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「こころかくして」

僕は実名で書いています。
だから、これから書かれることは、本当に、本当に勇気を必要とすることです。

僕は、恋愛対象に性別は一切関係ありません。
性的指向も性自認も、一つの性にとらわれません。
それをはっきり自覚したのは、おそらく2年ほど前です。

僕は若くして結婚しました。
二人の息子はすでに成人しました。
ずっと自分のパートナーを心から愛しています。

しかし、僕は同時に複数の人を好きになります。
そこにはきっと、同じだけの愛情があります。
いわゆるポリアモニーでもあったのです。
ただ既婚者であるので、想うだけで自ら関係を求めることはしません。
おそらくそれは、結婚しててもしなくても、僕の道義的価値観で変わらなかったとは思います。
だから長い年月、自分の本来の姿を理解できなかったのでしょう。
それを自覚したのも同じ頃でした。

さらにいえば、気持ちを抱く人が同性ならば、余計に想いを伝えることなど叶いません。

先日、尊敬している人から誘われてお茶をしました。
彼はいつも、自分のまわりの人を気にかけていて、少しでも異変を感じるとさりげなくフォローする人です。
幾度も助けてもらううち、自身の感情に気付きました。
心から尊敬できる人間に焦がれること、それは性別で分断されるべきではないのです。

そんな気配りな人なのですが、先日は特に僕に思い当たる節がなく、普通にいろいろな話をして別れました。
楽しく、嬉しい時間を。
帰った後お礼のメッセージをすると、「実は最近疲れていて、話を聞けて元気になれました」と返信がきました。
彼は初めて、自分がフォローされたいと連絡してきたのです。
もちろん、一人の友人として。

ふわっとした恋愛感情は、確信に変わりました。
それを理解した時、一瞬焼けつくような感情に襲われました。

叶わないものです。
墓場まで持っていく話です。
そのこと自体は問題ではありません。

でもそれを隠して生きていかなくてはならない社会に、もう耐えられなくなりました。

だからここに、迷いと葛藤を押し退けた自我でもって書きます。

誰かを好きになったことで、後ろめたい気持ちを抱えて沈黙して生きていかなくてはならない世界なんて

僕は、もう、いやだ。


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