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生と死を等しく見つめる〜旭山動物園

憧れの旭川市立旭山動物園にこの3月末に行くことができました。
まだ冬季開園期間なので10時半〜15時半と短めの開園時間なのもあり、時間足りないかと思いましたがなんとかギリギリ、全部見ることができました。
いやーたのしかったー!

行く、とSNSに投稿すると次々に旭山動物園ファンの方たちからおすすめの動物達が紹介され、行った先での投稿にもたくさんの反応が。
愛されてる動物園、動物達なのだなーと想います。

きたぜーー

3月末は降らないまでも根雪がまだもりもり残っており、雪景色の動物達も楽しめました。
有名なペンギンのお散歩は数日前に終了して見られず残念!  春休みとはいえ、ちょうど冬季と春季の境目なのもあってか、混雑は程よかったです。



生と死をともに見つめる展示達

旭山動物園の魅力はきっとファンの方々がこれまで語り尽くしてきてるだろうとは思うんですが、予備知識ほぼなしで、特に動物園ファンというわけでもなく訪れたものとして感じたことを少しだけ。

当たり前なんだけど、生命には始まりがあり、終わりがあるということ。
それをどちらも見つめる展示ばかりなんだな、ということを強く感じました。

生まれました!だけではなく、亡くなりました、の掲示がすごく多いんですよ。こんなに日々、命が喪われていく場でもあるんだな、と。
あえて死を隠さない、きちんと報告していくスタイルなんだそうです。

生まれた生命は空と大地に還っていく。

動物園で、ありのままの動物たちの生活や行動、しぐさの中に「凄さ、美しさ、尊さ」を見つけ、「たくさんの命あふれる空間の居心地の良さ」を感じてほしい。家畜・ペット種との触れ合いを通じて「命の温もり、命の尊さ」を感じてほしい。そして、野生動物の保護や環境問題を考えるとき、動物たちは私たちと対等な生き物なんだと思うきっかけになれる、そのような動物園でありたいと思っています。
本園の理念である「伝えるのは、命」という言葉には、このような思いが込められています。

旭山動物園ホームページより


手書きのたくさんのポップには、動物達が直面している問題…絶滅の危機や、環境汚染や、温暖化など…も書き添えてあり、もぐもぐタイムではかわいい!という側面だけではなく、なぜ彼らがここに保護されなくてはならないのか、絶滅に向かっている事実などの問題提起も必ず合わせて行われていました。

ヒトとクマの問題。
ヒトとオオカミの問題。
アザラシ達の頭数減少。
烏とヒトの問題。
密猟・乱獲、環境汚染。

いろいろ考えながら歩いた1日でした。

◎ぺんぎん館

なにはともあれ、ぺんぎん館。
トンネルを抜け、飛ぶように泳ぐペンギンに、通る人がみな、おーー!と歓声を上げ、楽しむ。
今では多くの水族館で見られる演出ですが、旭山動物園ではぺんぎん館のオープン当初から導入されていて、もう24年目です。
展示にあった、ペンギンの羽根を触ってみようのコーナー、あんまり触る人いなかったんですが、ふわふわもふもふで、あ、鳥なんだな、って当たり前のことを再確認。
濡れてる姿からはちょっと想像できないくらい、フワフワです。

早速、もぐもぐタイム(えさやり)になったので、見学。大人気で人の輪の外からちらり。キングペンギン側。左手ではイワトビペンギンやジェンツーペンギン達が餌をもらってました。

換羽期で食欲が落ちることがあるそうで、この日は見てるとだいたい、キングペンギンは一羽につきホッケ2尾でもういいです、って感じ。貪欲に奪い合う、みたいな光景はほぼありませんでした。
高齢なのか、茶色い羽の子がどうしてもうまく飲めなくて若い子に持ってかれてるのにハラハラ…飼育員さんが少し強めにグッ、と押し込んであげてやっと飲めてました。

みんな、そっぽ向いてむんむんと嚥下する姿が面白かったー。

イワトビペンギンはみんな元気。

この、お腹にうんち?つけてエッヘン!ってしてるイワトビペンギンちゃん、人気でした。
キングペンギンはでかいねぇ…。

フンボルトペンギンは曲線がかわよいね。

◎あざらし館

続いて、あざらし館へ。
今はゴマフアザラシが5体、メス4のオス1のハーレム状態とのこと。しかも、繁殖期で、みんなくっつきまくってました。追いやってるのはメスとメスの争いだったのかなー。
縦型のトンネルをすぅっと通っていくアザラシたち。ゆっくりに思うけど、写真や動画に収めようとすると素早くてなかなか撮れない。
子どもたちがどこから来るのかワクワクして覗き込んで、なかなか離れようとしませんでした。

