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チームを伸ばす10の視点④「計画・作戦」~勝つべくして勝つ戦略を

有名な孫子(そんし)の兵法に、次のような一節がある。
「勝兵は先ず勝ちて而(しか)る後に戦いを求め、敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む」
 つまり、勝者はつねに計画を立てて戦いに臨み、敗者は戦いに敗れた後に「ああすればよかった」と悔やむというのだ。優れた戦略家は勝つべくして勝っている。勝敗は、戦う前にすでに決しているといえよう。
 では、計画を立てるうえで大切なことは何か。それは、まず目標を決めることだ。目標は可能なかぎり明確で具体的であることが重要だ。これが達成できたら勝ちだという具体的な「勝利ポイント」を定めることによって、緻密(ちみつ)な計画を立てることが可能となる。
 目標が定まったら、目標から逆算して、どんな準備をしておくべきか、どういった手を打つべきかを考える。また、戦いを細分化して課題を決めていく。例えば、この一ヶ月で何をしたらいいか、この一週間では、今日一日では・・と。
 このとき、なるべく多くの人の意見を聞くことが大切になる。さまざまな意見を聞くことで、一人では思いつかなかった知恵が生まれることもあるだろう。
 また、ディスカッションを通して、計画に対する各人の納得を得ることもできる。どんなに立派な計画であったとしても、それが独善的なものであれば高い効果は期待できない。リーダーは各人が心から納得して取り組めるような、明確なビジョンを示さなくてはならない。


■知恵が大切
 通算勝数1位の天才棋士・羽生善治(はぶよしはる)氏は「大局観」という言葉を使い、勝利からの逆算の大切さを語っている。対局中、目先の利益にとらわれて手を進めることは危険であり、「部分的には損」に見える手であっても、「全体としてはプラスになる」手がある、と指摘している。プラスになるかどうかを見極める視点は、勝利のイメージが明確で、そこに至るプランを持っているかどうかだろう。
 明確な目標と緻密な計画があれば、状況の変化に右往左往することなく、目標に向かって最善の道を進むことができるのだ。
 ただし、ここで注意すべきは、計画はあくまで計画であり、それに固執(こしつ)するのもまた危険であることだ。現実の変化によっては、臨機応変に対応することも求められる。リーダーは常に最新の情報を得ながら、計画と現実の齟齬(そご)を埋め、よりよい方向に進めていく知恵を発揮しなければならない。

Check Point!
□勝利ポイントは明確になっているか?
□すぐに手を打つべき課題は決まっているか?
□計画には全体の意見が反映されているか?

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