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『マルクス 資本論』を読む。(第六章 不変資本と可変資本) #189

前回に引き続き、『マルクス 資本論 シリーズ世界の思想』を読んでいきます。前回は「第五章 労働過程と価値増殖過程」を読みました。今回は「第六章 不変資本と可変資本」を読みます。今回の話は言葉の定義がメインであり、今後の話の伏線的な章になります。


第一章で確認したように、有用労働(労働の種類や質)が生産物に使用価値をもたらし、抽象的人間労働(労働時間や量)が生産物に(交換)価値をもたらします。つまり、抽象的人間労働量によって(交換)価値が増減することはあっても、使用価値が変わることはありません。そのことを、不変資本と可変資本という言葉で定義しています。

不変資本
生産手段すなわち原料や補助材料や労働手段に転換される資本部分は、生産過程でその価値量を変えないのである。それゆえ、私はこれを不変資本部分、またはもっと簡単には、不変資本と呼ぶことにする。(223)

222ページ

可変資本
それにたいして、労働力に転換された資本部分は、生産過程でその価値を変える。それはそれ自身の等価と、これを超える超過分、すなわち剰余価値とを再生産し、この剰余価値はまたそれ自身変動しうるものであって、より大きいこともより小さいこともありうる。資本のこの部分は、一つの不変量から絶えず一つの可変量に転化して行く。それゆえ、私はこれを可変資本部分、またはもっと簡単には、可変資本と呼ぶことにする。(224)

223ページ

たとえば、布を編むときに人間が手で編んでも機械で編んでも、布としての使用価値は基本的に変わらないけれど、機械で編んだ方が労働力(人件費)がかかっていないので安くなります。逆にペルシャ絨毯が高いのは、絨毯としての使用価値に加えて人の手で何年もかけてつくるからですね。このことを不変資本と可変資本という言葉で表現しています。

まとめ

以上が、「第六章 不変資本と可変資本」の内容です。次回は「第七章 剰余価値率」を読んでいきましょう。引き続き単語の定義の話になりますが、お付き合いください。

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