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生きた証を残したいこんなどうしようもない奴も生きてたよって人

60分で話せる分量は人によって違います! ありがとうございました!
今日の無名人インタビューもおっ楽しみくださいませー!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】

今回ご参加いただいたのは 杉谷 直哉 さんです!


現在:普通が何かって普通に対して疑問に持たないのが普通の人なんですよ。

花梨:杉谷さんは、今何をされている方でしょうか?

杉谷:地方公務員です。

花梨:どういったお仕事をされてますか。

杉谷:えーっとそうですね。廃棄物に関する仕事をしています。ゴミですね、ゴミに関する仕事です。

花梨:廃棄物に関するどういったお仕事をされてるんですか?

杉谷:具体的には、清掃センターというところに勤めていて、日々の回収してくる、運び込むゴミのチェックですとか。あとはどういったゴミが今出てるのかとか、あとそういうのチェックしたりとか。あとはその、施設内の予算の執行とか、あと施設の修繕、時には出てきたゴミを集めたりとか、そういうことをしてます。

花梨:こちらのお仕事は、始められてからどれくらい経つんですか?

杉谷:まだ3ヶ月ぐらいで、異動して今の部署に来たんで、まだ1年目。今でちょうど4月5月6月。今4ヶ月目ですかね。

花梨:実際にお仕事を始められてみていかがですか?

杉谷:いや楽しいですよ。

花梨:どういったところが楽しいですか?

杉谷:そうですね。やっぱ新しいことがいっぱいあるんで。私は元々は歴史学の専攻だったんですけど、最初の配属は教育委員会で、その後に上下水道系の部署にも行きました。し尿処理施設みたいなところにいました。し尿処理ってまあ難しいかな。要するに、ご家庭から出たくみ取りのし尿とかそういうのを集める施設とか。そういうところで汲み取りの仕事もしたんですね。で、そういう仕事を経て、今の仕事なんですけど。前の部署もそうだったんですけど、やっぱり知らないことばっかりなんで、本当に1から勉強させてもらってるような状態です。

花梨:公務員のお仕事は、初めてされたお仕事ですか?

杉谷:今市役所に入って、非常勤を入れて6年半勤めてるんですけど。2年ほど教育委員会に行って、そのあと3年ぐらいは上下水道部にいて、今清掃センター1年目っていうことなんで。まあだから、市役所の中でずっといろいろ仕事してるというかね。その前は、民間で別の出版社の営業の仕事をしていました。

花梨:杉谷さんは何か趣味はありますか?

杉谷:趣味。趣味は水泳と、日本酒と、温泉と。あとはなんですかね、読書研究かな。

花梨:研究っていうのは、どういったことを?

杉谷:歴史学の研究をしています。私は一応博士号を持ってるんで。ちなみに博士後期課程は通わずに取ったんで、論文博士取ってます。論文博士ってなじみがないと思います。ちょっと簡単に言うと、大学院は2年間の修士課程が終わると、博士後期課程ってのがあるんですよね。この博士後期課程に3年間在籍して、例えば単位を取得したり学会で発表したり論文を投稿したり色々して、最終的には博士論文を書くのが一般的です。私の場合は修士出てからずっと働きながらやってたんで。それで、今年の3月に博士号を取ったっていう。

博士論文というのは、簡単に言うといろんな論文をね、何本か書いて、その論文をまとめて、一つの大きなことを言う博士論文。まあイメージで言うとそういうのを書くんですね。私の場合は大学に在籍せずに博士論文を書いて出して、私は今年の3月に博士号を取得したということですね。

花梨:なるほど、ありがとうございます。

杉谷:ちょっとごめんなさい。専門的な話で若干難しいと思うので。もしあれだったらまたあのインタビューでは補足しますし、またあの、あれだったら調べてもらったらそういうのも出てきますから。そこは、そういう制度があるんだというぐらいで流してもらったら結構だと思います。

花梨:ちなみに、この博士論文を取得された論文の内容を、教えていただければと思うんですけど。

杉谷:島根県っていう県がありますね。島根県の、昔の政党の話で書きました。つまり政治のグループですね。そのテーマで書きました。
今でもいろんな政党がありますよね。自民党とか立憲民主党とかね。いろんな党があると思うんですが、戦前の政党の話を書きました。

花梨:政党に元々関心があったんですか?

杉谷:最初に通ったのが島根大学だったんで、その時に書いた卒業論文の中身で島根県の政党の話をしてたので。それでずっと研究し続けて、書いたっていう感じですね。

花梨:この博士論文が通った瞬間のお気持ちはいかがでした?

杉谷:気持ちですか。以前からその指導教官と。まあちょっと難しいかな。ずっとその、例えば試験を出して合格するとかっていうことではなくて、ずっと指導教官のセッションを重ねるんですよね。私の場合は多分3回ぐらいしかなかったんですけど。その中で、指導教官がここまで書けたらもう博論が通るという風に言ってくれて。

杉谷:で、それで出すんですよね。まあ、だから出した瞬間、通った瞬間というよりは、やっていく過程でやっぱり。出すぞと決めたのが2020年のことだったのね。それから3年かかったので。2015年が修士課程修了なので、8年間ですか。随分時間がかかったなとは思いましたね。

花梨:他の趣味についてもお聞きできたらと思いますが。

杉谷:あぁいいですよ。なんでも聞いてください。

花梨:どれでも大丈夫なんですけれども、どういった瞬間に楽しいなと思いますか?

杉谷:えっとーじゃあちょっとだけ、日本酒のこと話しましょうか?

