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プロの小説家の人

みなさんは小説を書いたことがありますか?
私qbcはあります!!!!!
そもそも私の夢は小説家だったのです、、でも、投稿小説でもダメで、、30年近く書いているのになしのつぶて、、ということで、じゃーもう読者は自分で作りますわー!!! と思って人を集めるために始めたのが、この無名人インタビューなのです。
インタビューすれば、最低一人とお話しして、自分のしていることを伝える機会が持てるでしょう。それで私のことを知ってもらえれば、私の書く小説にふれてもらうきっかけができるかもしれないでしょう、って。
出版社が読者を作るんじゃなくて、自分で読者を作ればいいのじゃないの、て。
そういう理由でこの無名人インタビューを始めたのですが、あれよあれよという間に、いつのまにか小説を書く時間のないほど忙しくなり、いつのまにかインタビュー中心の活動になってしまったと。
小説を書くことで身についていた作文の力や、構成力はそりゃあまあ役だってはいるけどね。でも一番役立っているのは企画力かもしれない。次に何すればいいかっていうのは、どんなインタビューすればいいのかってことで迷ったことはないものね。優先順位付けは迷いますけれども。
ただ、まあ、今のところ実ってないけれども、一つのことをつきつめようとした経験は、ほら、今、役立ってるよ、と。だから、あきらめないでね、というメッセージです。
ということで、本日の無名人インタビューもよろしくお願いいたします!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】

今回ご参加いただいたのは 塚本はつ歌 さんです!

現在:感想をくれるっていうことの喜びが、今までにない、人生今まで感じたことがないような喜びで。

花梨:塚本さんは今、何をしている方でしょうか?

塚本:はい。私は小説家をしております。デビューは2020年で、2冊出版しています。現在3冊目を執筆中です。

花梨:書いている小説のジャンルというのはどういったものになるんでしょうか?

塚本:うーんと、主人公、大体10代なんですけども、10代の方たちから大人の人にも楽しんでもらえるようなお話を書いてます。

花梨:ファンタジーとかミステリーとか、いろいろあると思うんですけれども、何に区分されるようなものなのでしょうか?

塚本:私が、ジャンルというものに無自覚に書いているところがありまして。読んでいただいた方には、ファンタジーとか、ヤングアダルト向けの青春小説、みたいな形で言っていただくことが多いです。

花梨:小説を書き始めたのは、2020年からなんでしょうか?

塚本:書きはじめたのは、5歳とか。そのぐらいです。ずっと楽しんで書いてて、初投稿したのは17歳。高校生です。そっから20年ぐらいかかって、36歳でデビューしました。

花梨:デビューのきっかけはどういったものでしたか?

塚本:産業編集センターっていう出版社の、第7回暮らしの小説大賞っていうものをいただいて、デビューしました。

花梨:小説を書かれてる時の気分はどんな感じなのでしょうか?

塚本:気分。うーん、自分の中にいる批判者みたいな人、自分の中にある読者の批判を受けながら、っていうのと、物語に出てくる人たちの気持ちになっている。うーん、なっているってのもちょっと違うんですけども。出てくる人たちの気持ちと、頭の中の読者の批判と、両方を受けながら書いてる感じです。同時進行で。

花梨:その批判って、具体的にはどういった言葉とか内容が出てくるのでしょうか?

塚本:ここは分かりにくいとか。何を言っているか分かんないとか、唐突すぎない?とか、このキャラ必要ある? とか。自分の中の声なので、ストレートに、ここ面白くないよねみたいな。そういう声が聞こえてきますね。

花梨:それを受けながら、内容を修正するという感じですか?

塚本:そうです。一方で、私が面白いと思ってる話を書いているので。書きながらわくわくする部分もあるんですね。書きながら涙ぐんだりとか。そういう楽しむ読者の部分もあるんです。ここすごい面白いよねって言ってくれるときもある。だからなんていうんだ、批判じゃないや。リアクションですかね。ここすごい面白いよねとかいう反応が出るときもあれば、つまらないねって言ってくるときもあります。

花梨:もう1つのですね、物語に出てくる人たちの気持ちっていうのは具体的にどんな形で現れてくるんでしょうか?

