれる昆虫たちにも、気付いてもらえないかもしれない。
 よしんば、木の実をつける事が出来ても、薄暗く光合成もままならない、自らの樹体じゅたいも成長させられない状態で、果たして良い木の実をたくさん実らせる事は、出来るでしょうか?

 そこで、私達は、考えました。
 『新たに、森に恵みをもたらすのために。 その成長をうながすための、はぐくみのを、つくろう』と。


 こなちゃんが…… さっき言ってた、『森に穴が開いてるように見える』所が、まさに こなちゃんのはぐくみのなの。
 こなちゃんが初結実はつけつじつを迎えて、もうすぐ お花を咲かせる事も、実はみんな、何となく知っていてね。

 そのために、ある者は枝を落とし、またある者は そこに枝葉えだはを伸ばさないようにして。
 上から見て、穴が開いてるように見えるのは、地面が見えてるって事。
 つまり、地面にまで日光が降り注ぐから、そのはぐくみので育つ こなちゃんは、お花を咲かせて しっかり育って、いっぱいドングリを実らせる事が出来るってわけ。


 あと、ひとつだけ。
 私も とっちも、はぐくみのを与えられたから、ここまで成長できたし、また、そのお返しに はぐくみのを与える存在にった事も、ありました。
 とても大切な事よ。 私達 樹々きぎは、こうして支え合って、助け合って、みなで協力して、みなきてるって事。
 この大切な気持ちだけは、決して忘れないでいてね。


瑞貴みずきさん、とっちさん…… すごく、すてきなお話しでした。
 なんかもぅ、ありがとう しか、言えないれす。。。
 みなさんのためにも、こならは…… いっぱいドングリをつけようと思います!」

「うん。 良いお返事ね。
 それで、その――。
 初結実はつけつじつには、もうひとつ 大事なお話しが あるのだけれど。
 お話ししても、良いかしら?」

「はいなのれす。 ぜひ、お願いしたいのれす!」

「では次は、この高台たかだいより上の壱乃峰いちのみねの森を、見てみましょう。
 こなたさん、何が見えますか?」

瑞貴みずきさんが、いっぱいいます。
 もう若葉がひろがって、お日さまの光が当たって、葉っぱがキラキラかがやいてます!
 それと、大きなが 何本かあります。
 まだ開いてないけど、あの大きな新芽は、とっちさんれすか?」

「その通り! 良く分かったわね。 えらいえらい!」

「えへへ。」

 とっちは、こなたの頭を優しくでながら、さらに高い峰を遠い目で見つめながら 話を続けた。

「じゃぁ、いちばん高い所、見てみよっか。
 頂上の ご神木しんぼくは見たら分かるとして…… 他に どんなが、見えるかな?」

「とっても大っきな、が見えます。
 濃い緑色の葉っぱで、枝もすごい立派です。
 あの赤っぽいみきは―― アカマツれすね!?」

「ご名答! でもね、こなちゃん。
 アカマツでも あの赤松は、ただのアカマツじゃない…… のよ?」

 少し涙ぐんで口ごもった とっちの様子に、こなたは気付かないまま。
 瑞貴みずきは とっちの視線にこたえるかのように、優しい眼差しで二人を見つめながら、もうひとつの森のお話を語りだした。


 峰に立つ、アカマツの巨樹きょじゅ
 それは”峰乃 赤松みねの あかまつ” ●3 と呼ばれる巫女で、東谷で最も高い壱乃峰いちのみねに立ち、この森の樹々きぎの生命活動を見守ってくれています。
 その高位の巫女には、私達もることができて、それを志すことを選択するのが、こなたさんのように初結実はつけつじつを迎えた春なのです。

 詳しくお話ししましょう。
 峰乃 赤松みねの あかまつのように、山の神様に仕える、高位の巫女とる事を志す者は、初結実はつけつじつの春から…… つまり今の こなたさんね。
 この秋に初結実はつけつじつを迎えるまでに、巫女にるための修養しゅうようを行う、巫女実生みこみしょうとなるか否を、選択せねばなりません。

 巫女実生みこみしょうとなる事を選択した場合、巫女修養みこしゅうようを行い、うたや舞いに秀でて、さらに森林の生命活動などの知識が蓄積された巫女知識みこちしきを学び修め、いずれは巫女候補みここうほるために必要な素養そようを身に着けることとなります。
 もちろん、巫女実生みこみしょうにならず、森の生命活動を担う仲間としてきる事を選択しても、何の問題もありません。