花梨:そうですね、お願いします。

杉谷:前の部署にいた時に、長野県のある村を訪れたんですけど。そこの村っていうのは、ちょっと名前は出さない方がいい、まあ出してもいいんですけど。名前はいいや、一応伏せとくか。そこで、地域作りをすごく一生懸命やっておられる方と話をしたんですね。その時に彼が言ってたのは、その村にはねすごく酒米、お酒を作る米があって。すごくいい、優秀な酒米が取れるんですね。ですけど、そこの地域には酒蔵がないことを課題として語ってくれましたね。酒蔵というのは、お酒を作る製造所のことです。まあ、本当に簡単にお酒を作る場所くらいに思っていてください。

話を戻しますと、その村に日本酒の酒蔵がないってことは、その地域でお酒を作れないってことになるんですよ。地域の経済の考え方で、やっぱり一番その地域の中で巡回して経済を回して行くときに、お酒って一番外に出るお金なんですよ、実は。

例えば、ビールとか作ったら全部大手のあの酒造メーカーに行くわけでしょ。でもその地域の中でお酒を消費できれば、お酒ってそのまま地域の会社に行くわけじゃないすか。地域や経済が循環するわけです。なので、酒屋さんがまた新しい地域の中でも雇用にあるっていう、そういう考え方があるんですけど。それが一つですね。まず、お酒っていうのは地域の経済を支えてますよという。

杉谷:もう一つは、お酒とオンリーワンですよって話をしてたんです。ちなみに、お酒飲まれます?あなた。

花梨:いや、私は全く。

杉谷:別に飲みたい人が飲んだらいいんですけど。要するに何かっていうと、お酒ってそのオンリーワンなんですよ。メーカーとかで言ったら、例えばどこに行っても

例えばヱビスビールとかあのサッポロビール。もっと例えて言うんだったら、マクドナルドのハンバーガーとか。それを例えば北海道で食べるマクドナルドのハンバーガーと、沖縄で食べるマクドナルドのハンバーガーって同じなんすよ、基本的には。分かりますか?

ところが、日本酒の場合って、すごいのは種類がとにかく多いんです。例えば島根県の場合だと28ほど酒蔵があります(参考:https://shimane-sake.or.jp/sakebreweries/)。その中でそれぞれ全部味が違うんですよね。これってすごいことです。しかもですよ、その中でも時期によってお酒っていうのは違うんですよ。いろんな方法を試してお酒出してるんで、無限にあるんですよ、お酒のバリエーションが。

大切にしなきゃいけないのは、お酒っていうその文化とか、暮らしですよね。しかも、お酒がオンリーワンなのはなぜかっていうと、中の工房も全部違うし、酵母も違うし、作り手も違うし、使ってるお米とかも水とか空気。そういったいろんな環境が違う、同じものは作れないんですよ。

今は日本酒が一番美味しく飲める時代なんですね。今ってすごく酒蔵のレベルが高いんですよ。あまりみんな知られてないけど。昔のお酒ってもっとなんか、いっぱい飲んだら頭痛くなるようなのもあったんです残念ながらね。ところが今は、すごいお酒の技術が発達して、冷蔵庫の技術も発達したから、作り手が丹精込めて作った一番いい新鮮なお酒をそのまま瓶詰めして出せるんですよ

それを家に持って帰って、作りたてを楽しめるんです。これってすごいことで、あのー昔は考えられないことなんでね。そういうことができてるのに、非常に深刻なのは日本酒の酒蔵がなくなってきてるということ。そのことはすごく問題だと思ってて。だからその地域の酒蔵を応援したいと思ってるし、そういう地域に行ったら温泉に入る。お酒を買う。地域で美味しいものを買うということを必ずして、車でね。買う旅行ですか、そういうのをするようにしてます。それは、生きがいですね。

それをやってる理由は、単に美味しいお酒飲みたい、温泉好きなんで温泉入りたいってのもあるんですけど、温泉もお酒もやっぱり地域の経済、源、礎なんですね。ここをやっぱり守っていかないと、やっぱり中々豊かなですね、社会を作れないと思っていて。そこですね。個性とか独自性っていうのを出すときに、それにやっぱり惹かれるものは、ずっと昔から、島根に行ったときは昔からかな、そういうのがあって、そこで趣味が日本酒と、温泉っていうことになってますね。

花梨:へーなるほど。

杉谷:いやいや、なかなかね、ちょっとお酒飲まない人には縁遠いかもしれない。

花梨:この日本酒と温泉巡りは、いつ頃からされていることなんですか?

杉谷:そうですね。もうかれこれ10、車持ってからかなりやれるようになったんで。まあ
言ってもまあ本格的にやるようになって3、4。まあでも、前の営業職はね、それに近しいことというか、そんなんをしてたんで。ざっとまあ8年、8年ぐらいですかね。

花梨:そのなかで、印象に残っている日本酒、温泉はあります?

杉谷:えーっとじゃあ、いくつか挙げてこうか。まず、お酒でいうと何本かあるんですけど、これっていうのは長野県の、北の光って書いて北光っていうのがあるんですけど。それはすごいお酒です。あのむちゃくちゃ美味しいですね。

あと、京丹後市にある玉川っていうお酒があるんです。それは、もうめちゃくちゃうまいですね。レベルが高い、非常にレベルが高いです。この酒蔵。直接行ったとこでこれはって思ったのはこの2つ。と、あとそうですね、他にもいくつもあるんですけど。個人的にすごく思い出深いのは、島根県にある李白っていうお酒なんですよ。李白っていうのは中国のお酒好きの詩人のことを言ってますけど。そういう名前を冠した酒蔵が松江にあって。そこはやっぱりそうですね、私が日本酒を好きになったきっかけのお酒ですから、非常に思い出深いですね。

で、温泉に関して言えばいろんな温泉があるんですけど、一つ忘れられないのは、北海道の真狩村ってとこにある温泉ですね。それはすごい綺麗な湯が出る温泉で。あれは良かったよね、あそこは。

花梨:ご自身の性格についてはどう思われてますか?

杉谷:性格ですか。性格ねー。どういう性格なんでしょうね。非常に困った性格かなと思っています。あんまり自分のことは好きじゃないですね。

花梨:そうなんですね。

杉谷:あんまり自分のこと好きじゃないです。あんまり自分好きじゃなくて、あんまり。あんまり私って良くないというか、そんなにいい奴じゃないなとずっと思ってます。やっぱりその仕事をしてもやっぱり失敗多いし。あとは元気にならない。なんかやっぱり引きずったりとか、すぐなんかいろんなことに、私はね結構しょうもないことに怒ったりするんですよ。ああいう、例えばちょっと難しいですけどね。例えばある政治家がこんなこと言ったとか、あのジャーナリストがこんないい加減なこと言ってるとか、このメディアは全然ダメとか、大学の先生なのにこの人はこんなことも分かってないとか。まあとにかくこんなやつけしからんってずっと怒っているんですけど。本当にいろんなことで怒ってるって人生損してるなと思ってます自分では。

そんなに昔は短気じゃなかったんですけど、色んなことがあって。今こういうことになってて。で、まあ不器用だし、あんまり何もできないし。なんか、どういう性格かって言われると、どういう性格なんでしょうね。一言で言うと難しいけど、面倒くさい性格だと思います。面倒くさい。こんな友達がいたら多分死ぬほど面倒くさいだろうなと思いますね。はい、面倒くさい性格です。

花梨:そうなんですね。

杉谷:うん。嫌な奴だと思います。あんまりいい奴ではない。できれば友達にはなりたくないですね、もっと言うと。

花梨:それはやっぱり、先程挙げて頂いたような性格だからですか?