塚本:私は、感情が体感として出てくるので。怒りだったら、本当に体がムカムカしたりとか。悲しかったらちょっと泣けちゃったりとか。それを言葉にすることは結構苦労してます。怒ったことを「怒った」ってそのまま書いてもしょうがないので。どうやって表現するかっていうことにエネルギーを使います。あと、情景が視覚的なイメージとして出てくることも多いです。

多分作家さんっていろいろ、声が聞こえてくる方もいれば、見えているものを書いてる方とか、いろいろいると思うんですけど。私の場合は、登場人物の表情とか、その場にいる部屋とかが、映像として出てくることが多いので。細かい顔の動きとか、全部書きたくなっちゃうんです。文章にするとしつこかったりとかもするので、小説の表現としてどこまでおさえるかっていうことも気をつけたりしてます。

花梨:その映像をより適切な形で表現するために、どういった手順、思考回路で書かれているんですか?

塚本:ええと、まずは時間を置くことですかね。1回寝かすこと。2日なり3日なり、長ければ1か月ぐらい置くんですけども。そうすると、盛り上がってる気持ちがおさまって、冷静になります。あとは、さっき言った、頭の中の読者の反応をみます。読み返すとつっかえる部分があるんですよ。ばーって読んでるうちに目が引っかかれば、そこはいらなかったりとか、考え直すべき部分なので

花梨:最近楽しかったことって何かあったりしますか?

塚本:最近は、仕事か育児かっていう感じになってるので、その中で楽しみを見出しています。4歳の娘がいるんですけども、こないだ、たくさんのお友達と自然の多い公園に行きました。その時にママ友と話しながら、子どもたちが駆け回ってるのを見たときに、充実感を感じました。楽しいなと思って。子どもの4年間って、大人の感覚としては短いんですけど、0歳から4歳っていう爆発的な成長していて。娘は最近、赤ちゃん扱いというか、子ども……幼児扱いをすると怒ってくるときがあります。いつのまにかお姉さんになっていて。成長を都度発見するっていうのが、すごい面白いなって思います。

花梨:成長を発見するという点が、充実感とか楽しさに繋がってくるのでしょうか?他にもありますか?

塚本:私、Twitterやってるんですが、Twitterで読者さんから読了の感想をもらったときの嬉しさっていうのが、すごいです。私は今まで、サラリーマンをしながら夜とか休みの日に書いて、投稿して、落選する、っていうのをずっと繰り返してきました。誰かから反応をもらうっていうことがなかったので。デビューして、本になって、それを読んでくれる人がいて、しかも感想をくれるっていうことの喜びが、人生今まで感じたことがないようなもので。それが新しいモチベーションになっています。読んでくださる方が、読んだよっていうことを教えてくれるっていうのが、すごい喜びです。

花梨:周囲の方から、ご自身の性格について何と言われることが多いですか?

塚本:性格は、真面目とか、気を遣いすぎるとか、頑張りすぎるとか。そういう感じで言われますかね。優しいって言ってもらえることもありますけど。自分でも最近、頑張りすぎっていうことに関して、かなりテーマになってるところが……というか見直したいところではあります。育児と仕事で結構時間を取られるので、その分、何とかやりくりして、やりたいことをやってこうみたいな感じでストイックに詰めちゃうんですね。で、体調崩してしまったことがあって。

体を壊すほど頑張るって、大人として駄目だなっていうのを最近すごく思うようになってきて。何だろうな。子どもの頃に受けた教育とか、時代的なものもあったと思うんですけど。頑張れ頑張れって、自分に負けるなみたいな感じで、ずっと教えられてきたところがあります。それちょっと違うんじゃない?っていうのを、40近くになってやっと分かってきたというか。死んじゃうんじゃないかなと。このまま頑張れ頑張れで行くと、楽しいこととか素敵なことは周りにあるはずなのに、見落としてしまうんじゃないかなということにやっと気づけてきたかな。頑張りすぎだよとか周りに言われてもピンとこなかったんですけど。それがやっと受け入れられるようになったというか

花梨:受け入れられたきっかけなどがあったんですか?

