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海外ノマドと10代の留学生に聞いてみた 【旅の終わりインタビュー2】
今回ご参加いただいたのは、中国出身で大阪でも暮らしていてニューヨークにも住んでたことがあって今、地中海周辺をノマドしているTigerさん。もう一人はイタリアへの約一年間の留学を終えて帰国したクロマニョンさん。
年齢もパスポートも違うじゃんな二人ですが、なんか話が合っててフフフ。
私qbcは思ってるんです。何が人間を分けてしまうのか。
何が人間を分けてしまうのか?
やっぱ言葉かねえ。意思が通じあわないもん。まあでもそしたら万能翻訳機があったら?
けっこういけるかもね。
なんだろう。偏見なく、まっすぐに、相手を理解することができるならば、すくなくとも個人間の争いというのはなくなるのではないのだろうか。
2回目の「旅の終わりインタビュー」もよろしくお楽しみくださいませ!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】
今回のご参加はこちらのお二人!
Lazy Tigerさん
クロマニョンさん
1,今、ノマド生活? 定住生活? どんな生活ですか?
Tigerさん:ノマド生活3年目、日本語教師、コンサルタント
Tiger:私はノマド生活を始めようと思って始まった、というわけではなくて。まずニューヨークに12年間住んでいて、その都会の生活から離れてイタリアに住むのが夢だったので、とりあえず6ヶ月、イタリアに行こうっていうのが始まりでした。
その間にコロナがあったりしたんですが、季節を堪能しながら短期の生活をしようと思って。夏は本当に小さいスーツケースを持って移動して、1週間から2週間とかその場所に住み、好きなところを見つければ1ヶ月住んだりしていました。
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その後、イタリアのビザの関係とかもあって、この生活の次は何をしようかと思ったときに、ギリシャとマルタ島の2つが、ノマドビザってのをやってたんですね。今もやってるんですけど。で、ギリシャの方がご飯美味しそうだったので、ギリシャを選んで。
ギリシャでは、とりあえず生活のベースとしてアパートを借りなきゃいけない、っていうビザの条件があって。それをベースにして、もう少しゆっくり旅をするっていう感じにしました。今は激しく動くのよりも、とりあえずアパートはここにあって、行きたいところにそこから出向く、っていう感じになってます。はい。
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qbc:何年ぐらいノマド生活をしていたんでしょうか?
Tiger:2020年の7月か8月に、ニューヨークを出ました。そこから、イタリアは2年弱です。1年? なんていいますか、日本語できなくなってますね。1年8ヶ月かな、そんぐらいですね。そこから週単位とか季節単位で、違うところに住んでたので。
ニューヨークに1ヶ月帰って、ナポリにまた1ヶ月いて、ギリシャに1ヶ月いて、みたいな感じにやっていました。去年は多分、毎月違うところに住んでました。
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qbc:点々と移動する生活は、どうでしたか?
Tiger:それをやっていたときは、すごく自由。もちろん、それまではニューヨークに10何年住んでて、ちょっとそれが長すぎたと思うんです。私は多分、1つの国とか1つのところに住むのは、10年間がMAXだと思うんですよ。
日本に住んでいたのも10年ぐらい。正確には日本は9年と、あとニュージーランド1年ですね。私、クロマニョンさんと同じ年齢のときぐらいに、ニュージーランドで高校留学もしてるんで。
クロマニョン:あー、そうなんですね。
Tiger:それもちょっとご縁がありますね。昔、私がやったことを、今クロマニョンさんがやってて。
このコロナのタイミングって、いろんな仕事がリモートでできるようにもなった世の中だったじゃないですか。今また、ちょっと変わってると思うんですけど。
だから、このタイミングで、自分に最大の自由をギフトしようと思って。とりあえず。プランなしで生きてみようと思いました。同じところにいすぎたっていう感じを、多分リセットするために。
クロマニョン:ニューヨークとか、いろんな国に行ってる中で、日本には1回も戻ってきてないんでしょうか?
Tiger:日本は去年の終わりに、6年ぶりに行きました。私、日本のビザがないんですよ。私は以前、中国のパスポートだったので。両親は、日本の永住者なんですけど。
コロナのときの対策っていうかルールとしては、日本国民とか永住者だったら入れるってやつで。そうじゃなかったら、観光客ってことじゃないですか。今のパスポートはアメリカですけど、どっちにしろ、日本には入れなかった感じなんで。
結局、去年の終わりに初めて、ラーメンを食べることができました。
クロマニョン:いいですね。私、日本のラーメンはまだです。
Tiger:あ、まだですか? 今もイタリアにいるんですか?
クロマニョン:いや、今日本に帰ってるんですけど、まだ食べれてないです。
Tiger:それはもったいないですね、日本にいるのに。日本のごはん、羨ましいです。
クロマニョンさん:イタリア10か月留学、大学受験中
クロマニョン:私は1・2週間ちょい前に、10ヶ月のイタリア留学を終えて。母とお姉ちゃんが住んでる、日本の東京に戻ってきたっていう感じですね。今は、9月に総合型選抜の入試があるので、その大学の入試に向けて、必死に1ヶ月詰め込みで。塾に通って、書類作りなどをバーってやってるって感じですね。
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Tiger:懐かしい時代の話です。受験!
