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出産を機に命を育むこと以上に大事なことってあるのかなと思った自分だけの価値観にとらわれず新しい世界をどんどん見たい子供のころ喘息だった人

私たちはただ生きているだけで時間が過ぎてってくじゃないか。時間を浪費してるのか消費してるのかそれがそれとも濫費なのかわからないけれども。
一切がびゅうびゅうと過ぎさっていく時間の嵐の中で、私たち僕たちは生きているじゃないか。
たまらないことなんだ、これは。感情が煮すぎた牛ホホ肉みたいなほろほろと崩れていく感じがするんだ。飛び去っていく時間の中で、切り裂かれるようにして感情が切り刻まれていくんだ。もうわからない。
時間が変わっていく中で、巡っていく中で、突き刺すように伸びる中で、私たちは一所懸命考えごとをしたりして、自分は何者かを問うたり、どこから来てどこへ行くのかを問うたりするんだ。
いつぞや大きな事件があった。自分にとってそれはどういう意味を持つのか?
今後はこういう時代になるだろう。その時に自分は? 自分はどうしたら?
不安の中で、闇の海の中で、しかも目隠しされた小人の私たちは、いつもいつだって常に迷子。悟るしかないのかもしれない。諦めるのではないかもしれないが、さりとて世はこともなし。忙しくしているのは人間だけですよ。
ということで無限の無名人インタビュー今回もお楽しみくださいね!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは kiki さんです!

現在:自分が正しいと思い込んでる世界が全てじゃないっていうのが、剥ぎ落とされる感じが楽しいんです。

qbc:今、何をしている人でしょうか?

kiki:今は、子供が1人おりまして、普通に母をしております。
母をしながら、お仕事もしてるんですけど。知育玩具のサブスクリプションを主に扱っている会社です。例えばおもちゃがたくさんあるけど、子どもにどれを選んでいいのかわからないとか。プラスチックが出ちゃう廃棄問題とか。あとは、子どもと何していいかわからない、親子時間をどうして過ごしていいかわからないとか。
そう考えると、おもちゃを毎回買うのも勿体ない。そこで知育玩具のサブスクで、世界中からバイヤーさんがおもちゃをいろいろ選んできて、子どもの発育発達のために良いものを専門の人が選定して、定期的に発送する。
私は、この間からそこのパートになって、おもちゃの清掃だったり管理だったり、お医者さんみたいな道具や歯ブラシとか使ったりしておもちゃを磨いて発送するチームに入ってます。

qbc:お仕事、いかがですか? 

kiki:今、パートで扶養に入って、今年からその仕事をしだしたんですね。
それまでは、実は一人暮らしの男性会社員みたいな感じで、朝から晩まで働いてたんですよ。

qbc:お子さん、おいくつでした? 

kiki:子供が今、3歳。

qbc:お子さんは保育園に預けて? 

kiki:そうです。私は結婚も遅くて、出産も遅くて、専門学校卒業してから専門職に就いてたんですけど。
始発で行って終電で帰ってくる仕事をずっとしてて。人の体を扱う、スポーツ医科学の仕事をしてたんですね。アスレティックトレーナーっていう、あんまり世の中に認知されてない、ちょっと特殊な仕事なんですけど。
そこでガンガンガンガン結構働いていたので、やりがいに関して言うと、正直、前職は人を相手にしていたので、そこでのやりがいがもちろんあって。
今は、ある意味、ものを相手にしているので、仕事に関してのやりがいは低いんですけれども。ただ、職場環境がめちゃくちゃ良いのと、初めて自分の時間を作れるようになったんですね。

qbc:なるほど。

kiki:自分の時間を楽しめるっていうのが、38歳になる今、ようやく作れるようになってきて。
初めて両立できて。自分も楽しめるし、仕事も適度に楽しめるしっていう時間が、やっと作れるようになりました。

qbc:仕事中心だったのは、何年前ぐらいまでですか? 

kiki:1年前までです。去年まで。

qbc:あ、けっこう最近なんですね。出産もしながら、仕事中心で進んでたんですね。
ちなみに、お仕事はトレーナーさんだったんですか? パーソナルトレーナー?