 ……ちょっと難しいお話で、いきなり人生の選択を迫られるのは酷かもしれませんが、私達は…… 紅葉もみじかえでも この選択をした上で、今をきているのですよ。


「はい…… すごく むずかしそうな お話れすが、こならの今のきもちは……。
 ドングリを いっぱいつけて、『森に恵みを与えるような、になりたい』れす!
 だから、もう決めます。
 こならは巫女実生みこみしょうにならずに、この壱乃峰いちのみねの森の恵みと、みんなの笑顔のために、がんばりたいれす!」

「はい。 良く分かりました。
 突然、重大な選択を迫って、ごめんなさいね。」

「……うん。 じゃ、峰乃 赤松みねの あかまつには、私から伝えておくわね。」

「とっち、よろしくね。
 こなたさんは、これからの神事のことなど、初めての事ばかりだから、色々と経験しながら、追い追い理解して行ってもらって構いません。
 もちろん、今の気持ちと変わっても良いので、もしそのときは、すぐにお話しを聞かせてね?」

「はい。 分かったのれす!
 それで…… わたしからも、ひとつ。 良いれすか?」

「あら? 何かしら。 聞かせてちょうだい?」

「今日の、アクティブでパワフルな とっちさんを、いっぱい見て。
 とっちさん、描いてみても…… 良いれすか?」

 お互いに顔を見合わせて驚く、瑞貴みずきと とっち。
 どうやら今日は、こなたにとって大きな変化のきっかけとなった日であり、また今後の成長を期待できる、とても有意義な一日となったようだった。

「もちろん、構わないわよ。 当然、今、ここで、すぐに! よね?
 その代わり、可愛く描いてね♡」

「はい! もちろんれす!」

 と、言うが早いか、サラサラとペンをスケッチブックに走らせる、こなた。
 今日の森歩き用の服装を、普段のとっちのスーツ姿にアレンジまでして、あっという間に とっちのラフ画を描き上げてしまった。

 とっちの特徴的な丸顔をはじめ、まだ衰えることを知らない身体の曲線美、まん丸く豊満なバストなどの表現が、実に見事。

 何より楽しそうに描く姿と、アクティブなとっちを良く表現した 活き活きとした曲線は、こなたが本当に絵を描くことが大好きで、特に曲線や丸いものを描くことが得意である事を、実に良く表していた。

こなたが描いた とっちのイラスト

 とっちと瑞貴みずきは、出来上がったラフ画を見て、顔を合わせ、
「こなたには、風景画は しばらく置いておいて、人物画を いっぱい描いてもらった方が、良さそうね。」
と、うなづき合った。

「さぁ、そろそろ戻りましょうか。
 こなたさんは、イメージが鮮明なうちに、整った環境で、早くこの絵を完成に導くべきだと思うわ。」

「そうね。 私も完成が楽しみだし、ね?」

「はいなのれす!」

 三人は、それぞれの道具を手早く片付け、意気揚々と高台たかだいを後にし、今日の森歩きを終えたのでした。


 瑞貴みずきと とっちのイラストが飾られた、カフェ『noliaノリア』の店内。
 着色も済み、ドングリのマークと共に入った こなたのサインが、これらイラストの完成を表していた。

 それがあるだけでも随分と印象が変わった店内だけど、この日は普段の のんびりムードとは違う様子。
 春の仕込みで忙しい のりあを、瑞貴みずきと こなたがお手伝いしているのでした。

 瑞貴みずきは、淡色の、えりなしの長袖ながそでニットと ロングスカートの、好みの取り合わせ。
 こなたは、濃色ロングTシャツの上に、淡色Tシャツ。
 ダボっとした ヒザ上までの カーゴタイプの白い短パン姿。
 2人とも、その上に のりあから借りた『noliaノリア』のエプロンを。
 そして のりあは、いつものメイド服に似たカフェの制服とエプロン姿で、春の仕込みを 着々と進めている。

 外には、ハーブティー用の野草や春の花を、天日干し。
 キッチンでは、のりあが、鮮やかな手つきで手早く〝ホオ葉おにぎり〟を、次々に作り上げている。

「この春のホオ葉は、柔らかめね。
 香りは、いつもより良いくらい。
 みんな、喜んでくれると良いけど。。。」

「大丈夫、とっても美味しそうですよ? その証拠に、ほら。」

 のりあと同様に、次々と おにぎりを作り上げている瑞貴みずきの隣には、出来上がったホオ葉おにぎりをトレーに並べる係だったはずの こなたが手を止めて、おにぎりをじっと見つめている。