屋外プールでもまとわりつきまくるアザラシ達。


お昼頃に、もぐもぐタイムがあり、端っこで見学。
説明が聴こえづらいところでニュアンスしか聴き取れてないんですが、芸を仕込んでるのではなく、身体のチェックをスムーズにするためにボディタッチに慣れさせるためと運動のためなんです、と話してらして、なるほど。

若い飼育員さんが特に細かく指示をしてたのは、昨年迷い込んだという子なのかなー?
愛嬌たっぷりに、端のほうまで来てくれました。 
あんまり言うこと聴いてなかった(笑)


羽根を怪我して遠くに飛べないという、あざらし館プールの住人、オオセグロカモメも人気でした。
餌を狙ってるのかなーってみんな思ってたけど、一切、もぐもぐタイムには狙いませんでした。

◎ホッキョクグマ館

続いてホッキョクグマ。
今、円山動物園から繁殖のマッチングのために、雄のホクトが来園中。
片方の展示スペースにはホクトとピリカ。昨年、繁殖に成功したカップルなんだそうです。

ルルは反対側のスペースに。
展示館の中のシールズアイカプセルという、アザラシが流氷などからぽっこりと氷上に顔を出すと目の前にホッキョクグマがいたときのシチュエーションを体感してみよう、というコーナーがあって、そこから顔を出すと、運が良ければ(アザラシ的には悪ければ)ルルと遭遇できます。
私のときはたまたまウロウロしてたルルがそばを通り抜けて、確かにでかさを感じて緊張しました。
確かに、アザラシとしたら恐怖だ(笑)

館内からの観覧者が増えるとルルは館内のほうに近づいていたので、空いてるうちがチャンスかも。

ホッキョクグマ、でけえ。

シールズアイカプセルの入口。20分待ちになってたけど、覗いても何もいないケースも結構あるんですって。前のカップルは近くに来てくれなかったそうな。

ホクトは額の黒い模様(傷?)が特徴的で野性的。
歩く時の脚のクロスが面白かった。熊ってこうやって歩くのね。ピリカはひと回り小さくて真っ白。

まあ、ホッキョクグマの毛は真っ白なわけじゃなくて、ほんとは透明で、光の反射で白く見てるだけなんですってね。そう言われても認識としてはやっぱり白なんだけど。

ホッキョクグマといえば、鮭。
鮭を旭山動物園で育ててるそうで(放流した残りを観察目的で成魚まで育てているとのこと)、稚魚から順に展示されてました。

◎キリン・かば館

このあたりまで単なるハイテンションで人気の館〜攻めてしまい、混雑もあって時間がかかりすぎてることに気づき、方向転換して反時計回りに回って東門のレストランでご飯を食べて、戻って来るルートに変更。

キリン・かば館に向かいます。

このかば館にハマった…(笑)
百吉ぃーーーおもろすぎるーー!

雄の百吉は館内のプールにいて、ぐるぐると遊泳してたんですが、「おしりを向けたら離れて!」の注意書きが気になる。

このとき、百吉は潜ってたんで、飼育員さんに話を聞いてみると、カバはかなりテリトリー意識が強く、人間に対してもいわゆるマーキングのためにおしっこを撒くんですが、そのとき糞も一緒に撒くことがあるんだそうで。ひえー。
お尻を水面から浮かせて震えだすとヤバいので、飼育員さんたちは常に誰かプールサイドにいて、ヤバい!となると声をかけて糞尿の飛ぶ方向にいるお客さんを避難させるんだそうです。

へぇーー。大変だなそりゃ…と思って、内心ちょっと、慌てふためくお客さんを見てみたい…なんて意地悪な気持ちになりつつ、百吉の前の方に回ると…

ん?
あれ?  百吉、お尻をプールサイドに向けてない?

と思った瞬間、先ほど話を聴いた飼育員さん、ダッシュ!

「こっちに立たないでくださーい!」

からの、糞尿、ブシャーーーー!(笑)

うわぁーーーーーー!(嬉)

えーーー!
そんなタイミングあるー!?(笑)

私と飼育員さんの話が聴こえていたかのようなグッド(バッド?・笑)タイミングでしたが、なかなかの飛び具合に動揺のあまり、動画は途中で切れております。
幸いにして、被害者はおられませんでしたが、プールの縁と床は大変なことになってしまい、飼育員さんはせっせとモップでお掃除タイム。
百吉は知らん顔でまた潜っていきました。