杉谷:うん。なかなかね、人に迷惑をかけることも多いしね。あんまり自分を好きじゃないんで、それはもう変わらないと思います。

花梨:それは結構昔からずっと?

杉谷:昔からですね。昔からです。

花梨:そして変わらないと。

杉谷:うん、変わらないと思います。

花梨:どうして今後も変わらないと思いますか?

杉谷:ん-。もう、変えられないから仕方ないと諦めてるからですかね。諦めてるのもあるし、やっぱりいろんな人に会ってきて思ったのは、絶対こういう人たちにはなれないって思いました。あとはこれまでの無名人さんのいろんな人のインタビューって、すごい人のために〇〇をやりたいんだ、こうなりたいんだって言う若い子たちがいるじゃないですか。中には、いろんな困難を乗り越えながら生きてると言っていて。本当に尊敬しますし、私は絶対こんな風にはなれないと思ったんですよ。無理だと思いました。

「らしさ」っていう歌があって。気になったら、「らしさ」って調べて聞いてみたらいいと思うんですけど。僕は君じゃないし、君も僕じゃないから。すれ違う手を繋ぐそこに愛だって生まれるっていう一節があるんです。まあ、愛は生まれないんですけど私の場合は。すれ違う手を繋ぐくらいのことならあるっていう。違うからね、人はね。

参考:「らしさ」

私は別に今の性格は嫌いだけど変える必要もないし、じゃあ自分の好きな性格って何かっていうとよく分かんない、それもはっきり言って。そりゃ、いろんなことができて、もうなんかこだわりっぽいとか、ちょっとオタクっぽいとか。もっと言うとこんだけ、今も本ばっかりですけど部屋の中は。こんだけ本ばっかりの生活なんかするんじゃなくて、普通の人であって、いわゆる普通の人であって、普通に家庭を持って生きるって生き方ができれば、そっちの方がもしかしたら幸せだったかもしれないですね。それももう分かんないや。私はそういう生き方はできないと諦めた人です。何回か自分を変えようとか、見直そうと思った時期もありましたけど無理でしたね。もしかしたら変わったかもしれないですけど。もう変わらない。

花梨:普通の生き方はできないと判断した状態なんですね。

杉谷:よく言うんですよそういうので。普通ってなんだよ、普通ってなんだよっていう。言うでしょ? 僕、答えを持ってて、何かって言うと、普通って何だよって聞かない奴が普通です。普通が何かって疑問を持たないのが普通の人なんですよ。だから、普通って何だよとか言うやつはもう普通じゃないんです。そんなこと聞かなくたって、全てが尖らずに、社会で自分の個性もある程度出しながらやっていける人が、いるんですよ。そういう人は普通って何だとか、そんな疑問を持たない。

それで、普通っていうことに疑問を持ったり反発すると、普通にできないのかって言われたことがあるんですね。それで普通って何だよっていうわけでしょ。普通の人にしろって聞かれる人が普通じゃないと。分かります?もっと言うと、普通、普通って何だよっていう、普通に反発する奴が普通じゃないんです。普通の人が普通に反発する必要はないですから。

花梨:そうですね。普通ということすら考えないというか。

杉谷:そうそう。一応補足しておくけどその、まあなんだろうね。別に個性でもってやっていこうとかっていう、いろんな人がいろんなこと言ってて。教育現場とかでも特にそれがあのー、非常によく言われるじゃないですか。僕は半分合ってて半分間違ってるなと思ってますね。

一つは、だって人間って誰しも普通じゃない部分持ってて、それが目立つか目立たないかって話だと思うんですね。ただ、個性を出していこうとか、その困難を支えようとかね。この無名人でもいろんな人が言ってたけど。ただ社会は、そういった人たちの夢を、夢というか思いを実現するにはまだまだ。まだまだ社会は、うーん何て言うんだろうな。未熟って言い方もあれだけど、かけ離れてるっていうのはあるし。やっぱり普通じゃない生き方ってむっちゃしんどいんですよ。そこをやっぱり捨象して、自分らしい人生楽しいよみたいなことだけを言うのは、僕はちょっと卑怯だと思うね。はっきり言って。

僕の知り合いとかでも、起業家の人とか、要するにらしさを全開にしてきた人っているけど、そういう生き方ってむちゃくちゃしんどいんですよ、実は。自分に素直になったら、すごく生き生きして生きられるってみんな思うじゃないですか。違うからね、それは間違ってる。ものすごい努力してる、実は。そういう人たちは陰で。それはやっぱり、言わなくちゃいけない、誰かが。普通に自分らしくっていうのは、適当にわがままにやってればいいってことじゃないっていうことを、ちゃんと責任ある大人がもっと伝えなきゃ駄目だと思ってます。

だから、組織とかも守られてるよなとかって言うけど、組織の中で生きるっていうのはものすごくね、楽というか、ものすごいアドバンテージなんですよ、人の人生にとって。例えば、所得税とか、いろんな税金を全部組織がやってくれるんですよ、これだけでも相当楽なんで。あとは、例えば病気や怪我をして休職したときも、ある程度保険があれば、組織は保護してくれるわけじゃん。ところが自分らしく生きるとか、組織のしがらみが嫌だ、私は自分らしくやるんだっつってやってる人たちが、突然病気や怪我になったら誰が守るって言うんですかって話ですよ。

そういうことをちゃんと考えて教育してますかって話ですよ。要するに、今のちょっとだいぶ深い話だったけど。要するに、今何が問題かって言うと、個性を出さなきゃいけないっていうのが無個性なんですよ。これも、らしさっていう歌にあるんだけど。その無個性のせいで、本当は組織とか社会の中で頑張れば順応できて生きられて、そっちの方が合ってる人が無理やりそういう変な方向に引っ張られていないかって話。あんまりそこに、夢をつぎ込みすぎない方がいい。夢のない話だけど。だって、全員が全員そんなSNSとかやってるみたいな、私は僕はすごいスターみたいになれるわけないじゃん。って思いません?

