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暇だったら畑で踊ったりする人

あけましておめでとうございます! この原稿は1/2に書いています。
今年のお正月は、とても天気が良かったなって思っています(東京)。1日はお参りに行きました。世田谷観音というところですね。ちょいちょい人の出があって、ご近所の方がちょいちょいお参りにきているようです。
そこには夢違観音という観音様がありましてですね、夢違観音と言えば奈良の法隆寺の国宝もありますが、うちの近所にもあるっていうわけです。
夢違観音には、「悪い夢(もう二度と起きてほしくないようなこと)を良い夢に変えてくれる」といういわれがあります。私もお祈りしてきました。
自殺未遂した方は、無名人インタビューの3年の歴史の中で、たしか3人目だったかと思います。したけど、言わなかっただけの人もいるかもしれません。二人とも、橋から飛び降りた人だったんじゃないかな。
ただ、みなさんに共通しているのは、生きて、インタビューを受けたっていうことです。
私qbcはインタビューを主催していますが、でもどうしてみなさんがインタビューを受けるのか、といったお気持ちなどは分かりません。もちろん、推測はしています。
でも、他人の考えなんて、分かりようがないじゃないですか。
こうかな? そうかな? とただ思うだけで。
どうしてインタビューを受けたんですか? という質問もときどきはします。でも、それが正解ってわけでもないんです。今聞かれたからそう答えただけであって、みたいな。人間の気持ちや考えというのも、ころころと変わるものですので。
でもそれが人間だからそれを書き留めて残すしかない。
ということで無名人インタビュー、今日もよろしくお願いいたします!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは 田中 さんです!

現在:自分を見つめ直して、変われるところは変わりたいなって思っている段階ですね

石井:今はどんなことをされている方でしょうか?

田中:今はそうですね。仕事を今退職というか休職というかしていて。
ほんの1ヶ月前 に、自殺未遂をしてしまったんですよね。で、今は入院生活をしてます。

石井:今どちらにいらっしゃるんですか?

田中:今はね、病院なんです。

石井:病院、個室ですか?

田中:個室です。全然電話とかは問題ないんですけど。

石井:なるほど。

田中:で、それがあったっていうのもあって。今回、こういうのがあるよってのを友達から。その友達もインタビュー受けてて。やってたので。それ思い出して、今の自分を何かの記録に残しておきたいなと思ったり、そういうことをやってしまった人とか、これから思ってる人たちに、何か伝えられたらなと思って。はじめてみました。

石井:応募いただいたタイミングって、どんなタイミングだったんですか?

田中:それは、自殺未遂をした後の1週間後ぐらいだったかな。大体。そのときに、この経験を何かに残しておきたいなと思ったときに、無名人インタビューがあって自分のこと話してまとめてもらったってのがあったので。そういった経緯でしたね。

石井:残しておきたいだとか、何か伝えられたらっていうふうにおっしゃったと思うんですけど、今は自殺未遂っていう経験をどういうふうに捉えていらっしゃるんですか?

田中:とりあえず、生きててよかったなっていうのがまず第1ですね。

石井:生きててよかった。

田中:薬を大量に飲んで、いわゆるオーバードーズ、ODってやつをやってしまいまして。気づいたら病院のベッドの上で横になってたっていうことがありまして。

石井:オーバードーズ自体はご自身の意思ではなかった?

田中:いや、自分で、ですかね。本当に追い込まれてて。仕事もプライベートも。いろいろとだめになって。たまたま、ひとりでいるときに、元々精神疾患はあったので、そういった薬って結構持っていたんですよ。で、本当に衝動的に。
普段だったら絶対しないと思うのに、急に思い立って。やってしまって。でもやる前に、親しい友人とかには連絡をしてたりとか
多分、意識はない、覚えてないんですけど、意識がまだあるなかで、ちょっと助けてほしいとか、本当に気持ち悪くてとか、っていうようなメッセージをしてたら、たまたま、近くに助けてくれる人がいて、救急車呼んでもらって助かったみたいな。多分それで放置してたらもしかしたら危ない状態だったり、後遺症が残ってたりしたかもしれないっていうような感じですね。

石井:普段はしないと思うっておっしゃったと思うんですけど、何かきっかけあったんですか?

