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明るい未来は多分何一つ待ってない人

東京の片隅にある古びたアパートの一室。そこに住む35歳の男は、毎朝同じルーティンを繰り返していた。6時に目覚め、コーヒーを淹れ、窓から見える灰色の空を眺める。
彼の机の上には、開かれたままの日記帳が置かれている。そこには、昨夜綴った言葉が記されていた。
「明るい未来は多分何一つ待ってない人」
その言葉を読み返しながら、男はふと思う。未来が明るくないのではなく、ただ自分にはそれが見えていないだけなのかもしれない、と。
コーヒーを飲み干すと、男は立ち上がり、いつもの古いジャズのレコードをターンテーブルにセットした。柔らかな音色が部屋に流れ始める。
男は深呼吸をして、ドアに手をかける。今日も、何か新しいことが起こるかもしれない。そう思いながら、彼は一歩を踏み出した。
と思う2024年8月3日20時20分に書く無名人インタビュー854回目のまえがきでした!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

今回ご参加いただいたのは 翌桧 さんです!

年齢:30代前半
性別:男
職業:会社員 兼 個人事業主

運営サイト『彁 ゆみかか yumikaka』

X:https://twitter.com/yumikaka_life


現在:自分で自分の機嫌を取ることができない

イワナ:
翌桧さんは今現在何をしている方でしょうか?

翌桧:
今は会社員として働きつつ、元々やっていた個人事業主の仕事を一部継続している感じですね。

イワナ:
サラリーマンの仕事は平日ですか?

翌桧:
そうですね週5で朝から夕方まで。

イワナ:
どんなことをされてるんでしょうか?

翌桧:
会社にメディアの部署がありまして、ホームページを作ったり動画を作ったりしてます。それ以外には、名刺とかパンフレットを作ったり、営業さんが使うプレゼンのための資料を作ったり、営業先のリストを作ったり...Web系の何でも屋さんっていうような感じですね。

イワナ:
では個人でやられてる方はどういうことをされてるんでしょうか?

翌桧:
個人では元々Webライターをやっていたので、それを継続しています。ライティングとかインタビュー、いわゆる取材ですね。あと、動画編集とかホームページ作成とかカメラマンも少し。

今でもいくつか仕事をいただけてるので、お声掛けいただいたものの一部を続けてるって感じですね。精神的な不安定さがあるので、以前よりは減らしていますけど。

イワナ:
仕事を始められてからずっとWeb系の業界で働かれているんですか?

翌桧:
いいえ、もともとは全く関係ないとこばかりでしたね。新卒ではIT企業に入ったんですけど、そこから職を転々としました。色々と理不尽な目にあってきたのもありまして。26とか7ぐらいまでそんな感じを続けて、そこからフリーランスを3年ぐらいやって、今の職場に就職をして現在って感じです。

イワナ:
Web系の仕事がお好きだから色々やられてるんかな?って思ったんですけど、
今のお仕事とか個人事業主の方の活動は、やっててどうですか?

翌桧:
そうですね、嫌いじゃないし楽しくないわけではないんですけれど。まぁどちらかというと、好きだから前向きに目指したとか、楽しんでやってるというよりかは、できそうなことを探して流れ着いたって感じです。より良い環境にするために、在宅でもできるものっていうふうに探していって、その中で自分でもなんとかできそうなものをやったというイメージ。

なので、元々ライターをやりたいと思ってたわけではないので、仕事の楽しさはもちろんあるんですけれど、圧倒的にしんどい事のほうが多かったです。

イワナ:
フリーランスは3年やられたということだったんですけど、どうでしたか?

翌桧:
そうですね…個人的な感覚としてはすごくやってよかったなっていうふうに思うんですよ。今までは雇われる立場でしか仕事をしたことはなかったものですから。

自分で仕事を取ってきてどうやって仕事をさばくかみたいな考え方が、嫌でも身についたので、サラリーマンをまたやるにしても無駄ではない経験だったなって思います。

あとはフリーランスでやってたときは、取材がメインだったので、自分が一方的に知っている方とお話する機会っていうのは何回かあったので、個人的にはそこが楽しかったです。

他にはフリーランスの前の職場が社会福祉法人だったんですが、週6働いて手取りが12、3万とかぐらいの給料だったので、それと比べるとまだマシな収入があったので、大変だったしいろんなことあったけど、プラスも少しはあったかなって感じですね。

イワナ:
翌桧さんが好きな方向の企画とかお仕事ってどういう感じのものなんですか?

翌桧:
取材ですね。一方的に名前を知っている人に「この人は、どんな考え方をしているんだろう?」っていうのを直接聞くことができるのが良い点でした。

イワナ:
今もこの人に話を聞いてみたいなっていう方は結構いらっしゃるんですか?