塚本:ついひと月前ぐらいに、声が出なくなってしまったことがあって。全く声が出なくなったんですよ。疲れとか、いろいろ原因あったと思うんですけど。夫からも周りからも、本当頑張り過ぎだから休みなって言われて。

今までは、やらなきゃいけないこと……やるべきことを優先させてたんですけど、一回、やりたいことやろうと思って。その時すぐできる「やりたいこと」って、映画を観るとか、好きな漫画を読むとか、そういう感じでした。そういう時間すらもとってなかったんですよ。だからアマプラで、楽しい映画を1個観たんです。そしたらなんか、すごい楽しい内容だったんですけど、涙がポロポロ出てきて。ああ疲れてたんだな私、っていうのがそこでやっとわかって。ちょっと力をゆるめてみようって思えたときから、声は回復基調に乗った感じがあったんですね。

体が「休みな」って言ってたのかなと思うぐらいにてきめんな効果がありました。やるべきことよりも、やりたいことを優先させるっていうことの大切さに気が付いたのがちょうど1ヶ月前ぐらいです。そっから考え方が変わってきたのかなっていうのがある。

花梨:ちなみに、やるべきこととやりたいことって、それぞれ具体的な例として、どんなものが該当してくるんですか?

塚本:やるべきことっていうと、日常的な家事とか、あとは仕事ですね。小説に関する資料や、難しい本を読んだりとか。それも興味の対象ではあるんですけども。あと、SNSです。自分はまだ駆け出しの、新人の部類に入る作家なので、自分のことを知ってもらいたいっていうのがすごくあったので、InstagramとかTwitterとかを頑張ってたんですよね。あとは細々としたレシートの整理とか。そういうことも含めて、優先させてた感じですかね。

花梨:やりたいことは、映画とか漫画とか、そういった趣味に関することになりますかね?

塚本:やりたいことはいろいろあります。でも、カフェでぼーっとするとか、のんびり散歩するとか。そういう本当にちっちゃいこと、やろうと思えばすぐにかなえられるようなことすらやってなかったんですよね。漫画とか映画っていうのは、声が出なくなって、何か1個やりたいことをやろうって思ったときにすぐできることっていう意味で、それをやったんです。昔から、そういうものが大好きだったので。映画とか漫画とか小説とか。物語に触れることが大好きだったので。あとは1人になってぼんやりすることとか。本当そういう些細なことです。他にね、旅行とか広げればまだいっぱいあるんですけど。

やるべきことって探そうと思えばどんどん出てくるので。周りから真面目すぎるとか言われるだけに、そっちを優先させてしまってたんですよね。そうすると自分のことがおろそかになる。自分にちょっとした栄養をあげることが、多分やりたいこと。心に栄養をあげる。映画観たりとか。小説読んだりとか。きれいな景色をみたりとか。本当そういうささやかなことかなと思います。

花梨:最後に、好きな食べ物とかあったりしますか?

塚本:好きな食べ物は何だろう、何だろうな。いろいろありますけど、何かな。甘いもの好きです。コーヒー。あ、そうだコーヒーだな。コーヒーと、ちょっとした甘いものがあると幸せになります。

花梨:好きな食べ物はどんな時に食べることが多いですか?

塚本:朝8時半過ぎぐらいに、娘が乗った幼稚園バスを見送って、朝の家事を終えて、仕事をする前の、ちょっとほっと息をつくときに、気持ちを切り替えるものとしてコーヒーを飲みます。そのお供にお茶菓子があるとさらに幸せだなって感じです。

過去:なりたい、なりたいから頑張ったのかなあ。何でなんですかね、やめたい、やっぱ書くのやめたいって思いました落ちるたびに。

花梨:塚本さんは幼少期どんなお子さんでしたか?

