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短編小説『Smells Like Teen Spirit』

俺の名前は武野宇。
新卒で某ネコマークでお馴染みの会社に就職し、倉庫の作業現場へ配属された。

配属ガチャを思いっきり外し、絶望の淵へと追い込まれた。倉庫の現場というと基本頭のおかしい人しかいない。大声で喚き散らして日頃の鬱憤を晴らすクソ上司、まともに勉強せずに地元の不良として名を馳せた輩など、考えるだけで胃に穴が開くくらいストレスまみれな環境だ。

俺の代は配属ガチャを外したら即座に退職代行に頼って1日で辞める人が多いという。俺も退職代行を使って辞めたい気持ちは山々だが、辞めたところで俺みたいな無能に次の就職先などない。仕方なく俺はクソみたいな現場で今日も上司に暴言を吐かれながら仕事をする。

上司『おい、武野宇はやく荷物降ろせよ。』

俺『す、すみません、腰が痛くてすぐに降ろせないです、、』

上司『たっくよ、ほんと最近の若い連中は使いもんになんないから困るんだよな。』

こうして俺は精神的にも肉体的にもクソ上司に蝕まれるのであった。そんな環境でも一筋の光があった。

B『武野宇さん、今日もあなたのBOSS怒っていたね。コレあげる。元気出して。』

Bはインド出身の外国人労働者だ。実家が貧しいこともあって日本に出稼ぎに来ている。毎月入ってきた給料の半分以上を本国へ送金している家族孝行の教育された女である。

彼女に優しくされると心もアソコも温まる。俺がここで働く理由は彼女に会えることぐらいだ。Bなしでは生きていけないくらい彼女に対する想いが日に日に強くなってゆく。

今日もBに会おうとウキウキな状態だったが倉庫内がどうやら騒ついてる。なんだと思い同僚に話を聞いたところ、なんとB子が突然辞めたのであった。しかも会社で保管している客の荷物をいくつか盗んで蒸発した。

思考が追いつかない。コレは何かの悪い冗談だろ、そう思った俺の微かな希望は打ち砕かれた。もう何もかもどうでもなった俺は窓から飛び出して壊れた荷物のようにバラバラになってくだらない人生を終えた。

“クソッタレな人生に幸あれ”

とろろ魔人

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