kiki:そうですね。パーソナルでも見ますし、集団のセッションでも見ますし。対象としてはプロアスリートも見ますし、ジュニアの子どもから老齢の方から、一般の女性とか、本当に対象問わずに。
リハビリでくる人もいれば、それこそ食生活を整えたい人もいれば、アスリートでオリンピック目指してるような人たちを支援するような。本当に幅広くやってました。

qbc:なるほど。その職場と今の職場は、環境含めてどう違いますか?

kiki:今の職場で働いてる人たちって、子育て中のママが多いんですけど。皆さん本当にいい人たちばっかりなんですよ。
私、今3社目なんですけど。16年くらいずっとトレーナーの同じ会社にいて。
その後に児童発達支援の、発達障害の子たちを相手にしてる会社にいて、1年近く運動療法とか含めてやってたんですけれども。全然違いますね。

qbc:はい。

kiki:あと、パートっていう立ち位置も。トレーナーの時は社員で、早い時期の入社だったので、周りはみんな後輩で。立場も、もちろん違うんですけど。
違うんですよね、だから私が今までいたのって本当に。1つの価値観の世界でしかわからなかった。これをこうすれば正解で、こうやっていくと成功していく、みたいな。
仕事はこうあるべきだ、先輩の鏡としてはこうあるべきだとか。というのが、とてもやっぱり根強い会社だった。業界としてもそうだと思うんですけれども。
発達障害の子ども達を相手にしてる会社も、ちょっと古い。福祉関係であんまりアップデートされてないような会社なのかなっていうのはあるんですけど。すこし昭和的な考えで、自己犠牲がすごく美しい、じゃないですけど。人が尽くしてなんぼっていうところが、どうしてもやっぱりあるので。昭和を美的に謳っているような考え方が、根底にあるかなっていうような。

qbc:なるほど。

kiki:そういう職場を経験してきて、私が自分の子供に対して、ちゃんと時間を注げてないよなっていうのが、だんだん年々疑問に思えてきてしまって。
例えば会社、企業として成り立っていかなきゃいけないから売上だったりとか、会社としてはこれが正しいからこうしていくとか、これが成功これが失敗みたいなとこで、絶対的に大事なことであると思うんですけど。
特に出産を機に、人の命より本当に大事なことってあるのかなみたいな考えが、私も芽生えてきて。価値観が、ちょっと会社とずれていっちゃったんですよね。
先陣切って、男性と肩並べて、自分がたくさん動いてやっていて、勝ちに行くみたいな。そういうところに、すこし疑問がだんだん生じてきてしまって。それで、今転職をして、こういう世界もあるんだな、今はここが居心地がいいなっていうのをすごく感じている感じです。

qbc:気持ちとしては、どうですか?

kiki:楽。楽しいですかね。

qbc:前の仕事は楽しくなかったんですか?

kiki:楽しい...もちろん楽しい部分は楽しいですけど。楽しい部分とつらい部分の幅が、すごく極端でしたね。

qbc:苦しみもあった? 

kiki:もちろんです。

qbc:今の仕事は、苦しみは? 

kiki:全くないです。

qbc:なるほど。前職では、苦しみを乗り越えた楽しさが感じられたののではないかとおもうのですが。
前職までの楽しさと、今の職場の楽しさ、どっちがいいですか?

kiki:そこが難しいんですけど。それはすごく難しくて。
例えば、苦しみを乗り越えた楽しさがあるっていうので、これまでやってきたじゃないですか。
今、苦しみがあるから楽しさがあるという、前職と同じような仕事をしようとすると、自分の体が体調崩すんですよね。

qbc:それは年を重ねたから? 

kiki:わかんない。無理が生じてるのかわかんないですけど。
苦しみがあるから楽しさをっていうふうに、自分の存在を証明しようとしてしまっていて。そこで、すごく間違った方向に頑張りやすい傾向があるみたいで。
今までって、自分の存在を証明しようとし続けてた何十年だったんですけど、今、証明する必要をちょっと止めてるというか。
そうじゃなくて、今、自分の楽しさを、ゆっくり味わってもいいんじゃないかなって感じなんですかね。

qbc:今、空き時間はどれぐらい時間があって、時間に何をされているんですか?

kiki:自分の時間、週1で持てるようになって。

qbc:その前は、持てなかったんですか? 

