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刺青と人 漆黒のあぶり-006 2024/04/15

このインタビューは、日本の就職活動が嫌になって、ジョージアというヨーロッパとアジアのまんなからへんにある国(元グルジア)に単身飛び込んで、何やっていいかわかんないんだけど、って自殺しそうな状態から、今るんるんになってきてる一人の人間の生き様をひと月ごとに追いかけた連続インタビューです。
まえがき:qbc(無名人インタビュー主催・作家)

過去インタビュー記事


qbc:
前回から何が変わりました?

漆黒のあぶり:
前回から何が変わったかなって感じなんですけど、人に彫ってないですよね多分。

qbc:
居酒屋さんの内装外装やるって契約をインタビューしたあと行くぞ、みたいな時ですね。

漆黒のあぶり:
あー。そんなレベルか。もうなんかそれ、さっき終わらせてきて全部、居酒屋も。もう全部内装終わって。
あとワークショップとかも、あれから多分三つぐらいやったのかな。週1くらいのペースでやっていたので。
で、あとタトゥーを人に彫るようになったって感じですかね。楽しいです。

qbc:
お店の内装外装、ワークショップ、タトゥーですね。

人にタトゥーを彫りました

qbc:
初めて人に彫ったのは、いつですか?

漆黒のあぶり:
いつだったっけな。2、3週間前くらいに、人に彫ってみて。あ、最初は自分に彫ったんですよそういえば。でなんか、まあこれくらいやったらいけるんだなっていうのを、自分で肌感をわかった上で、人に入れたので。もうこれくらいはいけるなっていう。
けどやっぱり人に入れるってなると全然違くて、やっぱ平面から湾曲っていうんですか。部位によっても、自分の体勢がめっちゃきついってのもあって。

あとはタトゥーのPRのためにまた動画復活させて、動画も作り始めて。どういうふうにフックというか、興味持ってもらえるかなっていうのを考えてたら、気付いたら1ヶ月経ってました。

qbc:
最初のタトゥーはどんな感じの?

漆黒のあぶり:
最初は自分に、猫を彫って。タバコ吸ってる猫みたいな。昔からこういう、何て言うんですかね、アウトローなかわいい絵が好きで。特に全く意味はないんですけど、かわいいから入れたって感じ。

qbc:
自分のデザイン?

漆黒のあぶり:
いや、何か拾ってきて。かわいいなと思ってパクッたんですけど。練習だから正直何でもいいやと思って、こだわり全くないです。
次は、ヒトカゲ彫りました。ポケモンの。それも、かわいいから入れました。

qbc:
ヒトカゲが好き?

漆黒のあぶり:
いや、なんかさポケモンの、かわいい感じのが好きで。ヒトカゲ全く好きじゃないんですけど、たまたまTwitter見ててポケモンが流れてきて、どれにしようかなと思ったときに、ちょっとへこんでるヒトカゲのイラストなんですけど、それがなんか可愛くて。
ちょっと反対の足にも入れてみようかな~みたいな感じで入れました。やっぱ、自分で入れたのを見るとテンション上がりますね。

qbc:
どんな感じでテンション上がるんですか?

漆黒のあぶり:
いやなんか、足とか出していきたいって感じ。長ズボンよりも、短パンとかスカートとか履いて、ちょっと気分上がる感じですね。髪の毛切ったとか、染めたとかと同じ感覚です。

qbc:
自分の体へのタトゥーも増やしたい?

漆黒のあぶり:
増やしたいっていうか、自分の体は練習すんのタダなので。自分がもし何か、例えば腕とかに入れたいってなったら、自分で腕に入れることはちょっと難しいからできないんですけど。入れられるスペースにとりあえず練習して、入れる分にはいいかなっていうふうに思いますね。

最初、彫師になるときは、めっちゃ墨とか入れたら日本に帰りづらくなるしなー、お風呂入れなくなるしなーとか思ってたんですけど。今はなんか、空いてるからもう入れよ、みたいな感じです。

qbc:
最初は、誰に彫ったんですか?

