それはそうと、きっとセプテンバー。

夜の匂いが好きだ。きっとこの匂いはずっと、どこでも、いつでも変わらない匂いのような気がする。去年のクリスマスも、これと同じ匂いがした。何をしたとか、どこへ行ったかとか、まあ覚えているけれど、それより何よりずっと幸せな1日だった事実の方が覚えている。あとめっちゃ私達、可愛かった。9ヶ月でこんなに色々な事が過去になってしまうんだ。高3っていうのは(少なくとも私の学校では)まだ高校生っていう事実は(仮)(笑)みたいな感じで、この5年間をしっかりじっくり過去にするための期間のような気がする。2日前に倒れた子がいれば、一ヶ月前に彼氏とセックスした子がいる。大人になればなるほど、私たちは多様化して具体化していくんだと思う。本当に大切なこととか、幼稚園で習うようなことをほんの一瞬で忘れることだってできるし、明日から自分探しにブラジルに行くことだってできる、はず、なんだ。
人は誰しも抽象で生まれ、具体で死ぬことを求められる。他の動物はいつだって、自分は誰かすら知ることなく死んでゆくのに。具体になりたくない人は、自ら抽象のままこの世を去っていく。別にどこの誰が何しようと、この世界は変わらないというのに、私たちはいつも具体的で、個性的で、身元確認を求められる。
限りなくつまらなくて具体的な大人に近づいても夜の匂いは忘れたくないし、偶には希望も抱きたい。そんな自分を赦してくれる場所を心から愛したい。18歳の秋が、くる。

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