「こならちゃん。 良かったら、ひとつだけですけど、味見してみてね?
 瑞貴みずきさんも、おひとつどうぞ。
 味見がてら、一息入れて下さい。」

「お言葉に甘えます! のれす!」

「炊きたての、熱々ご飯を おにぎりにして、ホオノキの若葉で巻く。
 味付けは、塩のみ。」

「冷ましながら しばらく置いておいて、巻いたホオ葉が茶色く変わったら、食べ頃の合図。
 とてもシンプルだけど、たったこれだけの手間で、葉の香りが移った美味しいおにぎりを、頂くことができるのです。」

 と、瑞貴みずきが こなたに教えながら、しばしの休憩。

「仕込みをして、日持ちのするものは、〝桜の舞い〟 ●4 のケータリング用にストックして。
 おにぎりみたいに、早く食べた方が良いものは、頂いたものと、交換して。
 今日は、いろんな春の恵みの、試食会も兼ねているのよ?」

 などと話していると、壱乃峰いちのみねみなが続々と、春の恵みや山の幸を持参して ご来店。
 慌ただしくも、持ち込んだみなが自然と手伝い、この春の恵みを分かち合う。

 瑞貴みずきからは、栄養豊富な、ブナの実を。
 『銀杏屋ぎんなんや ひがしたに』の看板娘、一葉いちようからは、仕込みの済んだ、ぎんなんを。
 とっちは、手作りの栃餅とちもちを どっさりと届けて、すぐに桜の舞いのイベントプロデュースの打合せへ。

「とっちさん!
 おにぎりを食べながら歩くのは、おぎょうぎが良くないのれす!」

 ……などと、とてもにぎやかに みなで試食や交換をしていると。
 和服姿の可憐な少女が、優雅な出で立ちで、お盆に盛られた塩漬けの桜の花を持ってきた。

「皆様、ごきげんよう。 母の自慢の 桜茶を、どうぞ。」

「さくらちゃん、お待ちしてました。
 うふふ。 みなさん、春がやって来ましたよ! 休憩にしましょう!」

 さくらの桜茶を味わいながら、 みなで一息。
 店内は、いつもの のんびりムードを取り戻す。

「こならは、『こなら』なのれす!」

「こならちゃん、ね。 私、一葉いちよう
 うちの ぎんなん、とっても美味しいのよ。」

「今度、食べに行くのれす!
 まんまるい、ぎんなんの絵も、描かせてもらって良いれすか?」

「そのイラスト、こならちゃんが描いたの? すごく上手!!
 こならちゃんが来てくれるの、楽しみに待ってるね。」

「こなた、さん。 さくらと申します。
 〝舞い〟 ●5 の家元でございますが、うちにも どうぞお気軽に、いらっしゃって下さい。
 桜の舞いに向けての お稽古けいこも、もう始めておりますので、ぜひ見に いらして下さいね。」

「すてきなのれす! さくらさんの舞い、とても見たいのれす!!」

「うふふ。 みなさん、すぐに仲良くなって。
 とても嬉しいですね、瑞貴みずきさん?」

「同感ですね、のりあさん。」

「あ、こなたさん。 向こうに、とても大きな山桜やまざくらが見えるでしょう?
 さくらさんのお家で、舞いの お稽古場けいこばでもあるのよ。
 すぐ近くには、一葉いちようさんの銀杏屋ぎんなんやさん。
 あの辺りは主要な街道になっていますから、行けばすぐに分かると思います。」

「近いうちに、行ってみると良いでしょう。
 お絵描きの題材も、きっと見つかるはずですよ?」

「はい! 行ってみるのれす!」

「ぎんなんの お味見もできるから、ぜひ来てね!」

わたくしも、お待ちしております。
 母の山桜やまざくらも、私も、そろそろ開花の頃合いでございますから、皆様もどうぞ、お花見も兼ねて。」

「あらあら、もうそんな季節なのね。
 確かに、さくらさんのお花が開きかけているの、ここからでも分かりますね。。。」


 山桜やまざくらは、新緑と 花の桜色に。
 さくらは、ほんのり 桜色に。
 壱乃峰いちのみねの本格的な春の到来は、もうすぐそこまで来ていました。


【2話 注釈】

●2 〝はぐくみの
 『ギャップ形成』と呼称される、これまで枝葉えだは立木りゅうぼくで日照がさえぎられていた場所に、日光が当たること。
 そこに生立せいりつするにとっては、光合成が盛んに出来るようになるため、ギャップにある稚樹ちじゅなどが急成長する事ができる。
 作中では、『意図的に 特定の樹木こなたが成長できるようギャップを形成した』としています。

