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声の文化と文字の文化

インタビューを終えて、だいたい一か月くらいすると(その時の状況により一か月よりも早い場合もあります)、インタビュー原稿をお送りすることになります。

そのときにですね、けっこう、こういった反応があるのです!

いやーほんと、こういうのは、ぜんぜん気にしないでくださいね!!!
(気にしないでって言っても、気にするのはご本人の自由なのですが)

確かに、無名人インタビューの編集方針というのは、口癖や口調など、話したありのままをなるべく保存する、というものです。
なので、インタビュー原稿を始めて目にすると、自分の口癖や、繰り返し発言といったものを目の当たりにすることになるのです。

自分ってぜんぜん論理的に喋ってないな、とか。

質問されたこととぜんぜん違う答えを言っちゃってるな、とか。

「〇〇だけど」って語尾をめちゃくちゃ使ってるな、とか。

こういう風に思って落ちこんでしまう方もいらっしゃるのですが。
まあ、これは結局、人生で初めて鏡を見たようなものですから、ショックを受けるのもいたしかたない、と思います。
自分の話し言葉を客観的に見る機会って、なかなか、ないですからね。

でも、その反面で、考えていることをバチっと書いてある文字のように話すことは、かなり難易度の高いことで。

考える
分かりやすいように並べる
話す

ということをしなければいけないんですよね。

一方で、わかりにくい、嫌だなあ、と思われる話し方が、

考えながら話す

というものなんですが。

私qbc自身は、「考えながら話す」ほうが好きですし、自分自身も壊れた話し方を好みますし、なんでしょう。

「ラフスケッチ」と「完成された絵」って、その魅力は、違うものじゃないですか。
私はね、スケッチの、対象を捉えようとして何度も描かれた線のほうが美しいと思うんですよね。

「話す」に関しても、そうです。
言い淀み、言い直し、これじゃない、あれも違う。
もがき、あがき、自分の意に沿った表現を探す姿。
むしろそれこそ、そのほうが、人間ぽいなと思います。
自分の言いたいことはなんなんだ、ともがいている姿のほうに、人間味を感じます。

私、テレビ通販の仕事をしていたときに、芸能リポーターの東海林のり子さんに商品プレゼンしたことがあるんです。(今時の若い人は東海林さん知らないかな、今調べたら御年89歳でした。)
プレゼンというか、2,3分商品説明しただけで、
「ああ〇〇の商品ですね。〇〇な人たちに好かれそうですね」
とめちゃくちゃ芯を捉えたコメントをいただいて、あーやっぱり第一線にいた人はすごいなと思ったことがあります。

まーすごい人はすごいですよそりゃ、何回も何回も何回もしているんだから。
もちろん、頭で考えたことを高速台本化して話すって技術を身につけることもすばらしいです。

でも、自信をもって、自分のまだ形にならない考えを話すことのほうが、とても素晴らしい。価値がある。
というか、そのための相手としてインタビュアーがいると思っていただきたい。
あなたの考えを形にするお手伝いをする、と思ってもらってもいいですよ。

てか、でも、それと、自分の考えがそのまんま出るのがいやだーって方、そういうサービスはあります!
こちらの有料プライベートインタビューで、言い淀みや形にならない迷いの助走部分を編集いたします!

思わぬ宣伝になってしまった。

ともあれ、現代は、文字を読む文化の大全盛時代です。

繰り返しっていうのは、文字になって嫌われた技法で、耳の時代の時には、めっちゃもてはやされた技法です。
音楽では今でも(今まさに)ループとかめちゃ好んで使われていますし。

どうか、文字文化の侵襲から、話す文化を守ってー、と思っています。

てか、私の血のつながらない小さい同居人は、今週いっぱい学校がインフルエンザ臨時休校になったので、パソコンでタイピングの練習してました。
彼もまた文字文化の世界に戦いを挑む騎士になってしまうのだった。

まあ、インターネッツの世界も、音声、動画のほうが多い世界になっていきそうですがね。

文字によって創られた幻想の薔薇園の終わりですね。
私たちは、ようやく、ひさしぶりに意味を捨てるぞ。

今日の音楽 今日はAdoさん以外ないなーって思いました。

今日の画像

ウォルター・J・オングの「声の文化と文字の文化」(原題: "Orality and Literacy")の世界観を捉えたハイパーリアリスティックなイラストです。このイラストは二つの対照的なシーンを描いています。一方には、古代の口承文化が描かれ、物語を語る語り手の周りに集まった人々が、物語に夢中になっている様子が表現されています。その表情は活動的で、雰囲気は暖かく共同体的です。もう一方には、読書に没頭している孤独な人物が、本や写本に囲まれた静かで瞑想的な環境の中に描かれています。このイラストは、活気に満ちた共同体的な口承文化と、内省的で個人主義的な文字文化の二極性を表現し、これらの異なる文化的文脈において情報や物語が共有され、知覚される方法の違いを際立たせています。

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