あっ、あとその延長でもうちょっと話をすると。私は一応発達障害なんですけど、いわゆるギフテッドっていう議論があるじゃない。

花梨:あーありますね。

杉谷:あるアナウンサーが自分の子どものギフテッド・発達障害の話をしていて、驚きましたよ。彼が発達障害に対して社会が理解すべきだという根拠に持ち出したのが、野村総研という組織が試算した子供たちが持つ才能が生かされないことが2兆円の損失だというデータだったんですよ。あれを読んだときは驚きましたね。あのー言っていいですか。金かい結局って話なんですよ。結局、金かよっていう。調べてみてください、ギフテッド、アナウンサーで出てくるはず。調べて、もしあれだったらリンク貼ってもらってもいいですけど、見つからなければ僕が探しますし(出典は下記に明記)。いやびっくりしますね、金なんです結局。嘘だろと思いますよね。散々個性が大事だとか何とかって言って。計算の結果もよく分からなくて、どうやって計算すんのと思いますけど。2兆円ですよ、2兆円。こんだけやっておいて、結局金かいっていう。そういうことじゃないじゃないですか。才能のない人たちとかで、発達障害とか障害を持ってる子たちは生きてちゃいけないんですかって話になりますよ、こんなの絶対おかしいですよ。なんで個人の個性の話とか生きやすさの話が突然銭金の話になるんですかってことです。
こんな馬鹿げた議論はやめるべきです、本当に。これ何考えてんだと思いましたね。別に、金は大事ですよ。金は大事だけど、個性を生かすとかそれこそ生きやすい社会をつくるって、そういう話じゃなかったじゃない本来。じゃないでしょ。何を言ってるんだと思いましたね。

出典:

あともう一つ、ギフテッドって致命的な言説の欠陥があって。何かっていうと、本人の子供はそれを与えられると望んでないのに、与えられたっていう、特別のプレゼントをされたっていう風に言われてることで。これは非常に欺瞞だと思います。何かっていうと、プレゼント、ギフテッドって与えたとか、与えられてるんでしょ。けど、その子は望んだの? それをって話なんですよ。
僕がギフテッドだったら、こう言いますね。「ギフテッド(贈り物)だって言うんだったら、あなたは神さまのコールセンターの番号知ってます?クレーム入れて返品したいんです」と。だって頼んでないのに押し付けじゃないすか。悪徳商法です、即返品ですよ、こんなの。何で返品できないんですかって思いません? 
でも、悲しいことに、このギフテッドっていうのは、親御さんがすごく支持している現実があるんですよね。自分の子供は特別だって思いたいということですね。ギフテッドって、一般的な生活の中で苦手なものとかもあるんですよね。だから、そういうのも励ましというかさ、そのためにやってるわけじゃないですか。でもね、私はそれをね、あなたは特別なんだよとかっていうのを、子供に押し付けるのはね私はね、下手をすればねDVになりかねない非常に危ない、今岐路になってると思うんです。

その子の意思を尊重するべきです、まずは。だし、そういう子たちだって、組織の中で普通に生きた方が遥かに楽っていうパターンもあるんですよ。そこを見落としちゃいけない、絶対に。選択肢は常に多様であるべきだけど、その選択肢を強要したりとか、ましてやそれを、その子望んで生まれてきたからそうだったという風に、押し付けるようなことがあっちゃならないっていう。ちょっと喋りすぎたね。

過去:その状況下になっても、結果を知ってもなお、そういう風に言うんだこの人って、僕は思ったのを覚えてて。

花梨:幼少期の頃は、どんなお子さんでしたか?

杉谷:ろくな思い出がないのであまり話したくないんですけど。

花梨:話せる範囲で大丈夫ですよ。

杉谷:なんかすぐ泣く子供、騒がしい子供ですね。今だったら発達障害ってことで、多分スクールとか、心療内科とか通っていたかもしれないですけど。

花梨:その頃、お好きだったことはあります?

杉谷:電車が好きだったことを覚えています。

花梨:電車のどこがお好きでした?

杉谷:電車を見るのが好きで、『鉄道ジャーナル』とかっていう本買ってたりしたみたいですよ。

花梨:小学校に上がってからはいかがでした?

杉谷:生き物、恐竜とか好きでしたね。

花梨:あー恐竜ですか。何の恐竜が好きだったとか覚えていますか?

杉谷:プテラノドンが好きでした。空を飛べるのかっこいいじゃないですか。

花梨:この恐竜は、どういうきっかけでハマったんですか?

杉谷:あーどういうきっかけでしたかね。図鑑を買ってもらったのは覚えているかな。あと映画がね、当時ジュラシック・パークがあったから、そういうのを見たりとかしてハマったのかな。しましたんばってんのかな。あと、図書館の図鑑とか見てハマったのかな。でもその後、恐竜よりもっと前に生きてた古生物ですよね。ウミサソリとか、ダンクルオステウスとか、アノマロカリスとか。そっちの方が好きになりましたね。

花梨:古生物は、どういったところが魅力だなって思います?

杉谷:今にはいない生き物だし、やっぱ昔にこんなすげえやつがいたんだっていうのは単純に面白かったです。知らないことがあるっていうことが面白かったですね。

花梨:昔から、知らないことを調べるっていうのがお好きだったんですか?

杉谷:かもしれませんね。

花梨:中学校時代はいかがでした?

杉谷:中学校もいい思い出はないな。いい思い出がない、あんまり。ちょっと部活もあんまり上手くいかなかったし、そんなに良くないな。

花梨:中学校までで、特に印象に残ってることはありますか?

杉谷:印象に残ってること、何かなー。よく恐竜とか、いろんな博物館の展示みたいなのを昔やっててね。恐竜展とか、昆虫展とかそういうのをいろいろ連れて行ってもらったのは覚えてますね。あれは楽しかった思い出がある。

花梨:それは、小学校ぐらいの話ですか?

杉谷:そうですね。中学は行ってからあんまり行かなかったけど。中学3年生で結構重要な転機があるんで、その話をしてもいいですか?