kiki:それまでは、持てなかったですね。
お休みの日、仕事は休みなんですけど。ワンオペ育児で。
お父さんもフルタイムでずっと働いてて、家にいても、本当に座って「ふう」みたいな。
だから、お休みの日は子どもといるから、なんか休みの方が働いてんじゃんみたいな気持ちになっちゃって。
前の職場だったら、休みの日も仕事してたみたいな感じのところもあったし。だから、今は本当に休みが、週1回、確実にできるようになりました。

qbc:お休みは、どう過ごされてるんですか? 

kiki:これも、最近自分がびっくりしてるんですけど。読書が楽しくなってきたんですよ。
今までは、休みの日があったら自分を高めるために勉強してたりとか、セミナーを受けに行ったりとか。
なんかもったいないから、何か時間を潰すみたいなのがあったんですけど。最近、ちょっとSNS離れをしたくなった時期があって。
例えば、テレビは子供に占領されるんですね、YouTubeとか。
かといって、自分のFacebookとかInstagramとか見てると、時どき気持ちがざわつく時があるなって思って。多分、無意識にいろいろ比較してしまったりとかすると思うんですけど。あんまり心身ともに良くないなと思って。
それで本を読み始めたんですよ。図書館とかもあんまり利用しなかったんですけど、面白そうな本をネットで調べて。
図書館って予約できるじゃないですか。予約して取りに行って、1週間それを読んで。読んでいったら、意外にも自分がすごい没頭できちゃって、本、面白いじゃんみたいな。しかも、図書館だと買わなくて済むしみたいな。
そしたらどんどん楽しくなって、また予約して、それを1週間待って取りに行くみたいな。
このサイクルが、ちょっと面白くなってきて。それで本を読んでます。

qbc:本のジャンルは? 

kiki:本のジャンルは、小説なんですけど。恋愛物とかあんまりなので、今は村上春樹さんの『1Q84』を読んでて。三軒茶屋の話って、知人が話してたんですよ。
その前も、子供たちが出てくる、ミステリーなんだけれども、ちょっと内容描写が現実的でもあり、だけどちょっと異世界の話でもありみたいなような話、それがちょっと面白くて読み出してて。

qbc:本を読んでいて、何がおもしろいですか?

kiki:本の文字からも、自分がはっとさせられることとかってあるじゃないですか。
「無名人インタビュー」もそうだと思うんですけど、自分がこう思ってるのが全てみたいな価値観で生きている中で、違う価値観で生きてる主人公がいるんだとか、そういうのを見たり知ったりできてすごく面白いとか。
例えば、小説っていろんな登場人物がいて、いろんな人の生活が書かれてあって。一見こういうふうに見えるけど、その人の裏側は、実はこういう生活なんだとか。それって、日常生活でもきっとそうだと思うんですよ。
あの人、素敵そうですごく幸せそうだなと思うけど、本当はわからなかったりするじゃないですか。そういうのを知っておくと、自分が正しいと思い込んでる世界が全てじゃないっていうのが、剥ぎ落とされる感じが楽しいんです。

過去:喘息治すために、2年間親元離れて。小4小5の時に、千葉の施設に入ったんですよ。

qbc:子どものころは、どんなお子さんでしたでしょうか? 

kiki:子どものころはですね、すごい、箸が落ちても転げて笑っちゃうぐらいな、楽しい子ども。
でも、楽しんでた子どもの反面、自分に根強く残っているのは、体が弱くて喘息持ちだったこと。入退院繰り返していて、小学校のころとか。

qbc:なるほど。

kiki:なので、喘息治すために、2年間親元離れて。小4小5の時に、千葉の施設に入ったんですよ。
病院兼学校みたいな。保育士さんがいる寮生活で、大きな園庭、校舎もあって。千葉のすっごい自然豊かな田舎で暮らしてて。
私の地元が東京の墨田区だったんですけど、墨田区の小学校から健康に問題を抱えてる子たちが、そこで1つに集まって、みんなで共同生活をして、健康な体を手に入れる、みたいな。
そこで規則正しい生活をして。私、その時、薬を1日10錠くらい飲まなきゃいけないくらい、発作がすごい子どもだったんですけど。そこに行ったら、もう喘息が治りました。
1年間で治って、2年目は「楽しいから行きたい」って言って行きました。