●3 〝峰乃 赤松みねの あかまつ
 山の神に仕える、高位の巫女。
 壱乃峰いちのみねの頂上近くに立ち、この森の樹々きぎを見守っている巨樹きょじゅ

●4 〝桜の舞い〟
 桜の花が散る頃に行われる、うたげ
 様々な樹々きぎが舞い、春の訪れを祝う。
 秋の一大イベント 山祭りでの 舞い手の一次選考も兼ねていて、風に揺れる枝葉えだはの優雅さを見て、峰乃 赤松みねの あかまつが審査する。

●5 〝舞い〟
 風に揺れる枝葉えだはや、風に舞う花びらや葉のことを、作中では『舞い』と表現しています。
 精霊せいれいたちにとっては重要なスキルのひとつであり、巫女を目指すことや山祭りにも深く関係します。


【特典画像集『樹々きぎ壱乃峰いちのみねのイメージ風景画像』・『木彫りキャラ彫刻作品の下描きイラスト』】

樹々きぎうたい、風に舞う』第一部 ~樹々きぎの恵み編~
2話【春の芽吹めぶきと、森の恵みと……】

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!
 特典としまして、本編やキャラクター紹介などで掲載しきれなかった 風景画像や下描きイラストを、ここで大公開っ!

特典画像集1『樹々きぎ壱乃峰いちのみねのイメージ風景画像』
 ここでは、各話の見出し画像に使用した、物語の舞台のモデルとなった樹々きぎや森の風景画像を公開します。
 これら風景画像のポイントは、【人工物が一切いっさい写り込んでいない、まるで天然林てんねんりんのような風景画像】であること!
 厳選した、4枚の天然林てんねんりん画像を、ご覧下さい!

◆『壱乃峰いちのみねのイメージ天然林てんねんりん

壱乃峰いちのみねのイメージ天然林てんねんりん

 この物語の舞台『壱乃峰いちのみね天然林てんねんりん』のイメージに最も近い、里山の森の風景画像です。
 この2話【春の芽吹めぶきと、森の恵みと……】の見出し画像に使い、また、キャラたちが2話の冒頭で歩いてる森は こんな感じの天然林てんねんりんと、イメージしました。

◆『樹々きぎの ざわめき』

樹々きぎの ざわめき』

 4話【舞いの家元、山桜流やまざくらりゅう】の見出し画像に使用。
 何よりも、【いろんな種類の樹々きぎが そよ風に吹かれて、心地よい葉音はおとかなで、楽しそうにこずえ枝葉えだはを揺らしている様子】を見た作者が、この物語のタイトル『樹々きぎうたい、かぜう』をひらめいた、風景です。

◆『盛夏せいかのブナ林』

盛夏せいかのブナ林』

 樹々きぎの元気さやにぎやかしさから、9話【夏祭り】のイメージとして、見出し画像に使用。
 この風景の撮影時は、『作者が最も好きな樹種じゅしゅの”ブナ”林の中で、寝転んで空を見上げた木漏こもれ日の風景が、とても心地よかった。』と、記憶しています。

◆『木漏こもれ日』

木漏こもれ日』

 折り重なる樹々きぎ枝葉えだはの様子から、7話【太陽の恵みと、森のスクラム】の見出し画像に使用。
 7話に限らず、作中での瑞貴みずきのセリフ「森のスクラム」のイメージを具現化したような、木漏こもれ日の風景画像です。
 撮影時は、『盛夏せいかのブナ林』と同様に、森の中で寝転んで空を見上げて撮影。
 機会があれば、ぜひ森の中で、このような視点でこのような風景を楽しんで頂けたら…… と思います。