漆黒のあぶり:
最初は、行きつけのバーのロシア人のお友達に入れたんですけど。
彼のバンドの名前が「スボロチ」っていうバンド名で、ロシア語では「くそったれ」みたいな意味なんですけど、くそ野郎みたいな。
それをカタカナにして、枠だけで、手書きのデザインでスボルチって入れました。作業的には多分1時間半とか、簡単なデザインだったんで。

それでめっちゃ聞いてほしいのが、そのお客さんから「絶対最初に入れて」ってずっと言われてて。っていうのも、最初に入れるのってめっちゃ記念だから、もしあなたが有名になったときに自慢できるじゃんっていうのと、本当に最初のタトゥーを入れる、彫ってもらうってことに意味があるから、全然失敗してもいいし、全然緊張しなくていいよって、言ってくれたんですよ。

それってなんか、実験台じゃないけど人に自分の体を捧げるっていうか、その懐のでかさって言うんですか。それに私はめっちゃ感動っていうか、心洗われたというか、救われました。
普通に心が温かくなったみたいな。自分にはない感覚っていうか。自分だったら、絶対失敗されたくないから、新人の人に入れて欲しくないって思うみたいな。
自分は美容師さんでも新人さんにカットされたくないなっていうタイプだったんですけど。「全然実験台として使っていいし、本当に緊張しないで」みたいに、彫ってるときもずっと言ってくれて。
もう何て言うんだろうな、日本人にはない感覚っていうのかな。日本人の方でそうやって、モデルぜひやってみたいって言ってくれた人もいたんですけど、都合が合わなくて。だけどなんか、それで喜んでくれてみたいな。めっちゃ嬉しかった。

qbc:
相手の方は、どんな感じでした?

漆黒のあぶり:
喜んでました。カタカナで書いてあるっていうのも、私たちからしたら、英語でちょっとかっこよくなってるみたいな感覚だと思うので、新鮮なんですかねやっぱり。
彫ってるときも、手加減とかすると結局色が入らないので。まだ3人くらいしか彫ってないんですけど、その人の肌の質感とか場所とか、この人めっちゃ血出るなとか、結構違って。それも面白かったですね。

タトゥーを体に刻むプロセス

qbc:
そうだ、そもそもタトゥーを彫る原理を聞いてなかったですね。どうやって人間の肌にタトゥーを彫ってるんですか?

漆黒のあぶり:
普通にタトゥーマシンの針で、皮膚を刺して、その空いた穴にインクを入れこむっていうのを繰り返してて。ミシンみたいな感じです。高速で刺してて、それでインクが入ってくみたいな感じです。

qbc:
針からインクが出る?

漆黒のあぶり:
あーそうですね。針に穴が開いてて、というか、何て言うんだろうな、スポイトみたいな感じ。1回1回刺す前に吸水みたいな感じでインクを入れて、なくなったら継ぎ足して、それを繰り返す感じ。

qbc:
針の先端にインク穴が空いている??

漆黒のあぶり:
いや、針の真ん中に穴が開いてる感じですね。それで吸い込んで入れてく、みたいな。
地道な作業です。

qbc:
あーなるほど。どれくらいの量のインクです?

漆黒のあぶり:
もう本当ちょっとですね。何CCとか測れないくらい、多分。本当ちょっとです。
水滴で言ったらもう、3滴とか4滴とかじゃないすか。

qbc:
なるほどなるほど。
そしたら、次は申し込みから実際に彫るまではどんな感じ?

漆黒のあぶり:
まず、インスタのDMとかで、こういうのを入れてほしいって言われて、デザインの相談をして、じゃあこういうのどう、みたいな。私がデザインの提案をして。
OKってなったら、タトゥースタジオの空き時間を確認して。デザインは大きさとか5種類くらい用意して、その後に模写というか、よく住民票とかの届けで使う、裏に映るシートあるじゃないですか。

qbc:
あー複写ね。

漆黒のあぶり:
そうそうそう。それの専用のシートがあって。それを体につけて、デザインの上から線をなぞる、そうすると下書きのデザインが体にできる。
水で貼ってくっつくシールみたいなやつですね。子供のときにあった。感覚っていうと、ああいう感じです。

qbc:
実際に彫ってるときってどんな感じに?