翌桧:
今はそうですね…外部の人っていうよりかは、今はネットのグループの人とかサイトに関わってくださっている方ですかね。

私は『彁』(ゆみかか)っていうサイトを運営してるんですけど、そこではいわゆる寄稿を求めてるんですよね、文章を書いてくださいっていう。

本当に生きるのってすごくしんどいし、しんどい思いを自分もしてきたし、実際大変なことばっかりだと思うので、生きづらいとかしんどいとかそういう人たちの投稿を集めてるサイトなんです。

そういうところに投稿してきてくださる方とはやっぱり話を聞いてみたいなと思いますし、その中の一部はもう実際にお話をしたことがあるので、この無名人インタビューっていうのも本当に結構似たような、近しいものかなっていうふうに自分は思うんですよ。

なんか話したいことがある人、話があるんだったら自分が興味あったら聞いてみたいなっていうのがありますかね。

イワナ:
『彁』というサイトについて、もう少しお聞きしたいです。

翌桧:
ちょっと自分の過去の話でも少し繋がってくるんですけど、新卒のときからずっとなんか結構ゴロゴロといろんなことが起きまして。それこそ親父に心臓病が見つかったり、あと、入った職場でパワハラだったり、暴力だったり、セクハラだったりっていうのが職場を転々として3つ全部それに当たったっていうような感じのタイミングがありまして。

そのときはどういうふうに立ち回ればいいかっていう方法もわかってなかったので、23歳のときに自殺未遂で警察のお世話になったことがあるんですよね。

で、この後詳しく話しますけど、そこで何かもう落ちるとこまで落ちたっていうか。全財産が財布に入ってる5,000円と15年落ちくらいの軽自動車だけという状況まで行ったんです。

そのタイミングで就職した現場系の警備員では、ガソリンを入れるお金がないから、北海道の冬場で暖房もつけれずに車の中で休憩中うずくまってるみたいな日々が数ヶ月続いたんですよね。

そこから、日本って平和だとか幸せな国だみたいなこと言ってる人たちが結構世論では多いんですけど、全くそんなことないなぁっていうのが個人的にはあって。

それこそ毒親とか、コロナ渦で仕事を失ったとか、純粋にお金がないとか、あとは氷河期世代で雇用がまともに確保できてないみたいな人たちって沢山いるし、毎年2万人ぐらいが自殺で死んでる国なんですよね日本って。これって戦争で死ぬ人よりも多いとも言われていて。

なので、しんどいと思うことがあまりにもこの世界に多いなって思ったんです。

で、自分がライターやっている時は、文章書いたら頭の中が整理される感覚があったので、嫌な思いを書いて、それがお金に変わると若干のプラスになると思ったんですよね。

なので「お金を払うので、しんどい人は文章を書いて送ってください」っていうふうにして、その人が若干楽になればいいなって思いがありました。それを実現したのが『彁』というサイトになります。

イワナ:
運営が始まってどのぐらいになるんですか?

翌桧:
スタートしたのが2022年の7月なんで、ちょうど2年経ちました。

イワナ:
寄稿してくれる人の数には変化はありますか?

翌桧:
そうですね. 最初はオープン時に並んでる記事が必要だってことで、自分から声をかけて書いてくださいと伝えて、何人か書いてもらってたので合計10人以上はいるかなと。

でもネガティブな感情を持つ界隈の人たちって心病んじゃって急にいなくなっちゃったりすることが多いんです。そういうことが起きて、今は定期的に投稿してくださってる方っていうのは、一応2名いらっしゃるぐらいです。

それ以外の方はちょっと、Twitterのアカウント消されたりとか、色んな事情があって縁が遠くなってしまったっていうような感じです。

イワナ:
少し質問の内容が変わるんですけれども。
翌桧さんの性格について周りの人はどういうふうにおっしゃられることが多いですか?

翌桧:
性格ですか…何だかんだ周囲からは真面目が多いですかね。
正直、自分は真面目だと全く思ってないんですけど言われることは多い気がします。それなりに付き合いがあればあるほど、ワガママとかそういう悪い印象を持たれてるかな。

イワナ:
何か他にはありますか?

翌桧:
考えすぎとか人の言うことに影響されすぎみたいなことは、言われたことありますかね。確かに考え込む癖は昔からずーっとあるので、それがマイナスの方向に行きがちっていうのはあるでしょうね。

イワナ:
真面目って自分では思わないっておっしゃってたんですけど、人にはどういうところが真面目やと思われてるんですかね?