花梨:いいですよ。

杉谷:中学3年生のときにね、私には兄がいるんですけど、彼が本を買ってきたんですよ。その当時は、年齢ばれちゃうけど当時2005年で。戦争が終わって、ちょうど60年だったんですよね。戦後60年フェアってやってて、そこでいろんな本が出てたんですよ。

その中にあったノンフィクションのある本があって。それを読んだときもうね、さっぱり。簡単に言うと、アジア・太平洋戦争開戦時の、内閣総理大臣東条英機に関する本だったんですね。その本を読んで、もう全く意味が分かんなかったんです。知らない用語ばっかり出てくる。意味が分かんないのが恐ろしくて。びっくりして。もっと調べないといけないと思ったのを覚えてます。

花梨:調べないといけないって思ったんですね。

杉谷:当時から歴史はまあ、それなりに好きだったんで。どっちかといえば戦国とか、中世とかが好きだったんですけど。なんか2005年ぐらいってちょうどやたら戦争ものやってて、たくさんね。硫黄島からの手紙とか、父親たちの星条旗とか。いろんな戦争のドラマを今よりずっとやってたんですよ。本当にメディアがすごい熱心にやってた頃があって。

あなたが今おいくつか分からないけど、あなたの小さい頃よりもはるかにあったと思う。で、そんななかで僕が一つ気になったのはね。日本って昔イギリスと同盟結んでたんですよ。日英同盟ってのがあって。それを結んだのに、その後日本はイギリスとも戦争するわけですよ。これね、当時社会科の先生に、なんでイギリスと仲良かったのに戦争になったんですかって聞いたんですよ。そしたら先生は、それを自分で調べなさいって言ったんです。今だったら答えは一応言うことはできますけど、まあでもやっぱりそれをちゃんと自分で調べないといけないんだなって思ったのを覚えてます。

花梨:その後ご自身で調べられたんですか?

杉谷:調べましたね。とりあえず当時を生きた人たちの話を読もうと思いました。そういう訳で、高校時代からは、当時の政治家の回想録とか日記とか、そんなんばかり読んでました。分からなかったけど面白かったですね。例えば、二・二六事件で襲われた、まあちょっとあなたには難しいかな。歴史の話なんだけど、二・二六事件で襲われた岡田啓介っていう方がいるんですよ総理大臣で。要するに、二・二六事件って軍人がクーデターを起こして、総理大臣を襲撃するんですよね。で、そこで岡田啓介がどうやって逃げたかみたいな話も、結構ねユーモラスに書いてあって。それがすごい面白かったのと。

そうですね。あとーそうですね、僕が覚えてるのは、いろんな人の日記、回想録も読んだ中で、若槻礼次郎っていう人がいるんですよ。今多分知っている方もいないと思うんですけど、彼は島根県出身の、首相をやった人間ですね。古風庵回顧録という本を書いてて。回顧録を読んだときに、若槻っていうのはすごい頭のいい人だと思ったんですよ、すごい。文章が、だって、”さて何から話そう”から始まるんですよ。小説が始まったっていう風に思ったんですよ。で、読んでたら結構、鮮明に当時のことが書いてあって。ただ1点思ったのは、ちょっとごめんなさいね、歴史のちょっと専門の話をすると。

昔、日本が中国に対して、対華21カ条要求という外交をやったことがあったんですよ。要するに、中国に対してもっと強く出たことがあったんですよ、日本がね。今だったら考えられないけれども、そういうことがあったんですよ。でも、教科書なんかを読むと、その当時の外交を担った人たちっていうのは、協調外交、要するに中国ともっと仲良くしようという人たちが中心だったみたいなことが書いてあって。若槻も、どっちかと言えば平和主義的な政治家だったみたいな。書き方というか、そういう印象を持ったんですね、僕は。ところが、若槻が、当時の対華21カ条要求のような対中外交は正当だと言ってるんです。それ何でかって言うと、彼の上司っていうのかな、それにあたる加藤高明(外務大臣、内閣総理大臣経験者)という人がその外交を基本的に進めたからというのはあると思うんです。ただ、戦争で焼け野原になった後でも、若槻はやっぱり、中国にあの時強く出たのが良かったって言ってるんですよ。彼は、回顧録でハッキリと。対華21カ条要求についても歴史的にすごい議論されてて、いろんな評価が出てるんですけど。ただ、普通ならやっぱり強硬外交が戦争を招いて日本を焼け野原にしたみたいなこと言いそうじゃないですか。反省というか、今にして思えばよくなかったみたいなこと言いそうなんですよ。でも若槻は違うんですよね。その状況下になっても、結果を知ってもなお、そういう風に言うんだこの人って、僕は思ったのを覚えてて。教科書で若槻とかそういう人たちが、みんなちょっと仲良くしようと言っていたのは間違ってんじゃないよって思ったのを覚えています。

ごめんなさいね。あなたにとっては非常に難しい話だけど、簡単に言うと、教科書に書いてあることと、違うことが日記とか回想録であったんですよ。印象と違うんじゃないっていうことがあったんですよね。高校時代にそういうのを読みながら、やっぱりちょっと大学でも歴史をぜひ勉強したいと思ったんですね。

花梨:なるほど。そして、大学では歴史学を。

杉谷:そうですね。4年間学部で歴史を学んで、2年間大学院行ってっていうような状態ですね。

花梨:実際に学問としても学ばれてみていかがでした?

杉谷:いやあそうですね。よく言うのは、研究で歴史をやっていると面白くないみたいな話はあるんですが。僕はすごい面白かったですね。よく当時の学部の先生に、議論をふっかけに行ったのを覚えてます。今にして思えば、赤面の限りではあるんですけど。でも、それぐらいやっぱり面白かったんでしょうね。大学時代は人生で一番面白かったです。

花梨:議論をふっかけに行ったのは、どうしてですか?