田中:きっかけは仕事での大きなミスと、あと、プライベートで一応結婚はしているんですけど。それも今離婚とかそういうふうに動いてて。もう心身ともにボロボロで。そんななか、ひとりになった時間に、お薬とお酒が近くにあって。もう、ほんの一瞬の揺らぎだったんですけど。もう、死んでしまいたいなとか、もう生きている意味がないなとか、思ってたら、それに手が伸びてて、気づいたらたくさん飲んでたっていう経緯ですね。

石井:お仕事ってどんなお仕事をされてたんですか?

田中:お仕事は全体的に言うと福祉の仕事ですね。でも楽しい仕事で、大きなミスをしてしまったけど、何かあったわけじゃなかったんですけど。
でも、今こうやってちょっと振り返ると、やっぱ生きていればまだなんとかなるし。もう仕事もやめてしまうけども、またこれから始めることもできるし。いろいろ相談する人とか。友達とか。いろんな人がいるから。自分はひとりじゃないんだっていうのがわかったので。もう多分、多分というか二度と、自殺しようとかそういうふうに思ったりとか、しないなと思って。もしかしたら悩んでる人とか、多分たくさんいると思うんだけど、そういった人たちにも、ひとりじゃないんだよって。誰かしら、相談して、できる人もいるし。誰かしら見てくれてる人はいるから。あまり思い込まないでって思いますね。

石井:それは、お薬を飲む前にはわからなかったことなんですね。

田中:そうなんですよね。そのときは本当衝動的で。誰かに連絡して話したり電話すればそんなことしなかったとは思うんだけど。どうしても、条件がいろんなのが重なっちゃって。どうせ死なないだろうなっていうのも思ってたのかもしれないけど。
最初は、30錠飲んだんですよね。結構強めの薬を。薬局とかで売ってるんじゃなくて、もともと躁鬱で。抗精神錠とか結構強めのやつを30錠飲んで。もうお酒で流し込んだですね。よくない。
で、そっから記憶がなくて。もうそのあと一旦吐いたのは覚えていて。なぜか知らないけどその後、プラス40錠飲んだらしいんですよ。その異変に気づいて、近くにいる人に助けてもらったっていう。
なかなか危ないことをしてたみたいですね。

石井:お話の仕方、客観的だなと思うんですけど。その時はその時で、今の自分とはまた少し違うっていう感覚なんでしょうか?

田中:そうですね。もう1ヶ月も経ちますし。それが原因で、今そういったストレスケアの病棟ってところ。精神病棟よりは簡単なところで、休む時間だったり、そういったことを学ぶ場に、今もう3週間ぐらいいるのかな。
で、そのときに、いろんな悩みを持った人とかもいるし、自分の悩みも話したりとか。カウンセリングの人と話してたら、ちょっと気は楽になって。そのときに自分も客観的に見れるようになったし、今はそれをちゃんと伝えられるから。今こうやって話してるなかでも、なんだろう。自分の中で情報を整理して。あのときこうだったな、とか思い出せるまで回復できたって感じですね。

石井:今おっしゃっていただいた部分以外だと、病院生活ってどうですか?

田中:病院生活ですか?

石井:はい。

田中:すごく楽しいというか。仕事も関係ないし。本当に、なんだろう。社会から切り離された場所でゆっくり休んで。自分を見つめ直すような場所なんですね。だからとてもいい機会で。そんときの自分の心情だったり、こういう傾向があるとか、そういうのも教えてくれるので。今自分を見つめ直して、変われるところは変わりたいなって思っている段階ですね。

石井:何かご趣味みたいなものってあるんですか?

田中:僕の趣味はダンスですね。

石井:ダンス。いろいろあると思うんですけど。

田中:いろんなジャンル。なんでも踊れます。

石井:それはずっとやってらっしゃるんですか?