特典画像集2『木彫りキャラ彫刻作品の下描きイラスト』
 『樹々きぎうたい、風に舞う』 第一部 ~樹々きぎの恵み編~ の、制作秘話も兼ねまして。
 ここでは、キャラ設定と並行して 木彫りのキャラ彫刻作品を制作した際の、下描きイラストを公開します!
 なお、木彫りのキャラ彫刻作品はすべて、作者が自らチェーンソーだけを使って、素材のスギ丸太から彫り上げたもの。
 下描きイラストも同様に、キャラ設定 & キャラ彫刻作品制作のために、作者が自ら鉛筆描きで描いたイメージ図。
 「下描きとして使うだけじゃ、もったいない!」と考え、絵描きが得意なキャラ『こなた』が描いたものとして、ここで特典画像として公開します!
 また、『こなた が描いたイラスト』は、3話以降にも掲載されますので、こちらもお楽しみに!

◆下描きイラスト と 木彫りのキャラ彫刻作品比較『こなた』

下描きと木彫りキャラ比較『こなた』

 下描きイラストのように、キャラの容姿・ポーズ・衣装などを決め込みながら、キャラ設定。
 この下描きイメージを参考に、素材スギ丸太からチェーンソーだけを使って、木彫りのキャラ彫刻作品を制作しました。

◆下描きイラスト と 木彫りのキャラ彫刻作品比較『さくら』

下描きと木彫りキャラ比較『さくら』

 紅白の巫女装束みこしょうぞくで、風に揺れる枝葉えだはでの舞いを披露するキャラ、『さくら』。
 その、優雅かつ可憐な舞いを、木彫りのキャラ彫刻作品でも表現するべく、下描きイラストをしっかりと描き込む。
 未熟な技術力を駆使して、どうにか納得のいく木彫りキャラ彫刻作品になったと、自画自賛。
 また、この気合入れ過ぎて描いた下描きイラストは、加工して5話【桜の舞い】で使用しましたので、ぜひご覧下さい!

◆下描きイラスト と 木彫りのキャラ彫刻作品比較『とっち』

下描きと木彫りキャラ比較『とっち』

 『下描き段階で、キャラ設定を決め込む』制作秘話をば。
 イラスト上部中央のヘアクリップ2種は、『上段がアカマツの枝先えださき・下段がブナの実と枝先えださきの葉を、模したもの』と設定しました。
 この設定が、第二部 ~巫女編~ で…… 詳しくは、まだ秘密♡
 木彫りのキャラ彫刻作品の方は、『とっち』はトチノキ(とち)をモデル樹種じゅしゅとしたキャラのため、実物の〝とちの実〟を足元にあしらって、真の完成!

◆キャラ設定用 下描きイラスト『瑞貴みずき

下描きイラスト『瑞貴みずき

 ……このポーズを表現できる素材が入手不可能だったため、瑞貴みずきの木彫りキャラ彫刻作品は、舞いのポーズに変更して完成。
 この、木彫り彫刻作品化がお蔵入りになった下描きイラスト、もったいないのでアレンジして、1話【早春の壱乃峰いちのみねで】に使用しました。
 キャラ設定としては、『紅白の巫女装束みこしょうぞくが、似合い過ぎている。』、『普段は、フレームレスの眼鏡を着用している。』ため、そのイメージを明確化するために、イラストとして描きました。

◆キャラ設定用 下描きイラスト『峰乃 赤松みねの あかまつ

下描きイラスト『峰乃 赤松みねの あかまつ

 第一部 ~樹々きぎの恵み編~ の、ラスボス的な重要キャラ『峰乃 赤松みねの あかまつ』。
 とくに〝高位の巫女装束みこしょうぞく〟の設定に、これまた気合を入れ過ぎた、下描きイメージ。
 『頭頂とうちょう前天冠まえてんかんには、モデル樹種じゅしゅであるアカマツの樹形じゅけい枝先えださきをあしらう。」
 『長い黒髪を和紙でたばね、紅白の水引みずひきで しばって髪留かみどめとする。』
 ……という巫女設定は さらに発展して、第二部 ~巫女編~ でかされることになります。
 峰乃 赤松みねの あかまつの木彫りキャラ彫刻作品は、躍動感ありまくりの奉納舞ほうのうまいのポージングとして完成させましたが、この設定段階のイメージイラストでは、すでに『6等身の作品にすること』と、『全高93cm』という作品サイズまでもが、決定となっています。


 3話【こなた、東谷街道へ。】に、続きます。。。


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