翌桧:
なんでしょう…仕事をやってるところなんですかね。最近は特にそうなんですけど、自分の感情の制御がかなり難しい人なんです。自分で自分の機嫌を取るっていうことはできない人なので。これは我ながら難儀してるんですが。

なので、結構すぐカッとなったら社長だろうが上司だろうが面と向かって文句を言ってしまうし。でも、仕事の評価としてはなぜか今はしていただけているっていうのがありまして。

だから、口だけだったら多分そこで嫌われて終わりだったと思うんですけれど、結局仕事はやっているように見えるから、少しは認めてもらえている部分もあるのかなと。

実際、仕事があまり真面目じゃないなって思われてる人たちの評価ってかなり悪かったりしますし、以前の職場ではそういうのを何度も見てきたので。そんなところが、傍から見たら真面目に見えているのかなぁって思います。

じゃあ私はそれだけ仕事ができる人なのかと言われると、全くそんなことはないし、相対的にマシに見えてるだけだなと。

イワナ:
他にご自身の性格について思うところってありますか?

翌桧:
そうですね…比較癖が強いかもです。

やっぱり自分より年齢若いっていうだけでそれってプラスだなって思うし、それが羨ましいと思いますし。自分より若くてお金稼いでたりとか何かしらの実績残してる人も。

私の考えとして30歳で人の年齢の価値が0になると考えてるんです。そこからはどんな経験をしたか、どんな事をしてきたかが問われると思うんで、そう考えると自分はもう生きてる価値は微塵もないなぁと。

例えば身近な人で、同級生で、今年家建てたりする人がいたりするんですよね。もう結婚して子どもも今年生まれるみたいな感じで、みんな人生のステップを踏んでいっているので。

もちろん祝福はしてるんですけれど、自分は人生における進歩が特にないので、どうしたものかとは思いますかね。

でもまぁ、こんなことばっかり考えているので、矢印が自分に向いてる人なんだなと我ながら思います。学生の頃はそれが顕著だったんすけど、だんだん歳を取るにつれて、少しずつ落ち着いたのもあるし、上辺を取り繕うことができるようになったっていうだけで。

結局そのときから何かしら自分の人間性っていうのは成長してるのかっていうと、まったくそうでは無くて、上っ面を塗ったくっただけかなって感じはしますね。

なので、ネットでの発信、それこそ『彁』から知っていただいた方は、「思ったのと違った」みたいなギャップを持たれがちかもしれないです。

ネットでは、仕事の癖もあって比較的丁寧な口調でっていうふうにしてるから、そういうイメージが先行してしまって、蓋を開けてみたら「なんだこいつ」みたいなことは思われたりしてるかなと。

イワナ:
自分の今の状態、性格の状態とか考え方とか。
ひっくるめると今って翌桧さんは「どういう人」だと言えますか?

翌桧:
どんな人なんでしょうね…イワナさんの場合は、自信だけない人って結構面白くていいなと思ったんですけれど。

イワナ:
ありがとうございます読んでいただいて。

翌桧:
いえいえ。それに倣って言うんだったら、自分は満足しない、幸せになれない人っていう人かなって感じです。

以前、すごくお金持ちの人が、目の前に金貨がいっぱい置いてあるのにお金がないって困っているっていう風刺画が出回ったことがあって、それがすごくバズったとか有名ってわけじゃないんですけれど、それがすごく心に残っているんです。

私は「自分が何も持ってない」っていうふうに思ってるんですよ、本当に。これは謙遜とかでもなく。

なんですけど、自分よりも給料安く働いてる人もいるし、環境が悪い人もいるし、友人がいない人もいるし、フリーランスで副業的に今仕事してるって言ったらそれだけで驚いてくれる人もいるし。

だから傍から見たら素直に「うらやましい」って言われることがそれなりにあったんですよ、ネットでも現実世界でも。

なんで、そういう意味では、欲深いというか、満足は多分どこまでいってもしないんだろうなって感じはするんですよね。そういう欲深い人かもしれないです。器はあるけど、穴空いてて片っ端から入れても漏れ続けるみたいな。

まぁ、あとはいい歳して自己憐憫が好きなだけとも言えるかなと。だから、この人間性である以上、どこまでいっても私が幸せになることはないんだろうなと思います。

過去:10年ぐらい他の人より、なにもかも遅れてる感じはします。

イワナ:
翌桧さんの物心ついたぐらいの幼いときってどういう子でしたか?

翌桧:
自分は全然記憶がないんですけど、幼稚園のときはかなり自己中心的でわがままで、やりたい放題やってた子どもだったらしいですね。

お遊戯会で校庭に出てみんなでポンポン持って踊るみたいなイベントがあったらしいんですよ。みんなが楽しそうに踊っているのをみんな見てる中で自分だけポンポンひたすら地面に投げ捨て続けて、一切踊らず固辞してたりとか。

あと、授業っていうかみんなで一緒のことやってる中で廊下で寝転がりながら絵本読んでたらしいです。

だから、単独行動がかなり目立つ奴だったらしいですね。確かに自分も今となっては、そういう面が確かにあるなっていうふうに思うので、子どもの時の理性がそんなに強くないときは、それがすごく前面に出てたんだろうなっていう気はします。

イワナ:
では、小学校ぐらいのところはどうでしたか?