qbc:ほんと、環境が良かったんですね。

kiki:本当にめちゃくちゃ楽しかったんですよ。だって、やることと言ったら、朝はすごい早く6時くらいに起きるんですけど。起きて乾布摩擦から始まるんですね。で、食事は調理師さんが作った、めちゃくちゃ栄養バランスがいい食事を、みんなで食堂で食べて。
で、学校行って帰ってくるんですけど。
園庭も広いし、大自然の中なんで、遊びまくるし。あとは保育士さんがメインでいろいろ見てくれてたんで、イベントがたくさんあるんですよ、毎月毎月。
誕生日会もそうですし、季節ごともそうですし。裏山行って、宝探ししたりとか。土日とかも毎日イベントみたいな。だからすごくプラス。もちろん勉強もしますし、すごく健康的で楽しく生活をしてました。

qbc:その経験って、自分の中で結構大きい経験でした?

kiki:めちゃくちゃ大きいですね。そうなんですよね。そうなんですよ。
親とかも、本当、月に1回しか会えないんですよ。実の親も。
面会の日があって、会えるっていう。電話はできたのかな。電話も本当に、その時って、なんだっけな、10円入れてやるみたいな。だから100円くらいまでしか話せないのかな、確か。週1回とか。
それか文通なんですね。時代もあるとは思うんですけども、週に1回お便りを書く日みたいのがあって、子供たち、自分の家に手紙書くんですよね。で、家から手紙がくると、「誰々ちゃん、お母さんから手紙だよ」みたいな感じで来て。それを開けて見るみたいな。そういうようなやりとりをしてました。

qbc:そこに2年いた時、気持ちの面ではどうでしたか?

kiki:子どものころだから、気持ちの変化まではちょっとわからないんすけど。最初はもう本当に、もちろんホームシックで大泣きしてたんですけど。
周りがみんな子ども同士で、結構絆が深くて。
3年生から6年生なんですけど、勉強する時は3年生から6年生まで教室が分かれるんですね。
1クラス平均でも、4、5人で、全員で16人、20人くらいですかね。大人は、保母さんとかがいて、全体で20人から30人くらいで共同生活をしてました。

qbc:スタッフの数も、めっちゃ多いわけじゃないんですね。なるほど。
楽しいっていう気持ちの方が、強く残っている感じですか? 

kiki:強かったですね、本当に。夕方まで外で遊んで。
テレビって1台しかないんですよ。だから、20人の子どもの意見があるわけじゃないですか、年代も違って。だから、ほぼ見ないんですよね、テレビは。
するとしたら、いっぱいあるような漫画とか本とか読む、あとは外か、みたいな。遊ぶものがなければ、自然があるから自分たちで作り出してたんですよね。
変な話、おっきな砂場があれば、誰かが砂場で土を掘って水を入れて泥んこを捏ねたら、料理屋さんごっことかできるじゃないですか。それにみんなが乗っかって、いろんな料理屋さんやったりとか。
誰かが自然の林の中で、木を削って剣みたいにしたら、今度そっち。みんなで戦いごっこみたいな装備をして。その装備しながら、また団子屋作るみたいな。
めちゃくちゃ自由な感じで。それがすごく良かったなあと思います。

qbc:その前後でどう変わったのか、というのは覚えてらっしゃいますか?

kiki:例えば、これ食べたら体に悪いとか、こうしたら発作が出ちゃうとか、思ってることあるじゃないですか。自分も実際に体験して、例えば台風来ると喘息出るとか、布団を肩までかけないと、喘息出ちゃうみたいな。
そういう思い込みのある中で過ごしてた子どもだったから。
だから、普通に子供なりにいろいろなことを楽しんでたけれども、心配性なところがあって。
あと、運動ができない子だと思ってたのはありました。自信がなかったのかな。わかんないけど。

qbc:この時は、本を読んだりするのが好きだったんですか?

kiki:その時は、どちらかというと書く方が好きでしたね。
それこそ何か小説を、読んでないくせして自分で物語書いちゃうみたいな。
あと、漫画描いてみんなで、友達と交換したりとかが好きでしたね。

qbc:それは、喘息の療養施設に行く前も後もそんな感じだったんですか?