漆黒のあぶり:
1回1回、ワセリンで拭いて、ペーパーで拭いてっていうのを繰り返す。入ってるかどうかを目視で全部確認して、っていう。

qbc:
あ、もう彫ったというか針で刺してインクを入れた瞬間から見えるんだ。

漆黒のあぶり:
見えます見えます。ほんとにもうミリ単位というか、1センチもいかないくらい進まないかで止めるんですが。彫る人によるとは思うんですけど、私は一発でそんな書けないので、本当こまごま繋いで、繋いで、繋いで書くみたいな。

qbc:
タトゥーマシンってどんな形なんですか?

漆黒のあぶり:
形はなんて言えばいいんだろう。鉛筆より全然太いんですけど。何て言えばいいんだろう、サイズ感って。

qbc:
インクはどうやって入れる?

漆黒のあぶり:
インクは、その都度入れる感じです。線を書いて、なくなったら。
書道と一緒です。インクっていうか墨汁がなくなったら、インク足すじゃないですか。先端から入れるってことです。

qbc:
あー、じゃあも万年筆と同じだ。

漆黒のあぶり:
そうそうそう、そうですね。本当にそういう感じ。動く万年筆みたいな。

qbc:
痛みは?

漆黒のあぶり:
痛いです、結構。自分で入れたときに思ったんですけど、シャーペンで刺したくらい。
場所によりますけど、耐えられる痛みではありますね。
でも、女の人の方が多分皮下脂肪があるので、多分痛みを感じにくいっていうのと、女の人のほうが辛抱強いので、多分痛みを感じにくいっていうのは、あるなって思いますね。

qbc:
タトゥー終わったあとって?

漆黒のあぶり:
カバーする透明のシールがあるんですけど。消毒して、シール貼って、終わりです。
彫った人は、普通にシャワーとかも浴びれますし、その防水のシールを貼ってるので、大体2、3日くらいで、安定してきたら剥がして、水で流してワセリン塗って、あと放置です。

qbc:
タトゥー彫るのって、彫ってるほうの疲れは、どうなんですか。

漆黒のあぶり:
いやーなんか、めっちゃ正直、体痛くなるんですよ。体力仕事すぎて。
背中とかも、次の日とか、なんでこんなに背中痛いんだろうと思ったら、昨日彫ったからかーみたいな。
私、PRのための動画が結構回って、現地のロシア人とかジョージア人とかにめっちゃフォローされてて、結構声とかかかるんですよ。

それでなんか、ジョージア人の有名な彫師の人と会ったんですけど、フォロワー5万人くらいの人と。その人、なんかすごい疲れてて。多分めっちゃ人気だから、彫らなきゃいけないけど、なんかめっちゃ疲れてて。そりゃ疲れるよなと思って、ちょっと考えましたね。

多分、背中一面とか大きいデザインになるともう、5、6時間とか。何日かにわけて、3日ぐらいかけてパートごとにやるっていうことになるので。本当に、確かに私も2月ずっと毎日練習してるときも、慢性疲労がやばくて。
もう全然疲れ取れてないし、ましてやお風呂も入れない状況だから、全然取れなくて。自分最近、週1くらいしか彫ってないんですけど、スタジオの空き具合で。
書道を教えてる方が、自分的になんか好きかもなってちょっと思いました。

書道ワークショップを開催する

qbc:
居酒屋のデザインはどうでしたか?

漆黒のあぶり:
居酒屋は、トータルでいろいろ自分で交渉して、ちょっとここ妥協をしてくださいってこと言われて、もういいやと思って、とりあえずその交渉でOKですみたいな感じで。デザイン納品してって感じですね。
メニューとか中の装飾と、外観の暖簾みたいなのをやりました。あと窓にも何かやるみたいなこと言ってますけど、適当なんで、向こうも。あんま信用してないっす。

qbc:
体の調子は?