翌桧:
小中高校共通してるんですけど、小学校あたりから多少いじめられましたかね。殴られたり物隠されたり。

特に引っ越しをしたのがきっかけで学区の都合上学校が変わって、元々仲良かった人とも離れたので。仲良かったって今思うと、なんか一方的に仲がいいと思ってただけだったと思うんですけれど。

人と信頼関係を築くことっていうのは、小中では全然なかったですかね。高校で若干当時付き合ってた友達はそれなりにいたので、ただそれでも何かちょっとアイツあれだよねっていう浮いた立場だったりはしました。小中はもうそれですらなかったって感じ。

あと勉強は小学校ぐらいだったら勉強はそんなに難しくないから多少はできました。でも、中学の頃は塾通ってたんですけど、授業の終わりのチェックテストっていうものがあって、あまりにも数学と英語ができなさすぎました。

3年間ちゃんと通いはしたんですけど、授業終わりのチェックリストは英語に関しては1回も受からないまま卒業となりましたね。

「オレンジ(orange)」の綴りが書けないっていうところからスタートしましたね。ほんとに。今思うと、なんでそんなことに躓いたんだろうっていうふうに思いますけど、純粋なIQの低さがあるかもしれないです。あと拒絶反応がすごすぎた。

「This is a pen.」を「Is this a pen?」にするだけでも駄目だった感じです。なんか10年ぐらい他の人より、なにもかも遅れてる感じはします、今も。

イワナ:
小学校とか中学校で好きだったものとか趣味はありましたか?

翌桧:
小学校の頃は、野球をやってましたね。ただ本当に下手くそでした。小学校4年生のときに小学校2年生に守備やバッティングで普通に負けてたぐらいだったんで。

イワナ:
逆に得意だったものはありますか?

翌桧:
あー...小学校の頃に、金子みすゞさんの詩集を、多分親だと思うんですけど、渡されて読んだりとかしてたので、なんとなーく詩を書いてたんですよ、そのとき。

今に繋がってるかっていうと、別にそんなことはないとは思うんですけど、小学校の頃に母親がその自分の書いたやつを見て、勝手に地元の作品募集に応募したんですよ。そしたら、特別賞だったかなんだったか、一番下のやつのところで地元の新聞に名前を載せてもらえたんですよね。

で、その選考をしてた方の1人の中から、直筆のはがきをいただいたってことがありました。

だからもしかしたら、当時から他人より文章を書く適正はあったのかもしれないです。作文もそんなに嫌いではなかったので。

実際、塾に行ってたにも関わらず、もう中学校で本当に勉強ついていけなくなっちゃったぐらい駄目で特に数英が壊滅的だったんですけど。国語だけは高校でもそれなりの点数にはなったって感じです。

ただ他はひどかったですね。一番ひどいときはテストで2点とか。国語が得意というより国語が唯一マシだった。

イワナ:
本を読まれたりするからでしょうか?

翌桧:
それが、よく言われるんですけど、一切読まないんですよ。国語の教科書すらまともに読めないような人でした。そもそも本自体に縁がなかったです。当時はお小遣いもなかったのでジャンプも買って読んだことがなかったし、買ってもらえた単行本の漫画が何種類かあるくらい。

当時、図書室で小説を実際に読んでみたことあるんですけど、頭痛くなって最初から最後までちゃんと読んだ作品なんて全然ないですね。歳を取ってから青空文庫で短いやつを読んだぐらいです。

イワナ:
高校は他、どんな感じでしたか?

翌桧:
高校が一番浮いてたし、変なやつ、ヤバいヤツってなってた感じですかね。

高校1年生の冬まで、ネット環境がなかったんですよ。かといって家に何かあるわけでもないので、ひたすら同じようにテレビを時間通りに見て、そのテレビが終わったら寝るみたいな生活をしてました。

でも、ネットが来るようになってから、インターネットにずっとかじりついてる日々が続いてましたね。

もう本当に何の刺激もなかったんですよ。ただ退屈。ロクに友達もいないから逃げるように家に帰る。かといって家で全然やるものもないし、みたいな。本当にただただボケ~ッとしてたタイミングで、ネットっていう刺激が来ちゃったんで。

イワナ:
ネット環境が整備されてから他に変わったことはありますか?