田中:そうですねずっと。10歳のときからだから、10、もう20年くらいかな。で、ダンスしてるとやっぱり気持ちも晴れるんで。今もこの病院で、病院ってか入院してるんですけど、部屋を借りれて、ちょうど今、さっきまで踊ってたんですよ。7時から8時で。で、精神的に安定するにも、ダンスをするっていうのはすごい自分の中ではいいみたいで。良くも悪くも踊っておけば何とかなるというか。

石井:なにか、お気に入りの曲とかジャンルとか、あるんですか?

田中:いろんな曲聴きますけどね。なんか、踊りやすい曲が好きなんで。ランダムに聴いていて、あ、これいいなって思ったら振付してみたりとか。

石井:最近なにか気に入ったのありました?

田中:今度ライブ行くんすけど、ミオヤマザキっていう人がいて。ちょっと病んでるような人なんですけど、その人の曲で踊ったりとかしてますね。

石井:踊りやすいですか?

田中:踊りやすいやつもあるし踊りにくいのもあるんですけど。バンド曲とか。

石井:バンド曲でも踊れるものなんですね。

田中:そうですね。なんでも正直、踊れちゃうから。

石井:自分で振りだとか、付けてっていう感じなんですか?

田中:そうですね。基本的にはいろんな振りを。聴いて、好きなように踊っていて。これは振付したいなと思ったら、10分15分で振付したりとかして楽しんでいますね。

石井:大人になってダンスがご趣味の方ってあんまりいない気がするんですけど。まわりにいらっしゃいますか?

田中:今年29。でも昔ダンスやってた仲間たちは今もまだやっていて。時々集まって、一緒に踊ろうとか。そういうのとかもやったりしていますね。

石井:それはさっきおっしゃってた、小学校からとか、そういうかなり古い友達?

田中:そうですね。

過去:芸能人になればウルトラマンになれるかもよ

石井:田中さんってどんなお子さんでしたか?

田中:そうですね。小さい頃、そのときから芸能界に入りたいっていうか。もともとはウルトラマンになりたくて。母親に言ったら、芸能人になればウルトラマンになれるかもよ、って言われたのがきっかけで目指すようになって。12歳のときか、に、そこに受かって、入って。ダンスをする日々でしたね。

石井:それは、ダンサーになるとか、だったんですか?俳優さん。

田中:芸能事務所だったんで、デビュー目指して活動してたっていう。もう、ちゃんと勉強もしていて。それが親からの、唯一の条件で。それやるんだったらちゃんと大学まで出なさいって言われて。勉強しながら、ダンスしながらって忙しい学生生活をしてましたね。

石井:少し戻るんですけど、どうしてウルトラマンになりたかったんですか?

田中:どうしてだろう。幼稚園のときで、本当に好きだったんですね、ずっとみてて。

石井:12歳のときに事務所に入って、ダンスと勉強しながらっていうことだったんですけどそれがその、学生の間ずっとだったんですか?

田中:そうですね。22歳までやってたので。大学卒業するまで。なんでちょうど10年間活動していて。そのなかで勉強もしたりして、ある程度、名の知れた大学は卒業できましたし。なんで全部均等にと言いますか。芸能活動と勉学どちらもやっていたので、今はあんまり困ってないですね。

石井:そこからお仕事は、何度か変わっていらっしゃる。

田中:1回は人材派遣の会社で働いて、あんまりうまくいかなくて。急に一般の社会というか、一般人になってってなるとやっぱ難しさもあったりして。転職をして、福祉の仕事を始めた感じですね。

石井:じゃあ今、っていうかこの前までやってらしたお仕事が、ふたつめの仕事っていう感じだったんですね。芸能活動を終えて。

田中:芸能活動もお仕事って考えると、3つめかな。

石井:なるほどですね。ちなみに、どのお仕事が一番楽しかったですか?