漆黒のあぶり:
最近、やっと晴れてきてあったかくなって、だからちょっと私も元気になってきました。
もう冬とか、ちょっと前まで低気圧最悪で、もうジョージアの冬一生いたくないなと思いましたもん。
私は元々天気が悪いの、結構もろに食らうっていうのもあるんですけど。にしてもジョージアの冬って、なんかどんよりって感じです。すごい。最近はもう、7時とかまで明るいです。夜の。で、めっちゃ暖かくなって、春も飛ばして夏の始まりなんじゃないかくらい。

qbc:
他に、変わったことありました?

漆黒のあぶり:
変化。生活面で変化。何だろう。何かありますか、逆に。
私、1ヶ月前の自分がどんなだったかわかんなくて。毎日毎日、何て言うんすかね、やることが降ってくる。予定が決まってないから。

何か言うことあったっけと思ったんですけど。
勉強関連で言ったら、最近ロシア語の勉強を始めました。結構、ジョージアってロシア人も多いんですけど、戦争関連でみんな流れてきたというか、その前からも多かったんですけど。

qbc:
ジョージアはロシアと接してますしね。

漆黒のあぶり:
そうですそうです。それで結構、ロシア人の友達も多くて。それでタトゥースタジオでもずっと、ロシア語の聞き流しみたいな感じで。ずっとみんなロシア語で喋っていて、何となく聞けるようになってくるんですよ、こういうこと言ってんだろうなみたいな。

あとタトゥーで、自分が日本の文字を彫るのと同じで、ロシア語とかって結構、顔文字とかに使われててかわいいんですよ。ジョージア語もそうなんですけど。
他の言語で書いてあるのって、なんかちょっとかわいく見えたりするじゃないすか、音とかも。その感覚が、自分は日本語を話すから、外国人はどこが受けるかわからないから、それの勉強も兼ねて、他の言語を学ぶっていうことをちょっとやってみてます。

これがロシア語のアルファベット

これがジョージアのアルファベットで書かれた文字。

qbc:
ワークショップはどうだったんですか?

漆黒のあぶり:
いや。めっちゃ楽しいです本当に。
昨日もワークショップやったんですけど、日本食店でやったときは、ちょうど雨とかぶって、あと動画をPRのために回したんですけど、多分動画はただ面白いみたいな感じで回ったから、結果オーライではあるんですけど。ワークショップの集客に直接は繋がらなくて、全然人が来なくて、なんかちょっと手を抜いてたなーと思って。

だけど、いつもだったら結構、いちいち喰らってたんですけど、いや、もうこれ失敗を逆に今できたから次に生かせばいいだけだと思って。
次のワークショップはちゃんと広告をインスタで売って、画像も作って、PRの動画を別で作って、ちょっとワークショップやるんですよってのが伝わるような動画の内容にしたりして、やったら、自分の力で5人も集まったんですよ。
今までは、別の飲食のSNSチームが集客かけてくれて、自分は呼ばれたら行くだけだったんですけど、そうじゃなくて自分の力で集められたから、結構デカかったです。

qbc:
どんな人がくるんですか?

漆黒のあぶり:
日本に興味が元々ある人がやっぱり来たっていうのはあるんですけど、それ以外にもアートっていうか、芸術としてのワークショップというか興味だったりで来てる人もいたし。

私が一番最初に書道を教えた子に、線とか書くのに、最初「とめ」とか「はね」とか「はらい」とか、細かいところに気を使うなんて知らなかったって言われて、それが楽しかったって言われて。

で、私これもしかして、メディテーションみたいな、瞑想じゃないけど精神統一みたいな売り方をした方が。どうしても日本語とかを教える語学っていうことだけになると、そこに特定されちゃうから。