kiki:前も後もそうでしたね。
でも、後の方ではスポーツが駄目だっていう固定概念を確実に外してましたね。だから、中学校入ったら運動部に入ったし。

qbc:気持ちの面でも、施設出た後は切り替えられたってわけですね。

kiki:そう思います。だって、行った初日で覚えてるのが、肩まで布団かけなきゃ喘息出ちゃうっていうモードだったんですけど、初めて行ったその夜に、私がいつも通り肩までかけてたら、先生に言われたのが「暑いから肩までかけなくていいんじゃないの?」って。それで「喘息が出ちゃうからかけてるんです」って話をしたら「出ないから大丈夫だよ」って言われて、その日は肩までかけてた布団を外したんですよ。次の日起きたら、喘息出なかったんですよ。

qbc:なるほど。

kiki:それまで、気持ちの面でコントロールされてたのか、自分でしちゃっていたのかもしれないですけど。コントロールされてた部分が、今思えばすごくあったんだなって。
だから、そういうものを1個1個変えていって。それが、自分の中の価値観とかが変わっていったように思います。

qbc:中学校は、部活は? どんなことをされてたんですか? 

kiki:中学校は陸上に入って、高校は器械体操。
高校は、その器械体操を1年で辞めた後、バイトをやりました。バイトが楽しくなっちゃって。
バイトはいっぱいやりましたね、本当に。下町だったので、ちゃんこやさんとか。
あと、夏休み、ボラバイトっていって、ボランティアとバイトの言葉を掛けて。軽井沢で農業のバイト。ほぼボランティアなんですけど、そういうバイトやってみたりとか。あと、牛丼の松屋でも働きましたし。ケーキ屋さんもやりましたし。いろいろやりましたね。

qbc:高校の後、進路はどうされましたか?

kiki:高校になって、日韓共催のワールドカップがサッカーでやってた時があって。
その時が高校3年生だったんですけど、ちょっと進路を考える時で。それまで、演劇とかに興味があったんで、舞台関係のお仕事とか、ちょっと面白そうだなって。

qbc:あー、物語好きだったんですね。漫画を描いたりとかしていたから。

kiki:そうですね。
そちらに行くか。あとは、やっぱり何かいろんなところに興味関心があるから、ツアーコンダクターとか、そういうのも面白そうだなと思って。
いろいろ進路考えている時に、ちょうどワールドカップがあって。

qbc:はい。

kiki:自分の高校が、渋谷だったんですね。だから、ワールドカップでめちゃくちゃ盛り上がるんですよ。そういうのを体感してるうちに、1つのスポーツなのに、こんなに日本中の人たちを動かせる、感動させられる選手ってすごいなって思って。
その人たちを支えられる仕事ってなんだろうって探したら、アスレチックトレーナーっていう仕事が見つかって。
それで、そこからもうまっしぐらに行ったって感じです。

qbc:アスレチックトレーナーのお仕事、いかがでしたか?

kiki:常にプロでいるっていうところでは、最初から最後まで変わらなかったですね。
1年目2年目の、何もちゃんとできないところでも、気持ちはプロを目指してたし。ある程度できてきて、周りに教えられるようになって、いろんな人に対応できるようになっても、気持ちはプロを目指していたし、みたいな。そういうところは変わらなかった。

qbc:プロっていうのはどういうものなんですか? 言葉で言うと。

kiki:諦めないとか。例えば、何かの選手だったり、クライアントさんに一個の悩みがあるとするじゃないですか。どこが痛いとか、こうなりたいとか、目指す姿があると思うんですけど。
基本的に私たちがやることって、体の動きを評価して、分析して、こういう動きのところに問題があるから、こういうふうな正しい動かし方に戻していきましょうとかをプログラミングして、メニューを出して、それで体をトレーニングして、軌道修正して、というのが役割としてあったんですけど。
そういう時は、ちゃんとそこを見極める。動きをちゃんと正しく判断できるかとか、相手のなりたい姿とか。
臨む姿にちょっとギャップがあるんですけれども、そこを諦めないで、どうしたらうまくいくかっていうのを、常にやっぱり考えていく。
で、結果をちゃんと一緒に出してあげるっていうところですかね。