わはは。

下の動画、映ってないと書いてますが、最後の最後にぷるぷると糞尿が飛び散る様も少し、見えてます。


このときのマウンティングを、プールの隅で見ていたお姉さんがよくがんばったねーえらいねー!ってずーーーっと褒めていて、まるで百吉のお母さんみたいでした。
ほかの檻でもそういう方はちらほらいらして、そういうふうに動物を単なる「1頭」ではなく個として愛する人達が多いんだなぁと感心しきりでした。
そういう熱烈さが動物園を支えている一面もあるんでしょうね。

百吉にハマって動画いっぱい撮ってました。 おもろかった…。

屋外プールの横では凪子と朝子の親子がぐうぐう昼寝中でした。子どもといっても大きい、さすがカバ。

屋内プールは下からも見られて、真下からもこんなふうに覗けるのでした。

かぱ館の隣はきりん館。
もぐもぐタイムの前にすでにもぐもぐしてました(笑)

キリンを見上げるんじゃなくて、上から見られるって珍しい気がしました。背中や顔をこんなに近くで見られて面白かったです。

◎ぐるりと東門へ〜ふれあい広場など

さてさて。
このへんで「あれねえ、時間足りるの?」と焦り出す私です。エゾヒグマ等北海道の動物達は絶対に見たかったので、ともかく反時計回りに東門(つまり、山の上)まで一気に向かってそこからの下りに時間をかけることにしました。

ダチョウはじっとしておった…寒いよね、そりゃ。

うさぎ、山羊、羊、豚などのいるこども牧場で意外と時間を取られる私。だってかわいいんだもん!

この牧場のみ、動物達に自由に触れていいそうで(手を必ず洗うのが条件!)、こわごわ触る子、逃げる子、いろいろでした(笑)

山羊はこれ、多分、親子かな。角をこすり合わせてくっついてました。
サーフォーク種のイツカと子どものナツメは屋内にいて、ずっとそっぽ向いてたんですが、誰もいなくなってわたしひとりになった途端、クリッとお顔を見せてくれる神対応でした。ありがと、イツカ!

こども牧場の奥は斜面になっていて、山羊ってそういや、斜面を駆け上がるもんなあ、と納得。
上にあった施設には黒ラブちゃんのダイチくんがいたんですがすやすやお休み中で遊べませんでした。残念。

◎レストラン「カムイチカプ」

ようよう、東門に到着〜ここまで上がったのはカムイチカプでお昼を食べたかったからでした。
ジンギスカンカレー、んま!
サッポロクラシックの生ビールもいただきました。んまー! サッポロクラシックって、東京でも缶ビール買えるようになったんですが、北海道で飲むほうが美味しいです。空気に合ってる気がする。

カムイチカプは、神の鳥、の意味でフクロウのこと。
入口には、川村カ子トアイヌ記念館から寄贈のフクロウの木彫り像が飾られていました。時間がなくて行けなかったんですが、川村カ子トアイヌ記念館にも次回があったら行ってみたいです。

◎さる山〜世界の猿達(オナガにテナガにオランウータン)

さてさて、後半戦です。
昼の段階で気温3℃だったこの日の動物園、さすがに猿たちも寒さでぎゅーっと団子になってスヤスヤお休み中…下にいたニホンイノシシも寝てました。

くるっと回って中に入った途端、どどどドドドーーっとその猿たちが飛び降りて走り始めたー!
な、なにごとーー!?

わけもわからず、見ていたらノシノシと奥からニホンイノシシが。寝てたニホンイノシシ が起きて動いたので猿たちも逃げたんでしょうかねー?

ワオキツネザル達はサンルームで暖を取っていて、隣で一緒になった人たちと「サ活ですね、これ…」「サウナのおっさんですね…」と盛り上がる。
奥の子が立ち上がって伸びーーーっとした瞬間、大爆笑。

そのうち、たくさん入ってきた、と思ったらみんな一気に外に飛び出していっちゃいました。

サル舎のブラッザグェノン。
展示してないと書いてあったんですが、どうも飼育舎のおそうじをしてたのか、出てました。おじいちゃんみたいでかわいいなあ。

サンルームには親子が。
子猿さん、かわよい…みんなニコニコ。

テナガザル館のキョンはお休みでした。見たかったなー(ええ、八丈島のキョン!が通じる世代ですよ)。

シロテテナガザルはのんびりこちらを見ていた。テナガザルは尾がないんだそうで。
分類的に、オナガザルとテナガザルはかなり違う(ニホンザルはオナガザルに近く、チンパンジー、オランウータン、テナガザルはヒトに近い)んですって。サルひとつとっても知らんこといっぱいある。