クロマニョン:Tigerさんも大学受験したんですか?
Tiger:私、大学受験の時はニュージーランドにいて。高校2年のタイミングで、11ヶ月ぐらいいて。大阪の私立高校に通ってたんですけど、ニュージーランドに留学したことで、帰国子女枠っていうことになるんですね。私の友達たちも、ほぼそういう枠で、いろんな大学に行ってたんです。
私は、日本での生活はもういいかなと思って、アメリカに行きました。TOEFL受けて、1年後ぐらいかなんかに、ニューヨークの大学に行きましたね。
qbc:クロマニョンさんも留学したけど、帰国子女枠にならないんですか?
クロマニョン:私は、帰国子女枠にはならないんですよね。2年間ぐらい留学してないと、帰国子女枠が取れないっていうので。一応、単位認定は取れたけど、AOとかで戦うしかないっていう感じなので、大変です。
qbc:イタリア留学は、いかがでしたか?
クロマニョン:いや本当に楽しいというか、なんだろう。もうイタリアの人になった気持ちでいたので、日本に着いたときは、何をしてるんだろうみたいな。別の自分がまた降り立った、みたいな感じだったんですけど、今はだいぶ戻ってきたっていう気持ちが強いかなっていうのはあります。
qbc:滞在する国ごとに、自分って変わっていくものなんでしょうか?
Tiger:それ、あります。多分、言葉に関係すると思います、私の場合。
qbc:なるほど。
Tiger:私、日本語を教えてる立場でもあるので。私が話すのは、中国語と日本語と、仕事のメインは英語ですね。あとイタリア語も。イタリア語は、この中では一番できてないと思うんですけど。
その言葉、言語の中にある限られた表現方法だとか、その言葉の意味によって、自分の考えがフレームされていくっていうか。それである程度、性格もそっちに詰め寄られていくような気がするんですよね。例えばこの4カ国語の中で、私は一番、日本語が自分らしくないと感じます。……これって、意味わかりますか?
qbc:日本語は、どういったところが自分らしくないと感じますか?
Tiger:日本語はすごく、なんか繊細で。表現によって、すごく微妙なニュアンスを表現できるじゃないですか。でも、自分は多分、そこまで細かくない。
中国語とか、英語の方が、もう少し大雑把なんですよ。逆に、そういう言語の中で、少し足りないなっていうところもあるんですよ。だから、その言葉を話してる自分っていうのは、多分他人から見た印象が違うと思うんです。中国語と英語を話してる時の自分は、もっと強気な感じがします。
qbc:ちなみに、イタリア語を話してる自分ってどんな感じですか?
Tiger:なんか陽気で、ダラダラしてる人ですね。
qbc:クロマニョンさんはイタリア語を話してる時、どうです?
クロマニョン:そうですね、確かに。日本語の方が、もっと何か考えて発言してるというか、慎重な気持ちにね。イタリア語は特に何も考えずに、何か変なこと、下品なこととかでも、全然言えちゃう感じもしなくもないかもしれないです。
Tiger:イタリア語はもう、全部ポジティブ。それと感情表現が激しいですね、私が知ってる言語の中で。ご飯を食べる時に、何かのパスタが出てきたら、「これは人生で一番うまいパスタだ」みたいな、すごい誇張して言うんですよね。あとは、彼女と別れたら「もう俺は死ぬ」みたいな。
そういうこと言ってると、本当に、言霊じゃないですけど、スペルにかかって、そういう気持ちになるんですよ。だから嬉しい嬉しいってずっと言ってる人たちは、本当に嬉しそうですね。
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qbc:なるほど。中国語は、どんな感じですか?
Tiger:中国語の文法は、多分私が知ってる中で一番簡単、シンプルなんですよ。現在形とか未来形とか過去形がなくて。あと動詞とかの語尾の変換がなくて。1つ単語覚えたら、もうそれで終わりなんですね。超ミニマリズムで、言いたいことだけを言える。
中国語の言葉遊びっていうのは、どれだけ少ない文字で、細かい気持ちを表現するか。だから詩とかを書くのに、すごくいい、適した言葉だと思います。
qbc:中国語では、どういうふうに気持ちを表現するんですか?
Tiger:中国語は漢字だけじゃないですか。日本語はひらがなカタカナと漢字ですけど。中国語は漢字が、果てしなく多いんですよ。数えたことないですけど。だから、自分の気持ちを適切に説明できる漢字ってか、言葉があるんです絶対。
qbc:なるほど。
Tiger:日本語だと多分、ずっと文章長くして、自分が言いたいことに近づける感じじゃないですか。だけど、中国語はもっと確実に適切に、その言葉で、こういう絵だっていうのを描くんです。漢字からその絵が見えるように、多分。
qbc:あー、それは面白い。
Tiger:逆にそこから来ると、イタリア語とか英語とか難しいです。全部アルファベットなので。文字から伝わる情報がないっていうか、音声だけという。
クロマニョン:いいですね、中国語。中国語を学びたくなっちゃったかもしれない。
Tiger:思ったより簡単なので、特に日本語話す人なら。そんなにかからないですよ、中国語が喋れるようになるまで。
2,そもそも「定住を辞めた」きっかけはなんだったんですか?