翌桧:
そうですね。高校生でパソコンが手に入ってから、それこそニコニコ生放送だったり、そこでいろんなジャンルの動画があるんですけど、とりあえずやってみたいから作ろうってことで動画編集を始めました。

それこそ、ゲーム実況だったりゆっくり実況だったり、料理だったり、MADだったり。

あと、夏休みに旅行に行ったんですよ。高校のときに2人で。

夏に友人のおばちゃんの家に泊まりに行くみたいなことをやったときには、それを頑張ってSDカードを買ってガラケーで撮影して、それを動画にしたりとか。

なにか物を若干作ることが増えました。そのときが多分スタートかなと思いますね、特にもの作り好き云々とかはなかったので。

イワナ:
それがちょっと今にも繋がってるのかなって思ったんですけど、そういう動画とか作ったりするのってどういうところが好きですか?

翌桧:
そのときは多分何もすることがなかったからハマッたっていうのが正直なところだと思うし、動画を編集することに関して楽しいっていうのは実はそこまで強くないですね。

どちらかというと、例えば今、ラジオ動画を作って投稿していますけど、ラジオだったら収録で人と話すことや「会話する内容を聞き返していて楽しい」がメインの目的です。なので、動画を作ってるから楽しいっていう感じではなかったかなと。

人と仲良く喋るっていうことが多分一番楽しかったと思うので、物を作ることが楽しいっていう感情は今のところそんなにはないのかなって気はしますね。

特に動画は大変ですね。面倒くさいっていう感情が圧倒的に強いです。

イワナ:
進学してからは友達も増えたんですかね?

翌桧:
今つるんでる友人は、ほぼほぼその時の人たちですね。情報系に進んだので、基本的に趣味がそこまで大きく外れてない分、喋りやすかったです。

こんなこと言うとあれなんですけど、自分よりも全然喋れない人たちがいっぱいいた世界でもあったので、比較的、友達が多い側にはそのときはいたかもしれないですね。

まぁ、それでもいわゆる中心になる人というより、ナチュラルに下に見られて笑われている側ではありましたけど。

イワナ:
では、就職後のことをお聞きしていいですか?

翌桧:
IT系の仕事に就職をして、一旦東京に行きます。北海道で就職したかったんですけど飛ばされてしまいまして。

そこから、現場派遣のIT企業だったんですが、その時の案件の都合で東北をぐるぐるしてました。

でもそこで、うんこ呼ばわりされたり、あと友人だと思ってた人から詐欺にあったり、もう本当にいろんなことが起きて、踏んだり蹴ったりだったんで、さっさと北海道に帰りたいなと思ってました。で、その現場が終わって次に派遣された場所が東京の24時間のコールセンターでした。

でもコールセンターの中ではちょっとテクニカルなもので、技術が必要な、知識が必要なところだったんですよね。例えばメインフレームを触ったりみたいな。

もう本当に、あのときほど、自分が使えてなかったタイミングっていうのはなくて、もう本当に仕事をいかに向き合わずに生き、仕事の時間が経つのを我慢して頑張って耐えて、自分の生活の時間に使うかみたいなことしか考えてない社員でした。

案の定続くわけもなかったし、そのとき親が心臓病が発覚したタイミングだったんで、東京から戻るときに、両親と私の3人で、札幌で住むかとなって、2LDKの賃貸を借りたんです。

なんですけど、ちょっと仲が悪いもんでしたから、その話は結局断ち切りになっちゃって、高い家賃だけ払ってるみたいな状態になってしまいました。

そのときにスーパーの警備員の契約社員の求人を見つけて、お金がなかったんで働いたら、そこで暴力を振るわれて、2ヶ月とかで退職をしてその後に面接を片っ端から受けて、やっと受かった魚屋さんに就職します。

そこが16時間労働で、セクハラもされるし。って感じでその職場を辞める云々の手続きをする前に自殺未遂を起こしまして。その後当たり前ですけどその職場に、戻る気なんかサラサラなかったので、一応その筋っていうか、道理を通すために退職届だけ直接お渡しはしたって感じです。あの時は地獄だったなと。

イワナ:
そこから、フリーランスになられたんですかね?

翌桧:
いえ、転職ですね。魚屋が終わった後、生活費がなくなったし、もうどうしようもないからって解体業者の警備員になりました。

そこでも結構なんか本当に、いろんなことが起きましたね。自分の頭の上から瓦礫崩されたりとか、あと工事現場なんで、でっかい穴があるので「ここ落ちろ」と言って背中を押されたりとか、年下に毎日のようにめちゃめちゃ暴言吐かれまくったりとか。仕事内容自体も違法労働まみれだったんで最悪だし、上司も嫌な人だし、最悪でしたね。多少は可愛がられてはいたみたいですけど。

で、その時、もう本当に何もなかったんです。誇張とかじゃなくて。自分の財産って親のお下がりの軽自動車と、そのときに財布に入ってた5,000円が全てだったんですよね。

なので、その状態から少し生活を立て直そうと思って1年間耐えました。で、1年で100万円貯めて、38万ぐらいの中古車を買い、それを元手に人間らしい生活を整えてから転職活動して、受かった福祉系のところに行きました。