どうやったら知らない人にも売り出せるかなと思ったときに、ジョージアはリモートワーカーが多いので、気分転換じゃないけど、土日にちょっと仕事から離れて、こういう今に集中できる瞬間があるっていうのも、自分がそれでなんか鬱みたいな、結構荒れ狂ってたじゃないですか、けど書道とかやって、精神統一とか。
今に集中しないと字書けないんで、それに気づいてやってみたらうまくいったので。その方向で、今行きたいなというふうに考えてますね。

qbc:
瞑想ですか。

漆黒のあぶり:
今回はメディテーションメインの書道の教え方をしたので、書き方というよりかは。書道の精神みたいなのを一応ググって。英語も私、完璧に喋れるわけじゃないから、先に翻訳で頭に入れておこうと思ってたときに、なんか刺さったというか。

自分的にあーこれかもと思ったのが、書道って二度書きできないじゃないですか。
私もよく線とか、もっとこうすればよかったーと思うんですけど。最終的に、字全体でバランスを取れば別にいいって教わってきたので私。1枚をとりあえず書き終える、みたいな。中途半端に、途中で線が曲がったとかで、はい次ってパンッてやるんじゃなくて。
1枚をいかに集中して書くか、書くことができるかみたいなのって、ちょっと自分の中で、大切にしていきたいことだなというふうに思って。
そこから何か、執着っていうか、余計に考えることもちょっと減った気がします。

qbc:
なるほど。

漆黒のあぶり:
なんか昨日、それに気づいて。
ジョージアって結構キリスト教だから、みんな結構そこら辺で十字を切ったりするんですよ、教会を見るたびに。

でこの前、ロシア人の友達が、解雇されたみたいなのでへこんでて、土日は教会でメディテーションとかするんだよねって言ってて。なんか日本人からすると、土日にメディテーションって大丈夫? って感じするじゃないですか。けど、自分も1人とかで住んでいると、人と喋らなかったらなんか変な方向にいくって、多分誰しもあると思うんですけど。

そんな中で、私はたまたま書道を持ってきてて、書道でなんかこうやって仕事に繋げる途中にいて。それで、書道の精神じゃないけど、自分の中でも迷ったときに1個、目標って言うの、何て言うんですかね、印? それって日本語で何て言うんですかね、判断基準か。
判断基準になるものができたなって思って、結構大きかったです。

qbc:
なるほどなるほど。

漆黒のあぶり:
あと人に教えるようになってから、自分めっちゃうまく書けるようになってきて。そんなに正直得意かと言われたら得意でもなかったんですけど書道。
できるからやってたぐらいなんですけど正直。けど、人に教えるってなったらやっぱ自分もちゃんとやんなきゃいけないじゃないですか。責任みたいなのがあって。よくお手本も見るようになったし。とめはねはらいも必要以上に、絶対右上がりになるように線を書くようになったし。なんか人によっては一番、教えると上達が早いんだなっていうふうには思いました。あと楽しい。

「とりあえず長生きしたもん勝ちだから」

qbc:
なんか今、ちょっと先で、見ているものってありますか? 作りたいもの、実現させたいもの。

漆黒のあぶり:
見えてるものは、タトゥーと書道とか。
そういうのを、センターまで行かないけど、場所みたいな、何て言うんですか、コミュニティスペースじゃないけど、別にレストランとかじゃなくていいんですよ、なんかコワーキングできるしみたいな。暇だったら誰かが来るみたいな、っていう。

駄菓子屋みたいな場所ですかね、それを作りたい、みたいな。何となく寄ってみようかな、みたいな。別にタトゥーとか、入口は別に何でもいいんですよ、日本が好きとかでも。
ここジョージアなのにめっちゃ畳とかあって日本ぽいね、みたいな感じの場を作りたいです。

qbc:
漆黒のあぶりさんのルーツっていうか、そういうアイデアだったり、行動力の源泉って、どこなんでしょう? いつから行動的でした?
学生時代にYoutubeやったりとかあったけど。

漆黒のあぶり:
多分、高校ぐらいにはそうだったかな。なんかもう割と、なんだろうな、こういう考え方は持ってたと思います。

高校、普通科と国際教養科っていう学科があったんですけど。普通科の中で、単位制だったんで、教養英語っていう、ほとんど英語を喋れる人たちの中の、ほとんど大学レベルの英語レベルクラスに、1人でぶち込んで入ってみるとか。それ相応の、TOEICとかの点数があるわけじゃないけど、とりあえず選ぶっていうか飛び込む、みたいなのはあったと思います。

qbc:
直近の予定って決めてます?