クロマニョンさん:留学イタリア
クロマニョン:私が留学を始めたきっかけは、そもそも親がすごく留学に賛成派だったっていうのがあって。小中高の間にどこかで留学するんだろうなっていうのは、すごい圧を感じていたので、行くんだろうなとは思ってたんですけど。やっぱり小中のときは、飛行機が怖かったのがあって、行く決断がなかなかできず。高校になった時点で、じゃあ行くかっていう流れで、そのまま流されるまま、特に踏ん張りもなく行った感じですね。
qbc:なぜ、イタリアを選んだんでしょうか?
クロマニョン:イタリアを選んだのは、英語じゃない言語をやりたくて。あと、イタリア人に興味があって。イタリアの陽気さが。やっぱ日本にいるときには感じられないと思ったし。そういうのを感じてみたいな、10ヶ月いることで多分たくさん感じることができるなって思ったのと、やっぱ自分もそういう性格になってみたいというか、その生活の一部に、携わってたら、ちょっと変わるのかなっていうところがあって、選びました。
Tiger:なんで英語じゃないとこが良かったんですか?
クロマニョン:英語が、嫌いなんですよね。やっぱその、イタリア語って発音がすごい楽というか、日本人にとっては発音しやすいじゃないですか。
Tiger:そうですね、母音で終わるので。
クロマニョン:そうですそうです。
qbc:へー。
クロマニョン:ローマ字読みだし、一応読めば伝わるし。英語だと、ちょっと気取っているんじゃないけど、何となくそういうイメージがあって。英語は自分でも確かに勉強はできるから、10ヶ月ぐらいなら新しい言語にチャレンジしてみたいなっていうのがあって、実際に身についたし。なのでイタリアを選びました。
Tiger:なんかそういうの、珍しいですよね。私の時代は大抵みんな、大学受験前とかって、特に親から、「将来に役立つことをしろ」とかって言われてたんですけど。
qbc:それは、今もそうですよ。
Tiger:今もそうですか。なるほど。
クロマニョン:大学受験には確かに、何回も不利って言われて。今も不利ですよねとか言われながら、私もそうですよねって言うんですけど。でも後悔はないかな、っていうのがあります。
Tiger:それはいいと思います。私は、ニューヨークの時代から趣味でイタリア語を勉強してて。これまで学んだ言語の英語と日本語は、例えば親の都合で引っ越すのだとか、自分が大学に進学するっていうので、自分が選んだものじゃないと思ったんですよ。その状況に押されて、やらなきゃいけなかったっていうので。
それで、イタリア語だけが、実際発音がかっこいいという理由だけで興味を持って。なんか歌ってるような感じじゃないですか、リズムがあって。スペイン語にも似てるんですけど、でもなぜか、イタリア語のそのちょっと微妙なズレが、私にはツボで。
だからもう、クロマニョンさんに私も賛成です。ニューヨークの都会暮らしとか日本の生活も経て、イタリア人のポジティブな感じ、言葉を素直に、美味しいものをすごく美味しいだとか、綺麗なものをすごく綺麗だとか、心から感動するような言葉を使う環境に私はなかったので、私もそういう人になりたいと思いました。私はその言葉で、そういうことを表現する人になりたいと。
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qbc:なるほど。
Tiger:でも、イタリア語は仕事とか他のことに全く役立たないって、イタリア人の友達にも言われましたね。なんでこれ勉強してんのって。あんまり意味ないよって。でも、やって後悔することはないですよね。多分、自分の人生の中で面白いのは、こういう見た目的に無意味で、だけど自分にとっては一番面白いことが一番いい、と思います。
qbc:イタリアの、陽気さの秘密ってわかりましたか?
クロマニョン:なんだろう、時間の余裕がすごいあるからというか。
Tiger:仕事してない。仕事がない+仕事してない、したくないっていうのが。あとはビタミンDとかですか? 太陽をとりすぎて。
クロマニョン:あー、夏とかそうですね。
Tiger:今は灼熱ですけどね、こっち。Heat WAVEで大変ですよ。アテネとか気温40何度です。
qbc:そんなあるんだ。今、東京も37度とか、そのくらいになりますよね。
Tiger:あ、お2人とも東京ですか。暑いですね。でも都会だと、室内とか店内はクーラーとか、そういうのあるじゃないですか。こっちはなんかただ、村っていうか。道と海! って感じなので。
qbc:なるほど。イタリアの人って、あんまり仕事しない感じなんですか?