塚本:うーんと、本を読むのが好きでした。空想が好きな子どもでした。時々、空想と現実が混ざってました。気分だけスーパーヒーローになってたりとか。夢みがちで。同時に、我も強いというか、気も強かったので。自分がちょっと変なことをしちゃったときに、笑ったりとかする子がいると、「なんで笑ったの?」みたいに食ってかかる感じで。結構友達とのトラブルが多かったですね。

花梨:それは何歳頃のお話でしょうか?

塚本:そうやって自分を馬鹿にした人に対して怒りに行ってたのは、小学校の中学年ぐらいまでかな。でもだんだん数で負けてくるので、だんだん自分をおさえつけるようになってくる。昔は、今ほど「オタク」という人たちが元気があるわけじゃなくてコソコソやってるような感じだったので。田舎は特に。なのでこう、自分の好きなものは自分の中に留めて、友達と会う時は、友達に合わせるみたいな感じで渡ってきた感じはありますね。

花梨:最初に話していただいた、本を読むのが好き、空想するのが好きというのは、大体何歳頃からのお話なんですか。

塚本:もう物心ついた時からそうですね。空想というか、イメージする力っていうのは仕事にもすごく活きてるんですけど。私、山育ちなんですけども、山の木と木の間に、妖精みたいなものがいるんじゃないかなって思ったりとか。山の木の上を走り回れるような力があったらいいのにな、って実際走ってる自分を想像したりとか。あと、学校の机がクッキーで出来てたらいいのにな、って食べるところ想像したりとか。そういうのもありますし、すごく気が合う、何でも話せるような大親友みたいな素敵な女の子がいたらいいのに、ってその子のことを想像してたりとか。小学生ぐらいですかねそれは。

あと、何でもできる自分みたいなのをすごく想像してた気がします。楽器もできて、走るのも速くて、超能力があってみたいな。そういう自分を、小学校低学年ぐらいまでは想像していました。今はもう少し幅広い…幅広いというか、作品に落とし込めるような感じになっていますけど、自然のあるところに行ったりとか、遺跡とか見たりすると、すごくイマジネーションを刺激されます。

花梨:さまざまな内容で空想されているときって、どんな気持ちとか感情になっていたんですかね。

塚本:わくわくしてはいたんですけど、すごい強い空想する時っていうのは現実がきつい、辛いときが多くて。学校いやだなとか、ここ居たくないなっていうときに、強い空想していたので、逃避のひとつかなと思います。

花梨:その小学校ではどんな生活を送られてたんですか?

塚本:サバイバル。きつかったなとは思います。からかわれやすかったので。運動とかも苦手だし、たまに突飛な行動したりとかするので。でも、修学旅行の委員とか、「じゃあ私やります」みたいな感じで、前に出てくのはそんなに苦じゃなかった。でも、なんかそういうのやるんだけど、何ていうかな、人気者っていうわけでもなく。不器用だったのかな。一言で言うとそういう感じだと思うんですけど。

なので、友達と合わせ切ることもできず、かといって1人が平気なわけでもなく。すごいバランスを、どうやって取ったらいいんだろう?みたいなのをずっと考えながら、学校生活を送っていました。でも時々、気が合う友達とかが現れるので……それは今でも付き合いがある子たちなんですけど。数は少ないんですが。そういう人たちのおかげで何とか乗り切れたかなっていうのがあります。あと、私を理解してくれる先生も何年かに一度現れてくれたので。その時その時で助けられてきたっていう感じもあります。

花梨:中学校、高校時代はどんな生活を送られてましたか?

