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とあるコンビニ店長の憂鬱

いらっしゃいませ!の挨拶とともに憂鬱な1日が始まった。俺は50歳のコンビニ店長。自分の店を持ちたいという気持ちから、コンビニ店長になったが、実際は借金まみれの地獄を味わってる底辺。

使えない無能な学生バイトと頭のよろしくないお客さんばかりを相手にしてきたせいか、最近胃袋にポッカリ穴が開いてしまった。

平均睡眠は2時間。バイトをバックれた輩の分まで俺がやらなきゃならん。今日も朝っぱらからバイトリーダーのC子から人数が足りないから救援に駆けつけてくれと電話が入り、嫌々ベットから起き上がり歯磨きもせず、そのまま家を出た。

俺はカローラのセダンを猛スピードでダッシュさせ10キロほど離れた店へと向かった。

俺「おはよう。またB君バックれてんのか。しょうがねぇ奴だな全く。」

C子「そうなんですよ…私の方から何度電話かけても応答がなくて…私も後5分したら勤務が終了しますので、心苦しいですが後の方、宜しくお願いします…」

俺「たく、どいつもこいつも世話が焼けるぜ。こっから俺1人だが何とかやってみせるよ」

C子「また夕方ごろに伺いますので、宜しくお願いします…」

C子は俺の店を後にして、俺が全ての仕事を仕切ることになった。コーヒーマシーンの入れ替えや検品、トイレの掃除まで俺1人でやらないといけない。しかも朝はピリピリしたサラリーマン連中がこぞって店にやってくるから何もかも嫌になる。

腹いせにコーヒーマシーンに放尿したいぐらいだ。だがそんなことして客に訴えられたらフランチャイズ契約してる大元の会社からクビどころじゃ済まされない制裁を受けるだろう。

そうこうしている内に不快な入店音が辺に鳴り響いた。明らかに反社の人を思わせるような輩が店にやってきたので、動悸が走ってきた。心臓の動きがマックスになったその時、例の反社の輩がレジの前に立った。

客「タバコ。マルボロの12ミリくれ。」

俺「どちらの12ミリになりますか?ゴールドとソフトがございますが。」

客「んなのゴールドに決まってんだろ。頭の中にウジわいてんのか?」

俺「大変失礼致しました。ではゴールドの方で会計させていただきますね。」

客「あー、あとそれとよ、おでんもくれ。具は大根とつくね。」

俺「かしこまりました。」

俺は緊張のあまり手が震えてしまい、なんと大根を崩してしまったのである。 

客「おい、てめえ大根崩しやがったな。この落とし前どうつけてくれるんじゃ。」

俺「大変申し訳ございません…別の商品を無料でお渡ししますので、どうかお許しください…」

客「俺は大根が食いたかったっつーの。他の商品なんかいらんわ。代わりにてめえの歯一本もらっちょる。表出ろ。」

俺は命の危険を感じた。このイカれた反社に俺の大事な歯をやるわけにはいかない。俺は急いで事務所の中に入り、緊急事態の時にしか使えないデザートイーグルを取り出した。

客「お、おい待てい。」

俺「下がれ。少しでも抵抗すればお前の大事なムスコも吹っ飛ぶ。ことを大きくしたくなければ、早く出て行け。」

客「てめえ、この俺を誰だと思ってる。時雨会の若頭やぞ。そんな脅しで俺を制圧できると思うなよ。」

俺「ならお前の行為を抵抗とみなす。よってお前のムスコから撃ってやる。」

バーン(銃撃音)

客「ぎええええいいいいいいいい…よ、よくも俺のムスコを…お、覚えていろよ…」

俺「さっさと失せろ、ベイビー。」

俺はこのどうしようもない反社の客に捨て台詞を吐いた。

こうして反社の客は飛び散った玉を拾って足を引きずって店を出た。その直後近所の住民によって通報され、沢山の警察が駆けつけ俺は銃刀法違反と傷害罪によって現行犯逮捕された。

何故弱者ばかりが痛めつけられる不平等な世の中になってるんだと、俺は自問自答した。俺のコンビニ店長としての人生は終わりを迎え、返済し切れない多額な借金と罪を背負って、今日も淡々と憂鬱な1日を過ごした。

The End

担当:とろろ魔人

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