田中:これはやっぱ芸能活動が仕事としては一番楽しかったですね。

石井:何かそういうことにもう一度関わろうだとか、そういうことを思われたりはしないんですか?

田中:もう一度ステージに立ちたいとは思ってはないですね。もうやっぱり29だし、そういったところは考えてはなくて。ただ、裏方の仕事とかもできなくはないし。選択肢のうちでは一個、ありっちゃありかなって感じぐらいですかね。

石井:芸能活動やめられた後の生活ってどうでしたか?

田中:忙しかったですね。芸能界やめて、その時学生だったから就活もしなきゃいけなくて。子供も産まれて結婚もして。でもう、22のときはすごい忙しかったですね。人生のイベントが一気に3つぐらいあったみたいな。

石井:そこから今、8年くらいでしょうか?

田中:そうですね。7年ぐらいかな。ちょうどその時に、双極性障害っていうのを持っているっていうのがわかったんですよね。

石井:それはそのとき発症したんですか?

田中:いや、多分元々持ってたんですずっと。ただ芸能活動とかしてると気づかなくて。言われてみればっていうので、普通のお仕事したときに、検査とかいろいろしたら診断されて。それからずっと付き合ってますね。

石井:双極性障害ってどういう症状なんですか?

田中:うつってわかります? うつ病。落ち込む病気なんですね、自分が。逆に、躁状態、気分が上がってしまう状態のことがあって。それが交互に出てくる障害。気分がすごい落ち込んでるときもあれば、めちゃめちゃテンション高いときもあるみたいな。その波が激しいというものですね。僕の場合はずっとテンションが高い状態が続いて。高ければ高いほど、周りが見えなくなって。なんかトラブルを起こしたりやらかしちゃうっていうような感じなんですけど。

石井:付き合うのは大変ですね。

田中:まあでも、この病気も7年ぐらい一緒にやってきて。とりあえず自分ではもう、それ受け止めてるというか。理解しているので。あまり苦じゃないですね。

石井:22歳から今までだと、さっきおっしゃった一番忙しかったときが一番大変でしたか? 病気がわかって。

田中:そうですね。

石井:なるほど。ありがとうございます。ちなみに今、お話していただいた、30年くらいのなかで、田中さんご自身の性格とかって変化されたりしましたか?

田中:僕はずっと変わらないですね。ずっとマイペースだし、楽しいことが好きなので。ずっと楽しく生きていたいっていうタイプで。

石井:楽しいことって、例えばどんなことがありますか?

田中:ダンスしてるときは楽しいし。あんまりいろんな人とワイワイガヤガヤっていうわけではないけど人が好きなので。やっぱ誰かと繋がっていたいというか。常に連絡してたりとか、誰かとお話してたりとか。それこそ今はスマホ時代なので、ネットでやりとりしたりとか。そういうのをしているときが楽しいですね。安心できるときっていうのは。

石井:SNSとかってどういうやりとりとかをされるんですか?

田中:SNS、一応Twitterは鍵かけてやってるんすけど。それこそダンス踊って、そのときのダンスをあげてみたりとか。あと、当時一緒にやった人たちがこの前、僕の同い年ぐらいの人たちなんですけど、1回集まってライブやろうってライブやってたので、それを何か応援したりとか。遊びに行ったりとかして。多分本名とか調べたらちょろっとまだまだ出てくるんですよ。やめてもう7、8年経ったんですけど、知ってる人はちょっと知ってる、みたいな。でも基本的にSNSは知ってる人としかやってないかな。

石井:そうなんですね。

田中:でも自由に生きたいなと思って。今は自分なりに楽しいことをやれればいいかなと思っています。

未来:暇だったら畑で踊ったりしてますね、長靴はいて。

石井:今後の生活の予定というか、計画みたいなのあれば伺ってもいいですか?