クロマニョン:私がいたのは南イタリアなんですけど。例えば、午前中にちょっと仕事して、昼休憩が3時間、ご飯のためにあって。その後、働きにまた戻るみたいな。で、仕事は午後7時ぐらいにはもう終わって、夜みんなで出かけようみたいな。そもそもの働き方の自由さが、伝統なのかわからないんですけど、そういう文化がある。
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Tiger:スペインとかも一緒ですね。スペインと、あとギリシャもそう。多分、太陽が強すぎて、なんか昔は農作業とかだったから、その間は休まなきゃいけないとかいう、シエスタはそういうことからじゃないですか、外にはいられないっていう。
でも南イタリアって、失業率高いですよね。私ナポリに6ヶ月いて、クロマニョンさんが行ってたのプーリアですよね、私プーリアにも行ったことあります。レッチェに1ヶ月住んでました。
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クロマニョン:私、レッチェ行ってないんですよ。唯一行ってないんです。
Tiger:レッチェ行ってないんですか? めっちゃ綺麗ですよ。
クロマニョン:いいですね。
Tiger:あそこはですね、観光業とかだけで、多分。夏の間だけ働いて、冬は全く仕事をしないとかそういう。問題ではあるって言ってますけどね。
あとは、大人になっても実家に住んでる人の数が、多分ヨーロッパでも多い方だって言ってました。30代、40代の方とかが。
qbc:やっぱり大人で実家にいるっていうと、批判されますかね? 実家にいた方がお金遣わなくて済むから、いいんじゃないのって思いますけどね。
Tiger:それは、本人にとっては良いって意味ですか?
qbc:経験するっていう意味では、家を出た方がいいんですけど。
Tiger:そういう場合、結婚したりとか恋人ができたりとかすると、もう全部家族ぐるみの付き合いとかになってしまうので。プライバシーがないっていうか。イタリアは、それでもいいみたいな感じなんですけど、結婚したらその家の中に転がり込むっていうこともありますね。なんか。ナポリとか歩いてたら、みんな毎日喧嘩してますよ。喧嘩してるのが背景の音って感じです。
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Tigerさん:「今やれば?」
qbc:なるほど。Tigerさんは、定住をやめたきっかけって何だったんでしょう?
Tiger:定住をやめたきっかけ、ニューヨークでの生活をやめたきっかけですか。えっと、ニューヨークからまず出たかったっていうのもあったのと。その生活をずっとしてて、このまま生活してても、友達もいるし趣味もあって仕事もまあまあで、でも刺激がもうないって思ったんです。何も新しい、わくわくすることがなくなってきて、このままどれぐらい続けていくんだろうっていうのが、先が見えなくなったとき。
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あと、期間はどれぐらいでもいいから、どれぐらいかわからないけど、死ぬまでにはイタリアに住んでみたい、って感じていて。それを「今やれば?」みたいに友達から言われて。同じようなことを考えてた友達とか、ノマドライフを始めようとしてた人が周りに3人ぐらいいて、他の国でですけど。その人たちと、会話の中とかで、ビザだとか引っ越し資金だとか、現実的なことを考えるようになって。
だから、出たいところと行きたいところがまずあったのと。そのときはイタリアに行ったことで、定住をやめるっていうふうには考えてなくて。とりあえずそこにいて生活をするんだ、って思ってて。
でもそこから、例えば短期で家を借りることと、1つのところにどれぐらい居たいんだろうっていうことを、今もですけど、そのバランスを考えてる状態で。そのときは、とにかく季節を追って生活したかったので。1つのところにアパートを残して、ちょくちょく旅行をするんじゃなくて、とりあえずひと夏、目的地はとにかくイタリアを南へ南へ、っていうふうに。色んな海の色を見ようと思って。
それをやって、秋になったから、もう服がないと思って、フィレンツェに帰って服を取りに行こうって。鳥みたいな生活ですね、渡り鳥みたいな。次のステップだけを考えて、生活してた感じですね。それは今までなかった経験なので、多分、必要な経験だったと思います。自分にはそういう能力があるんだ、っていう。
qbc:そのときの気持ちって、どうだったんですか? 不安じゃなかったのかなって。
Tiger:不安は、ないですね。短期だと、その好奇心の方が勝ってしまって、飽きる前にもう次のところに行くので。そこの生活に慣れてしまう前に、移動するので。ニューヨークからイタリアに行ったっていう時点で、もう既にそれは新しい生活じゃないですか。
qbc:はいはいはい。
Tiger:本当に親しい友達とは結構連絡取ってます。あとみんな、イタリア人は結構すぐ仲良くしてくれるので。趣味もやってるので、そこで新しい繋がりができたりとか。そういうのはできたんですけど、でも多分自分の中ではその冒険心っていうか、新しい景色を観て、1人でこういう地を歩くっていう客観的な像っていうのが勝って、それをしてる自分が好きだったんですよ。だから最初の方は、それで全然満足でしたね。
qbc:じゃあ、ニューヨーク出るときは不安でした?
Tiger:うーん、それも不安じゃなかった。ニューヨークから出る予定だった頃は、コロナになるって知らなくて、もちろん。2019年の年末に、こういうことをしようと思って、仕事を辞めて、来年はイタリアにちょっと行ってみようっていうことで、3月か4月のチケットも取ったんですよ。
で、3月からもうミラノがシャットダウンなったじゃないですか。そっから全部イタリアがシャットダウンになって、ニューヨークの方も最初にニューヨークがコロナが広まったので、仕事も家からとか、最終的には部署的にもちょっと一時休止にみたいなって。
じゃあニューヨークにいる意味もないし、とりあえずイタリアからのビザは下りてたので、そこへ自然に流れた感じですね。もう全部、世界が変わっている状態なので、何をしても実は間違った答えはないんじゃないですか、その時点で。逆に波に乗れた感じですね。
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3,「旅の終わり」のきっかけを教えてください
qbc:クロマニョンさんは定住に戻ったというか、旅は終わったという感じですか?
