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SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Art
8年ほどの間いた職場を年末に辞し、年明けに新たな職場に赴くこととなった。
その新たな職場を前職の半分の期間でもって、自ら袂を分かち去っていくこととなることはまだ知る由もない頃。
年の境目でもあったことなどもあり、改めてカメラを、一眼レフを触ろうと決意したこともあり、K-70を入手。
それまでのカメラ遍歴などから手元にあったレンズにを活かせるだろうと、ボディのみ。
数日の間、あれやこれやとK-70の操作感になれるべく色々と試し、K-xと違いと能力差に驚きつつも、若干レンズに不満。
まともな標準レンズがない
フィルムの頃に手に入れ、後に「新しいオールドレンズ」と呼ばれる50ミリや、魚眼、キットレンズぐらいしか手元になく、せっかく再スタートを切ったにも関わらず、何を撮るの?これで?と。
ただ、さして機材に明るいわけでもなく、撮るものが定まっているわけでもなく、自分だけが嬉しければ良いことから、とにかく「なんかいいやつがほしい」と。
そうとなれば、WEB上にある様々なPENTAXユーザが発信するテクストをあさり、逡巡し、迷い、目移りし、最終的な目星をつける。
曰く、SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM Artだ、と。
よって、今回の写真はすべて同レンズにて。
当時は、明るい場所で撮っていた
例によって、梅田。
いざ店頭に並ぶ多くのレンズを見ると再び目移りするものの、カメラ本体以上の価格ということもあり「間違いのないもの」と信じて入手。持ち帰る。
その日から、週末の自転車や散歩に意地でも持ち歩き、その明るさ、そのシャープさ、そしてその重さを実感する日々。
何の変哲もないパイプの錆が、文字が、斯くもシャープでクリアに撮れるものか、と。
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自宅から歩いて30分以内をうろうろするのに飽き、暖かくなってくると同時に、自転車の距離も伸びる。
国道2号線にかつて存在したビール工場の跡地が更地となっており、市民病院の移転が中止になったとかなんとか。
そういや、何ができるんだろうかと向かう。
その時はまだフェンスで囲まれるのみでめぼしい建屋もなく。
そこには、幼い頃にはまだ存在していた「空き地」があった。
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そのシャープさに魅せられ、どこに行くにも必ず持っていった
ズル休みも同然に平日に休みをとってテオ・ヤンセン展を見に行ったときも、月に一度開かれる四天王寺の弘法市にも、近所のコンビニに行くときも、廃線跡にも。
大阪市内でクレーム対応で頭を下げに行くときも。
泊まりの出張にも、大きな展示会の準備にも。
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そして、祖母の危篤を聞いて大急ぎで航空券を手配するも、なにもかもが間に合わなかったその時も。
25年ぶりの帰省
出発の2日前。
航空券を確保し、死の床に就く祖母でも口にできるものはないかとデパ地下。煎餅の類は歯が悪くて駄目だ。あもが好きなのはしってはいるが、餅や小豆の細かな塊は誤嚥につながらないだろうか。それとも、小学生の習字セットに入ってる墨ぐらいのサイズの練り羊羹詰め合わせが?それともいっそ、口にできないこと前提で見た目にきれいな金平糖がいいだろうか。
あんまりかさばるものは持っていけない。でも、25年。叔父叔母従兄弟。さて、何をどれだけ持っていけばいいんだ。
決められない。
どうにか、祖母の口に入れることができそうなものなど確保し、地上。
駅に向かおうと、エスカレータに向かうその時。母からの着信。
出ずとも分かる。
あぁ、間に合わなかった。
2日後に機上の人となり、約1日を経てCDG着。
その後、25年前には存在しなかった高速バスで5時間程移動。叔父の迎えで祖母の居た家へ。
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主の居ない家で
私の到着前日にすでに見送りは済んでいて、25年ぶりの帰省は祖母の居ない家。
そこにいるのは、叔父、叔母、従兄弟。そして、妹。
従兄弟や妹にくらべ早くに生まれ同じレイヤにありながら一周りの年嵩である私を、幼かった頃のように無条件に迎えてくれる叔父叔母。
葬儀の仔細もそこそこに、飲めや食えやと。悲しむ暇の無いように。