杉谷:語り合いたかったし、いろんな意見もどんどん知りたかったし。もうやっぱり、今も本読んで研究とかもしてますけど、やっぱり学部時代のあの頃の、知らないところをどんどん知るようになっていく、あのわくわく感っていうのは、残念ながら今ないですね。それは、今でも、知りたいとかこの本が大事だって買うんですけど。やっぱりね、あのー違いますよ。博論書くっていうのは多分、普通の人は本と論文あわせて1,000ぐらい読むと思うんですけど。どうだろう。私はほんと論文で800ぐらいは読んでると思うんですけど。

今でもそういう初心を忘れずやってった方がいいと思うんですけど。やっぱり僕の場合だとね、この論文とかこの本、これ読めてないなとかって分かっちゃったりするんですよね。それはそれでまた面白いんですけど。ただ、面白さの質が変わってきましたね、簡単に言うと。面白さのあり方が変わってきた。今も研究がつまらないとは思わないですよ。思わないですけど、変わってきましたね。

学部時代のフレッシュな頃の、図書館に行って何から読もうみたいな。本がズラーって並んでいるんですよ。えっ何から読んだらいいの? みたいな。どうしようみたいな。何から読んだらいいかって、実際に言いましたね。どうしたらいいかって。訳わからんまま勉強してたんですよ、貪るように。あの頃のやっぱがむしゃらな感じっていうのは、もうちょっと今は、また違う面での喜びとか、いろんなものをまた見つけてるんですけど。やっぱり今思えば、あの頃が一番楽しかったですね。あの頃が一番、確かにやっぱ面白かったです。大学時代の4年間っていうのは、本当にいい4年間でした。

花梨:その後修士課程に進まれたんですよね。

杉谷:そうですね。

花梨:その時代はいかがでした?

杉谷:その時代はまあどっちかといえば、結構博物館でのバイトがあったりとか、後は修士論文レベルになると、ある程度研究にもっと踏み込まないといけないので。どっちかといえば修論をより良くするためにどうしたらいいかというのを考えていましたね。

それはそれで面白かったですけどね、マスターはマスターで。面白かったですけど、やっぱ2年は短いですね。短かったですね。

花梨:あーそうなんですね。

杉谷:あっという間に終わっちゃいました。楽しかったけどね。

花梨:それから博士課程に進まず、一度就職されたのは、どうしてだったんですか?

杉谷:当時は、兄が大学院の博士課程後期課程に行きたいって言ったのもあって。あと、やっぱり歴史学で博士行ってからも、なかなか仕事が難しいっていうのは。僕の時代とか、今でもずっと言われてますけどね。

やっぱり、自分もいろんなところで報告をするんですけど、あんまり自分の報告が、なんて言うか、難しいね。オブラートに包んで言うと、あまりいい反応じゃなかったんですよ。自分でも、やっぱあんまり手ごたえがなかったんですよ。やっぱりドクターに行くよりは就職してしまった方がいいと思ったんですよね。当時、僕はもう博論を書こうとは、ちょっと思ってなかった、正直言って。

本読むのとか好きだったけど、やっぱり勉強と研究って違うから。だから、僕は勉強はできても、研究者としては、あんまりいまいちだったなと思ったんですよ。ちょっと修論も割と迷走したところがあって。修論の報告会も結構厳しい反応で。ちょっとまあ、もうやっぱやめて正解だったなと思ったのもありますね。今にして思えば、まあ、でも仕方がなかったね。当時はそれ以外の選択肢がなかったんで。

花梨:博論で、研究をまた開始しようと思ったのは、どういったきっかけがあったんですか?

杉谷:2年間で、日本全国を本で営業する仕事をやってたんですよね。そこでやっぱり何回か体調崩す、精神的にも肉体的に体調を崩すことが続いて。ちょっとやっぱりどっかで、続けられないなって思った瞬間があったんですよ。

それは決してその、当時の職場がすごいいじめやパワハラがあったとか、そういう事実は断じてないんですが、自分自身の中で限界を感じて。その会社に残って仕事をすることに限界を感じたんですね。今でも、その会社の人が何人か付き合いはあるんですけど。辞めるってなった時に、辞めて何したいって話になったら、ちょっとやっぱり論文書きたいなと思ったんですよね。その時に、大学院の指導教員に相談をして、それだったら発表する場所とかあるよっていうことで紹介してくれて。まあ発表しましたね、仕事辞めてから。

それからすぐに、修論を元にして論文を書きましたね。まず2本書きました。さらにそこから調べてもう1本書きました。で、その頃はもう、仕事を再就職してたんです。だったんだけど、やっぱり仕事がすごく忙しくなってきた時期で。ちょっとね、精神的にも。忙しくて余裕がない時期だったんですね。

そんな時に、大学院時代の指導教官が、博論を書くんだったら、論文博士でいいから、絶対に面倒を見るからっていう風に言ってくれたんですね。それがすごい嬉しかったのと、あと異動があって。そこの仕事が思いのほか面白くて、ちょっとずつ仕事に慣れてきたのもあってか、余裕が出てきたんですね。そうなって研究を進められたときに、ある知り合いの研究者のつてもあって、ちょっと大きい学会で報告してみないかっていう誘いを受けて。そこからもう一度研究が、もう1回エンジンがかかったっていうか。2017年にかかったのが、2020年にもう1回エンジンかかったって感じですね。で、それからもう3本書いて、博論にしたというような形ですね。

未来:1日の中であなたが実現したいと思ってることに対して、何かちょっとでも時間を持って、絶対それに対する時間を使ってください。

花梨:未来に対してはどういったイメージをお持ちですか?

杉谷:未来ですか。未来ね。未来、未来、未来。そうだなー。やっぱり生涯研究者ですね。そうであればいいなと思ってます。研究してきたこととかで後悔した時期もありましたけど。もうやっぱりね、ここまでやってきたら、もうこれでいくしかないなって思って諦めます。いい意味でね。

諦めるっていうのは、みんなすごいネガティブに捉えるんだけど。諦めるって要するに、今を受け入れるっていうことだから、そんなに悪い意味ばっかりではないんですよ、実は。自分が嫌いとか、あんまり好きじゃない自分を受け入れてもいいじゃないですか、別に。自分を好きじゃなきゃいけない理由なんてないし。こんな自分しょうがないなって。こんだけ本を読んでいても、一生あっても読みきれるかどうか分かんないですよ。全部なんて当然読めてないし。時間もないし。だけど、こんな自分本当にしょうがないな、どうしようもないなって思いながら生きてます。まあ10年後も、こんな自分しょうがないなって思いながら生きているんじゃないですか。そうであればいいなと思ってます。はい。かっこつけすぎたかな。

花梨:10年後も、今のままで。

杉谷:今のままで研究を続けられればいいなって思っています。

花梨:今後の研究の進め方のイメージはありますか?