クロマニョン:終わってるんですよね。まあうん、そうっすね。そもそも、留学という10ヶ月の期間なので、終わりは元々決められてたけど、やっぱりでも確かに10ヶ月っていうのは意外に、いい期間だったなというか。1年でもいいかなと思うけど、5ヶ月とかだとちょっと短いかなと思うし。
Tiger:イタリアに残ろうと思ったことはないですか?
クロマニョン:そうですね。でも、将来なりたい職業というか、そういうイメージがあったので。大学でこういうことを研究したいという。イタリアの期間中では、いろいろ思ったことがあったので、もちろん友達と家族と別れるときはすごく泣きましたし。でも、あと2年後に戻るって約束はずっとしてて。大学中に、1週間か1ヶ月ぐらい、2年後に戻るよっていうのを約束してたから、未来がきちんと確約されてたので、そこに留まろうっていうのは、思わなかったかもしれない。
qbc:なるほど。
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Tiger:私のときは、帰らなかった子がいます。2人ぐらい。
クロマニョン:えー。
Tiger:高校全体で行ったんですよ。全体というか、国際科っていうのがあって、120人ぐらいの生徒が、ニュージーランドとカナダの姉妹校に飛んだんですね。1年間。
私が行った交換留学の行き先は、私のクラスから4人っていう感じで、他の学校から来た子も何人かいて。それで、1年後に帰ってこなかった子がいます。留学先に編入して、そのまま受験するっていう。
qbc:クロマニョンさんは、この感覚ってわかりますか?
クロマニョン:いやでもイタリアの大学って、そこでイメージされるものというか、私のなりたい職業と繋がるイメージが全く持てなかったので。1回は考えたんですけど、考えた時点で、これは無理だなと思って。やっぱ国が、例えばアメリカとかだったらいける可能性ありますけど、イタリアの大学ってなると、ちょっとまた違ってくるかなって思ったので。考えてみたりはしたけど、っていう感じです。
qbc:でも、考えはしたんですね。
クロマニョン:そうですね、イタリアの暮らし自体が素敵なので。
qbc:Tigerさんは、旅の終わりについていかがですか?
Tiger:私はですね、イタリア生活が終わったあと、今ギリシャにいるんですけど。それを決めたのは本当に1ヶ月だけで。ちょっと考えて、そこに行こうっていう、ちょっと軽めの気持ちで。イタリアに行くっていう夢を果たした後で、今から何をしようっていう感じなんですよね。やり残したことは、とりあえずないし、次にやりたいことを探してもいないですね。やりたいことがあればそれでいいし、生活する過程を楽しみたいっていうので。
その前の、旅人生活っていうんですか、いろんなとこに行くっていうのも、もう3年目かなんかになったところで。旅をするためだけに旅をするっていうのも、前のインタビューでも言ったように、それも違うと思うんですよ。あとやっぱり、旅人生活の初めの方で、好奇心を満たしてくれたような状況だとか、新しいところにいって、これは見たことない食べたことないっていうのを毎週やってたりとかしても、どれも日常になってしまうんです。
qbc:はいはい。
Tiger:その中で例えば、仕事がもっと忙しかった時だと、私はアメリカの東海岸時間で仕事をしてたりするので、午後の5時とか4時から深夜の12時まで、もう自由時間がないんですね。そうなると現地での繋がりができにくくて、社交の時間が少なくなってくる。
ミーティングの合間に、ご飯食べに行く時間を見つけていくと、「お1人ですか?」ってのを毎日聞かれるんです。別に最初はそれでいいんですよ、全然。1人で食べるのが好きなので。だけど、呪文みたいに毎日毎日聞かれてると、あっ、いつも1人かっていうことになって。
クロマニョン:うん。
Tiger:今も1人でいたりするのが好きなんですけど。でもなんか、ずっとそれを毎日やってるのもつまらないなと思い始めて。じゃあ、そろそろ誰かといてもいいかな、っていうふうに思い始めたんです。1年ぐらい前から。
で、ちょうどそういう同じタイミングで、今付き合ってる人と出会って。彼は中欧の方の人なんですけど。今、夏はギリシャで私と一緒にいて、夏が終わると、私は彼の国に行って、彼と暮らします。そこをまたベースにするっていう感じですね。
qbc:なるほど。
Tiger:っていう、半分流れと、半分あと、この生活をずっと続けても、新しい感情というかインスピレーションは得られないから、次に人生が与えてくれる道をたどって、そこで何を見るのか、行ってみようっていう感じなところです。
qbc:どれぐらいで飽きたと感じました?