田中:そうですね、まず最初に、離婚を決めるのが最優先で。そのあとですね、今結局仕事やめちゃったので。新しい仕事を見つける。で、いろいろ声をかけてくださる方がたくさんいて。第1候補としては、野菜を作る農家さん。農業とか。あとラーメン屋さんからも声がかかってて。

石井:ラーメン屋さん。

田中:ラーメン屋さん。あとはまたやっぱ福祉の仕事。別の会社だけど、一緒にやらないかって声をかけられたりとか。それかまた、芸能の裏の仕事。マネージャーなのか、そういうところも、ありかなと思ってたり。

石井:気持ち的にはどれが一番有力候補ですか?

田中:多分人との繋がり的な強さで言うと、多分農業やると思いますね。

石井:じゃあまた全く違ったところに。

田中:仕事今やめちゃったんですけど、福祉の仕事のなかでも畑の部門を1年半やってたので。そこでつながった農家さんの知り合いがいて。その方とよくしていたので。まずはそこでお手伝いしながら、ちょっと考えていこうかなみたいな。

石井:農業お好きなんですか?

田中:結構好きみたいですね。なんか、気分が晴れ晴れとするし、人付き合いもあるけど、野菜と向き合ってる、自分と向き合うっていうのがすごいんで。暇だったら畑で踊ったりしてますね、長靴はいて。

石井:へえ。割とどこでも踊れちゃうんですね。

田中:暇さえあれば。音が流れてたらって感じですね。自分の人生の中でダンスはずっと続いているのかな。これからもやるだろうし。でも今は仕事ってよりかは趣味ぐらいでして。あとやっぱり、今後、未来。今の妻、これから別れる人はあんまり、なんだろう。安心できない人だったんですけど、いろいろすべて事が済んで、本当だったら支えてくれた人がいたんですけど、その人とかと仲良くできたらなって思ったけど、今はそれは多分できそうにないので、誰か将来、一緒に仲良くできる人ができたらいいな、なんて思ってますね。

石井:10年後とかって、どんなふうになってると思いますか?

田中:全然予想がつかないですね。いろんな人との人脈があって、いろんな出会いと別れが自分、多いので。だから全然想像がつかない。けど、必ず言えるのは、楽しいことが好きなんで、きっと楽しいことはしてると思います。だから、楽しい未来があるから自殺未遂で済んでよかったなって思ってます今は。

石井:いろんな出会いとか別れがあるっておっしゃった中で、一番強烈だった出会いって、どんな出会いでしたか?

田中:それは、芸能事務所の社長かな。

石井:お話されたりすること、あるんですね。

田中:話したりとかはあんまないけど、あの人がいたから、そういう芸能での活動の経験ができて。そこでの楽しさだったり、勉強だったり、考え方だったり、仕事に対するものとか。貴重な経験ができたんで、それが今の自分にも活きてて。エンターテイメントというか。だから仕事も楽しんでやるし、真面目にやるし、結果は残すし。多分他の人たちよりもパフォーマンスは高い位置でありたいから、努力はするし。どんなところでもそれが活きてるので、それが一番運命的な出会いだったかな。

石井:芸能界に入ったっていうこともそうだし、そこで出会ったことっていうのも、大きかったんですね。

田中:大きいですね。今でも、その時の友達、最近連絡とれるようになったんですけど、やっぱその青春時代、同じ目標に向かってやってた人だから話しも合うし。やっぱいい仲間だったなって。

石井:もし人生の中のどこかの地点に戻れるなら、戻りたいですか?いつに戻りますか?

田中:それは毎度思うけど、やっぱ22歳のときですね。か、ちょっと前。20歳ぐらい。

石井:どうしてですか?

田中:そのときにもっと仕事しっかりやってれば。しっかりやってても難しかったかもしれないけど、デビューできたかもしれないなって思って。成功かもしれないって思うとやっぱ20歳ぐらい。そこでうまくいってれば、ずっとその仕事をしていたかもしれないし。後悔はしていないから別にそこに戻りたいとは思ってないですね。

石井:戻るとしたらっていう感じですね。

田中:戻るとしたらそこ。多分人生の一番大きな分かれ目だったと思うんで。

石井:何か今、楽しみなこととかってありますか?