塚本:小説家になろうって決めたのが14歳の時でした。漫画とか小説とかすごくハマった時期でもあったんです。お小遣い全部使っちゃうみたいな感じで。自分で考えた物語にめちゃくちゃわくわくしてました。物語の事ばっかり考えてました。国語便覧とか社会の資料集とかって分かります? 図説? あれが大好きで。平安貴族の衣装とか、武器とか、地図とかいっぱい載ってるので、私にとってはあれもう物語の設定集みたいなもので。授業中もそれを読んでは、空想の世界に浸り、こっそりルーズリーフに物語のワンシーンを書いたりしてました。あんまり授業聞いてない子どもでした。中学も高校もそんな感じで。現国と日本史だけは異様に成績が良くて、そのほかはガタガタでした。

花梨:小学校の頃行っていた空想と、中高に上がってからの空想っていうのは、少し形を変えていったという感じなのですか?

塚本:そうですね。そう言われてみればそうです。小学校ぐらいまでは、自分を守るための、自分に都合いい空想。大親友がいたりとか、スーパーヒーローになったりとか。自分を守るための空想だったんですけど。中学校とかになってからは、物語を作るときのワンシーンを空想していました。コバルト文庫って知ってますか?強い女の子が出てくる歴史ものとか、ファンタジーとかが多かったので、私もそういうのが書きたいと思って。私の小説は大好きな作品の模倣から始まりました。空想も、自分が作り出した世界のワンシーンを思い描いてわくわくするみたいな、そういう形に変わってました。

花梨:その時代、特に好きだった作品とかってありますか?

塚本:それもコバルト文庫になるんですけど、須賀しのぶさんっていう方がいて。その方が書いていた『キル・ゾーン』というシリーズです。あと、真堂樹さんの『四龍島』ってシリーズ。その2つが大好きでした。今思うと本当に驚異的なスピードなんですけど、3ヶ月に1回ぐらい新刊が出てたんですよ。発売日を目指して生きていました。そのお2人の作品を特に楽しみにしていました。小説家になるって決めたのも、その作品の力がかなり大きいです。

花梨:小説家になると決意してから、その夢を叶えるためにどんなことをされていたんですか?

塚本:ああ、とりあえず書いて出すをずっと繰り返していていました。本当に書いては出す、ですね。今振り返ると、小説家の養成講座とか、小説を書くための指南本みたいなものをもっとしっかり読んでおけばよかったな、そうすればもっとデビューが早かったんじゃないかなと思います。小説の基本とか何にも学ばないままに、自分の感性と、根拠のない確信、いつかなる、小説家になるんだっていう決意だけでやってきたところがあって。資料を読んだりとか、その歴史背景を学んだりとか、主人公にリアリティを持たせるための勉強ってのはよくしてましたけど。あと、最近はしてないですけど辞書読んだりとか。それは勉強っていうか好きだったからなんですけど。書き写したりとかもしてたかな。好きな小説を書き写したりとか。

花梨:いろんな形で小説を書き続けてきたその原動力っていうのは、やっぱり小説家になりたいというところだったんですか?

塚本:ああ、そうですね。なりたい、なりたいから頑張ったのかなあ。何でなんですかね。やめたい、書くのやめたいって思いました落ちるたびに。20代まるっと投稿生活してたし。36歳でデビューしたので30代半ばまで。20代から30代半ばって、周りの友達は正社員でバリバリ頑張ってたりとかキャリアを積んでいく時なのに、私は、金銭的にも将来的にも不安なところがすごく多かったので。
私、何やってるんだろうって何回も思いました。やめたい、やめれるもんならやめたいなとも思ったんですけど。なりたいっていうよりは書きたいものがあって。書きたくて。書いてない物語が自分の中にいっぱいあるっていうのがあって。次書いたらやめよう、次書いたらやめようっていうのを繰り返してるうちに、デビューできたっていう感じですかね。

花梨:高校卒業されてからは、どんな生活をされていたんですか?