Tiger:去年の秋とかですね、多分。だから、この生活を始めて2年半ぐらいですかね。好きなものをずっと食べ続けて、それが麻痺してくるのもこういうことかなと。前はイタリアがすごく好きだったので、ただそこにいるだけで嬉しいとか、そこにいる自分が好きっていう。で、それが多分、毎日あるようになって、今でもイタリアは好きなんですけど、それは多分物事によっては少し距離を置いた方が、夢を持てるっていうか。より良い関係を築けるっていうか。そういうこともあるので。一気に全部やりすぎないようにっていう、そのバランスも探してますね。
qbc:パートナーと一緒に生活するとしても、そこはあくまでベースであって、これからも転々とするかなっていう感じですか?
Tiger:そうですね。季節をこれからも重んじていきたいですね。
私の友達、親友とかはニューヨークにいるので、ニューヨークには今年の11月にも行くんですけど、1ヶ月くらい。あとは両親が大阪にいるので、春には日本に1ヶ月かそれぐらいか行ってっていう。
ベースはあるとしても、私は今、多拠点の生活っていうふうに、トランジションするというふうに考えてます。
qbc:なるほど。ニューヨークに行っても、仕事はするんですか?
Tiger:いいえ違います。そこに行くだけです。仕事は今、ネットで日本語を教えたり、コンサルティングとか、自分のプロジェクトをしてるんですけど、ニューヨークは親友がそっちにいて、あとは3年前に残していった、ニューヨーク時代の物たちが倉庫に入ってて。それをそろそろ本当に処分しにいかないと、と思って今回は行くんですけど。
qbc:リモートでも、お仕事をしなくていい状況にできるっていうことですか?
Tiger:はい。リモートワークも自分でスケジュールを決めてるので。
例えば日本語のお仕事は、ほぼ個人レッスンですね。なので例えば、今日は天気がいいのでビーチの日にしたいと思えば、クラスをその次の日にずらすとか。そこはイタリア人に学んで、生活をしてますね。仕事したくない時はしない。
クロマニョン:いいですね。
qbc:海のそばの人たちって、天気によって仕事をしなくなるっていうのは、他でも聞いたことありますね。沖縄の人だったかな。
Tiger:そういうのって贅沢ですけど、すごく自然なことだと思うんですけどね。生活っていうのは、自分が生きたいふうに生きるのがベースで、仕事によってどれぐらい自分のやりたいことを左右されるのかっていう制限をバランスするのが肝心だと思うんです。
多分大きい都会って、そういう自然状況とか限られてるので、お金をたくさん稼いで、それもキリがないじゃないですか。なんか、国とかによっては、稼げば稼ぐほど税取られたりするし、その最後に得る生活の質っていうのは、結局こういうギリシャの島とかに比べて、そんなに高くないと思うんですよ、私は。
qbc:なるほど。すごい胸に刺さりますね。
Tiger:そうですか?
qbc:いや私が多分この中で一番、日本のサラリーマン生活が長いので。
Tiger:でも、今はサラリーマンじゃないですよね。
qbc:今は違いますけど。でも去年ですもん私、日本語でいうフリーランスになったのは。
Tiger:でもこのインタビューは、その前からやってますよね。すいません、逆インタビューしてますけど。
qbc:そうですね、無名人インタビューはサラリーマン時代に始めました。
Tiger:すごいですね。でもそれをやる人って、そんなにいないじゃないですか。何か1つ仕事があれば、それだけでなんていうの、自分の生活、リズムがその1つのことに支配されてしまって、仕事が終わったらどうやってリラックスしようかとかお金をどうやって消費しようかとかっていうのが、そういう無心な状態ね。でも何か、自分がやりたいことをその他でやろうっていう人は、そう多くないと思います。
qbc:インタビューはやりたかったですね、面白かったし。今も面白いですけど。
Tiger:面白いですね。読んでます、私。
qbc:ありがとうございます。これって、面白さと同時に、ちょっと癒しもあるんですね、人の話を聞くというのは。
Tiger:そうなんですか。
qbc:話した方も、もちろん気持ちいいんですけども。話を聞いてる方も結構、気持ちよさがあるんですよ。
Tiger:セラピストになろうとは思いませんか?
qbc:インタビューセラピーというものは、世の中にはあるんですけど、私自身はセラピストになりたいっていう意識はなくて。このインタビューに、いろんな人が参加できるようになればいいなって、仕組みを作っているところですね、今は。
実はクロマニョンさんは、今インタビュアーのトレーニングを受けてるところなんですよ。
クロマニョン:そうです。そうです。
Tiger:やっぱり、インタビューに興味ありますか。
クロマニョン:そうですね。イタリアにいってみて、自分の持ってる情報量が少ないことはすごい感じたので。いろんなことを知るためにも、人を知るためにも、インタビューはいい機会かなって思って。
Tiger:すごい。なるほど。
今、人に対して興味を持つっていうのも、忙しい生活をしてるとあんまりないじゃないですか。それも心の余裕からくるものじゃないですか。知らない人を掘り下げて話したいっていう気持ちになるのって。対面の会話だとほぼないですよね。
qbc:そういうのって、世界的に見ても、そうなんですかね。
Tiger:そう思います。大きい都会は、どこもそうですね。
4,未来は、どんな生活をしたいですか?