漆黒のあぶり:
いや、決めてないです。もう目の前のことをただやるだけっていう、そんな感じで。
なんか、ざっくりこうなっていきたいなっていうのはもちろんありますけど、逆に計画たてすぎると、目の前のことができなくなるというか、ちゃんと向き合わない方が良くないなってことに気づいて。
いろいろなことだったり、いろんな人にもいろいろ聞いたりして、話していく上で、結構いろんなこと言われてるんですよやっぱり。まずはお金を稼ぐことが大事とか、稼げた方がいいっていう人もいれば、得意なことをやった方がいいとか、お金はあとからついてくるからっていう人もいたりして。結局何が正解だとか思って、考えてたりしたんですけど。

でも昨日、なんかバーみたいなところに、日本人でジョージアに30年くらい住んでる人がいて、おじいちゃんなんですけど。その人に言われて、一番しっくりきたのが、「とりあえず長生きしたもん勝ちだから」って言われて。その人60何歳とかなんですけど、今って、結構私の友達とかなんか、もう本当30歳くらいで死にたくない? みたいな話、結構するんですよ。

なんかもう、その先が見えない。
結構、日本全体の風潮としてあるじゃないですか。

私も結構そのタイプだったんですよ、なんか。未来が見えないみたいな、この先これを繰り返していくってどうなのみたいなって思ってる中で。その人Eさんっていうんですけど、その人は13か国語を喋れて、ジョージア人の奥さんがいる、結構変わった人なんですけど。

その人に、とりあえず長生きしたもん勝ちだし、若いときにめっちゃ活躍してても、そういう人って案外早く死んだりするから、死んだら何も言い返せないからって言われて、確かになって。
けど長生きしてたら、ああだこうだ言いたいこと言えるよって言われて。長生きするのが勝ち、勝ちというか、長生きするのがだからいいよって言われて、考えてもなかったと思って、そんなことを私。

確かに、だから言いたいことは言い返せばいいし、もしそれで長生きどうやってすればいいんだろうと思ったときに、自分にあんまりストレスをなく、もう毎日、毎日楽しんでっていうのはあれですけど、笑って過ごすのが一番ベストなんじゃないかなっていうふうに、昨日思いました。

qbc:
今、どんな気持ちです?

漆黒のあぶり:
何だろう。あったかハートって感じです。(私の小学校のスローガン)

あとそれから、Eさんにも私は同じ質問してみたんですよ。いろいろするんですけど、お金が大事だとか、やりたいこととか好きなこととか言われるんですけど、何が一番大事ですかって聞いたら、なんかLoveって言われて。Love? と思って。

それどういうLoveですかみたいな、それは私が書道が好きっていうLoveも含まれますかって聞いたら、それも含めて、人に対してのLoveも含まれるし、とにかくLoveだよって言われて、酔っ払ってたのかもだけど。Loveみたいです。

私、その言葉が一番しっくりきました。
いろんな人に聞いた中で、一番長生きしてるってのもありますけど、もう自分に正直に、もうシンプルにやりたいことやってたら、人のことも大切にできるようになるよなと思ったし。
私なんかその、結局。
すごい、こっちに来て、ネット系のビジネスで稼いでる人とかいっぱいいるんですよ。多分何億とか。その人から、お金稼ぐことやった方がいいよって言われたときに、お金を稼げることって何だろうって、まず考えたんですよ。

それは、その人からしたらお金を稼げることが、例えばアフィリエイトとか、そういうネット系ビジネスだったとして、私はそれに当てはまるかって言われたらそうじゃないし。私はただお金を稼ぐっていうことに対して特化できないタイプだから、だったら私が得意なことって多分書道とか、タトゥーとか、そういうことなんだろうなって。