翌日以降、片手に足りない日数の滞在中に懐かしい場所や新しい場所へ次から次へと、いい年をした私が連れて行ってもらうことなる。
近くの市へ
日曜日には、市が立つ。
当時は「隣村」のイメージだったが、現在は「隣町」といったところ。
家を出てぞろぞろと御一行様。
窺い知らぬ理由で疎遠となったらしい、すでに亡くなって久しい祖父の姉一家がかつて暮らしてた空き家の前を通り、市の立つ公園に。
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ミシュランの記念館
愛知に行くとトヨタの城下町、というのがあるそうな。
ミシュランにも、城下町がある。
自転車のタイヤから発展したとされ、「車で移動した先に目的地を作る」商売のために地図を売り、グルメガイドを作った、というアレである。
身近なところでは、阪急がそんな感じ、といったところか。
かつての製品や使用していた機器が展示されているのだが、知らぬもの多く。
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街の中心へ
自分のアイデンティについては未だ悩ましいことが多く。
サードカルチャーキッズのようでありつつ、そうでないようでありつつ。
だいたいが、生まれて半世紀を目前にしてキッズもなかろうといえばそれまでの話ではあるが、そもそも。第三の、と、他者に規定される筋合いわないわけで。
私の世界は誰がなんと言おうと、私を中心にしか回らないし回れないのだ。
その中心にあるもののひとつが、聖母被昇天のノートル ダム大聖堂。
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街全体が石造りのため街並みの変化は緩慢で、大聖堂の付近は幼いときからの点々とした記憶が残るエリア。
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日にちは過ぎ、帰路に
少ない休みをやりくりして帰省したものの、やはり時間は過ぎていく。CDGから帰るために、叔父叔母従兄弟に別れを告げ、SNCFで北上し一泊。
できる限り滞在したかったものの、黄色いベスト騒動からの流れでSNCFの運行も怪しく、致し方なく。
ありがたいことに「動いてはいるが、ま、時間通り着くとは言ってない」程度の遅延で到着。
その日の寝床である妹宅からの窓の眺めは、いかにも、というところ。
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翌日が空いたので、おそるおそる街に出る。
レ・ロマネスクが歌うとおり、調整中のエスカレータを横目に券売機に向かい、地下鉄に。過度に身構えるのも違うし、ダレるのも違うし、なんとも落ち着かない。不目的的にも程があると自嘲しつつ、目的の駅へ。
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地上に出て、だらだらと人波にのって移動。
別に観光と言われてもな、と。
ひとりの時間ができてしまったことで、間に合わなかったことなど思い出されて、あまり風景が入ってこない。
当時は半月板にダメージを受ける前だったこともあり、歩ける範囲がかなり有ったこともあって、名所とされる場所を何箇所か回ったはずなのだが、今ひとつ記憶に薄く。
ほぼ唯一、別に私が撮る必要のないような、よくある写真が残っていた。
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流石に疲れたこともあり、出発に備えるためにと再度地下鉄に乗り、戻る。
途中、何を思ったかKFCで遅めの昼飯をテイクアウト。
東京のコンビニに行くと、アジア系の店員が昼間もたくさんいるが、移民などの兼ね合いからか、ここでも同様。
独特の訛りのある店員と、過度なまでに流暢な私。
疑問符の付いたような周りの視線など感じつつ、どこ居ても「どちらでもない」にカテゴライズされるのは、もはや諦めねばならんなと、紙袋片手に独り言。
おそらくは、200年程度前に、燃料を燃やすタイプの照明が下げられていた屋根を見ながら、食す。
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翌日、空港での待ち時間にマクドナルド。
当時はまだ寡聞にして見たことがなかった、サイネージ風のでかい画面を操作して自ら頼むシステム。
なぜここまで来てファストフードが続くのか…
次はいつになるのか。きちんと花を用意したい
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