Tiger:未来は、私は多拠点ですね。これからすることのバランスをチェックしながらですね。ニューヨークにちょっと長くいすぎたっていうのが、ニューヨークを出たタイミングでわかったんですけど、そういう状態にならないように。なったからって別にいいんですけど。そこから行動をすれば。
今ここにいたいのかとか、今これをしたいのかって。ちょっと自分に対して、自分に正直に生きたいです。何に対しても。住むところであり、やってることもですね。
qbc:ちなみに英語で多拠点って、なんていうんですかね?
Tiger:えーっと、英語だと何ていうんですかね。
qbc:日本語で多拠点って言ってたんですね。
Tiger:そうです。多拠点って、日本語の方が言いやすいですね。この表現は多分、中国語にもないですね。私が知ってる限り。
qbc:でも、英語圏にもノマド生活ってあるんですよね?
Tiger:はい。でも多拠点っていう名詞は使ってないんじゃないですか、多分。こことここをベースにする、っていうふうには言ってます。
私が知ってるノマドの使い方っていうのは、バックパッカーって感じですね。Airbnbとか使ってて、住居が定まらない感じ。
でも多拠点っていうのは、住居が2つ以上あるってことだと思うんです。時にはノマドも多分含まれてると思うんですけど。そういうイメージがあります。例えば、3つのところを拠点にしてるとか。拠点があるってのは、ベースがあるってことじゃないですか。
qbc:はいはい。
Tiger:でもノマドっていうのは、ベースがない状態だと私は思うんですよ。それは、多拠点とは違うメンタリティで。あと荷物の面とかでも。私それが一番多分ちょっと疲れた、っていうのもあります。ノマドって、いつもパッキングしてるんですよ。特にいつも好きな服を着たいとなると。
qbc:なるほど。
Tiger:1つのとこに着いて、すぐ次住むとこ探さなきゃってなって。アンパック、たくさん荷物持って移動できないので、シャンプーでかいの買えないとか、小さい問題ですけど。それがでも、拠点が2つあると、例えば今、私の冬服は全部、冬にいた中欧にあって。ギリシャには夏物しかないです。そういうふうにできるのは、2つの拠点の利点ですね。この季節はここに住んで、あの季節はそこに住んで、っていう。
qbc:なるほど。クロマニョンさんは、未来の生活ってどう考えていますか?
クロマニョン:そうですね。私はまだ10代なので、多分年代によって変わっていくんだと思うんですけど、とりあえず大学生になったら、日本一周したいなっていうのはボヤーってずっとあって。車中泊でも何でも、とりあえず、まず日本を知って。で、次に世界に行きたいっていう順番を、自分の中でイメージしてるので。
定住生活とノマド。でも今のお話聞いてて、私はパッキングがすごい苦手な人間なので、荷物すごい持ってくタイプだったので、結構不安になります。もし行くってなると、どうなるんだろうっていうのが。ちょっと不安なんですけど、やりたい欲が出たらやりたいなっていうのはありますね。でもどっちが向いてるのかっていうのは、やってみないとわかんないので。一度はやってみたいですね。
先入観はない方が、楽しいことはいっぱいある
クロマニョン:今行きたい国とか、行きたい場所っていうのはありますか?
Tiger:今はないですね。もうなんか、そうなんです。イタリアに移住するまでは、旅行でほぼ、毎年行ってたんですよ。それぐらい好きだったんで。イタリア以外に行きたいところはって言われたら、もうイタリアとその他、って感じだったんですよ。
クロマニョン:すごい。
Tiger:今はもう、はっきりとしたものはないですね。でもヨーロッパにいると、いろんな国に行きやすいので。流れで行ってみて、こんなの知らなかったっていうのもいいと思うんです。それも好きです。今までは、特定の目的地を決めて、そこそこ調べて、そこに行ったらこういうことをしたいっていうイメージを持っていくわけじゃないですか。それは1つの旅の仕方で。
今は聞いたこともない所とか、国の名前は聞いたことあるけど、実際どういうところかは想像つかないっていうので、調べもしないで、友達がいるからとか彼氏が運転していくからっていう理由だけでついていって、真っ白な状態で経験するのも、1つの新しい醍醐味だと私は思ってます。
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クロマニョン:いいですね、それ。偏見持たずにいけるので。
Tiger:そうそうそう、そうです。先入観はない方が、楽しいことはいっぱいあると思います。
qbc:なるほど。
Tiger:クロマニョンさんはこれから日本で、イタリア語のメンテナンスっていうか、学んだ言語をどうやって維持して行こうとか考えてますか?
クロマニョン:一応今のところ、イタリアの友達とメッセージして電話して、っていうのを毎日やってて。イタリア人の友達がこっちに来るっていうのも計画があるというか、結構みんな来たいって言ってて。その繋がりがでかいのはあるんですけど、やっぱりちょっと不安です。やっぱり、言語って忘れるもんなんですかね。
Tiger:使わなかったら多分、鈍ってきますね。口の筋肉とか動かなくなったりするので。それを話すような癖、流れが出てこなかったりするので。私と一緒に高校留学した子たちは、もう今は喋れないようになってると思う。大抵は。
クロマニョン:大体何年ぐらいで喋れなくなっちゃうんですか?