qbc:長く続けられた理由って、何だったんですか。

kiki:すごく動きのある会社で。いろんなことができちゃう会社だったんです。
例えば、新しい企業さんや新しいチームと契約して、トレーナーを派遣したりとか。私達が持ってり施設に、いろんなクライアントさんが来たりとか。
やっぱり、1年タームで体を変えていくスケジュールとかを作ったりとかするんですよ。
怪我していたら怪我していたなりのトレーニングをしたり、試合などのピークが控えてるんだったらそれを目指したスケジュールができるし。
というところで、常に目指すものがある、目標がある。そういう動きがたくさんある。飽きなかった環境ではありましたね。

qbc:なるほど。kikiさんの物の見方に、分析する人寄りの観察眼がちょいちょいあると感じていたんですが、それはお仕事の過程で学んだものなんですかね。
それとも、喘息で自分の体を気遣っていた時かな。

未来:これ以上に大事なことってあるのかなって。命を育むこと以上に大事なことってあるのかなって思って。

qbc:5年後、10年後ですね。どういうふうな未来にしていきたいとか、死ぬ時にこうしたい、死ぬまでにこうしたいみたいな。未来についてイメージはおありですか?

kiki:未来の話が来る時に、実はどうしようかなと思ってて。
未来の話が出た時に、多分昔だったらいいこと言おうとかっていうふうに思ってた自分がいたんですよ。こういうふうに言った方がいいよねみたいな。
でも今、正直、こうなりたいなとか、こうしていきたいなっていうのがあんまり、目標みたいなのがなくて。いい意味でなんですけど。
だから、未来はこうしていきたいっていうのは難しいなと思うんですけれども。
ただ一つ言えるのが、やっぱり最近思うのが、自分だけの価値観にとらわれたくないなってのがすごく最近強くて。いろんな人の価値観とかをちゃんと認めつつ受容しつつ、新しい世界をどんどん見ていきたいなっていうような気持ち。

qbc:なんでそうなったんですかね?

kiki:今までがそういう人生だったんです、もうとにかく。
自分の存在を証明するために。それだけをやってきた感じはするんですけど。

qbc:強い考え方ですよね。

kiki:ちょっと嫌なやつですね。

qbc:いや、そんなことないですよ。

kiki:すごい駆りたてられるように動かされてきた感じじゃないですか。私、実は2回コロナにかかったんですね。やばくないですか? 2回コロナにかかって。
知人に、ここ最近言われるのが「落ち着きなさい」って。「急がば回れだよ」って話を、いつもされていて。それって数年前から、知人に相談するたびに「あなたの成功はまだまだ先の話だから、そんなに焦らなくていいよ」っていうのを毎回毎回言われるんですね。

qbc:はいはいはい。

kiki:でもなんか、今までお話した話からすると、私、急がば回れって言葉が一番嫌いなんじゃないかと思うぐらい、あんまり好きじゃないんですよ。
何か急ぎたくなってしまうし、早く手にしたくなっちゃうしみたいな。
だから、その意味が全くわからなかったんですよね。
で、転職するにあたっても、何か自分の経験が生かせないのがすごく苦しいみたいな話を知人にしたことがあって。その時にも「経験は抜けないよ」って言われて。私の場合は、今何をするかよりも、誰と出会うかが大事だって言われて。それで、そっかあと思いながらいろいろ時間をつぶしながら探してた職場が、今の職場です。

qbc:はい。

kiki:何をするかっていうのは、業種が全く違うじゃないですか。働き方も。
だから、そこに関して本当にこれで満足いくんだろうかとか。給料がめちゃくちゃ、前に比べると3分の2、3分の1くらいになって。
でも、やってみたら意外とできるし。転職してみたら心地が良かったし。それによって、気になってた子供との時間もちゃんと作れるようになってたし。意外とこういう生き方も、今はいいんだなっていうふうに思ってきて。
今は、自分の価値観が、いろいろなことを経験してシフトチェンジしてきている時で、そこでさらにいろんな人の価値観を知ったら、また自分の新しい扉が広がっていくんじゃないかなっていうふうに思っている最中です。

qbc:なるほど。

kiki:だから、そういう意味で無名人インタビューも面白いなと思っていて。

qbc:ありがとうございます。
ということは、今、具体的にこうしたい、みたいなことはない状態?
5年後に、例えばハワイに行っていたいとか、そういうの。

kiki:年数とかわからないんですけど。いずれは、世界を飛び回りたいです。
いろんな国に行って、いろんな人の話を聞きたいです。

qbc:それは家族で? 