塚本:ええと、大学に行きました。大学は芸術大学、大阪芸術大学だったんですけど。文学関係じゃなくて、舞台芸術学科に行ったんです。舞台芸術の裏方。音響効果コースっていう、音響を学ぶところがあって。そこに行ったんです。小説家になりたいっていうのは全然ブレてなかったんですけど、その、本当、青いというか、言うのも恥ずかしいんですが、小説のために、小説の勉強をしても仕方がないと思ってたんですよ。小説って、その、ポテンシャルで書くものだって思い込んでたところがあって。過去に戻って、書き方とかの勉強しろって言いたくなるんですが。

舞台もすごく好きで。物語を劇場で、空間芸術として表現するっていうのがすごく好きで。なのでその勉強もしたい。それも仕事にしたいって思ったときがありました。小説家って、お医者さんでもなれるし、保育士さんでもなれるし。どんな職業でもなれるんですよね。なので、ひとつに決める必要はないと思ってたのもどこかにあるんですけど。投稿を続けながら、興味のある方に進んでいきたかったっていうのもあって。なんですけど、そこでまた、こう、「やるべきこと」に目がいってしまったところがあって。そこで自分をおろそかにする感じだったんですよね。私、「本当にやりたいことは物語を作ることだ」って決意するまでにすごく時間がかかったんです。あわよくば何か仕事をしながら小説書けたらいいな、みたいな感じだと駄目なんだっていうことに気づくまでが長かった。大学4年間行ったあと、実家に戻って仕事をし、普通に一般企業に入ったんですけど、仕事をしながら、ああやっぱこれじゃ駄目なんだなっていうのがわかってきて。で、東京に出ました。今は神奈川在住なんですけども。20代半ばぐらいで上京しました。そこでやっと、小説家として生きていくことを目指す、本気で目指そうって思った、っていう流れがあります。

花梨:お仕事の方はどんなことをされていたんですか?

塚本:仕事は、ブライダルの仕事をしてました。それがあまりにも激務だったので、途中から、とある研究機関……研究所みたいなところで働いていました。私、出身が岐阜県なんですけど、田舎って土地が結構あるせいか、大型の研究施設ができることがあるんです。そこの研究施設の事務員として働いていました。

花梨:働きながらも様々な小説を出されて、結果としてその20年。

塚本:そうですね、かかりました。

花梨:その頃はどんなお気持ちでした?

塚本:次はいける、次はいけるかもしれない。みたいなかたちで出すんですけど、毎回落選をして、落ち込んで。もうやめようって思うんですけど、また書きたくなって書く、っていう繰り返しで。その間に、転職したり、上京したり、夫と出会って結婚して、出産して、みたいな人生のイベントもありながら。それと並行してずっと書いてるような形なので、まあ、疲れますよね。小説を考えてる間はすごくわくわくしますけど。書いてるときも楽しいんですけど。落選すると、ああ求められてないんだなっていうのが分かる。私が書く意味あんのかな?みたいなところまで落ち込む。

本当に、それの繰り返しで。分かんなくなってきちゃったっていうか。なんで書いてるんだろう?と思いながらも、やめられないっていう感じで。でも不思議というか、恵まれてたなって思うのは、私、自分の夢ってあんまり隠してなくて、職場に対しても、友達にも夫にも「小説家目指してるんだ」ってことを隠したことがないんですけど、だれからも馬鹿にされたことがないんです。無理だよとかやめなよって言われたことが1回もない。親にも言われたことがなくて。出会う人みんなが応援してくれました。夢に関しては否定をされたことがないっていうのが、もしかしたら続けてこられた一番の理由なのかなって。今話しながら思います。

未来:誰かの気持ちを楽に出来るものができたらいいなと思います。

花梨:5年後、10年後、あるいはお亡くなりになるときまで想像してもらって、未来についてはどういったイメージをお持ちですか?