田中:今、楽しみですか? 退院してからいろんな人にまず謝らなきゃいけないですけど。自殺とかしちゃって。またそこからいろんな楽しみとか仕事とか。いろいろ増えてくるから。いろんな人との出会いとかつながりが楽しみですね。

石井:何かをするっていうよりは、そこで人と出会ったりすることっていうイメージなんですね。きっと。

田中:そうですね。

石井:どういう方と出会えたらいいなっていうのはあるんですか。

田中:何かお互い話ができるというか。尊重しあえるような、支えあえる人がいいかな。
普通の人、普通にコミュニケーションをとれる人だったらいいかなあ。

石井:ご自分より壮絶な人生だって思われる方にお会いしたことありますか?

田中:ないですね。本当にでも、人生いろいろっていろんな人に。ひとり面白い人がいて、その人に言われるんですけど、毎度。「人生いろいろだ」って。なんかあるって。そのキーワードはいいかなって。確かにそうなんすよ。今までの人生もいろいろあったけど、これからも人生いろいろあるし。今もいろいろあるし。だから、人生っていろいろなんだなって。

石井:そのいろいろって、なんでしょう。自分が思い描いてたものとの比較、自分の中での比較なのか、それともあの人の人生と私の人生っていう感じで、誰か他人との比較なのかっていうのだと、どちらのイメージに近いでしょうか?

田中:自分の中でですね。自分の中で良いこともあれば悪いこともあるよって言うのが人生。

石井:ちなみにその方ってどういう方なんですか?

田中:その方は農家の方っちゃ農家の方だね。もう70、74ぐらいのおじいちゃんなんですけど。めちゃめちゃ、今でもいろんなことに挑戦していて。いろんなことを経験していた人で。

石井:それはきっと、説得力がありますね。

田中:そうなんですよ。その人がいつも、人生いろいろって言ってるから、俺もそれがしみついちゃって。いい言葉だなと思って。
今の自分には一番合ってる言葉かもしれないですね。

石井:何か言い残したことありますか?

田中:最初話した、自殺のときの話になるんすけど。どうしても、そう思っちゃうときってあるんですよ、絶対。そんときに、とどまれるかとどまれないかっていうのは本当、紙一重で。本当にいろんな条件が揃ってしまったら、誰でも多分、死んでしまうんですね。でも、そこに誰かひとりでも相談できる人がいれば自分の意思がとめられると思うので。僕の場合はとめれなかったけど。
生きていれば、また人生いろいろあって、これから楽しいことも大変なこともあるけど、生きていればなんとかなるし、前を向いて歩いてれば何とかなるから。死んでしまったら本当にそれでおしまいだって思ったら本当に怖くて。病院で目覚めたときは、あ、生きてる、よかった、って純粋に思ったんですよね。だから、それがやっぱ一番伝えたいかな。はい。

石井:なんとかなってない状態ってやっぱり死んじゃうとか、そういう状態っていうことなんですかね。

田中:そうです。最悪な状況はやっぱそれですよね。
生きていれば何とかなるし。大変かもしれないけど、可能性はあるし。いろいろ楽しいこと。自分が今それで、ちゃんと前向いて。
こうやって話したことで自分の中でも整理がついたので。それもまたありがたいことなので。このインタビュー受けて良かったなって今思ってます。

あとがき

「暇だったら畑で踊ったりしてますね、長靴はいて」。この言葉、大好きなんです。
もし歩いているとき、長靴をはいて畑で踊っている人を見かけたとして、きっとその人が自殺未遂をして、DVを受けて、いままさに離婚をしようとしているひとだとは誰も思わないんじゃないでしょうか。

私は決してその場面を見てはいないけれど、そんな陽気さを感じる1時間のインタビューでした。
暗くて悲しいことがあったからといって、今を悲しく生きる理由にはならないのだなと。

私はそうあれるでしょうか。
この記事を読んだ皆さんは、どうでしょうか。

インタビュー担当:石井

編集協力:あおい

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