kiki:1人で。それを、ライフワークにできたら楽しいです。

qbc:各地各地で何をします? 

kiki:各地各地で、その人たちの生活に溶け込みたいですね。

qbc:生活をしたい? 仕事は何でもいい? 

kiki:そうですね。生活に溶け込んで、その人の人生を垣間見てみたいです。結構、SNSっていろんな人と繋がれるじゃないですか。
Facebookのグループページで、日本人なんだけど、海外で子育てしてる人のグループとかあって。そういう人たちの話とか聞いてると、そこにいてそれこそインタビューじゃないけど、話を聞いて、それで自分なりに読んでもらうために記録に残して、みたいなのはうっすら思ってました。
文字書くのがやっぱり好きなんで。前、小説書いてたし。

qbc:なるほど。

kiki:さきほど、分析の話があったと思うんですけど、言われてみたら確かに経験をして、自分なりに考察したり言葉にするのがすごく好きで。

qbc:こちらが聞かなくても、自然と因果関係をお話されてるんですよね。
例えば、自分は出産で変わったんだと思うとか。仕事を3つ経験して、この仕事はこう、あの仕事はこう、とか。
いったんそれらについて考えたことがある人だったんだなと。
特に、やっぱり子供の時の喘息ですかね。自分の体を観察して、どう付き合っていくかという過程で見についた因果関係の分析。
あと、そうだ。出産をして変わったっていうふうに仰ったんですけども。それは、どう変わったんでしょうか?

kiki:子供をお腹に宿した時に、もうこれ以上に大切なものはないなって思って。

qbc:それは、アスレチックトレーナーを辞めた後ですか? 

kiki:トレーナーをやってる時ですね。妊娠しながら、子どもいながらトレーニングを教えてました。
見えないじゃないですか、まだおなかの中にいる時って。病院行ったら胎動が聞こえたりとか、蹴ってきたりするわけですけど。得体の知れないものだけど、まだ顔も声も何もわからないけど。そういうのに思いを馳せている。
これ以上に大事なことってあるのかなって。命を育むこと以上に大事なことってあるのかなって思って。
実際出産して子供を育てて。もちろん大変なんですけれども、やっぱり妊娠の時から変わらず、人を育てる、命を育む、愛を育てるっていうのは、綺麗ごとかもしれないですけど。これ以上に大事なもの、本当にないんじゃないかなって思って。

qbc:アスレチックトレーナーのお仕事を辞めた理由は?

kiki:会社の期待にあまり応えられなくなっていってしまうと思ったんで。
やっぱり応えたくなるじゃないですか。応えたくなっちゃうつもりでいるんですけど。それをしてしまうと、どうしてもどこかに支障が出てしまう。自分の体調なのか、子供なのかわからないですけど。
仕事の代わりは誰でもできるけど、母親の代わりは私しかできなかったので。今は、やっぱり期待に応えられる人にやってもらった方がいいよなって。

qbc:出産以前と出産以後、どっちがいいと思いますか?

kiki:出産後です。出産後の方が、やっぱり自分が成長しますよね。
しましたね。人としての部分ですけど。
本当、いろんなことが受け入れられるようになりましたね。
「しょうがないよね」で流すしかないこととかも増えてきたりとか。

qbc:お子さんに対して? 

kiki:そうですね、子供に対して。でも、そういう状態でいると、周りに対してもそうなってきます。
今までって、独身や結婚の時とかは、ある意味甘えられたじゃないですか。自分の時間がたっぷりあって、ガーって働いて働いて働いて、あー疲れた、家へ帰って寝ようとか。好きなものを勝手に食べようっていう感じで。自分中心で自分のことだけ考えてれば良かったのが、自分だけじゃない誰かのことを考えなきゃいけない習慣に変わってくる。時間割とか。
あとは、何か物を買う時とかも自分じゃなくて子供の健康を考えるとか。何か、思考がいろいろ変わってくると思うんですけど。
それで、自分だけじゃない誰かのために、何かを費やすっていうことを繰り返していくことも、やっぱり自分の成長にも繋がっていったなと。ちょっとやそっとじゃあんまり動じなくなりました。

qbc:なるほど。

kiki:今までだったら、会社で「これが大問題だ」みたいな感じで言っていたことが、心の中で「本当に大問題か?」みたいな。そういった意味での成長はあります。
人の命が殺されるわけじゃないし、そんなオーバーな、みたいな。
そういうような寛大さは、出てきたかなと思います。

qbc:もしもの未来の質問をしています。
もしも、自分が喘息じゃなかったら、あの2年間がなかったら、どうなっていたでしょうかね?