塚本:まずは、書き続けていたいなと思います。書きたい話っていうのがたくさんあって。それを全部書くまでは死にたくないなとは思います。で、それと同時に、出産してから……というか元々たぶん興味あったんですけど、子どもの幸せというか、自分の娘だけじゃなくて、子どもたちの幸福について考えるようになって。虐待とか貧困とかいろいろ問題がたくさんあると思うんですけど、そういうことに関して、何かやれることがあったらなっていうことは考えてます。子どもたちのために何かできることはあるかなっていうのは。多分、すぐできて、しかもすぐ役立つことって、寄付だと思うんですけど。お金ですね。その寄付とかお金だけでも役に立てるようになりたいなっていうのは思います

なんか綺麗ごとみたいになっちゃうんですけど。自分のやってることで、何か助けになりたいなっていうのはあります。私、今年40歳なので。もしあと40年くらい生きるとしたら、自分が書きたいことを書き尽くすことと、子どもの役に立ちたいということですね。あとは、私、地方出身者で、岐阜県の山の中で育ったんですけど、地方と都市部の格差を感じているところがあって。それを話すとちょっと長くなるんですけど、特に、女性の選択肢の狭さみたいなものを、自分自身すごく感じていました。

それに耐えられなくなって出てきたところがあるので。私、土地自体はすごく、生まれ故郷自体は大好きなので、出来ることならそこで生きていたかったんです。それが叶わないところはあったので。どこにいても自分らしく生きられるような人が増えたらいいなっていう願いがあります。田舎にいようが都会にいようが。なので、なんだろな。短い時間で語るの難しいんですけど、職業の選択肢だけじゃなくて、文化的な選択肢も増えたらいいなと思います。お芝居とか映画とか、簡単に見られないような地域もあるので。あと、ジェンダーギャップとか、そういうことで苦しんでる人とも何か話ができたらいいなと考えています。もっと快適な地方生活が送れるような、何かができたらいいなっていう漠然とした考えはあります、はい。

花梨:もし、今言っていただいたことが全て、かなうとしたら、ご自身の中でどんな感情が生まれそうですか?

塚本:もう最高だと思います。疲れないと思います。どんだけ仕事しても、疲れないと思う。仕事しても家事しててもそういうことが全部叶ってるってなったら、疲れず楽しくずっと何かやってると思うんですよ。

花梨:疲れないっていうのは、やりたいことだからなんですかね?

塚本:そうだと思います。やりたいことやってるときの力の湧き具合とか、やりたいことをやって、それで誰かからのリアクションが返ってきたりとかするときの、喜びみたいなものって、何物にも代えがたい。睡眠以上に回復できるっていうか。すごいパワーをもらえるので。タスクが増えたとしても、声が出なくなったりとか、寝込んだりとかはないんじゃないかな。

花梨:塚本さんは、ご自身の空想から小説のイメージを得ることが多いというお話だったんですけれども。もしその空想っていうものが突然湧かなくなってしまったら塚本さんはどう行動すると思いますか?

塚本:湧かなくなったら。好きなものに集中……何ていうかな、好きなものを凝視すると思います。例えば娘だったら顔とか体の形、可愛さとか。お花の綺麗さとか。あと、好きなコーヒーの香りをかぐとか、そういうのに全力集中すると思います。好きなものに全集中。そういう形で心を満たそうとするんじゃないですかね。絵とか観るのも好きなんですけど。美術展行って全力で観るんじゃないかな。とにかく、素敵とか、可愛い、綺麗だなって思うものを、全力でかき集めようとすると思います。

花梨:それをすると何が変わりそうですか?

塚本:それをすると、自分の想像力がなくても、なんか繋がってくというか。例えばお花の綺麗さと、コーヒーの心地よさと、娘の可愛さと、みたいなのが横に繋がっていって、リースというかネックレス、パールのネックレスみたいな、数珠みたいな感じで、何かが出来上がっていくんじゃないでしょうか。そういうところから技術的なアプローチを目指す。空想が駄目なら、パーツを組み合わせるみたいな感じで何とか物語を作っていくんじゃないかなと思います。

花梨:空想がもし出来なくなったとしても、物語を書くというのを塚本さんは選ぶんですかね。

塚本:うん。多分そうだと思います。

花梨:それってどういった理由からなんですか?