福祉系のところでは何か、自分もまさにその当事者でもあるんで気持ちはわかるんですけれども、精神が不安定な人が多いんですよね。

その中でやっぱり暴言に特化しちゃってる人もいて、実際面と向かって頭おかしいんじゃねのとか言われたりとかしました。

そんなんでただでさえしんどいのに、週6勤務で12~14万とかの手取りでしたし、実際その手取りじゃ全然食っていけないので、どうにかしないとさすがにこのままじゃ車の維持ができないなっていうふうに思って。

イワナ:
それが独立のきっかけだったと。

翌桧:
そうなりますね。

日々の生活だけで手一杯なんでどうしようかなってなったときに、とりあえず副業か何か始めるかっていうところで、クラウドソーシングで副業を始めました。

最初はアンケートに答えると10円みたいなタスクから始まり、そこからライターもどきみたいな仕事が少しずつ増えてきて、月5万とか稼げたタイミングが来て、仕事を辞めようと思ったんです。正直そんなんで全然あてにはならないんですけれど。

全時間これに使えば最低限今の給料ぐらいは何とかなるだろうっていう、甘い算段で仕事を辞めてフリーランスをやったって感じですね。まぁ、仕事嫌すぎたからという勢いに乗った感じ。

そこで、カメラを買って「文章とカメラ、レベルこんなもんですけどそれで良ければ同時にやります」みたいな、お得ですよっていう売りを無理やり作ったり、なんちゃってなポートフォリオとか作ったり、永遠に営業して。そしたら、何とかギリギリ生きていけるぐらいにはなった感じです。

イワナ:
その時はやっばり大変だったんですかね。

翌桧:
そうですね。やっぱりストレスもすごかったし最初の数ヶ月なんて2日に1回寝るみたいなぶっ壊れてる状態になったりしたんですよ。仕事が全然終わらなくて。でも納期はありますし。

その当時なんか、WordPressの「ワ」の字も知らないのにWordPress入稿と言われても「マッジでわけわからん」って感じです。もう頭かきむしりながらバーってやって、仕事に追われまくって忙殺されてました。

その時はもう頭いっぱいなんで何とか蓋がされてはいたんですけれど。元々自殺未遂をするぐらいなんで、メンタルはかなり乱高下が激しかったんですよね。なんで、そこからもう部屋も片付かなくて、普通に歩けないくらいのゴミ屋敷になるし、カーテンの金具壊しちゃうし、壁殴って穴を開けるしみたいな状況になって。そしたらだんだんだんだんもう仕事どころじゃなくなっていっちゃいましたね。仕事でも致命的なミスも増えるし、ただ悪循環。

イワナ:
元々お金に困ってたと思ったんですが、そこはどうだったんでしょう。

翌桧:
納期に追われるストレスの割には、フリーの収入としては大したことなかったですね。まぁ業種的に報酬が低いのは理解してたので、ギャップはなかったです。最初はまとまってお金が入ってきた時は、やったーって思って人にも喜々として話してましたけど、冷静になって我に返ると、労働時間とか手間を考えたら全然会社員の方がマシです。

詳しく言うと開業初月の売上は1万5,000円でした。そこから少しずつ伸ばしていって、その後の売上では60万が1回だけあって、40万代と30万代がそれぞれ2回ずつ。あとは大体20万~25万とかで推移していました。

で、後半では結局仕事どころじゃなくなっていって20いくかいかないかぐらいにどんどん落ちていって。もっと進むと12、3万とかまで落ちた。

個人事業って社会保険がない状態ですから。大体最低でも2~3倍は稼がないと、トントンにもなってない。何だったらローン通らない分マイナス、くらいなのに、その額に到達させるのは安定しない。無駄に忙しいし、自分のペースでも働けてない。それでメンタルはドンドン死んでいったので、やる意味が無くなったなと思って、副業を出来る就職先を探すことにしました。

それで就職先を探してたんですけど、もう歳が歳だったんですよね。書類も通らないし、額面17万のところですら面接で落とされるぐらいでした。

もう、ずーっとボロクソだなぁ、そろそろ人生潮時だなぁと思ってたら、たまたま今の会社がホームページ一切できる人がいないけれど、ホームページリメイクしたいからとか、あと広報的なことをやりたいからっていう理由で、たまたま自分のスキルが合致して、拾ってもらえて今って感じですね。

未来:目標があったら、苦しさも生まれる可能性があるし、自分は多分それに耐えられない。

イワナ:
5年後10年後とか、もっと先の死ぬときまでイメージしてもらうと、翌桧さんのご自身の未来ってどういうイメージでしょうか。

翌桧:
そうですね。まぁ、明るい未来は多分何一つ待ってないでしょうね。

まず、さっきチラって言った自殺云々の話で、23ぐらいでもう1回死んでる身ではあるので、別にネガティブな意味でもなく、単純にこの人生死んだようなもんだと考えてます。今はロスタイムっていうか、老後っていうか。それに近い感覚ではありますね。

