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必要としている人に、確実に本を届ける方法 #9

こんにちは、アンノーンブックス編集部です。

このマガジンのテーマは「1冊の本がどうやってつくられるのか?」。これまで、僕らの本づくりのプロセスをゼロからリアルに綴ってきたが、先日、それがとうとう形になった。

レゲエ・ユニット「MEGARYU」のボーカリスト、RYUREXさんの初著書何度だって生き直せが発売されたのだ。

「打ち合わせ→取材→原稿執筆→編集→校正→装丁制作→タイトル決定」いう基本の工程を行きつ戻りつしながら、最終的にどんな本に仕上げていったのか。

そして、なぜ僕らは「本をつくって終わり」にしないのか。今回は、そんなことをお伝えしていこうと思う。

*  *  *

あらためて、アンノーンブックスの新刊『何度だって生き直せ』の紹介をしたい。

著者であるRYUREXさんは、レゲエ・ユニット「MEGARYU」のボーカルとして、『Day by Day』『夜空に咲く花』『DEAR』など数多くのヒット曲をリリースし、デビューからわずか2年でオリコン1位を獲得という輝かしい経歴を持つアーティストだ。

だが、ボーカリストとして順風満帆、まさにこれからというタイミングで突然、痙攣性発声障害という喉の病気を患い、声を失った。歌声を失うことは、ボーカリストにとって命を奪われるのと同じくらい絶望的なことだと想像できる。

“てっぺん”にいたはずの人間が、いきなりどん底に突き落とされたらどうなるか。

現実を受け入れることができなくなったRYUさんは、自暴自棄に陥り、お酒に逃げ、周りの人たちにグチをぶつけるなど、相当荒れまくった。

ところがRYUさんは、仲間や家族に支えられながら“暗黒期”を過ごしている間に、とあることに気づいたという。そして、その“気づき”によって、次の人生に向かって進みはじめたのだった。

RYUさんが得た気づきとは、「必要なのは『生き直す力』だ」ということ。たった一度の人生を終わらせないためのキーワードは「生き直す」。「リセット」ではなく「リスタート」する力だろう、と。

それまでの経験を生かしながら、古い価値観はキッパリと捨て、新たな価値観で生き直したのだった。

コロナ禍がまだまだ続く中、多くの人たちが挫折やどん底を味わい、大きな岐路に立たされている今、RYUさんだけでなく、「生き直す力」は世の中から必要とされているのではないか。

生きる目的やビジョンを見失ったRYUさんの経験は、今という時代を生きる多くの人たちの背中を押し、人生を切り開いていくヒントになるのではないか。

そんな想いを込めて、「生き直す力」を身につけるための方法を熱く書いた一冊。それが『何度だって生き直せ』だ。

……多くの場合、編集の仕事はここでひと区切り。とくに大きな版元であれば、販売部や広告部、宣伝部といった本を売ることを得意とする部署の人たちにまかせることも可能だろう。そのおかげで編集の僕たちは新たな本づくりに専念することもできるようになる。

でも、僕らは違う。本をつくるだけでなく、つくった本を読者に届けるところまでが果たすべき役割だと考えている。なぜなら、そもそも僕らの本づくりの目的は、「本をつくること」ではなく、その先にある「本を読んだ人がアクションを起こせること」だからだ。

僕らの本を読んだことにより、何らかの気づきを得て、昨日とは違う新たな一手を打つためにアクションを起こす。そんなふうに読者の意識や行動が変わるところまで寄り添えるような本づくりをするのがアンノーンブックスの哲学でもある。

もちろん、大手の版元のように、派手な広告を打てるだけの潤沢な予算は持ち合わせているわけじゃない。それでも僕らは、僕らが読んでほしいと思う人の手に届くような工夫をしたい。

じゃあ、そのためにアンノーンブックスとして何ができるのか?

結論として、僕らは今回の本『何度でも生き直せ』で、出版界の定石にはないクラウドファンディングというアクションを選択したのだった。

必要としている人に本を届けたいという想いは、著者であるRYUさんも同じだったからできたことでもある。

次回は、なぜ僕らがクラウドファンディングという選択をしたのか。その結果、どんなことが待ち受けていたのかをお伝えしたい。

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