塚本:うーん、たぶん、今のモチベーションは、その空想をかたちにしたいっていうよりは、誰かに何かを伝えたいっていうものに変わっているからだと思います。例えばなので、あの別にこれを書いてるわけじゃないんですけど、いじめられてる子がいたとして、教室だけがあなたの世界じゃありませんよっていうのを、伝えたい。そういうモチベーションに変わっているので。別に、私の中の世界を書かなくても、誰かの問題を一緒に考えることは出来る。見えない誰かに宛てるというか。Twitterで読者さんと繋がってるっていうのもあるんですけど。誰かの気持ちを楽に出来るものができたらいいなと思います。

それとは別に、小説って……私の持論なんですけども、「暇つぶし」だと思うんですよ。最高に豊かな暇潰しだと思うんです。病院の待ち時間とか、通勤時間とかのお供。私もずっとサラリーマンで満員電車乗ってたんですが、その間にすごく面白い本があるとあっという間なんですよ、時間が。小説は、きつい時間をワープさせてくれるものだと思うので。単純に、そういう楽しい暇つぶしを世の中に提供できるだけでも、すごくいい仕事だなと思います。読んでて面白いものを作りたいなっていう気持ちになってるので、たとえ空想力が絶えたとしても、世の中から面白いネタを集めてきて、繋ぎ合わせて、一時間の通勤時間があっという間になるようなものを書きたいって思います。

花梨:先ほど、ご自身の中にたくさん書きたいお話があって、それまでは死にたくないっていうお話だったんですけど、他にこれをするまでは死ねないみたいなものってありますか?

塚本:旅行ですね。旅したいです。海外に行きたいっていう気持ちはあんまりないんですけど。東西南北、行きたい場所があります。各地に友達もいるので、そういう人に会いたいというのもあります。たくさん旅をするまでは死にたくないなと思いますね。

花梨:最後に、どんなことでも構いませんが言い残したことはありますか?

塚本:言い残したこと。お話する中でいろいろ自分のことを振り返ったんですけど、最初に決めたことを、結局やってるなっていうことに気づきました。5歳ぐらいから物語書き始めたんですけど、同じことをやっているので。迷ったときは、昔好きだったものに戻るといいんだろうなってことに気づきました。気づかせていただきました。

花梨:ありがとうございます。何か他にあったりしますか?

塚本:他にですか?言いたいこと。読者に言いたいことですかね?何だろう。何だろうな。いろいろ真剣に考えてますっていう……真剣にいろいろ考えてますっていうことなんですけど。一言ではっきり言えるようなことではないですけど。小説はやっぱり豊かな暇潰しだと思うので、それをこれからたくさん作っていきたいですっていうはい、決意表明です。

花梨:ありがとうございました。それではインタビューの方を終了させていただきます。

あとがき

何かをずっと続けることはどれだけ難しいことだろうか。

それが、塚本さんへのインタビューを終えた後、浮かんできた考えでした。

同じことを何年も、何十年も続ける。
何の意味があるのだろう。なぜ続けているのだろう。どうすれば次に繋がるのだろうと、様々な問いが巡る中で。

同じことを続けていたとしても、その物事に対する捉え方も、自分への向き合い方も、きっとその時々で変わっていくのでしょう。

何年も同じことを続けることで、自分自身への理解も深まっていくのかもしれませんね。

現在3冊目を執筆中とのこと。塚本さんが、ご自身の、そして誰かの気持ちを楽に出来るような小説づくりに勤しめることを願っております!

改めて塚本さん、どうもありがとうございました!
次回の無名人インタビューもお楽しみに。

【インタビュー・編集・あとがき:花梨】

【文字起こし:あおい】

【編集:花梨】

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