kiki:人の気持ちをあんまり考えられなかったかもしれないですね。
入院もしたりとか、そこで出会った子供たちもいるんですけど。
もう普通に入院で、小児病棟にいる看護師さんとか先生とか、関わるじゃないですか。
喘息はやっぱり辛い、本当に辛いんですよ。発作が起きると辛くて寝てられないから、夜にずっと起きてなきゃいけない。そういう辛さとかも、子どもながらに感じてるのもあって。周りに対しても、無意識にそういう痛い人の気持ちとかってのが読み取れるようになってくると思うんですけど。
人の優しさとか、辛い人の気持ちとか、そういうことを感じる力が、子供ながらにしてすごく育ったのかなっていうのはあります。
それがなかったら、人の気持ちを深くまで考えられなかったのかなと思いますね。

qbc:あーやっぱり、分析力や洞察みたいものが生まれてきたのかな。

kiki:今思えばそうですね。もしかしたら繋がってるのかもしれない。

qbc:未来の、感情についてはどうですか? どういった感情がいいですか?

kiki:明るい感じがいいですかね。キラキラとか。なんか輝かしい未来がいいです。

qbc:人から見られた時に輝かしい、ですか? 

kiki:いや、自分が切り開いていく輝しさがいいです。

qbc:今、自分の輝きが曇ってるわけじゃないですよね?

kiki:全然。

qbc:新たな輝き? 

kiki:そうですね。新しい世界が見えた時って、キラキラするじゃないですか。
キラキラしてる感じがするんで、そういう切り開いていく輝かしさが欲しいです。

qbc:kikiさんは、人からなんと言われることが多いですか。

kiki:人から面白いねって言われることが多いです。

qbc:あ、明るい、元気ですね、よりも面白いなんですね。

kiki:「ハキハキしてる」みたいなのはよく言われます。

qbc:なるほど。では、最後に言い残したことがあればお伺いしています。

kiki:記事ができるのが楽しみです。それから、インタビューの記事読んでて好きなのが、qbcさんの考察みたいなとこなんですよ。
最初と最後に出てくるじゃないですか。

qbc:あ、私がインタビューした場合は最初と最後で、私がインタビュアー出ない場合は、最初だけですね。

kiki:あれで、ちょっと満足しちゃうところがあって。記事も読むんですけど、なるほどな、みたいな。
そこをいつも楽しいなって思うんで、それが楽しみです。

qbc:ありがとうございます。

あとがき

今回の無名人インタビューもいかがでしたか? よろしければ感想をコメントに残していってくださいね。はい。
けっこう、いろんな、さまざまな、テーマがあったインタビューだったなと思います。
ぜんそく、目的意識の高い仕事、出産、分析力。でも大きかったのは出産かなやっぱり。
子供を産むということは女性に神秘性を与えるというかというか肉体の変化は人間の意識に大きな変化をもたらすよな、てことかもしれません。
私も左目、白内障の手術をしているので、それで人生観が変わったとは言いませんが、ちょっと感覚はやっぱり変わりました。
そうすると舌ピやタトゥーもそういうものなのかもしれません。
というかスプレッドタンだってそうだし。
というか身体変工というもの自体が、そういうものか。
非日常の中で新しい自分を再発見すること。
自分に新しい意味を与えること。
心身ともに安心し、救われたと思うこと。
よもや話の方向がわからない。なんてね。大丈夫わかってる。通過儀礼や神秘体験に、肉体への非日常的刺激は欠かせない話ってことですよ。イニシエーション。
ぜんそく、肉体に関する仕事、出産といった経験から着実に新しい自分を手に入れている方なんだなと、あらためて思いました。まあ心と体が追いつかない、なんてこともあるのでしょうが。体だけ先に体験が済んで、その整理を心がまだしきれていないなんていうね。
ははは。また明日!

インタビュー担当:qbc

編集協力:有島

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