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サボリーマン、時空を駆ける

俺は今日も遅刻寸前で会社へ向かってる。昨日やらかしたミスの説教があると思うと憂鬱である。

俺は心の中で”時間よ、止まれ!!!”と強く念じた。その時不思議なことが起こった。なんと時間が止まってしまったのである。

俺以外身動きしておらず、電車の席の隣に座っている人に軽く触れても、全く動かないのである。こんなことが現実に起こり得るのかと疑問に思いつつも、電車の中にいるだけでは、埒があかないので無理矢理窓を開けて外に出た。

周りも一切動いておらず、皆まるで石像みたいになっている。すると俺の前に小柄な女が近寄ってきた。

女「あなた、動いているようだけど、もしかして噂の最強戦士サボリーマン?」

俺はなんのことかよくわからず、戸惑った。

俺「だとしたら、どうするんだ。」

女「だとしたら、こうするまでよ。」

急に謎の女が何やら刀のような武器を取り出し、俺を殺そうとした。こんなところで死ぬわけにはいかんと思った俺は必死に攻撃をかわした。

俺「おい、いきなり何するんだ、あぶねぇだろ。俺を殺そうっていうのか!?」

女「もちろん、そのつもりよ。あんたに生き延びられちゃ困るからね。」

俺「俺があんたになんか悪いことでもしたというのか。なんか悪いことしたっていうなら謝るけどさぁ。」

女「はぁ?あんたアホ?ここはね、最後の1人になるまで戦い続けなければいけないバトルワールドなのよ?それも知らないでここに転生されたってわけ?」

俺「何が言いたいのかさっぱりわからん。それよりもその刀しまってくれんか。目の前にあるだけでも不快だ。」

女「まぁ、いいわよ。バトルワールドに間違って転生されたっぽいし、今回は見逃してあげるわ。」

俺「なんなんだ、そのバトルワールドというのはよ。」

女「知らなさそうだから説明すると、自分の願いや欲望を叶えるために、最後の1人になるまで戦うゲームの為に用意された異世界空間ってわけ。」

どうやら俺は何か大変なことに巻き込まれているっぽい。それにしても何でこんな世界に転送されてきたのだろうか。

俺「何でこんなところに転送されたんだ。俺はちょうど会社へ向かってるところだったんだぞ。」

女「さぁ?そんなこと私に聞かれても分からないわ。それよりもあんた名前は何?私はアリサ。」

俺「俺はジョン・ドゥだ。宜しくな。」

女「変な名前ね。まぁいいわ。あんたさ、最強戦士サボリーマンに似てたからつい殺してしまうところだったけど、さっきのは私の誤解だから許して。」

俺「別に構わん。それよりも元の世界へどうやって戻ればいいんだ。」

女「元の世界へ戻りたければ、私をはじめとする他のゲーム参加者を殺す以外方法はないわ。今こうして見逃してやってるけど、いざ最後の1人になりかけたら容赦しないからね。」

俺「そ、そんな…誰かを殺らないと戻れないのか…勘弁してくれよ!!!!!」

俺はこんなうんちみたいな世界で死にたくないよ!!!と感情を抑えることができず、彼女が油断してる隙に刀を奪い、胴体ごと切り裂いた。

冷静さを欠いた俺は思わず、アリサを殺してしまった。

俺「お、俺はなんてことをしてしまったんだ…こんな酷い思いするぐらいなら上司に説教された方がマシだよ!!!!戻してくれ!!俺を元の世界に戻してくれ!!!」

と大声を出したところ、なんと地面が急にぐちゃぐちゃに崩壊し始め、俺は必死に逃げ切ろうとした。
さらに俺の頭の中で不快なアラーム音がずきずきと鳴り続け、もう勘弁してくれよー!!!と叫んだ瞬間、パッと目が覚めた。

アラームが鳴っており、俺は恐ろしい悪夢にうなされていたのだと気が付かされたのである。
しかも時刻は朝8時をまわっており、確実に会社に遅刻してしまう。

俺はバトルワールドで体験した出来事以上に怖い現実を突きつけられて唖然とした。

The end

担当:とろろ魔人

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