杉谷:本には是非したいなと思ってます。書籍化ですね。やっぱりいろんな人に読んでもらって、やっぱり批判とかその意見を聞きながら、自分自身を、さらに研究者として伸ばしていきたい。

花梨:もし、本を出すことができたら、杉谷さんはどういったお気持ちになりますか?

杉谷:そうですね。一つの区切りがついたかなと思いますけど、また次の再スタートですね。研究に終わりはないので、まだまだ。今年に入ってからもう1回既に報告して、この後9月ぐらいにもう1回報告するんですけど。それは、これまでの自分のやってきたテーマとはもう全く違うことやってます。でも2つとも、すごく自分は意味があることだと思って今やってるので、誰に何と言われようと、これをやめるつもりはありません。困ったもんですね、本当に。

花梨:そうしたら、2つのテーマを今後も膨らませていくというか。

杉谷:2つを膨らませていくのもあるし、まだまだ書きたいことが山ほどあるんで。それを1個ずつ形にして実現して、研究報告をしては批判を受け、論文を投稿してはそれぞれいろいろ修正をされながら、論文を1つずつ形にしていくと。論文で形にすると、後世に残るんです。そうだ生きた証を残したいのかな。生きた証を残したいんでしょうね、こんなどうしようもない奴も生きてたよって。あと思うのは、ほとんどの人が学部か修士を修了して就職したら研究やめるんですよね。あいつセンス良かったのになーっていう人もいるんですけど。

そういう人に言いたいのは、論文博士っていう道はありますからということですね。働きながらでもやれることはないんですよ実は、全然。僕みたいな、ほとんど何の才能もないけど、そんなやつでもできたから大丈夫。できます。本当に、自分があーこれもやらなきゃいけないと思うんだったらできます。そこに理由なんかないんですよ。好きなのと、誰かがやらなきゃいけないのに、できてないから俺がやるっていう、そういうイメージなんで。

花梨:誰もやっていないからやる、ということですか?

杉谷:まあ、そうね。二つかな。自分がやりたいってのもあるけど、それと同じくらいに、誰かが本当はやらないといけないのに、ほったらかしになっているやつを自分がやるって感じですね。

花梨:もし、東条英機を始めとした回顧録を読むことがなかったとしたら、杉谷さんはどういう人生を歩まれていたと思いますか?

杉谷:どういう人生だった、かー。でも、僕普通に家庭を持って、子供生まれて、お父さんやって、サラリーマンやって、良きパパとして頑張るっていう未来はなかったと思いますね。多分、歴史学とか、ここに入ってくる本が、例えばそうだな、レコードになったり、あるいはアイドル、アニメのキャラのフィギュアになったり。あるいは、全く別の学問、それこそ古生物学とか、恐竜とかそういったものになったり。あるいは僕大学時代演劇やってたんで、演劇やってたかもしれない。演劇に、もう将来を捧げてたかもしれないし。あるいはそうだなー。もしかしたら、お酒を作っているかもしれないですね。

いろんな可能性あると思うけど、多分でも何か1つの事をずっと熱中してやれるというか、オタクというか。そういうような気質は変わらなかったと思うんで、それを多分1人でずっとやってたんじゃないかなと思いますね。変わらないと思います、生き方の本質は多分。それがたまたまハマったのが、ちょうどその時期にあった歴史で。

どうやら博論を書いていた時に気づいたんだけど、たぶん自分は研究に向いているらしいんですよ。あまり向いていないかなとばかり思ってたんですけど。最近ね、不思議なもんで学会とか行くと、いやー、あなたは働きながら博論書くなんて大したもんだって、大学の先輩とかがすごくほめてくれるんです。後輩の研究者も、杉谷さんみたいに僕も働きながら書こうと思ってるんで憧れですとか。人生で初めて憧れられたので、嬉しかったですね。どうやらね、研究は多分向いているらしい。ラッキーだった。向いていることに出会ったのはラッキー。それはね、最近周りに言われて気づいた。

これもね、やっぱり褒められた時に、あなたも覚えといたらいい。皮肉を言うやつなんか無視したらいいけど、褒められた時にちゃんとありがとうございますっていうのは大事。謙遜したら、えっ褒めた私間違ってる? ってなっちゃうじゃん。これはある人に言われたの。人生の大事な教訓です。まあ、生き方は変わらなかったんじゃないですか。歴史かは分からないけど、何か一つに熱中してハマるっていうのは変わらないと思います。

花梨:向いているというのは、ご自身でもそう感じられてますか?

杉谷:周りに言われて、いやでも言われてみればね、仕事終わって帰ってきてご飯食べたら、さあ本読むぞ、さあ論文やるぞって、普通の人はね、できないらしいんですよ、あんまり。大学の先生でも、これが疲れるとなかなかできなくなるっていう。あの、普通の人はできないらしいんですよ。僕はよく分かんない。普通の人をずっと見てるわけじゃないから分かんないけど。それができてるってことは、あーなんか自分向いているらしいなっていうことに気づいて。で、言われてみれば向いてるのかもしれないと、最近自分でも思うようになったということですね。

花梨:基本的には、お仕事を終えてから、研究に取り組まれるっていうスケジュールなんですか?

杉谷:そうですね。基本的にはね平日夜とか研究したり、土日も予定があったりする日もありますけど、午前中とかで取り組んだりしますね。

花梨:じゃあもう、お仕事以外の時間は割と研究に使っているんですか?

杉谷:研究、そうね。だけれど、結構動画見たりとか。温泉に入って日本酒飲んだりとか。そういう他の趣味ももちろんありながら、やっぱり研究もずっとやっていくっていう。生涯研究したいっていうか、そうしないと生きていけないですね。ははははは。生きがいがなくなっちゃうから、それは駄目ですね。

取り留めのない話になっちゃったけれど。これ聞いておかないとインタビューが成り立たないなんてことがあったら、聞いてください。

花梨:ありがとうございます。最後に、言い残したことはありますか?

杉谷:言い残したこと、言い残したこと、言い残したこと。いやーそうですね。ここでなんか、若い人たちに向けてエモいこと言ってみたりとか考えたりもするんですけど。そうだなー。えっとー。2ついいですか?