Tiger:それは、わからないです。えー、例えば自分で映画を見るとか音楽を聞くとか、普段の生活にまだそういうのが残ってたら、多分少しでもリマインダーというのがあるじゃないですか。でも、1つの言葉だけを使ってると、例えば日本語で毎日他の人と交流してると、その言葉の存在が強すぎて、使わなくなった言葉が、洗浄されてしまうって感じなんですよ。頭ん中で考えてる言語と、自分が発する言語が、全部1つの言語だと、他の言語のスペースがなくなってくるっていう感じですね。
クロマニョン:今だんだん私も日本語に洗浄されつつあって、恐怖を感じてるんですよね。まだ帰国して2週間なのにっていう。
Tiger:頑張ってください。
クロマニョン:自分で行くっていうのも、考えてはいるんですけど。
Tiger:イタリアにですか?
クロマニョン:そうですね。もし1ヶ月行ったとしても、イタリア語の感覚が戻るかなっていうのがあって。行けば多分、戻りますよね。
Tiger:戻ります戻ります。多分、1回染み込んであるものは、行くとすぐ思い出すので。私はそう思いますよ。
この季節で激しく咲きたい
qbc:最後にちょっと聞きたかったのは、Tigerさんが仰ってた「季節ごとに移動したい」っていうのは、どういう欲求からなんですか?
Tiger:そうですね。これは5年前までは全然なかった欲求なんですけど。多分、地中海で生活し始めてからですね。夏の長さを知って、人生の短さっていうか、そういうのを、ちょっと切実に感じてしまいました。若い時っていうか、今の年齢でできるのはこれだとか。今の季節、その移り変わり? そんな無常なところに、この季節で激しく咲きたい、っていう。なにかあの、デスパレーションって言うんですかね。
qbc:デスパレーション?
Tiger:はい。なんか、切実さとか必死さというんですかね。その、生命にしがみついてる感じがありますね。この瞬間をちゃんと生きたいっていうことです。悔いがないようにどう生きるかっていう。夏とかって毎年来るんですけど、毎年の夏は違う夏じゃないですか。
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クロマニョン:その考え方、いいですね。
Tiger:こういう、年齢が進むにつれて、ちょっと前と違うふうに思うようになって。前にはなかった緊張感っていうか。特に都会でやっぱ生活してると、季節感ってすぐ忘れる、麻痺しちゃうじゃないですか。オフィスの中にいて、外で季節は変わってるけど、コンピューターはコンピューターで、自分がやってることは一緒で、友達と会うのはこのカフェで、テレビ見るのはこれで、っていうのはあるじゃないですか。去年も今年も記憶では同じに見えたり。
qbc:はい。うん。
Tiger:だけど、それじゃあ何か、ちゃんと人生を生きてない感じ。それだと、この地球と、この世をちゃんと味わってない気がして。その季節に、一番合った生き方をしたいと思ったんです。
東京事変さんのキラーチューンという歌に<「今日は一度切り」無駄がなけりゃ意味がない。季節を使い捨て生きていこう>というのがありますね。そういうことです。
qbc:クロマニョンさんは、最後に質問とかありますか?
クロマニョン:Tigerさんの興味とか行動力っていうのは、どこから湧いてきたんでしょう。性格的なものなのか、それともニューヨークでの生活から起こったんですか?
Tiger:私、自分では行動力すごい無い方だと思ってるんすけど。
qbc:ええっ? でも、12年ニューヨークにいたんですもんね。
Tiger:そうです、本当はもっと多分はやく、5年ぐらい前からイタリアに行くと考えてました。ニューヨークの生活から出るのに。今はいいタイミングなのかとか、あとビザとか、その移民関係のこととかで、自分との葛藤ですね。平和っていうか、無難な生き方と冒険をしたい生き方の、その後の結果っていうのがわからないので。どれを選ぶ自分がもっと好きになるかっていう、最後はそれですね。どういうチョイスをする自分がより好きかっていうことですね。
あとは緊迫感、さっき言ってた、今をちゃんと生きなきゃっていうので。少しそれもストレスになるときもあるんですけどね。でも、そういう自分とも仲良くして、そういう自分を受け入れて、調整できることは調整して、これから向き合うっていうことじゃないですか、人間っていうのは。
qbc:なるほど。ありがとうございました。
Tiger・クロマニョン:ありがとうございました。
お二人の過去インタビューもぜひお読みくださいませ!
Lazy Tigerさん
クロマニョンさん
あとがき
今回のインタビューどうでした? どんなテーマだって感じました?
ああそりゃまあテーマは「旅の終わり」なんですが。そうではなくて今回の「旅の終わり」インタビューの核心、なんだったなって思います?
私は言葉だと思ったのよね。
なんかね、言葉に牽引されて話が進んでいった気がするのよね。私が言葉好きなので、若干誘導したきらいはありますが。あとあと、文明かな。文明も、まあ、言葉で作られたものだしね。
私じしんがさ、この、東京の三軒茶屋でのこのこインタビューしていていいのかなって思ったよ。イン旅ューしなくちゃいかん時がきたのかもしれない。
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