多分、その人が言いたいことは違うと思うんですけどね笑
もっと確実に、誰のためになるかならないかとかは置いといて、確実にお金が入ることをやった方がいいよっていうアドバイスだったと思うんですけど。けど私は、自分は多分そっちよりもこっちだと思ったので、渡辺さんのLoveが一番刺さったっていう感じですね。

qbc:
お金を稼ぐ、ね。

漆黒のあぶり:
私が多分お金を稼ぐことに対して、難しく考えすぎてたっていうか。何か大きなことをやらなきゃいけないとか、人と全然違うことやんなきゃいけないとか、例えばすごい書道の作品を書かなきゃいけないとか、すごいタトゥーを書かなきゃっていうふうに考えたんですけど。

ただ需要がある、人が困ってることとか需要があるところにピンポイントで自分が行くことできますよって言えば、お金が発生するってことがわかったから。なんだ、自分から取りにも行けるし、生み出すこともできるって思ってから、何だろう。
あと自分の金額交渉とかも、できるようになってからですかね。

金を稼がなきゃいけないとは思ってないんですけど、そこじゃなくて。大金稼ぐ、稼がないとかも、置いとく感じです。なんて言うんですかね。そうじゃなくて、お金稼げる稼げないとか以前のことで。
ただ自分が今これをやりたいから、やってる。
で、それが人のためになってるってなったら、お金は発生するもの、っていうのが腑に落ちた感じ。

私なんか、幸せですよね。どう考えても今。

qbc:
今の自分は、何点ですか?

漆黒のあぶり:
100点です。

qbc:
最初にインタビューしたときとは、別人ですね。

漆黒のあぶり:
半年前のことは覚えてないです。正直。
4月から、なんか、よくよく考えて、いろいろ自分悩んでたみたいな感じだったけど。結局よくよく考えたら、自分今、海外に行って、書道で日本の文化も教えてて、タトゥーも彫ることができて、もうこれ以上の幸せってあるんかなとはめっちゃ思いますね。美味しいものも食べれて。

qbc:
美味しいものって、どんな?

漆黒のあぶり:
全然普通に焼き鳥とか食べてるんですけど、居酒屋で食べるお好み焼きが一番美味しいです、冗談抜きで。正直材料を揃えたら家でも作れるんですよ、安いしそっちの方が。
けど、あの居酒屋の雰囲気で、しかもジョージアで食べるのが、やっぱプラスアルファアルファくらいで美味しいっていう。

でも、やっぱそろそろ違うエリアに行きたいですね。
国を変えるのもありだし、ジョージアの違うエリアに住むっていうのもありだし。

qbc:
あ、そうなんだ。

漆黒のあぶり:
そうやっていかないと、飽きちゃうタイプだと思うんですよめっちゃ。
同じとこに行って同じ生活をするっていうことが、多分そもそも、なんかつまんないなって思っちゃうタイプだから。常に何か違うこと違うこと、これが駄目だったらこれ次、これやって、っていう。同じことをやらないってことが大事なのかもしれないですし。

qbc:
ほんと、数か月前におろおろしていたの、まじでやばかったね。

漆黒のあぶり:
やばいですよね。
いや本当に、なんか正直今日も、なんか、めっちゃ風邪ひいて、風邪っていうか、咳が止まらなくて先週くらいから。気管支炎になって死ぬんかみたいな感じで思ってたんですけど、それで夜寝てたら、呼吸止まって咳き込んで起きるみたいな感じで、今日も昼とかに起きてるんですけど、でも別にいいやと思って。別に会社員でも、多分大丈夫です。

結構今日になって、もっとやばかったんですよ本当に。タトゥー彫りながら咳止まらなくて、咳止まったら死ぬかみたいな、やりたいことやってるし、みたいな。
けどEさんに長生きした方がいいよって言われたから、確かに長生きした方が言い返せるなっていうのは思って。