花梨:いいですよ。

杉谷:まず1つは、さっきの発達障害とか、特性の話なんですけど。僕たちって別にポケモンじゃないから、この子の特性はこうだから、これに合ってるとか。僕は発達障害だから研究に向いているとか、そういうこと言われるの、僕すごい嫌で。別に発達障害がないとできないなんてことないじゃないですか。

かえってそうね、発達障害っていう、何て言うのかな。個性を認めようとしてかえって、その個性に縛られてないみたいな部分が、すごく気になってて、以前から。だから、例えば、私はこういう傾向があるとか、分かるんだけど。何て言うのかなー。結局最後に自分の人生を決めるのは、その子なんで。その子の人生はその子にしか生きられないので。

悔いがないようになんて、よくみんな言うんだけど。悔いなんて絶対残るから。まー、そうねー。ほどほどに。ほどほどに諦めて、ほどほどに挑戦して生きるってことですかね、1つは。それはもう若い人だけでなくて、これからを生きる人全員、ほどほどに諦めてほどほどに挑戦することですね。全部挑戦するとしんどいし、全部諦めたらもう居場所がどん詰まりになっちゃうから。ほどほど、全部。何もかも挑戦するとか、どっちかって決めなくていいから、ほどほどでいいと思います、ほどほどで。

もう2つ目は、これはね、何か、ほどほどにっていうのは、これ全体の人ね。もう1つは、研究に限らず何かを成し遂げたいやり遂げたいっていう人に向けて、ちょっと僭越ながらメッセージを。1日の中であなたが実現したいと思ってることに対して、何かちょっとでも時間を持って、絶対それに対する時間を使ってください。これが、物事を長く続けて結果を出す一番の近道です。

これ何でかっていうと、結果を出せない人とか、なかなか苦しんでる人とかの話を聞いて思ったんですよ。今日は1日めっちゃ仕事きつかった、頑張ったわ、今日はもう寝るか、寝よ。今日はもう仕事ですごく遅くなってしもうたー、寝よ。今日も昨日も仕事頑張ったし、寝よ。あっ何もあのことに対して進まなかったな、でも疲れたし寝よ・・・こういうことが、7回あると1週間ですね。それが、4回ちょい続くと1か月ですね。それ×12が1年ですよね。

だから、何かを成し遂げたいけどできないって言っている場合、非常に厳しいことだけど、そういう事実があるケースがいくつかあったんですね。そういう人は大体積み上げがない。そんなこと1日だけ、よしやるぞってやっても無理ですね。1日全部費やすんだったら、1日の半分ぐらいは温泉とか酒とかの趣味に当てて、残りの半分で研究します。1日ずーっと研究しないっていうのは極力しないです。趣味で大体週一ぐらいで水泳するんですけど、泳ぎに行った時も一緒です。半日は研究に時間を使います。一日どうしても時間が全部ふさがってるっていう時もあると思うので、そういう時は1日に10分でも20分でもいいから研究とか勉強時間を作ってます。1日絶対その時間を入れること、ですね。

何かを成し遂げたいなら絶対それはやった方がいい。才能がある人だったらそれがなくてもできるけど、自分凡人ですとか、才能ありませんという人が、才能のない凡人の僕の話をちょっと聞く意味があると思います。僕、私は成功者だとかいって偉そうにしているコンサルとか経営者なんかよりもよっぽど聞く価値があるんじゃないですかと思います。

花梨:1日何分でもいいから、触れると。

杉谷:自分が成し遂げたいこと、ものに触れるんです。触れる時間を作る。これです。
それがなぜかというと、休日でもちょっとはやるっていうモチベに繋がるはず。それって絶対できるとは限らないけど、確実に、その物事に心の重力、気持ちを引っ張られていく、これが大事。

大切なのは気持ちを維持することです。自分で気持ちを逃しちゃ駄目。これ書こうと思ったけど無理かなとか、私にはできないからってその気持ちが離れちゃうと。もうね、そのことが嫌いになっちゃったり、無関心になっちゃうとおしまいだから。何かをやろうと思ってる人、何か1つのものを形にしようと、例えば小説書こうとか、歌作ろうとか。いろいろあるじゃないですか。漫画書くとか、博論でも何でもあるじゃないですか。

何か1つ思い浮かべてね。1日も休まずっていうのは、別に5分でも10分でもいいんですよ。それは、思います。絶対に自分の気持ちを、魂を、その物事にとどまらせないと駄目。そうじゃないと物事は大成しない。絶対ではないけど、大成しない可能性が非常に高い。すごいややこしい、飲み会のおっさんみたいな話をしてしまったね。

変わり者、人と違う人生を生きるのってやっぱり大変だから、面白いところもあるけど、やっぱり人より努力したり、いろいろとやらないといけないことも増えてくるから。まあ大変なんですよ結局は。無名人のインタビューとかでもいい意味で変わった高校生の子とかも多いから、そういう子たちにはちゃんと大変なこともあるよということを、嫌味や足を引っ張るという意味じゃなくて、伝えないといけないかなと思ったりはしてます。

花梨:お時間も近づいてきているので、もし何かあれば。

杉谷:本当にこんなんでできる?大丈夫?

花梨:大丈夫ですよ。面白く、話を聞かせて頂きました。

杉谷:無名人の題名がね、すごいいいなと思うんですよ。すごくあの、センスがある。なんちゃらして、なんちゃらしようとする人みたいな。黒と赤の字で書いてある。あれはすごいセンスを感じるんですけど、あれはだからインタビュー見て誰かがつけてくれるんですね。

花梨:そうですね。この無名人インタビューの主催の方が毎回つけてて。

杉谷:あの人か。なるほど、まあじゃあちょっと、それを楽しみにしていましょう。なんか似顔絵書いてもらえるみたいで、わくわくします。

花梨:そうですよね、それをよく言っていただけます。

杉谷:似顔絵を書いてもらってるみたいな感じで、すごくわくわくします。気長に待ちますんで、またよろしくお願いします。

あとがき

研究の話や日本酒の話など、知らない世界をいっぱい体感させてもらったインタビュー。

インタビュー最後の『研究に必ず触れる時間を毎日つくる』という姿勢が、研究やその他好きなことに対する自信や熱量を生んでいるのだと、とても学びになりました。

改めて、杉谷さん、インタビューへのご参加ありがとうございました。
次回の無名人インタビューもお楽しみに!

【インタビュー・文字起こし・編集・あとがき:花梨】

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