実際これから税金も上がっていくし、年金なんかないだろうし。その癖仕事がなくなっていって給料は上がらない可能性があるって考えると、この世界ダルすぎるなって感じの方が強くて。

だから具体的な目標はないですね。お金欲しいなとか、働きたくないなとか、そんな漠然とした感じのものしかない。

イワナ:
今って毎日生活してるのって、どこに向かって生きているというか、どういう感覚で生活されてますか?

翌桧:
特に向かってないんだろうなっていうふうに思いますね。

逆に変な話になるかもしれないんですけど、向かってないからこそ多分生きれてるんだろうなっていうふうにも思います。

良い例えが浮かばないですけれど、例えば会社を立てて、売上これくらいやるぞとか、彼女作って結婚して家建てるぞとか、そういうのを目標にしてる人っていっぱいいるじゃないですか。

で、それを目標にしてるっていうことは、それが叶うんだったら多分ハッピーで終わりだと思うんですよ。「幸せ~やった~」で。

ただ、例えばその目標が折れちゃった。彼女と別れちゃったとか会社倒産しちゃったとか。ってなるとそれってしんどいじゃないすか。それでマイナスが起きちゃうんですよね。その人生において。

でも、この世界って目標を持たないっていうことは絶対的な悪になってるじゃないですか。「何のために生きてるの?お前」っていうの実際に言われたことがあるし。

目標があるってすごく素晴らしいんですが、自分で何か成し遂げる力がなかったり、あとそもそも予期もしない自分じゃどうしようもできないことで、自分の目標が達成できないっていうことが、いくらでも起こりうる世界じゃないですか。

2011年の地震みたいに、家建てたのに、地面崩れました、家壊れました。って全然起こりうるし。てなると、目標があったら、苦しさも生まれる可能性があるし、その苦しみで人は簡単に死ぬんですよね。

で、自分は多分それに耐えられないと思うんですよ。自分で言うのはあれですけど、メンタルは強くないし、乱高下が激しいんです。平穏に過ごすことすら、自分でも難儀してるんですよね。平常心を保つっていうことすら。

あえて持たないようにしてるっていうわけでもないんですけれど、本能的に何かそもそも持たないようになってる気はしてます。何か「どうせそのうち、気づいたら首吊って死んでるわ」ぐらいの。

仮に、明日、道歩いてたら通り魔に刺されて死にましたって可能性はゼロじゃないじゃないですか。他の人だったら、そんな時「俺にはやり残したことがあるのに」とか思う人もいるかもしれないけど、自分は特になんか「あ、死んだわ」ぐらいの感じで死ねると感じてます。

逆に、切羽詰まったり、吹っ切れて自分が通り魔する側になる可能性も全然あると思うし、いわゆる無敵の人に限りなく近い存在なので、そうならないと言い切れる自信もないですね。そういう意味では、自分に対して怖くもある。

イワナ:
『彁』を運営しようと思ったのって、例えば「自分だったらこういう場所を用意して欲しいな」とか、「あったらいいな」って思ったからなのかなと思ったんですが、どうしてだったんですか?

翌桧:
もう本当におっしゃる通りです。あったら良いなと思って作りました。結局、こういう感情で苦しんでる人たちって、周囲の理解は一切得られないんですよ。

実際自分があったのは、自分も親と仲が悪いんですよね。ただ、親父が死ぬかもしれないってなったときに、自分は1回それで拒否したんですよ。母親からの家帰ってこいっていう要請を。

以前の職場でそれを言ったら、「こういう人いるよね」みたいなすごい哀れな目で見られて、「帰りなさい」みたいな、「はいはい」みたいな感じであしらわれたことがあるんですよ。

正直、本当に心の底から「死ねばいいのに」と思ったんです。

だって相手のことなんて、わかるわけないじゃないですか。「人の過去の背景にこういうことがあるからあなたは親と会いたくないんだね」なんて読み取れるわけがない。

イワナさんのこと、自分は何も知らないですけれど、それで悩み相談されて「わかるよ」って私が言ったとして「初対面のあんたに何がわかるんだよ」ってイワナさんは感じると思うんです。少なくとも自分が同じ立場ならそう思う。

で、そういう人たちに自分のことを言ったところで聞いてもらえないし、言いたくないんですよ。で、言いたくないけれど、この世間では、それを無理やり聞いてきてそれをわざわざ笑うっていう人が大半なんですよね。冷笑をしちゃうんですよ。