あと、自分で全部、個人で仕事をしてるので、私の体がもたなくなったら終わりなんですよ、本当に。
だからそういう面で、自分にいかにストレスを溜めないっていうのが重要なのかもわかって。今まで、ちょっと我慢してやることとか全然あったけど、いや逆にそれって悪影響だなと思ったら、めっちゃ向いてるのかなって思って、今のスタイルというか。
自分も結構怠惰なとこあるので。何て言うんすかね。自分で律さなきゃいけないけど、だけど自分で計画を練って、こうこうこうしてってやってるのはめっちゃ楽しいし。

qbc:
まじ幸せですね。

漆黒のあぶり:
私なんか、幸せですよね。どう考えても今。
人間関係もいろいろあったけど、それは置いておいて。自分がそういう状況だったから、その不安が故に、だれかにすがりたいってのがあったんですけど。結局すがっても何もなんないから、だったらなんか自分でやんないといけないなっていうのは、思って。

いややっぱね。本当になんか、良かったですよね。良かったですよねって他人事みたいに、自分のことなんですけど。やっぱ2月3月のジョージアのあの天気もめっちゃ関係あると思います正直。晴れてるとやっぱ気分いいっていう。

だから私めっちゃ天気が良い国に行きたくて。これずっと昔から言ってるんですけど、最終的に暮らせるところは、ずっと天気がいいところがいいんですよ。
別に定住をしなくてもいいんですけど、天気がいいところを転々としたいみたいな。ジョージアの冬は、もう一生いたくないです本当に。

qbc:
漆黒さんも、いろいろありましたもんね。

漆黒のあぶり:
私も、いろいろやったから、失敗もして、失敗した方がやっぱ早いというか、初速が。次に行くステップというか。

失敗をする以前にやらないっていうのがあって、私を含めてほとんどの人取り掛かるまでに時間かかると思うんですけど。
たまにこっちにいる日本人で短期滞在の方とお話する機会があって、何かこういうのやりたいんですよねーとか言ってくる人がいて。それ、ただやればいいじゃないですかみたいな。笑

多分、私より全然一回りくらい上の人だとは思うんですけど。
そしたら知り合いに自分のやりたいことに詳しい人に繋げてくださいって言って、その連絡待ちなんですよねって言われて。いやそんなんで連絡待ってたら一生連絡来ないから、自分からDMすればいいのに何言ってるんだろこの人って思って。なんでそんな待ちの姿勢なんだろうと思って。笑

なんか日本人同士で。相手の機嫌を伺うというか。わかるけど、本当にやりたくて話を聞きたいんだったら、自分からDMして、誠意が伝わるような文章を送ればいいだけの話なのに。
近しい人からっていう方が、逆に印象が悪いんじゃないかなって私は思ったんですけど。そこからだったら、確実にいけるだろうみたいな。じゃなくて、自分の口で伝えて、どうにかアポを取るっていう、そこまですればいいのにな、なんでそれができないんだって。

大してやりたくないんだろうな、なんかおいしい思いできればいいんだろうなみたいな、って感じに私は受け取ったから。
そういう人に限って、私が書道やって、こういう所でやって、こうこうでこうこうだったんですよねって言ったら、「そうなんですね、すごいですね」みたいなこと言われるんですよ。いやすごいじゃない。やっただけだから、みたいな。やってもない人にすごいって言われるのが一番嫌だし。

今までは、自信持って行くみたいな、もっとガツガツ行くみたいなところを出してもいいのかなっていうふうに思ってたんですけど。
それとともに、何て言うんだろうな、謙虚に行くことも大事だなっていうふうに思って。そのバランスっていうんですか。
自分だからできたっていう自信もあるけど、それは周りの人の協力があってっていうことも、やっぱ絶対大前提はあるから。それを忘れずに、1個1個丁寧に書いていければいいかなっていうふうに思います、今は。

漆黒のあぶりSNS

x:https://twitter.com/jetblack_aburi
書道instagram:https://www.instagram.com/jetblack_aburii
個人instagram:https://www.instagram.com/jetblack_aburii
tiktok:https://www.tiktok.com/@jetblack_aburii

終わりに

ほんっっっとコロコロ変わる。やっぱり、何かを成し遂げるときの温度感って、こうだよな。決まってない、前にただ突き進む。これだよね。

制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)

編集:なずなはな(ライター)

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