その、オランウータン館。
モリト。つい最近、お父さんに当たるジャックが亡くなったとのこと。ひとりぼっちがさみしく見えたのは、こっちの感傷ですかね。

じっとしてたんですが、ヒトが増えたらぐるぐるルーチンし始めた。17歳とのことで、飼育員さんに、人間で言うとどのくらい?と聴くとあまり変わらない感じでした。


チンパンジー館。
オランウータン館もですが、かなり高い遊具を用意してあって、自然に近い生活環境を用意してる印象。
上からも下からも観察できる。

繁殖期で、雌のお尻がすごく膨らんでました。心配になるくらい出るのねぇ…。
自分で寝床をこしらえてスヤスヤお昼寝中。

◎北海道の動物たち

旭山動物園ならではの北海道の動物達。
エゾモモンガぁーーかわいすぎんかーー!
エゾタヌキはホンドタヌキとの違いはよくわからず。とりあえずウロウロしててかわいい。トビとハヤブサは保護鳥。ハヤブサは羽根を折っていて飛べないのだとか。ワシミミズクはぐーぐー寝ていた。

ユキウサギ、ほんとに保護色なんだなーってわかる景色。よく見ないと見つけられなかった。
ちなみに、キタキツネは檻の中を探しても探しても見つからず、あれはいなかったんですよね!?(笑)

トナカイ。角がすげえぇぇえ!

若い子と雌と比べても立派さが段違い。

オオワシ。かっけー。
山の上である利点を活かして、林がそのまんま檻になってました。なもんで、目を凝らして探すのが大変(笑)

タンチョウヅル。
ずーっと話しかけてる人がいて、その人のそばに寄ってってました。ツルにもわかるんだろうね。


◎エゾヒグマ

旭山動物園に行くよって書いてたら、動物大好きなカッパのコタロウくんに、すなすけによろしく!と言われまして。
旭山動物園に保護された、エゾヒグマの子どもなんだそうです。室内にいました。外にはトンコさん。

餌の時間が近づいてたのか、ずーっと扉をノックしてはウロウロするトンコさんでした。

すなすけは棒に夢中!
かわいい!

保護された子という身の上もあってか、大人気でした。すくすく育ってほしいねぇ。


◎マヌルネコ・レッサーパンダ

かなり終盤、閉園時間も迫る中でしたがなんとか全部見る!の根性で。

いやぁ、マヌルネコ、いいねぇーーー。
ずーっと上を見てるんですが、ガイドさんがたまたま近くにいて、これは天敵が上から襲ってこないか気をつけてるからなんだそうで。

哲学的に見えますよね。

レッサーパンダは上のハンモックで寝てる子、サンルームで寝てる子が多いなか、1頭だけウロウロウロウロ…。

ぐーぐー。

◎もうじゅうの森

最後はもうじゅうの森。

見たかった、シンリンオオカミはみんなお昼寝してました。夜行性なんだよね、きっと。

最後の1枚は、シールズではなくウサギの気持ちが味わえるカプセルから。この距離でもドキドキしますね。
夏に来れば走ってる姿も見られるかしらー。


こちらはエゾシカ。
展示に食べ方が書いてあって、北海道の人にとっては愛でる以上に食べる存在なのねぇって。

芯玉が好きです。

アムールトラとライオンは隣の檻になってました。
アムールトラ、カッコいいけど、寝てんなーと思ったら、ライオンが動き出したのを見て、急に牽制しあってすごかったー。

絶対に檻を越えられないのはわかるわけで、それも一種のレクリエーションなのかも、とも思ったり。

檻越しでもかなりの緊迫感がありました。

アムールヒョウは寝てましたが、真下から見られる場所があり、ほえーかわえーと眺めてたら、横に注意書き。ここも、おしっこ降ってくることがあるそうな。ひゃーい。
カバと違って誰も助けてくれなさそうなので、自衛が大事です。
それにしてもモフモフだーかわいー。

ユキヒョウは綺麗だった!
クールビューティ!

あーもー楽しいー帰りたくない〜。
最後の方、駆け足になっちゃったし、また来たい! です。夏季の動物達も気になるし、真冬の雪もっさもさの様子も知りたい!です!

楽しかったー!

がっちり閉園時間まで。お昼くらいまでは曇って、時折、風花も舞ったんですが、次第にこの青空。
3度の寒さもなんてことなく、めちゃくちゃ歩きまくって楽しみました。16000歩!

旭山動物園も旭川も、見たことのない景色に溢れていて、とても思い出深い旅になりました。
生命への厳しさと優しさ、どちらも備わった視点は、旭川の厳しい冬を乗り越えて生きてきた人々が作った場だからこそ生まれるものかもしれないな、とピリピリした寒気の中で思いました。

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