例えば、いじめられたってことを引きずってたら、なんか「そんないじめあるよね」って感じで「気にすんなよ」って笑いながら言ってくるんです。

でも自分からすればそれ、もう最悪なんですよ。もういじめより遥かに悪質なんですよ。いじめって悪ですけど、悩み相談されて話を聞いてやったって世間一般には悪じゃないんですよね。善人ぶって他人を殴って気持ちよくなるなんて、上辺が悪じゃない分、悪よりも悪ですよ。「オナニーしてんじゃねぇ、くたばれ」と思う。

なので、彁はもう誰でも辛いを書いてOKっていうスタンスにしています。

年収300万の人と年収1000万の人が同じ苦しみを持つとするじゃないですか。人間関係の悩みとか、あとお金の悩みとか。

そしたら比較が起きちゃって、私こんだけ働いてる、お金こんだけしかない、つらいんですって言ったって「いやお前彼女いて結婚して子どももいるじゃん」とか、「俺より給料多いじゃん」とかっていう「お前はまだマシ」という粗探しや逆のマウントがTwitter(X)では起きるんですよね。

こういう、自分が一番可愛そうになるための最悪な攻撃が、ネガティブな感情を吐き出したときによく起きる現象なんですけど。それってどっちも得してないんですよ。悩みを言っただけで怒られる世界ってわけわかんないじゃないですか。

じゃあもうそういうのを抜きにして、あなたの辛いっていう感情を吐き出して、でお金貰えて「お金もらえるやったー」っていう感情で、少し上に向けば何かプラスになるじゃないですか。なんでそういうスタイルになっています。自分だったらお金が欲しいんで、お金もらえるって嬉しいから。

でも儲からないので、やる人なんかいないんですよ。だったら自分で作ろうと思ったのが、彁というサイトなんです。

なのでレアケース以外は寄稿にお金を払ってるって感じです。もちろん不幸風の自慢とか、単にお金だけが目的な人は論外ですけどね。

イワナ:
ご自身はそういう吐き出す場所はあるんですか?

翌桧:
そうですね、それこそネット繋がりのグループがあるので、そこで話をしたり、その中の1人とラジオしたりしているので、今の心の拠り所っていうのは、ネットだとそこになります。

あとはもう本当に個人の時間とか、リアルの友人との遊びです。それこそ、温泉行ったり、ゲームしたり、遠出したり、野球の試合に行ったりとか、ご飯食べに行ったりとかですね。

じっとしてたら、嫌なことのフラッシュバックが起きる割合が結構自分はかなり多いほうで、数分ごとになるときもある。それが頭によぎったらいきなり自分が奇声発したりとか、物とか自分の顔だの頭だの叩いたりとか、スマホ投げたりとかっていうのが、結構最近は頻繁に起きてるんですよね。なんですけど、何かしらで時間を埋めてあげるとその間はおさまるんですよ。

なんで、ネットとリアル両方を使ったり、自分の趣味だったり、副業だったり、ラジオの編集だったり、あとは食事にお金使ったりとか。そういうので頑張ってフラッシュバックが起こらないように、時間を埋めてる感じです。

イワナ:
最後に読者の方向けでも、自分の独り言・感想でも、なにかあればお願いします。

翌桧:
折角なので、『彁』のパーパス、どういうサイトなのかって一言で表す言葉があるんでそれを共有させてもらいます。

「ぼくたちは それでもみんな 生きている」

あとがき

翌桧さん。ありがとうございました。

この間、何かのきっかけで、「わたしってどこに向かって生きてるんやろうな」って考えながら出社した日がありました。

毎日仕事に行って、8時間働いて。
仕事って別に自分が時間を使って好きでやってることではないし、人生のうち1日8時間って時間使いすぎてるなぁとか。
目の前のことを楽しんだり好きなものに変えられる人もいますが、どうにもそれはわたしには難しいです。

だからといって、今すぐ仕事を辞めて「好きなこと」だけに時間を使えるかと考えると、そこまでしてやりたい「好きなこと」はないなあとか・・
我ながら愚痴愚痴してんなぁと苦笑します。

人間だけですよね、こんな風に考えるのは。
動物も植物も、「なんで生きてるんやろう」とか考えないよな。
しかも「なんの為に生きてるの」って言って、その答えを評価するのも人間の文化から来る考え方ですよね。

「じゃあそれが悪いことなのか」とか「間違ったことなのか、じゃあどう考えるのが正解なのか」とか、答えのない答えを求めたがるのがわたしの思考の癖です。

「仕事を8時間やるのと、これを8時間考えるのとではどちらが辛いやろう」と思いながら職場につき、その思考はストップしました。
色眼鏡でものごとを見なかった時代ってどんな感覚だったんだろう。

…本日も読んでいただき、ありがとうございました✿

【インタビュー・編集・あとがき:イワナ】

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